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異世界詐欺師のなんちゃって経営術  作者: 宮地拓海
第四幕

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491話 めくり

 さて寝るか。

 ――と、思ったのに、ネネが出てこない。


 ……てめぇ、添い寝するぞ。


「……すぅ……すぅ……」


 げっ!

 マジで寝てやがる!?


「疲れていたのでしょうね、大きなイベントで」

「気を張ってしまうものです、我々給仕長というのは」

「彼女は自分が不十分であると自覚しているからこそ、我々よりも張り切ってしまったのでしょう」

「そっとしてあげてほしい、とても頑張った未来の給仕長を」


 と、ナタリア、イネス、デボラ、ギルベルタが言うが……ここ、俺の布団なんだわ。

 俺、どうすりゃいいんだよ?


 あと、ギルベルタ。

 未来の給仕長じゃなくて、現在進行形で給仕長だから、ネネ。

 給仕長INGだから。……きゅーじちょいんぐ? なんじゃそりゃ!?


「バカなことやってないで、戻ってきなよ。レディの寝顔を見るもんじゃないよ」

「いや、あのなエステラ。ここ、俺の寝床なんだわ」

「あれ、どうされたんですか?」


 マグダを連れて行き、寝かしつけてきたのであろうジネットたちが戻ってくる。

 そして、この惨状を見て「まぁ……、うふふ」と微笑ましそうに笑う。

 いや、笑いごとじゃないから。


「少し寝かせてあげて、あとでそっと運んであげましょう。どなたかお願いできますか?」

「私なら、起こさずにお運びするのは造作もありません。張り切り過ぎて寝落ちした主を幾度となくベッドに運んでおりますので」

「そんな、何度もないよ。……誇張しないでよ」


 と、恥ずかしげなエステラ。

 じゃあ、運んだエピソード全部発表してもらうか?

 きっとかなりあるだろう、お前?


「慣れている、私も。寝る、どこでも、ルシア様は」


 それはそれで心配になるなぁ、おい。

 大丈夫なのか、貴族のご令嬢?


「平気と断言する、私は。四十二区だけ、ルシア様が油断するのは」


 勝手に油断していい場所に認定するなと言っといてくれ。


「追加する、情報を。いる時も油断している、友達のヤシロが」


 いらん情報を追加すんな。


「私には、そのような経験が一切ございません」

「私は、イベール様の奥様をお運びしたことがありますよ」


 ほぅ、そこでイネスとデボラに差がつくのか。

 どっちも男領主だから、給仕長が抱きかかえて寝室に連れ込むわけにはいかないのだろう。


「俺も、昔は『メイドと言えばエロいことをされる人』だと思い込んでいた時期があったもんな」

「何を見てそんな間違った知識を得たのさ?」

「大人の参考書だ!」

「爛れてるよ、君の故郷は」


 そうは言うがな、エステラよ。

 メイドモノは名作が多くてな、たとえば俺が愛読してた本で言うと――おっと、ジネットがこっちを見ている。この辺でやめておこう。


「ゲラッチョは結婚もしていませんし、ご令嬢が誕生するという未来へ希望を抱くことも出来ないのです……しょーもない」


 最後!

 小声で言えばセーフとかないから!

 きっちり『会話記録カンバセーション・レコード』に記録されてるから、絶対!

 あと、名前間違えてるの気付いてる?

 そんな名前じゃなかった気がするけどなぁ。


「いっそのこと、一度寝落ちした主を抱えて運んでみては?」


 と、デボラがイネスをからかうように言う。


「湿地帯の真上に行くには、三十区まで行かないといけないんですよ? さすがに遠いです」

「どこに運ぼうとしてるの、イネス!?」

「エステラ様、今言うべき的確なツッコミは、『四十二区に不法投棄しないで』ですよ」

「気持ちは分かるけど、さすがに失礼だよ、ナタリア!?」


 気持ちが分かった時点で同罪だぞ、エステラ。


「んじゃ、もうちょっと遊ぶか」

「はい。わたしも、今日はもう少しだけ夜更かししたい気分なんです」


 にこにこ顔のジネットが俺の隣に腰を下ろす。

 なんか今日は、ずっとジネットとエステラに挟まれてる気がする。


「あ、違うぞ。二人が俺の両隣にいるって意味で、二人して俺を挟んでくれてるんだってことじゃないからな?」

「分かってるよ、いちいち言わなくても!」

「もぅ、懺悔してください」

「我々も言われるまでもなく、『エステラ様が挟むのはムリだから、座り位置の話だな』と理解できましたよ」

「ジネットちゃん、ナタリアにも懺悔しろって言ってやって!」


 ジネットは、ナタリアに甘いんだよな。

 させてやればいいのに、懺悔。


 それともあれかな?

 エステラがイジられてるの、好きなのかな?


