プロローグ
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俺は死んだ
商店街を歩いていると、通り魔に後ろから刺された。
それは、俺が人から恨みを買うようなことをしたからではなく偶然その場に居たからだ。
あまりに無残で無情な死に方だなと思い、鼻で笑ってしまう。
視界は霞んでいてぼんやりしていて真っ暗で右も左も上も下も何もわからない。
俺は人生で味わったことの無いひどい痛みで顔を歪めながら手を伸ばす。
死んでしまい誰の手でもない手を
自分の存在を掴むために━━━━
気が付くと俺はただっ広い真っ白な部屋にいて
ぽつんと1脚の椅子に座っていた。
目の前には女の人が王座に座っていた。
ここらはラノベで死ぬほど読んだことがある。
この人は女神で、俺はファンタジー世界か何かに転生するんだろうなぁ…と考えてしまう。
そんな夢物語なんえあるのか分からないが
目の前の女性は本当の女神のように神々しい微笑みを浮かべながらこう口を開いた
「初めまして、転生の女神エリーシアです。残念
あ、本当に女神なんだ。
というか…それよりも…
「まって1年前って」
俺が死んだことよりそっちが気になるんだが
「なにか問題でも?」
何かじゃなくて、それマジで言ってるの
だとしたらめっちゃ遅くね?かなり前なんだけど、聞き間違え?
「聞き間違えではありません……確かにあなたは1年前亡くなりました、遅いのは私が仕事を後回しにしていたからです……」
「仕事しろよこのやろぉぉぉぉ!!」
「あー……めんどくせ、ここまでなったらもう分かってんじゃん?異世界に転生だよ転生。」
女神は相変わらず神々しい微笑みを顔面に貼り付けながらそう言った。
「え、ちょ、まって分かんない説明して、説明」
「はいはい、じゃあ……転生!」
「話聞いてた!?」
俺はなんの説明もなしにこの世界に来た。
ということはもう数年も前のことで
今は奇跡の逸材と呼ばれ、レベルMAXの勇者として魔王の城の前に立っていた。
目的は他でもない魔王を倒すためだ。
魔王は昔、色々なことをやらかしたらしい
村に炎をは放ち国を2つ壊滅させ海の2分の1の水を汲み上げ国に落とし、国を1つ壊滅させた。
俺は実際それを見たわけでもないし魔王に恨みなんて別にない。
出来れば魔王と仲良くしたいくらいだ。
まぁ、出来はしないが。
じゃあ何故倒すのかって?
決まってる、もちろん金のためだ!!!
魔王を倒した時に落とすソウルストーンは国……いや世界一高い石だ。
聞くところ60兆ゴールドはくだらないらしい
そうなると俺は大金を持ってスローライフを送れるってわけだ!!
魔王!お前を(金のために)倒す!!
俺は心を決めて、薄暗い魔王の城に足を踏み入れた。
ぎぃぃぃ……
ひとりでに扉が閉まる。
中に入ると、まるですべての闇がここに集結しているかのような感覚だった。
中は薄暗く月明かりがうっすら足元を照らしていて、部屋はじめじめと湿気を含んでいる。
舞台のような場所にいかにも王様が座りそうな椅子があるということはわかった。
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