458話 視察団、動く
ガタゴト、ガ~タ~ゴ~ト~♪
お婆を乗~せ~て~♪
ガタゴト、ガ~タ~ゴ~ト~♪
荷馬車は揺~れ~る~♪
「失敬な歌を歌わないように!」
あれ? 漏れてた?
いっけね、視覚情報が強過ぎた☆
というわけで、俺たちは教会を出発してニュータウンを目指している。
ガキが多いのと、年寄りがわんさかやって来ると聞いていたので、ウーマロに手押しカートを作ってもらっておいた。
幼稚園のお散歩の時に園児を閉じ込めて運搬するアレだ。
……あ、違う違う。
園児を乗せて安全に目的地へ移動するための万全のセキュリティだな。うん。
そんなカートに今、高齢のシスターがわんさか詰め込まれている。
なんか、みんな物珍しがって乗りたがったんだよな。
「いいえ、私は歩きますので結構ですよ」的な遠慮とかするかと思って、どうやって乗せようか考えてたってのに、「まぁ、これは何かしら!? あらあらあら、これに乗って連れて行ってくださるの!? まぁ~ぁ、馬のいない馬車のようなものなのね」ってキャッキャッして我先にと乗り込みやがった。
まぁ、婆さんの速度で四十二区を回ってたら、一日あってもとても足りないので、サクサク移動したかったこちらとしてはありがたいけどな。
しかし、酷い絵面だ。
荷車にぎゅうぎゅう詰めのオバサン、お婆……
「値札でも貼っとけば、売れんじゃね?」
「誰も買わないッスよ!?」
「うっわ、ウーマロ、ひっでぇ!」
「違っ、そーゆー意味じゃないッスよ!? シスターを売買するなんて不敬ッスから! そういう意味ッスからね!」
「うふふ。もう、ヤシロさん。悪いお口ですよ」
自分はカートに乗らずに俺たちの隣を歩いているベルティーナが叱ってくるが、上機嫌だな。
懐かしい顔に会えたこととか、年寄り連中がガキみたいにはしゃいでる様が可愛くでも見えているだろうこととか、とにかく、今日はベルティーナにとって喜ばしいことが多いらしい。
きっと、懺悔もかなり大目に見てくれることだろう!
「今日の懺悔は大目に見てもらえるな」
「え、いつもより多めに懺悔したいって?」
「縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよ、エステラ」
いつものでも十分多いから。
うんざりするから。
「けど、大きいのをたくさん作っておいてよかったッス」
「このサイズを持ってきた時は、ただのバカかと思ったが、訂正しないとな」
「やはは。こういうのは大きめに作っておくのが鉄則なんッスよ」
「お前は、先見の明のあるバカだな☆」
「訂正しきれてないッスよ!?」
ってなわけで、ウーマロや陽だまり亭一同とも合流して、ニュータウンへとやって来た。
ほぼすべてのシスターがカート二台に分乗して乗っている。
押し手はマグダとミリィが担当してくれている。
ガキどものカートはデリアとノーマだ。
ガキどもがちょっかいかけてきても軽くいなせる人選だな。
「ヤシロぉ、これおっもしろいなぁ~! ウチにも一台作ってもらおうかなぁ」
カートが気に入ったらしいデリア。
っていうか、いっつも似たようなの押してんじゃん。
マーシャの水槽。
あ、そのマーシャは現在不在だ。
港でクルージングの準備をしつつ、ウェルカムサプライズをするために待機している。
なので、デリアが空いているのだ。
でなきゃ、マーシャが譲ってくれないって。
「川漁ギルドがカートなんか買って、何するんだよ?」
「オメロをさ、乗せるだろ? で、閉じ込めて川底まで一気に押してってやるんだ! あいつ水を怖がるから川底とか見たことないしさぁ、きっと喜ぶぞ~!」
「ごめん、お前が今押してるそれって拷問器具じゃないんだよ、気付いてないかもしんないけど」
確実に、一人のアライグマがこの街から消えるな。
っていうか、デリアは知らないかもしれないけど、あいつは結構川底に沈んでるんだぞ、お前の無茶ぶりでな☆
「けど、荷車にこうやって人を乗せて運ぶって発想はなかったなぁ」
と、エステラがカートを見て言う。
「お前だって、出先で疲れたら空いた荷台に乗ったりするだろう?」
「それはあるけどさ、最初から大勢の人を乗せる前提で作られた手押しの荷車なんて見たことないよ。なんで思いつかないんだろ、こういう便利なの」
「そうだねぇ。オオバ君に言われて『あぁ、そういうのがあると便利だよね』って思うことばっかりだよ。一度くらい、オオバ君よりも先にアイデアを思いついて『それすげぇな』って言わせてみたいよ」
変な目標立てんな。
普通にいろんなもんに驚いてるからな、俺だって。