「ユナ、眠ぅないか? もう寝てきてもえぇで?」

「いえ、大丈夫です」

「無理はしないでくださいね」

「はい、お姉さん。……あの、こうやって誰かと遊ぶのって初めてで……楽しくて」

「ふふ。なら、もう少し夜更かししましょう。明日はお寝坊さんでも構いませんからね」

「いえ! 誰より先に起きてお店の掃除をさせていただきます!」

「いや、たぶんフロアで俺が寝てるから、遅く起きてきてくれ」

「え……あ、えっと、静かに掃除を――」

「俺の睡眠を妨げる気か?」

「はぅ……っ、えっと……あの、……では、はい」


 なんでゆっくり寝るのにも理由が必要なんだ、こいつは。


「眠ぅなったら言ぃや? 店長はんのベッド、先客がおるけど広いさかい、一緒に入れてもろとき」


 あ、こいつ。

 さらっと呼び捨てルールやめて反応見てやがるな。

 で、ジネットが「誰ですか?」って言わなかったから、呼び捨てルールはさっきの一巡で終了ってことになったのか。


 まぁ、「ユナ」って呼ばせたかっただけだし、他の連中も何も言わないなら、それでいいか。

 あ~ぁ、レジーナのヤツ。バレないようにほっとした顔してやがる。

 バレてるけど。


「あの…………もし、……あ、いえ、なんでもないです」

「なんですか?」


 話の途中でやめかけたユナの言葉を、ジネットが引き出す。

 それを繰り返してやれば、ここでは「言ってもいい」って空気になるだろう。

 馴染めば、ユナも言いたいことを言えるようになる。


「ぇっと……出来れば、先生とご一緒させていただきたく……あのっ、ご迷惑でなければ、ですが! いえ、ご迷惑なのは重々承知しているのですが! でも……」

「かまへんよ」

「本当ですか!?」

「そんなもん、いくらでも言ぅたらえぇよ」

「では私も」

「私も」

「乗りましょう、この波に」

「便乗する、私も」

「そっちの面白がっとる給仕長はんらは却下や」

「「「「ん~ん、いけずぅ~」」」思う、私は」

「いつ練習しとんねん、そーゆーの!?」


 レジーナ、これな、アドリブなんだぜ?


「せやけどウチ、イビキうるさいかもしれへんで?」

「平気です。父もイビキの大きい人でしたから」

「ほな、まぁ……よろしゅうな」

「こちらこそ、よろしくお願いします!」


 完全にレジーナに懐いたな。


「取られちゃったな、ジネット」

「そうですね。ユナさんと一緒に寝るの、楽しみにしていたんですけどね」

「えっ、あのっ、そんな! 決してお姉さんが嫌というわけでは――」

「大丈夫ですよ。ですが、こちらの暮らしに慣れた後、いつかわたしの部屋にも泊まりに来てくださいね」

「はい! 是非!」


 自分が取り合われるなんて、初めての経験なんだろうな。

 ユナの顔が真っ赤だ。

 嬉しそうに。


「先ほど、ユナさんはこちらで寝るとお伝えしてしまったので、改めてオルキオさんに話してきますね。布団の準備をお願いしないといけませんし」

「私が布団を運びましょうか?」


 と、ナタリアが言うが、ジネットは首を振る。


「布団はあるから、いつでも言ってくれと言われていますので。わたしがオルキオさんに話してきます。きっと喜ばれますよ。賑やかなのがお好きな方ですから」

「ほな、ウチも行くわ。ユナもおいで。家主はんによろしゅう言いに行こ」

「はい」

「じゃあナタリア、悪いんだけどさ……トレーシーさん、二階に運んであげてくれるかい?」


 気が付けば、エステラの腹に抱きついたまま眠っていたトレーシー。

 あ~ぁ、幸せそうな顔して……


「では、トレーシー様をお運びして、戻ってきて、少し遊んで、ネネさんを運びますね」

「いや、一緒に運んでやれよ、めんどくせぇな」

「ですが、ネネさんは我々の部屋ですから」

「トレーシーとネネをルシアのいない方に運んで、エステラがルシアのところで寝たらどうだ?」

「それをすると、翌朝ネネさんが激しい叱責を受けますよ?」


 なんでだよ。

「エステラ様じゃない!」って?

 理不尽だな、癇癪姫。


「ボクは、ルシアさんとトレーシーさんの間で寝るよ」

「領主三人が、食堂二階のシングルベッドで三人並んで寝るのかよ……」

「ルシアさんも、仲間外れにされると拗ねるからね」


 めんどくせっ!

 領主の接待、めんどくせっ!?


「そしたら、ミリィとマーシャはどうする?」

「みりぃはじねっとさんのお部屋に泊めてもらうね」


 そう言った後、こそっと俺に耳打ちしてくるミリィ。


「ゆなちゃんがれじーなさんの方に行って、じねっとさん、ちょっと寂しいと思うから」


 そんなことまで気を回してくれてんのか。

 そういえば、マグダがカンタルチカに泊まり込んだ時も、寂しがるだろうからって一緒に泊まり込んでくれたんだっけな。

 いい子だなぁ、ミリィは。


「うちの子になりなさい」

「ぁ、の……それは、ちょっと、はずかしいから、……保留、で」


 保留か。うむ。

 拒絶されてないと、前向きに捉えておこう。



「なんということはないのですが、わくわくしますね」

「分かります。ただ普通に遊ぶ――というのは、あまり経験がありませんからね」


 イネスとデボラが顔を寄せてくすくす笑う。

 給仕長として育てられるって、相当大変なんだろうな。


 ユナもこいつらも、精々楽しめばいいさ。

 んじゃ、次は何して遊ぶかな。




「それで、次は何をしますか?」


 イネスが、きらりと瞳を輝かせる。

 先ほどのババ抜きは、レジーナを最下位にするために給仕長一同が協力してくれた。

 つまり勝負にはなっていないのだ。


 とはいえ、ナタリアの圧倒的な強さを見せつけられたからなぁ……

 おそらく、イネスもデボラも同じくらい強いのだろう。

 ギルベルタは、以前馬車で一緒にやったから、異常な強さじゃないって知ってるけど。


 ……え、まさか、あれって接待ババ抜きだった?


