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親切

 テストの最中、消しゴムを落としてしまった。

 使い古してすっかり丸くなった消しゴムはよく転がり、どこへ行ったのか分からなくなってしまった。

 ――参ったなあ。

 ペンケースを覗き込んだが、予備の消しゴムは入っていない。

 まだ答案は半分がようやく埋まったところだ。一切の書き損じ無く解答欄を埋められる自信は無かった。

 そっと手を挙げるも、監視役の教師は腕を組みながら船を漕いでいる。

 ますます困り果てていると、隣からそっと消しゴムを渡された。

「あ、ありがと」

 小声で礼を述べて、消しゴムを受け取る。

 背筋が粟立った。

 私が座っている席は窓際だ。消しゴムは、その窓の方から差し出された。

 こわごわ、視線を横へ向ける。

 枯れ枝のような灰色の手が、サッシ枠の向こう側にさっと引っ込むのが見えた。

 

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