「さ~ぁ、みなさん! ニュータウンに到着ですよー!」
「足元、お気を付けて降りてくださいね」
ロレッタとジネットがカートのロックを外し、ガキとシスター連中を下ろしている。
おぉ、出荷だ、出荷。
「まぁ、綺麗な街並みですねぇ」
「これは、そこにいるトルベック工務店棟梁のウーマロさんが設計した街なんです! とってもオシャレで、とっても住みやすい街なんですよ!」
「やはは……恐縮ッス」
ロレッタに絶賛され、ウーマロが照れて頭を掻く。
ロレッタのニュータウン愛は、弟妹愛といい勝負をするくらい強いからな。
あいつの三大愛情は、弟妹と陽だまり亭とニュータウンに注がれている。
「そして、あそこで可愛らしく手を振ってみなさんをお出迎えしているのが、ウチの弟妹たちです!」
「「「ようこそニュータウンへ、やー!」」」
うん。やっぱ弟妹愛が一番だな。
頭一つどころか、八つくらい突き抜けてやがる。
「わー! あっちなに~!?」
「けーき!」
「わぁー!」
「あっ、ダメだぞ!」
ダッと走り出したガキどもを、四十二区教会のガキどもが捕まえる。
「勝手に動くと迷子になるぞ」
「迷子になったらお家に帰れなくなるよ」
「あと、悪い子はこの後のクルージングに連れて行ってもらえないんだぞ!」
「「ふぇぇ……っ」」
まぁ、責任感を発揮したんだろうが、言い方がなぁ。
しょうがない、ここは俺が――
「あのっ」
俺が動こうとするより早く、四十区最年長の少女が、四十二区最年長のクソガキの前に立ちはだかった。
「止めてくれたことはありがとう。でも、もっと優しい言い方だって出来たと思う」
「え? なんでだよ? 俺、間違ってないだろ?」
「間違ってなくても、この子たちはまだ小さいんだよ?」
「小さいったって……もっと小さいウチの子たちだって我慢してんじゃん!」
「初めて来る場所で浮かれちゃうのは当然でしょ!?」
「なんだよ、俺が悪いっていうのか!?」
「そんなこと言ってない!」
「言ってんじゃん!」
「言ってない!」
お~お~、思春期同士がぶつかり合っとるわ。
「青春だねぇ」
デミリー、そういうこと言うとジジムサイから気を付けろよ。
けどまぁ、このまま険悪なのは困るからな。
「おい、その辺にしとけ」
「だって、ヤシロ兄ちゃん! こいつがさぁ!」
「お前、口悪ぃんだよ」
「ヤシロ兄ちゃんには言われたくないよ!」
「あんじゃい、ごら? ワシのどこが口悪いちゅーとんじゃい、あぁ? ドタマかち割って中身ちゅーちゅー吸い取ったろか、おぅ!?」
「いまだかつて、聞いたことないくらいに口が悪い!?」
最年長のクソガキがきゃんきゃん吠えているのを見て、四十二区のガキ連中はいつもの空気にほっと頬を緩めた。
でまぁ、一応言いつけを守って他所のガキどもを見ててくれたんだから、褒めとかないとな。
「ま、結果的にちょっとぶつかったけど、よく見ててやったな。偉いぞ」
ぺしりとデコを叩くと、最年長のガキは「えへへ」と笑った。
「お前も、よく小さいガキどもを守ってやったな」
と、四十区の最年長少女も褒めておく。
「いや……あの、感謝はしてるんです、悪いのは、急に走り出したのはあの子たちだから……でも、なんか言い方がきつくて……だから」
「まぁ、男なんかデカくなりゃみんなあんなもんだ。四十区にはデカい男がいないからよく分かんないかもしれないけど」
「大きい男性なら二年前までいました。でも、その人はとっても穏やかで……」
「ま、人によるよ、その辺は」
どっちが正しいとかはない。
「だから、ぶつかるのは大いに結構。でもな、お前らがケンカすると小さいガキどもが怖がるから、最年長のお前らはもうちょっと周りに気を遣ってやってくれ。出来るな?」
「…………うん」
「…………はい」
「よし! んじゃ、仲直りの握手だ」
ケンカをしたら、仲直りの握手。
俺の小学校の担任がやってた強制イベントで、俺はこれが大っ嫌いだった。
なんで握手なんだよと。
馬鹿じぇねぇのかと。
謝った途端仲良しになるわけねぇだろと。
ある程度は接触しない冷却期間おいた方がいいってなんで分かんねぇんだよと。
心の底から小馬鹿にしてたなぁ~、シェイクハンド(←あだ名)のこと。
「……ごめん、なさい」
「いや、こっちこそ…………あのさ、言い方、気を付けるから」
「うん……私も、口悪いって言われるから、一緒に頑張ろう、ね?」
「あ、あぁ。じゃあ、こっからはライバルってことで」
「なんで競うのよ~!」
「いや、あれじゃん、『せっしゃまくら』!」
「え~、それ絶対違うよ」