「実力、私の。普通、意外と、私は」


 そうか。

 ならいいけど。


 というか、ババ抜きだとジネットがさほど楽しめないからな。

 なんでこいつはこんなに強いんだろうな。

 両極端なんだよ、出来ることと出来ないことが。


「というわけで、技術ではなくほぼすべてが運任せなゲームをやってみるか」

「運、ですか。それでは、腕の見せ場がありませんが……まぁ、たまにはいいでしょう」


 あくまで勝ちに行こうとしているナタリア。

 まぁ、待て。

 腕の見せどころもちゃんとある。


「ヤシロさん、そのゲームはわたしやユナさんでも出来ますか?」

「もちろんだ」


 勝つのは、難しいかもしれないけどな。


「なんというゲームなんですか?」

「俺の故郷では、『坊主めくり』と呼ばれていたゲームだ」


 百人一首の、最もイージーな遊び方。

 三~四歳でデビューして、その後一生遊び続けられる、日本古来の伝統的なゲームだ。

 これと将棋崩しは、俺が家でめちゃくちゃやりまくった遊びなんだ。


 ……親方も女将さんもムキになるから、俺も全力でぶつかっていってたっけなぁ。

 大人げないんだ、あの人たち。


「ルールは地域によっていろいろあるんだが、俺の家のルールでいいか?」

「女将さんたちと遊んでいたルールですか?」

「う……まぁ、そうだが」

「嬉しいです。わたしも、女将さんや親方さんと一緒のゲームが出来るなんて」


 そんな喜ぶようなことじゃないだろう、別に……


「ヤシロ。照れてるところ悪いけど、ルールの説明をしてくれるかな?」


 うっさい、エステラ。

 にやにやしやがって。


「とはいえ、元は俺の故郷の武士や公家……騎士や貴族たちが使われていたゲームだから、こっち流にアレンジするぞ」


 そうだな、領主とギルド長、それから教会関係者辺りでいいか。


「ジネット、教会関係者のメンコって何枚くらいある?」

「そんなにはないですね。シスターのメンコが数枚と、司祭様と、あとは寮母さんくらいでしょうか」


 シスター連中が集まった時にベッコに描かせりゃよかったな。

 土産に何枚か描いてプレゼントしたんだっけ。

 まぁ、ないもんはしょうがない。


「このガキどもや寮母のオバサンと……あ、給仕長も入れちまおう」


 ゆくゆく作るなら、ちゃんと枚数を合わせて作り直せばいい。

 今は、有り物で代用させるか。


「教会関係者+給仕長で20枚、女領主と女ギルド長で20枚……って、そんないないから、女性メンコをこのチームに入れよう」


 そして、あとは野郎が60枚だ。

 ただし、その中には領主とギルド長がいい感じに混ざっている。


「ちょっと覚えにくいが、頑張って覚えろ」


 坊主めくりのルールはいろいろあるが、なるべく戦況が動きやすいルールにしておく。


「まず、すべてのメンコを積んで置く。これを『山』と呼ぶ」


 実際に山を作り、一番上のメンコを取り、その場に表向けて置く。

 メンコは、ベッコだった。


「男札は、その場に捨てる。この捨てる場所を『場』と呼ぶ」


 男札は自分がもらえるというルールーの方が一般的だが、オオバ家ではこうやっていたので、そちらを採用。

 俺基準ですが、なにか?


「で、みんな順番に山からメンコをめくっていくんだが……」


 山から札をめくって男領主のメンコを探し出す。

 デミリーか。


「男領主が出たら、これは場に捨てずに自分のも手元に確保できる。札一枚につき1ポイントだ」


 姫は2ポイントとか、そういうルールもあるが、今回は平等に一枚1ポイントとしておく。


「つまり、領主を多く引けば勝てるっていうことかい? 確かに運の要素が強いね」

「甘いぞ、エステラ。坊主めくりの神髄はここからだ」


 そして山から女性メンコを探し出す。


「姫――女性のメンコが出たら、場に捨ててある札をすべてもらえる」

「それはお得ですね」

「チャンス、ポイント大量獲得の」


 ジネットとギルベルタが嬉しそうに言う。


「そして、教会関係者――」


 今回は給仕長もここに含まれるので注意が必要だ。

 探し出した札は、ナタリアだった。


「これは、教会に寄付するということで、手持ちの札をすべて場に捨てなければいけない」

「えっ!? それは痛いね」

「トップを独走していても、それを引くと一気に0ポイントになるわけですね」


 エステラが嫌そうな顔でナタリアを見る。

 ナタリアも、微妙な顔で自分の札を見る……


「ヤシロ様、提案が」

「なんだ?」

「そのルールであれば、教会に対してヘイトが向きかねません。ですのでここは『税金を徴収される』ということで領主を没収の札にしましょう」

「「「異議なし」」思う、私は」


 給仕長たちの結束力。

 でもそうすると、姫札との区別がさぁ……


「大丈夫です。『長』の付くもの以上を役職持ちとして姫札、それ以外の女性を一般札としましょう」

「「「異議なし」」思う、私は」


 だから、給仕長たちの結束力よ!?


「じゃあ、それでいいか?」

「構わないよ。どうせ広める時にはまたルール変更もあるだろうし。


 じゃあ、領主は没収、坊主札とする。

 エステラ、ルシア、トレーシーも坊主扱いだが、ルシアとトレーシーはもう寝てるし、エステラがいいならいいか。

 じゃあ、一般男子札は場へ捨てる。

 一般女性札はその札をもらえる。

『長』以上の役職付きの女性札は場の札を全部もらえる――ってことにしよう。


「で、注目」


 ここからが腕の見せ所ポイントだ。


「男女問わず、ギルド長を引いた場合は――」


 言って、エステラが先ほど適当に取って自分の手元に置いておいたドニスメンコに素早く手をのせる。


「誰かの持ち札を、こうして奪うことが出来る」

「「「「おぉっ!」」」っと感嘆する、私は」


 給仕長たちがざわめいた。


「どうすれば防げるの?」


 と、瞳をぎらつかせるエステラ。

 こいつもやる気だな。


「奪われるより早く、自分の札に手をのせてガードすればいい。


 自分の手元の札に手をのせてみせる。


「男ギルド長なら、その札と奪った札が自分の物に、女ギルド長ならプラスで場に捨ててあるメンコももらえる」

「わ~い、女ギルド長が最強~☆」


 マーシャが得意そうにしている。


「……その役、有能な給仕長が引き受けるべきでは?」

「「「異議なし」」思う、私は」


 もういいわ、給仕長の結束力!


