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引き取る理由

「では、失礼します。」

籠いっぱいのチシャの葉を背負い、ペコペコと頭を下げて門から出て行くダニエルを無言で見送る。

自動で閉じられて行く門が、籠から溢れそうに揺れているチシャの緑とダニエルの後ろ姿を完全に隠してからも、ゴーテルはしばらく呆然としていた。


おかしい。子供が産まれたら寄越せって言ったのに、了承されてしまった。しかも女の子なら、とか毎週チシャの葉を門の前に用意することとか条件まで提案されて。


ゴーテルは自分が取り返しのつかない約束をしてしまったと、今更ながら真っ青になり、すぐさま屋敷に戻った。自分の唯一の味方である侍女のクレアに相談するために。


「クレア!クレア!どうしましょう!私、取り返しのつかない事をしちゃったわ!」

息を切らせながらキッチンに飛び込み、パンの焼き上がりを見ていたクレアに向かって叫んだ。


「どうなさったんですか。ゴーテル様は菜園に水やりに行かれたのでは?」

2人暮らしの割に大きな屋敷を年老いたクレアだけでは大変だろうとゴーテルも家事を手伝っていた。

ゴーテルは膨大な魔力を国の為だけに使用する事と引き換えに国庫から十分な費用が割り当てられている。本来であれば、侍女を4、5人は追加してもいいのだが、ゴーテルを怯えて募集しても人が集まらないのだ。

ゴーテルが育てると気温や病に強く、すくすくと植物が育つから、菜園管理はゴーテルが、食事はクレアが作る事にしていた。


常にない大声と慌てたゴーテルの様子にびっくりしつつも、クレアはパンを竃から取り出す。狐色に焼きあがったパンの香りがキッチンを満たし、クレアは満足そうに頷いた。


「ゴーテル様、だいぶ慌てておいでのようですが。パンがちょうど焼き上がりましたし、ご飯を召し上がってからではいかがでしょう?」


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