「じゃあなんだよ?」
「知らないけど」
「知らねぇーんじゃん!?」
「ほらまた、口悪い!」
「別に悪くねぇだろ~!?」
「悪いですぅ~!」
……うん、なんかうまくいってんな。
侮れねぇな、シェイクハンド。
もしいつかどこかで出会うことがあるなら…………いや、やっぱ出会いたくねぇな、うん。
「お見事ですね」
と、四十区の若い方のシスター、エリアスが感心したように呟く。
「ルーナが、こうも素直に心を開くなんて」
「ルーナってのは、あの最年長少女か?」
「はい。あの子は面倒見がよくて、正義感も強いんですが、自分を絶対に曲げられないというか、一度こうと決めたらテコでも動かないような子なのに」
「そういう決めつけは、やめといてやれ」
「決めつけ、ですか?」
確かに、そんな風に見えるのかもしれない。
でも、そういうヤツが望んでそうやっているわけではないこともある。
っていうか、そういう欠点って自分でも理解してて、なんとかしたいと思いつつもなんとも出来ずに悩んでることの方が多い。
「エリアス、手を」
「へ? は、はい」
俺が手のひらをエリアスに向けて差し出すと、エリアスも俺に倣って手のひらをこちらに向けて胸の高さまで持ち上げた。
エリアスの手のひらに自分の手のひらを重ねる。
「ひゃぅっ!?」っと奇妙な声を漏らして、エリアスがこちらに視線を向ける。
その目に向かって、単純なルールを伝える。
「両腕を使ってもいい、絶対にその場所から『動かされるな』よ」
「え? きゃっ!?」
言って、エリアスの手のひらを押す。
一瞬ふらついたエリアスだが、こちらがやることを理解した後は、足を踏ん張って、両手で俺のプッシュに抗ってきた。
よしよし。それでいい。
「こうやって、真正面からぶつかっていこうとすれば、相手は自分のテリトリーに踏み込まれまいと必死になって抵抗してくる。だが――」
そこまで言って、手に入れていた力を弱める。
ついでにバランスを崩したエリアスの手首を掴んで自分の方へと引き寄せる。
「わっ、わわっ!?」と、エリアスはよろめいて、いとも簡単に俺の胸の中へと収まる。
「こうやって、相手の行きたい方向へ力を向けてやれば、案外簡単に胸に飛び込んできてくれる」
すっぽりと俺の腕の中に収まっているエリアスが、惚けたような顔でこちらを見上げてくる。
「お前が頑張り過ぎるから、反発が強くなる時もある。もっと肩の力を抜いて、自然体で接してりゃ、案外向こうも自然体で飛び込んできてくれるかもしれないぞ。今のお前みたいにな」
「とっ、飛び込んでなんて……っ」
慌てて言って、俺の胸を押して腕の中から逃れるエリアス。
お~お~真っ赤だこと。
「刺されればいいのに」
「お前だよ、一番人を刺しそうなのは」
ナイフマニアの微笑みの領主様の言葉はさらりと受け流しておく。
「俺が見た感じ、お前は力が入り過ぎだ。いい機会だからよく観察しておくといいぞ、他のシスターたちを」
事の成り行きを見守り、例外なくにこにこと微笑んでいるシスター連中。
そいつらを指さして言ってやる。
「手抜きのプロが、いっぱいいるから」
「「まぁ!」」
「あの辺とか、絶対適当に生きてるぞ」
「いやだわ、見られてたのかしら」
「あなた有名人なのね、あとでサインをくださいな」
ドッと笑いが起こり、エリアス以外のみんなが笑う。
こいつは、偉大なる先代に負けないようにしなければと、躍起になり過ぎているように見えた。
行きの馬車でぐずっていたというパスカ。
それを最年長の少女ルーナはいろいろやって宥めようとしていた、と言っていた。
つまり、エリアスは何もしていない。
いやまぁ、何かしたのか、何もしていないのかは分からんが、馬車の中ではルーナが主導権を握っていたのだろう。
きっと、先代の婆さんシスターのころから、ガキどものまとめ役はルーナだったのだろう。
そこへやって来た、自分とさほど年齢の変わらない新しいシスター。
さすがに、素直に甘えることは出来ないだろう。
「もしお前が、先代の婆さんと同じようにしようと思ってんなら、反発されて当然だ。まずは、その考え方を直すといい」
「ですが、今後教会を預かることになるシスターとしては、きちんとした責任を――」
「責任は取れ。責任者はお前だからな。だが、全部を一人で背負い込む必要はない」
「ですが――っ!」
「十代やそこらで六人の未成年を抱え込むなんて、人生二周目でもなきゃ無理だっつーの」
さらりと言って、エリアスの言葉を止める。
自分への否定的な感情を止めてやる。
「お前がルーナの母親になるなんて、どうやったって無理なんだからよ」