「マーシャとジネットとユナには手加減するように」

「水鉄砲使っていいなら、私全然参戦するよ~☆」


 取りに行った手に穴が開くだろうが、そんなもん。


「床に座るから平気、平気☆ 私にも全力でかかってこ~い☆」


 マーシャも、ちょっとはしゃぎたいらしい。

 んじゃ、マーシャは手加減なしでいいか。


「ぁの、私も、そんな、気を遣っていただかなくても……」

「ユナはむしろ、自分がギルド長を引いた時に遠慮するなよ?」

「ぇっと……」


 まぁ遠慮するだろうな。


「遠慮が見えたら、レジーナが罰ゲームな」

「なんでなん!?」

「それがユナに一番効く」

「ぬぐぐ……遠慮は禁止やで、ユナ!」

「は、はい! 全力でぶつからせていただきます!」


 よし、あとは。


「ジネットはいつも通りで」

「い、いえ、わたしも手加減は必要ありませんよ?」


 いやいや。

 十秒のハンデをやっても勝てそうだもん、お前なら。


「じゃあ、まぁ、みんなほどほどにってことで」


 ルールは把握したな?


「おっと、言い忘れてた。ギルド長でもない札の時に他人様の札に手を出すのはご法度だ。罰として自分の持ち札を全部相手に差し出してもらうから、そのつもりで」


 ついうっかり間違ってお手つきしちまうんだよな。

 これが燃える。


「よぉし、じゃあ……戦乱の坊主めくりを始めようか――」



 没収札が領主なんで、領主めくりになっちまったけどな。




「ごめんなさい、セロンさん。あなたとは一緒にいられないのです。さようなら」

「札を場に捨てるだけで、仰々しいセリフを吐かないでくれるかい、ナタリア」

「すみません、ハズレを引いたのですが?」

「イネス~、それ、ウチの副ギルド長だから~☆」

「あ、ミリィたんゲッツです。可愛いです。ふふふふにゅ」


 だから、デボラ。なんで「にゅ」で終わるんだよ、お前の笑い方は。


 そうこうしながらも、領主めくりは進んでいく。

 あ、次は俺か。


「よっと。……誰だこれ? 見たことねぇなぁ。まぁ通常札だろう」

「残念だけどね、ヤシロ。それは三十七区の領主だよ」

「こんな顔だったかぁ? 目とかもっと離れてたろ、これくらい」

「それだけ離れてるの、キャルビンくらいだよ~☆」


 なんか、領主らしいので、手持ちの札をすべて場に捨てる。


「けっ、……税金泥棒が」

「やめてよね、そういう言い方するの。ボクは真っ当に運営しているからね」

「あ、エステラさんです。……あ、そうでした。エステラさんは領主さんなので、わたしの手札も没収ですね」

「はぅっ!? ごめんね、ジネットちゃん!」

「いえいえ」

「取れるところから取りやがって。何税だ? 胸囲税か?」

「そんな税金導入しないよ!?」

「もぅ、ヤシロさん」


 なんだよ、ジネット。

 もう夜も更けてきたんだしいいだろうが。


「……ぁ」


 ユナが引いたのは、ハビエルの札だった。

 全員がさっと自分の手札に手をのせる。


「ぁあ……失敗しました」


 ちょっと遅かったか~……みたいな顔しているが。


「今、気付いたのにワンテンポ遅れたよな?」

「遠慮が見えましたね」

「私の目にもそう映りました」

「イネスさんに同意です」

「ぃ、いえ、決してそのようなことは――」

「『ぁ』って言ったもんな」

「言った。そしてあった、言った後に間が」


 俺や給仕長からの指摘を受け、ユナが俯いてそろりと挙手をする。


「すみません、少し遠慮しました」

「はい、レジーナ、アウトー!」

「ホンマ理不尽やわぁ、このルール」


 ユナが遠慮したらレジーナが罰ゲームをする。

 そういう決まりだ。


「す、すみません、先生!」

「まぁ、今回はかまへんわ。そのかわり、次はないで?」

「は、はい! 怪我を厭わず飛び込みます!」


 それは、ほどほどに頼むぞ。


「ほんで、罰ゲームってなんやろ? まさか、また名前呼ぶとかかぃな?」

「いや、別に、それ面白くないし」

「そうですね。後半はダレていましたしね」

「我々の協力があってこその中盤でしたね」

「あそこで弾みをつけたからこそ、終盤まで間が持ったというべきでしょう」

「ナイスアシスト、我々の」

「自分ら、散々好き勝手やっといて、よぅ言ぅわ、ホンマ!」


 俺の意見に給仕長ズが乗っかり、レジーナが突っ込む。

 給仕長が徒党を組むと、レジーナがツッコミに回るのか。

 面白い化学反応だ。


「けど、何してもらう? あんまり重いのは、ユナが気に病みそうだから軽めのヤツにしてあげなよ」


 と、いい子ぶるエステラ。

 まぁ、レジーナに罰ゲームさせるのが目的じゃないからなぁ。

 サクッと終わるヤツで――


「乳首でも摘まんどくか?」

「自分、アホやろ?」

「「「「さーいしょーはグー!」」」を出す、私は」

「誰が担当するか、決めんでえぇから!」


 クッションが空を飛ぶ。

 絶対避けられただろうに、ナタリアが顔面でクッションを受け止め、首を振ってイネスの顔面へ。

 そしてイネスからデボラ、デボラからギルベルタへとクッションがそこそこの勢いで回って、レジーナに突き返された。


「どふっ!」


 結構な威力で。


「……なぁ、もう、これでえぇんとちゃうか、罰ゲーム……」


 まぁ、そうだな。

 結構重い一撃を顔面にもらったみたいだからな。

 もういいだろう。


「では、ヤシロさんは懺悔してくださいね」

「ゲームが終ったら、寝ながら懺悔しとくよ」

「……もぅ」


 ぽふっと、デコを撫でられる。

 ……あ、今の叩かれたのか?

