表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

“夢”に関する短編連作

作者: 阿木玲太郎
掲載日:2015/12/22

 こんな夢を見た。



 目覚めると、そこは板の間に直接ひかれた布団の中だ。湯治場の廊下、そんな場所。

 大勢の人の気配を感じる。ガラスが入った格子戸がガタガタと軋み(確かに軋んで開いたの音は聞こえない)、次から次へと人が出てくる。

 老人、老婆……。中年の男、あるいは女。同年代の男、女もいるが、若者はいない。

 彼等は何か親しげに喋り、笑っているが声が聞こえない。笑い声が聞こえない。全く無音の世界だ。何一つ、聞こえない。人の声も、窓の外の烏の鳴き声、雀のさえずり、川が流れる音一切しない。車のエンジン音など、勿論しない。

 色もない。白と黒の世界……。

 人々は自分の側らを通り過ぎ壁に突き当たり、左に折れ、二・三段の階段を降りるろ廊下の奥に消えていく。次々と消えていく。

 風呂場か食堂があるのだろうと思う。


 やがて、不思議なことに気づく。

 格子戸からは人が出てきて、左に折れ、廊下の奥に消えていくだけ。

 一人も戻ってこない……。廊下の奥から、誰一人戻ってこない。

 自分は納得する。こいつ等、死人なのだ。そして、こいつ等、自分のことに全く気づいていない。

 気づかれたら、こいつ等の仲間に引き入れられてしまう。自分も死んでしまう。

 女が近づいてくる。体が動かない。自分に出来るのは、しっかり目を閉じ、眠っている振りをするだけ……。

 背中に汗をかく。

 自分の顔の数センチまで、女の顔が近寄る気配を感じる。でも、女は息をしていない。女の息を感じない。

 やはり、女は死人なのだ。

 女がふっと笑うのを感じる。



 女が遠ざかっていくのを感じた。


ヤフーブログに再投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