「でも、私はシスターで――!」
「シスターは別に神様じゃねぇからな」
不可能を可能になんかしなくていい。
出来ないことは出来ないって言やぁいいんだ。
「確かに、これまでの空気とは変わっちまうかもしれない。だが、人は必ず年を取る。今いるガキどもだって、いつかは教会を出ていくし、お前もいつかは婆さんになる。そうやって変わっていく中で、今の最適を探し続けていけばいいんじゃないのか?」
「でも、一日も早く頼れるシスターにならないと……シスター・アクアがいなくなる前に……」
「あぁ~、堅い堅い」
そーじゃねぇーんだよ。
「完璧になんかならなくていいんだよ、絶対なれないんだから」
「それはあんまりです! わ、私だって、毎日努力して――!」
「違う違う。お前が悪いって話じゃなくて、無理なんだよ、人間には」
そう言って、ベルティーナを指さす。
「お前の目に、ベルティーナはどう映っている?」
「それは……本当に美してく、非の打ち所がない……完璧なシスターだと」
「ところがどっこい! ベルティーナはほぼ毎日ガキどもに叱られてんだぞ? なぁ?」
「そーだよー!」
「しすたーねー、いただきますのまえにつまみぐいするんだよー!」
「だめっていつもいってるのにー!」
「もぅ、みなさん。こんな大勢の前でバラすなんてひどいですよ」
「きょうもねー、一人だけ、ジネットお姉ちゃんにお魚のおかわりもらってたのー!」
「今日の朝ご飯は少な目でって言われてたのに。もぅ、シスターもだけど、ジネット姉ちゃんも甘やかし過ぎ!」
「えへへ……わたしまで叱られてしまいました」
そう。
これが教会の日常だ。
「たぶん、あの辺の貫禄付きまくりの婆さん連中も、いまだにしょーもないミスとかするんだぜ? この中で、トイレ行った後スカートの裾をパンツに挟んで、パンツ全開で人前に出たことあるヤツいないか?」
「あら、やだ! 見てらしたんですか? 恥ずかしいわ」
「あら、あなたもなの? 実は私も」
「私なんて四回はありますよ」
パンツ見せ過ぎだろ、婆さんども。
需要がねぇよ。
「……みなさんも、そんなミスを?」
きゃーきゃーと騒がしいシスターたち。
その様を、呆然と見つめるエリアス。
「失敗したっていいんだよ。失敗した時に叱ってくれるのが家族ってもんだ」
「家族……」
「お前は、シスターになって四十区教会の家族になっただけで、別に母親になったわけじゃねぇんだ。姉でいいんだよ」
俺が言うと、エリアスの目からウロコが転がり落ちていくのが分かった。
「不安とか、失敗しそうなことがあったら頼ってみろよ。絶対協力してくれるぜ、ルーナ。あいつは長女気質がすごいからな。頼りない姉が出来たら、率先して助けに来てくれるよ、絶対」
ロレッタのところがそうだからな。
「ちなみに、ウチのロレッタは未成年のころから二桁を軽く超える弟妹を長女として守り育ててきた猛者だ。いろいろ参考にさせてもらえ」
「ふぉぉお!? お兄ちゃんがあたしの長女部分を褒めてくれたです! これは何がなんでもお役に立たねばですね! なんだって言ってです! なんだったら、弟子としてしばらくウチに滞在してもいいですよ!」
「いや、シスターさんは教会でやることあるから、勝手に決めちゃダメだよ、姉」
暴走しかけたロレッタを止める長男。
そうそう。こういう風にな、足りないとこは下の弟妹が補ってくれるもんなんだって。
ちなみに、長男はウーマロのカート作りを手伝ったらしく、きちんと稼働するか、不備がないかを最後まで確認するために同行している。
陽だまり亭の鶏小屋が酷かったからと、ウーマロが個別に指導してんだってよ。
好待遇だな、長男。目をかけられてんじゃん。
ま、そんな事情はともかく、だ。
「だからまぁ、今日一日は姉ちゃんとして頑張ってみろよ」
「お姉ちゃん…………はい。それなら出来そうな気がします!」
「幸い、母ちゃんはまだまだ元気そうだからな」
「うふふ」と微笑む婆さんシスター。
「盛大に甘えてやれ。他のガキ連中が羨ましがるくらいにな」
「そんなこと…………いえ、やってみます」
きっと、そうすりゃ「あ、この人自分たちと同じだ」って親近感を持ってくれるだろうよ。
「よし、じゃあ、話もまとまったところで、長女のお手本たるロレッタを生み育てた偉大な両親にご挨拶に行こうか!」
「絶対ダメですよ!? 長男、お兄ちゃんの口を塞いできてです!」
「だね! ここで騒いで、マジで出てこられたら終わるからね、僕ら姉弟!」
ロレッタと長男の連係プレイで口を塞がれた俺。
そんなになのか?