 一瞬、何かいいことしたのかと思っちゃった。撫でられたから。


「ほな次はウチやな……おっぱい魔人はんか」


 なんか、俺がきらきらした笑顔で立っている札だった。

 ……なんの時の俺だよ、あれ?


「なぁ、これ、実質領主っちゅうことで没収かいな?」

「んなわけねぇだろ! 一般枠だよ、俺は」

「いや、出てる札総取りくらいしそうじゃないかな、ヤシロなら」


 しねぇよ!

 なに勝手なルール作ってんだよ、エステラ。

 嬉しそうにこっちを見るな、小憎らしい。


「じゃあ、次は私ね~☆」


 マーシャが山からデリアの札を引き当てる。

 瞬間、吹き矢のように「しゅびっ!」ってマーシャが射出された。

 いや、そんくらい速かったんだって。


「甘いです!」


 しかし、ナタリアには一歩届かず。

 マーシャが退けた手の下からは、ナタリアの手が出て来た。

 一瞬ナタリアの方が速かったようだ。


「あ~ん、惜しい~☆ ……で、ナタリア~、元の位置に戻して~☆」

「しょうがないですね、マーシャさんは」


 マーシャを抱き起こし、元の位置へと運んでやるナタリア。

 飲み仲間だからか、ちょっと仲良さそうな雰囲気だ。


「今度エステラのマル秘情報、交換しようね☆」

「はい、是非」

「変な連帯感生み出さないでくれるかな、そこの危険人物二人!?」


 そうか、共通の趣味があるから、一気に仲良くなれるタイプか。


「趣味って言うな!」


 びしっと、こちらにツッコミを入れてくるエステラ。

 夜中でも、そのキレは衰えない。


「まーしゃさん、なたりあさんの札は取れなかったけど、女性ギルド長だから、場の札は取れるよ」

「わぁ、ありがとう~ミリィ~☆ お嫁さんにおいで~☆」

「ふみゅう!? そ、そういうこと言っちゃダメって言ったでしょ~!」


 ミリィが真っ赤になって抗議している。

 今日一日、一緒に行動する中で、何回か言われてたっぽいな。

 ダメだぞ、他所の区に持ち出しちゃ。

 四十二区の宝なんだから。



 それからまた何順かして、イネスがモーマットの札を引き当てた。

 瞬間、イネスがデボラの札に手を伸ばす。


「えっ!?」


 と、驚き、一拍遅れたデボラ。

 そこそこ溜まっていた手札がイネスに奪われた。


「い、今のは、お手つきでは!?」

「甘いですね、デボラさん。この地味なモブ顔のワニは、四十二区農業ギルドのギルド長なのですよ」

「し、知りませんでした……! こんな面白味のない顔の人間が、面白さのワンダーランドたる四十二区でギルド長をしていたなんて……!」


 ひでぇ言われようだな、モーマット。

 まぁ、別にいいけど。


「……この男性に罪はないですが……好感度が地に落ち果てました」


 残念、モーマット。

 巨乳美女に嫌われたぞ、お前。


「そういうたら、おっぱい魔人はん、ゴミ回収ギルドのギルド長やん。しもたな、さっき人の札もらえたんやん」

「そういえば、誰も反応しなかったね」


 あははとエステラが笑う。

 俺も忘れてたわ、そんなもん。

 誰も反応せずに流れてしまったんなら、それは「残念でした~」ってところだな。


 そしてまた順番が巡り、今度はミリィがウッセを引き当てる。


「ぁっ、ぇ~い!」


 そして、ミリィが俺の手札に手を伸ばす……が。


「残念だが、ミリィ。ウッセはギルド長じゃない」

「ぁっ!?」


 今回はギルド長という括りなので、ミリィのこれはお手つきになる。

 ちなみに、イメルダもアッスントもギルド長ではないので、誰かの手札を取ることは出来ない。


「ぅぇ~ん……間違えちゃった~……」

「ウッセのこと嫌いになったか? 言っといてやろうか?」

「きらいじゃないよ!?」

「いえ、でも嫌われているっぽいということはお伝えしておきましょう」

「そうですね。時間差で、多方面から」

「その調整は、今回学びましたので、お手伝いします」

「しなくていいょ!? うっせさん、嫌いじゃないからね!?」


 ミリィに嫌われてないだと!?

 ウッセごときが、生意気な!


「俺はウッセが嫌いだ!」

「「「「異議なし」」」言う、私も」

「面白がっちゃ、かわいそう、だょ?」


 いやいや。

 こうしてイジられたら、ウッセも草葉の陰で笑ってるよ。


「生きてるからね?」


 そんなこんなで、前半戦はポカミスやうっかりが重なり、なかなかの混戦となった。


 ……思った以上に白熱している。

 この戦い、まだまだ続きそうだ!




「これあれだな、坊主めくり用に札作った方が分かりやすくなりそうだな」

「そうだね。でも、手持ちのメンコで独自ルールを作って仲間内で遊ぶのも面白そうじゃない?」


 上機嫌に言って、エステラが場の札をごっそり持っていく。

 ちっ、ジネット引き当ててやがる。

「ありがと~、ジネットちゃん」じゃねぇよ。さっきジネットから手札奪ったくせに。


 ジネットは『店長』なので、姫札扱いなのだ。

 ……な? 分かりにくいだろ?


「しかし、先ほどのモーマットナントカさんのように、だまし討ちが出来るというのも面白味がありますよ」

「ウッセナントカさんでミリィさんがお手つきしたのも可愛かったですしね」

「うん、あのねイネスとデボラ。『ナントカ』いらないから、どっちも。完全に名前言えてたから」

「「すみません、うろ覚えで」」

「合ってたから! 完璧に覚えてるから! 認めて! すーんって顔しないで!」


 イネスとデボラが楽しそうだ。

 ギルベルタも、にこにこしている。

 みんな主がいないから、羽を伸ばしてるんだろうなぁ。うんうん、楽しみなさい。


「次は私ですね」


 イネスが札をめくると、マーシャが出た。

 何枚入ってんだよ、マーシャ。

「可愛いのが多いからいっぱい入れちゃった☆」って?