長男も危惧するくらいに?
いつか絶対会いに行ってやる!
固まってニュータウンをめぐり、商店が並ぶ通りに来たところで一時解散。
自由時間とした。
一応、小さいガキにはシスターや四十二区の連中がついてくれている。
そんな中、カートの傍で休む俺の隣にノーマがいる。
「不思議なもんさねぇ」
すぱ~っと、ガキどもがいるところでは吸えなかった煙管を吹かす。
ライターでの着火も、すっかり手に馴染んでいるようだ。
「あんたは、この街で最も教会っぽさがないように見えるのに、その実、一番ブラザーに向いてるんだもんねぇ。さっきのエリアスに言ってた言葉、アタシもぐっと来ちまったよ」
えぇ~、家族のいないノーマに?
なんで?
「すぱぁー!」
「なんも言ってないじゃん!?」
被害妄想の可能性も、ゼロではないからね、それ!
「なんであんたは、そんなに人の心が分かるんさね? さっき自分で言ってたみたいに、人生二回目だったりするんかい?」
冗談だと言わんばかりにからから笑うノーマ。
まぁ、あながち間違いではないんだけどな。
1.5周目くらいではある。
「俺さ、両親が死んでんだよ、俺がガキだったころに」
「え……っ」
と、ノーマが息をのむ。
「まぁ、そんな大した話じゃないんだけどな。で、伯父夫婦に引き取ってもらったんだけど、それでもなんか、拗ねてたんだろうな、所詮他所の子だしって」
それで、自分は不幸なんだって思い込んで、そんな境遇に自分から突っ込んでいって、いじけて、拗ねて、ヘソを曲げて――
「でも、親方と女将さんが底抜けにいい人たちでさぁ。すげぇ甘やかしてくれんの。でもちゃんと叱ってくれんの。だからさ、『あ、俺、愛されてる』って理屈じゃなくて理解しちまってさ。……たぶん、俺が今やってんのって、親方や女将さんのマネなんだよ。だから、俺がすごいわけじゃない」
あの人たち、子供好きだったもんなぁ。
他所の子だろうと、可愛さの欠片もないようなクソガキだろうと、にこにこして相手してたっけ。
そんなガキどもの中で、俺が一番だったって思うと、ちょっとむず痒いけどな。
「今の話……、店長さんやエステラは知ってんかいね?」
「ん? さぁ、どうだったかな?」
あんま昔のことは話さないしなぁ。
でも、ジネットは俺が伯父夫婦に育てられてたって知ってるはずだし、なんかの時に話したかも?
どうだったかなぁ?
「まぁ、どっちにしても大した話じゃないし」
「またアタシだけそんな事情を知ったら、店長さんが拗ねんじゃないかさ!?」
拗ねねぇよ。
ジネットはガキじゃないんだから。
「この話、店長さんたちにしてもいいんかぃ?」
「ん? 言い触らされんのはヤだけど、あの辺の連中ならいいぞ、別に」
「ちょっと確認に行ってくるさね!」
煙管の灰を落として、足早に移動を開始するノーマ。
どこに、どれだけ気を回してるんだ、あいつは?
気を揉み過ぎだろう。
「おっぱいなら、揉み過ぎるくらいでちょうどいいとはいえ」
「何をバカなことを言ってるのさ、君は?」
「よぉ、エステラ。婆さんの相手に疲れてエスケープか?」
「そんなわけないだろう。シスターたちは、ナタリアたちがちゃんと見てくれているよ」
で、お前は休憩と。
いいご身分だな。
「……ごめん。聞いちゃった」
「『おっぱいなら、揉み過ぎるくらいでちょうどいいとはいえ』?」
「それじゃなくて……!」
あぁ、そう。
「別に構わねぇよ。つか、知らなかったっけ?」
「いや、君が伯父夫婦に育てられたっていうのは知ってたけどさ……」
「割と懐いてたんだぞ?」
「それも知ってる。……ふふ、親方さんや女将さんの話をする時の君の顔は、比較的好きだよ、ボクは」
「惚れるなよ?」
「ばぁ~か」
くすくす笑って、で、遠い空を見上げるエステラ。
「やっぱり、すごい人たちだったんだね、ヤシロを育てたお二人は」
「どうだかなぁ。身内のこと過ぎて公平な判断は出来ないが……俺の中では群を抜いてすごい二人だったぞ」
「君が手放しで認める人間ってだけで、称賛に値するよ」
俺、そんなに他人のこと褒めてない?