 あぁそうかい。


 それはともかく、ギルド長なので自分の手札に手をのせてガードする。


 ――と、その手の上にそっとイネスの手が被さってくる。


「おっと、間に合いませんでしたか。すりすり」

「すりすりしてんじゃねぇよ」


 そういうのは、ぎりぎりの接戦で手が触れて「きゃっ」ってするから情緒があるんだよ。

 って、いつまですりすりしてんだ。


「むふー! 残念です」


 とてもそうは見えないけどな。

 え、みんな酔ってるの?


「軽くお酒入ってるからね」


 あははと、苦笑するエステラ。

 俺がイネスに同じことしたら怒るくせに。


「先ほど、微笑みの領主様に根こそぎ持っていかれたので、あまり得点になりませんでしたね」


 姫札も、出るタイミングによっては微妙なんだよな。


「微妙人魚ですね」

「よぉ~し、その挑戦受けて立つよ、イネス~★」


 こら、マーシャ。

 手札飛ばさないの!

 そういう遊びじゃないから!


 で、イネスも札をキャッチして自分のところに置かない!

 返しなさい!


「では、次は私です」


 と、デボラが少し腰を浮かせて山から札を取る。

 ベッコ。


 ぺちーん!


 場に叩きつけられるベッコ。

 得点にもならない、次の姫札の養分でしかない面白みのない札。

 叩きつけられても仕方ない。


 そして、デボラは腰を下ろして、俺の手をさすさす――って、こら。


「いえ、『いい』時間なのかと思いまして」


 ねぇんだよ、さすさすしていい時間とか、ダメな時間とか。

 基本ダメなの!

 淑女として、ダメなの。な? 分かるな? ふくれないの! ちょっと幼く見えて可愛いから! 可愛い顔してもダメ!


「く……、デボラさんは愛嬌があるので、ズルいです」


 何を悔しがってんだ、イネスは。


「引く、私も」


 と、ギルベルタが俺と手を繋いで札をめくる。

 公共物じゃねぇんだわ、俺の手。

「みんなで仲良く使いましょうね~」じゃねぇから!


「なんで誰一人懺悔と言われないのか……」

「みなさん、今日は甘えん坊さんですね」


 くすくすじゃねぇよ、ジネット。

 そういうのを贔屓っていうんだよ。


「じゃ、俺もジネットと手を繋いで札めくろ~っと」

「普通にめくってください」


 やんわりと拒絶された。

 むぅ……



 そして、順番が巡り、ユナが俺の札を引き当てる。


「ぁっ、はい!」


 そして、さっきの話をすっかり忘れて油断していたレジーナの札に手をかけた。


「あっ、しもた! せやん、さっきウチが言ぅてたやん、ゴミ回収ギルドのギルド長や~いぅて。忘れてたわぁ」


 他の連中は素早く反応したので、レジーナに行くしかなかったのだろう。

 まぁ、隣だしな。


「す、すみません」

「かまへんかまへん。ちゃんとやってくれな、今度こそ摘ままれかねへんしな」

「「「「さーいしょーはグー!」」」を出す、私は」

「罰ゲームあらへんし、ジャンケンすな!」


 手札を失ったレジーナが吠える。

 すっかり馴染んだなぁ、他所の給仕長もいるのに。


「なんか、レジーナが若干、ユナにいいところ見せようとしてんのが面白いな」

「そんなことあらへんよ。普通や、普通」

「確かに、積極的に声出してるね。いつもなら、気付いたらいなくなってるのにさ」

「う……、そ、そういうこと言ぃなや、……最初が肝心なんやから」


 レジーナも、一丁前に代表者らしい意識を持ち始めたのかねぇ。


 そんなレジーナが、山の中からレジーナの札を引き当てる。

 薬剤師ギルドのギルド長だ。


 スパーン!


 と、凄まじい音をさせて、ユナが自分の手札を守る。

 速っ!?


「い、いえ、真剣にやらないと、先生のチク……先生が摘ままれてしまいますので」

「『先生の先生が摘ままれる』?」

「そ、そんな意味で言ったのではありません!?」

「えぇ~、ウチの本体、乳首やったん?」

「先生っ! ……もぅ」


 からかわれてユナが赤い顔でふくれる。


「先生には、絶対手札は渡しません」


 ちょっと拗ねてそんな発言を。

 深夜のテンションか、旅の高揚感か、ユナが少しずつ砕けてきた。


 そうしてまた一巡。

 ユナがまた俺を引き当てた。……何枚入ってんだよ、俺の札!?


 で――


「あっ、しもた!? また忘れてた!」


 レジーナの一枚しかない手札を奪っていく。


「自分、もっと大々的に活動しぃ~や! 地味やで、ゴミ回収ギルド!」

「誰がやるか、あんな利益の出ないもん」


 使用済みパンツなら、回収して回ってもいいけども。


「っちゅ~か、ユナ? なんや、ウチばっかり狙ってへんか?」

「い、いえ、先生が油断なさっているから……他の方は素早くて、先生からしか取れないんです」

「とはいえ、もうちょっと手心加えてぇ~や」

「ダメです。そんなことをしたら、摘ままれてしまいますよ」

「摘まむん決定やないからな!?」


 レジーナにデコをぺちりと叩かれて、ユナが嬉しそうに笑う。

 嬉しいもんなんだなぁ、突っ込まれるのって。


「先生の番ですよ」

「分かっとるわい。今後ギルド長出たら、根こそぎ奪い取ったるさかいな」


 と言って引き当てたのは、またしてもレジーナ。



 スパーン!



「速っ!? だから、速いねんって、ユナ! どんだけ真剣なん!?」

「摘ままれないためですから」

「せやから、おつまみ決定やないから!」

「よし、じゃあ優勝者は摘まめることにするか」

「するか!? アホか!? あ、アホやったわ!」

「……頑張りますっ」

「摘まむ方に回ろうとしぃな!」


 ぺちーん! と、割と強めにユナの後頭部を叩くレジーナ。

 その瞬間、堪らずというようにユナが笑い出す。


「ふふっ、すみません、……その、先生がお可愛らしくて……ふふふふっ」


 完全に真夜中のテンションだな。

 山の札はもう残り少ない。

 あと二~三巡で終わるだろう。



 そして、最後の一枚。

 場には俺やエステラが捨てた手札がどっさりと積まれている。

 ラストが姫なら大逆転も夢じゃない。


 そんなラストの札をめくるのはレジーナだった。

 あの後もユナに強奪され、手札は一枚。


 そして、勝敗を左右するかもしれない最後の一枚をレジーナがめくり――アッスントを引き当てる。


「よっしゃ、ギルド長や!」


 と、電光石火の早業でユナの手札に手をのせる。

 ……が。


「その方は、支部代表様でギルド長様ではないですよ?」

「あっ、しもた!? ワニ顔はんとごっちゃんなってしもた!?」


 あぁ、分かる分かる。

 地味だもんな、その辺。


「では、先生。お手つきですので」


 にっこりと手を差し出すユナ。

 なけなしの一枚を強奪していく。


「容赦なしか!?」

「それもこれも、先生を摘まませないためです」


 がっくりと項垂れ、レジーナがなけなしの一枚を手渡し、ゲーム終了。


「優勝は――『場』だな」

「ホント、すっごい札の量だね、もったいない」


 共に素寒貧すかんぴんな俺とエステラ。

 場に札が一番あるって、なんか虚しいよなぁ。


 で、持ち札があるヤツが枚数を数え、なんとユナが優勝した。

 ナタリアたちは、給仕長同士で潰し合って、結局ほとんどを場に捨てる羽目になったんだよな。

 強奪し合い、ギルベルタに集まった札が、最終局面で場に。

 その時の給仕長たちの顔ときたら……ミリィが必死に笑うのを我慢していた。


 ユナやジネット相手に本気を出さなかったのは、給仕長たちの優しさだろう。

 給仕長に狙われなかったおかげで、レジーナから奪った札を守り切れたユナの優勝となったわけだ。


「おめでとう、摘まみ放題」

「そんなルールは認めてへんで」

「とりあえず、摘まんでみなよ、ユナ」

「領主はんまで、なに言ぅてんねんな!?」

「この辺がオススメですよ」

「店長はんまで!?」


 自身のほっぺたを指さすジネットに、レジーナが恨みがましい視線を向けるが――


「はぁ……摘まんでもなんも出て来ぉへんで?」

「いや、エロ汁がにじみ出てくる可能性が」

「うわぁ、ばっちぃですね」

「水瓶、用意してきます」

「うっさいで、そこの給仕長。ほんで、アリの給仕長はん寝てはらへんか? 大丈夫かいな?」


 ホントだ。

 ギルベルタがいつの間にか寝てる。

 眠ったギルベルタを安全に運べるの、ジネットだけなんだよなぁ。


「じゃあ、ユナが摘まんだらお開きだな」

「なんの儀式やねん、ほんま……」


 言いながらも、レジーナの笑みは柔らかい。

 このゲームを通して、ユナが少しずつ環境に慣れてきていたと実感できたのだろう。


「では、先生。失礼します」

「ほんまやで、自分……」


 呆れたように言いながら、頬を差し出すレジーナ。

 ユナが遠慮がちに触れて……むにっ。


「や、柔らかいです……」

「どれどれ?」

「なに便乗して摘まんでんの、領主はん?」

「お餅みたいですね」

「店長はんまで!?」

「じゃあ俺も――」

「「「懺悔してください」しなよ」しとき」


 世界が俺にだけ厳しい。


「ふゎぁ~……」


 と、ミリィがあくびをして、全員の注目を集める。


「はぅっ!? ……み、見ないでぇ……」


 油断したあくびを見られ、顔を真っ赤に染め、クッションに顔をうずめるミリィ。

 世界は、俺にも優しかった。


「みんな、今すぐ寝ていい夢を見るぞ!」

「急ぎましょう、記憶が薄らぐその前に!」

「まだまぶたの裏にしっかりと焼き付いています!」

「もう余計なものは何も見てはなりませんね!」

「私は、ミリィちゃんの寝顔見ながら寝よ~っと☆」

「もぅ、みんなっ、悪ノリだめぇ~!」


 わたわたするミリィを愛でて、今日という濃過ぎる一日は幕を下ろした。







あとがき




教習所に入所したのがもう一年前かぁ~


とか、去年のことを思い出しちゃってる宮地です☆

いろんな教官がいました


運転中にクイズ出してくる教官とか



教官「ここは、制限速度何キロでしょう~か?」

宮地「えっと……40?」

教官「違いま~す。二車線で中央分離帯があり、見通しのいい直線なので最大60キロで~す」

宮地「あ、そうなんですね」

教官「前にも言いました~」

宮地「そうでしたっけ?」

教官「もう、僕との大切な時間を忘れないでよ!」

宮地「彼女か!?」(教官は50代のオッサン(小太り))



教習所の前の道は40キロなんですよ

信号一個曲がるとそっから50キロなんですよ

バイパス入ると60キロなんですよ


 (;゜Д゜) ころころ変わんな!