特別レアでもないぞ、こんなもん。
「今の話、ジネットちゃんにしてあげると、喜ぶと思うよ」
「大した話じゃねぇだろ」
「いやいや、ヤシロが子供好きになった知られざるエピソードだからね。超レアだよ」
「子供好きじゃねぇっつーの」
「君に子供が出来たら、溺愛を通り越して泥のように愛するんだろうね」
「どんな愛し方だ……」
泥て……
「でも、俺にガキが出来ても、長くは生きられないだろうからな……」
「え、どうして?」
「母乳がもらえないと、赤ん坊は死ぬだろうが」
「独占するんじゃないよ」
「ヤダ! 俺のなの!」
「ガワだけで満足しなよ!」
ガワも中身も俺んだい!
「もう、なんのお話をされているんですか? シスターたちに叱ってもらいますよ、ヤシロさん」
ノーマがジネットを連れてきた。
そんなわざわざ呼んでこんでも……あれ? 後ろからマグダたちも来て……へぇ~、レジーナも一緒に来てたんだ~。
「って、多いわ!」
「いや、なんかみんなヤシロの口から聞きたかったみたいでさ」
え、なに?
この大人数の前でさっきの話をもう一回やらされるの?
御免なんだけど?
「ノーマの『会話記録』でも見せてもらってくれ」
「いやいや、本人の口からだからこそ伝わる機微ってもんがあるんさね」
機微か団子か知らんが、やらされる方は堪ったもんじゃねぇよ。
カンパニュラとテレサ、小さいからってそんな前の方の席確保しなくていいから。
……はぁ。
「俺がガキのころ両親が事故で同時に亡くなって、その後俺は伯父夫婦に育てられました。伯父夫婦は子煩悩でいい人でした。以上」
要点を掻い摘んで説明したら、ブーイングが起こった。
お前らなぁ……
「じゃあ、一人一つずつ恥ずかしい話を暴露していくか? そーゆーことだぞ、これは?」
「はい!」
と、ナタリアが手を上げる。
「今朝、慌てていたのでしょうね。ズボンが前後ろ逆であることに気付いて、慌てて履き替えようとズボンを脱いだら、パンツも前後ろ逆だったんです――エステラ様は!」
「自分の恥ずかしい話を暴露しなよ!? そして、そんな話をメンズもいる前で暴露するなぁ!」
まぁ、「ズボンが」のところでエステラのことだと思ったけども。
ナタリア、今日もスカートだし。つーかメイド服だし。
「……ヤシロのせいでボクが辱めを受けた」
なんで俺のせいだ。
で、睨んでんじゃねぇよ。
「すぱぁ~。なんであんたは、そんなに人の心が分かるんさね? さっき自分で言ってたみたいに、人生二回目だったりするんかい?」
「え、なに、そっからやり直すの?」
なに芝居心目覚めてくれちゃってんだよ?
分かったよ……ったく。
で、さほど面白くもない話を、俺はもう一回する羽目になった。
話を聞き終わった連中がなんでかきゃーきゃー騒いで、嬉しそうな顔をしていて、俺は「なんだかなぁ……」と微妙な気分になったわけだが……ま、別にいっか、こんくらい。
「素敵なお話を聞かせてくださいましたので、今日はヤシロさん、たっくさん甘えてくださっても結構ですよ」
なんてにこにこ顔で言うジネット。
んじゃあ、夜の添い寝と水着での混浴を頼む。
どーせダメなんだろうけど。
欲しい甘やかしと、供給される甘やかしにズレがあるんだよなぁ、この街。
あ~ぁ。
「そういや、結局寝床はどうするんだ?」
「……テントをいくつか借りてきた」
「メドラさんがウッセさんに話を付けてくれたですよ。スムージーのお礼だって言ってたです」
マグダとロレッタで狩猟ギルドからテントを借りてきたらしい。
……テント?
「あたいらがそこで寝るんだよ」
「お前らも一階で寝るつもりなのか?」
「そのつもりさね。あれだけの数の子供らがいるんじゃ、ヤシロ一人じゃ手が足りないだろう? どこぞのキツネ大工じゃ役に立たないだろうしねぇ~」
「うぐ……確かに、オイラは子供の扱いはイマイチッスけども……」
なんと、ガキどもはフロアで男女一緒に雑魚寝。
そして、面倒を見てくれる女子連中は庭にテントを張ってそこで寝るのだそうな。
で、何かあったらすぐに駆けつけてくれるらしい。
「いや、なんかあったら呼びに行くから、二階で寝ろよ」
一応女子なんだし。
めっちゃ強くても、女子なんだし。
「二階は完全に男子立ち入り禁止にして、不安な女の子たちを寝かせてあげることになってるんだよ。君たちには申し訳ないけどね」
と、エステラ。
なるほど。教会のガキの中で、知らない男と一緒なのが嫌だってヤツがいたら二階に連れて行ってやるわけか。
男に拒否権はないんだな……はは。ま、頑張れ。俺も道連れなんだ、我慢しろ。
「あのぉ……その件なんだけんどさぁ」
と、俺たちの輪の外から男の声がする。
「あたすも、一緒に泊まるって~のは、なしかぃ?」
そこにいたのは三十三区教会のブラザー、ティムだった。
「いえいえ、ブラザーは教会へどうぞ」
「いい笑顔で拒否ってくれるねぇ、お前さん。それが地獄……もとい、無理だって分かんでしょ~よ!?」
ははは、地獄ときたか。
まぁ、あの空気で一晩とか、無理だよな。
「どうする、ジネット?」
「来ていただくこと自体は問題ありませんが、そうなると、女性は二階で寝ていただくことになりますね」
「えぇ~、あたいテントで寝たかったのにぃ。おっさん、教会で寝ろよ」
「すんごぃバッサリくるね、お嬢さん。びっくりしたなぁ~もぅ」
デリアはなぁ、特に仲良くないヤツのこととか気遣わないもんなぁ。
「お願い、絶対なんもしないから、ね!?」
「けどお前、覗き魔じゃん」
「子供のころだっつってんべ!?」
「うわぁ……」
「素直なドン引きの声が辛辣だわぁ、微笑みの領主様。違うんだって、もう卒業したの! っていうか、もうオッサンだから! 若い子によからぬことしないから! アルヴィスタンだから!」
「ただなぁ~」
「なに? なんなの? もうこの際全部言って! そしたら、そこ全部直すから!」
「顔がエロそう」
「生まれつきのヤツ! 直しようのないヤツ言うなよぉ、お前さんよぉ~!」
「え、なに? ヤシロ、またあーゆー人と友達になったの?」
「そうなんだよ、また」
「またぁ~? ホント好きだよねぇ、ヤシロってば」
待て待て待てそこのパウラ、エステラ、ネフェリー。
友達じゃねぇし、好きでもねぇし、そのなんか前からずっとそうみたいな空気も納得できねぇし!
「あの、では、私が同席いたしましょうか?」
そろ~っと、小さく挙手をしながら現れたのは、四十区シスターの若い方、エリアス。
「いや、お前が来たら余計ややこしくなるだろうが」
デリアやノーマは、なんでか俺と同じ空間で寝ても安全だし、何も問題が起こらないと周りに認識されている。
……まぁ、俺も自ら進んで地雷原でウサギのダンスをするつもりはないが、だが、それは俺たちの関係性があってこそ。
「さすがに、他所の区のシスターが俺と同じ空間で寝るのはダメだろう」
いくらテントがあるとはいえ。
「えっと、我々シスターやブラザーは、時に同じ場所で寝泊まりすることがあるのです。大きな式典の前に三日間礼拝堂に泊まり込み祈りを捧げる時などは、男女の分け隔てなく同じ場所で寝食を共にします」
「なんだかムフフなハプニングの予感!?」
「そのようなことは起こりません!」
「ヤシロ、無垢な彼女をからかわないように」
ちょっとエロい話を振れば顔を真っ赤に染めるエリアス。
この子は、ちょっと初心過ぎる気がするが。
「案外、こういうタイプがむっつりで、脳内で誰よりもエロいことを妄想してるんだよな。だから、ちょっとしたことで妄想が迸って顔が赤くなるんだ」
「そ、そんなことはっ!? あの、その、決して……!?」
「あぁ、いいから。ヤシロの言うことは聞き流して、話を続けて」
「ですが……っ!」
「さっさと慣れちまうんが、一番心身に負担が少なくなるんさよ」
「せやね☆」
「あんたに関しては、まだ慣れたとは言い切れないさよ、いくらアタシでもね」
そっかぁ、レジーナは難易度高いのかぁ。
だよね~。
「えっと、それでですね、教会には『共同監視』というものがあります」
「そうか、お前さんがいてくれりゃ問題ないわけだ」
「はい」
「こら。シスターとブラザーだけで納得するな」
何が「そうか」なんだかさっぱりだよ。
「シスターはブラザーを、そしてブラザーはシスターを監視するのです。決して不埒な行為をしないように。アルヴィスタンとしてあるまじき、恥ずべき行いをしないように」
「共同監視の途中で不埒な行動を取った者は『精霊の審判』によってカエルにされんだよ。これも修行の一環だかんね、きびしぃ~んだ、これが」
そんなおっかねぇことを陽だまり亭でやろうってのか?