教官「あ、この先、美味しいラーメン屋さんがあるからね~」

宮地「その情報いらないっすわ!?」(←速度と運転でいっぱいいっぱい)

教官「甘いね。ラーメンを舐めると火傷するよ」

宮地「それは、何かうまいこと言った的なことですか?」

教官「こういうバイパス沿いにある美味いラーメン屋の前には――路上駐車がめっちゃある」

宮地「結構な距離、一車線埋まっとるやないかい!?」(ハンドルぐりーん!)

教官「そして、追い越し車線が埋まってるせいで、ちょっと無理な追い越しをしてくるトラックが増える」

宮地「めっちゃ怖ぁ~い!」

教官「ラーメン屋の情報、欲しい?」

宮地「すみません、めっちゃください!」

教官「さっきの店、背油が最高なの」

宮地「味の情報はいらないかな!?」

教官「今度一緒に行こ~よ~」

宮地「だから、彼女かって!?」(教官は50代のオッサン(小太り))




この教官、ルームミラーだけで、すっごい綺麗にバックで駐車するんですけど

「今のは悪い見本ね~、真似したらハンコ押さないからね~」とか言う人で

結構自由なんだなって思いました(笑)



あれから一年――まだ60キロは怖いです☆



あぁ、そういえば、

初めて車に乗った実習の時

10~20キロで教習所内をくるくるまわって、アクセルとハンドルに慣れるだけの、遊園地みたいな実習だったんですけど、

たぶん、暇だったんでしょうね

結構教官さんがしゃべりかけてきまして――



教官「宮地さん、免許取ったら、何したいですか?」

宮地「車の運転を」

教官「でしょうね!」



いや、初めて車動かすから、こっちはいっぱいいっぱいだったんですって!


今となっては、教習所内が絶対安全ゾーンだと分かってるので、

むしろまた走りたいくらいですけどね


今から教習所通うよ~っていう人、いっぱいいるんでしょうねぇ(*´ω`*)

あ、今はもう通って終わりかけくらいですかね

私が通ってたのは閑散期でしたし。


春休みと夏休みの間


楽しかったなぁ~

交通違反しまくって免停になって、もう一回通おうかなぁ?

(*´▽`*)


脇見運転って、危ないじゃないですか。

なので、乳見運転してたら、あっという間に免停に……あ、その前に普通に逮捕なんですか?

でも、お隣でシートベルトとかされると、めっちゃパイスラに――あ、それでもダメなんですか?


ダメらしいので、本編のお話をします



迫りくる貴族の影!

ヤシロを追い詰める、渦巻く野望――ヤシロは一体、どうなってしまうのか!?


っていう話が書けたらいいのになぁ~って思いながら書いた坊主めくり回です☆


陰謀? ないですないです

ほんわか回です☆(*´▽`*)



坊主めくり、めっちゃ好きだったんですよ!

子供のころ!

兄貴が「もうえぇわ!」ってキレるくらいおねだりして付き合ってもらって

親戚の家に行ったらもう絶対「坊主めくりやろう!」って言ってたくらい好きで


で、親戚のお兄ちゃんチームが「あいつ、メッチャしつこいから泣かせたろ」って強奪ルールを導入した、我が家の坊主めくりがベースとなっております


強奪ルール、ある地域とない地域がありますよね(^^;

「蝉丸が出たら、全員の持ち札没収」とか、特殊ルールありましたよね


まぁ、普通に坊主めくりしていても盛り上がらないので、

本編ではこんな感じにしてみました。


税金没収ルール……また領主が疎まれちゃう(笑)



ユナが徐々に砕けていく感じ、伝わりましたでしょうか?

こういう、徐々に馴染んでいく感じが、好きなんですよねぇ~


『彼女と僕の口外法度かくしごと』っていう別作品のヒロインも

徐々に心を開いていってくれるキャラなんですけども――あぁ、そうそう!



『彼女と僕の口外法度かくしごと』の架空オープニングMV

のフルバージョンの動画を公開しました!

\(≧▽≦)/


めっちゃ踊っている可愛い仕上がりになったので、

是非是非見てみてくださいね☆



リンクはこちら♪

(*´ω`*)っ https://youtu.be/0SzAMo9a-aw

(パソコンの方は、URLを選択して右クリック、『https://youtu.be/0SzAMo9a-awに移動』でジャンプ☆)



よろしくお願いいたします!




小学校入るくらいまで、坊主めくりと将棋倒しと将棋回し(でしたっけ? 歩を使って碁盤の周りくるくる回るヤツ)めっちゃやってましたね。

小学校入ってからは、坊主めくりを卒業してスカートめくりに邁進しましたけどね☆


……嘘です。ジョークです。真に受けないようお願いいたします。通報、イくない!



スカートめくりって、実際やってた人いたんですかね?

大問題になりますよ、いくら昭和だからって

ウチの田舎だと、もう、村八分確定なくらい後ろ指さされる案件だったので

あれはやっぱり都市伝説なんですかねぇ……




……秋葉原にめくりカフェとか出来ないかなぁ

(  ̄□ ̄)




教官「ここのめくりカフェね、背油が最高なんだよ」

宮地「なんの背油!? パフェかなんか!?」



いろいろ混ぜるとカオスになりますね

あとがきも、すっきりとまとめないと、いけない時代なのかもしれませんね



というわけで、

春なのでちょこっと昔を思い出していたセンチメンタルな宮地さんでした☆



次回もよろしくお願いいたします。

宮地拓海

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― 新着の感想 ―
「回り将棋」って呼び名でしたねぇ、うちの地域では。 角のマスに止まったら歩から香、桂ってステップアップしていって、王で角に止まったら勝ちってルールでした
ほのぼの回は神回って、相場が決まってるんだ…… ……ほのぼの回に見せかけた給士長ズのヤシロ甘え回だった気がするぞ? まぁいいか。うむ。存分に甘えるがよい。
安心してください宮地先生 多分全国の自動車教習所でペーパードライバー講習や ブラッシュアップ講習みたいな 既に免許保持してる人向けの講習も用意されてますww 是非50代小太りおっさん講師を指名して…
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