「……ヤシロとレジーナがカエルにされる可能性」
「不埒を働かないとか、きっとお兄ちゃんとレジーナさんには不可能です!?」
「おい、一緒にすんな」
「こっちのセリフやわ」
「あ、もちろん、共同監視はシスターとブラザーにのみ適用されますので、みなさんは普段通りお過ごしください。我々が、みなさんに不埒な行為をしませんという誓いを立てるだけですので」
とはいえ、なぁ?
「お前ら、風呂上がりに濡れた髪でうろついたり、パンイチでウロウロしたりするよなぁ?」
「パンイチでウロウロはしないさよ」
「いや、可能性はゼロじゃないって意味で――」
「ゼロさよ」
まじかぁ……そっかぁ……
「だいじょうぶだぁ」
と、ティムはサングラスを外す。
「あたすの目はほとんど見えてねぇから、気にしないでおくんなまし。まぁ、そもそも見ないようにするけんどね」
まだ見えているという右目の視力も、年々弱くなっているらしい。
夜になると、見えにくくなるのだろう。
「ぶぁざーしゃ、おめめ、わぅいの?」
テレサが心配そうにティムの服を掴む。
「ぶーべりー、たべて、ね?」
「ありがとう、お嬢さん。でもあたすのは、薬でも治らないヤツだから」
「れじーなしゃ……っ」
テレサがバッとレジーナに振り返る。
「……まぁ、診るくらいはかまへんけど、あんま期待せんといてや。最善を尽くしても、アカン時はアカンもんやさかい」
テレサの時は処置が間に合った。
だがティムはどうだか分からない。
なんでもかんでも治せるわけじゃないってのは、レジーナにとって一番悔しいことなんじゃないかな。
「ほんじゃまぁ、二人のシスターとブラザーを信用するとして、なんか問題ありそうなら成人女子チームは二階な」
「そうですね。では、そのようにしましょう」
ポンっと手を打って、ジネットが話をまとめた。
てなわけで、今夜はオッサンブラザーのティムと、新米シスターのエリアスが陽だまり亭で雑魚寝することに決まった。
……どうなるんだかなぁ。
あとがき
どうも、オリジナルソングを口ずさんでいたら
「うわ、懐かしい。なんだっけ、その曲?」と尋ねられた、宮地です
……お前、どこで私の曲を聞いたんだ!?
Σ(゜Д゜;)怖っ……
え、めっちゃ似た曲がすでに存在してる?
どうしよう……そうだ!
宮地「へい、シリ!」
グーアシさん「グーグルアシスタントですみませんね!」
宮地「あ、ごめん。ヘイ、グーアシさん」
グーアシさん「なんすか?」
宮地「この曲なんだっけ?」
グーアシさん「ドナ〇ナじゃね?」
宮地「いや、好きだけど!? 今回も本編でちょこっとリスペクトしてインスパイアしてるけど決してパクリとかパロってるとかマイナスな感じじゃないから大目に見てください、すみません、ほんとごめんなさい!」
グーアシさん「で、なに?」
宮地「鼻歌歌うから、曲名教えて」
グーアシさん「へいへいほー」
宮地「歌う前に特定の印象植え付けようとするのやめてくれる!?」
グーアシさん「じゃあ、どうぞ。音声認識モードー! ※鼻歌を歌ってください」
宮地「ふんふ~ん、るるる~♪」
グーアシさん「独特な歌詞!?」
宮地「歌詞じゃないよ!? メロディーだけ参考にして曲教えて!」
グーアシさん「78%の確率でスリランカのヘビメタバンドのデビュー曲だね」
宮地「スリランカのヘビメタバンドの!?」
……そうか、職場のあの人、
スリランカのヘビメタバンドのファンだったのか。
デビュー曲ともなれば、そりゃあ懐かしいでしょうよ。
でも、その曲じゃないからね!?
やだなぁ……「スリランカのやつパクったろ?」とか言われるの……
むしろ逆に、なんでお前はそんなにスリランカに詳しいんだと問いたい。
いえね、
なんか、頭の中でずっと同じ曲が繰り返し流れ続けることってありません?
それが自分のオリジナル曲で起こった時の不快感たるや……
どうせ流れるなら、もっとカッコいい流行曲流して!?
Σ(゜Д゜;)
あと、妙に懐かしい曲チョイスするのもやめて!?
歌詞とか思い出せなくてモヤモヤするので!
先日、仕事中ずっと、鈴木〇之さんの恋人という曲が頭の中で流れていまして……
あ、いえ、鈴木雅〇さんの『恋人』という曲であって、
『鈴〇雅之さんの恋人』という曲ではないです!
そんな特定の人のことを歌った歌ではありません。
違う、そうじゃない!
サビはめっちゃ覚えてるんですけど、Aメロがうろ覚え過ぎて、ずっとサビから抜け出せなかったんです!
「あ、この間奏うっすら思い出した……このままAメロいけるか…………ダメだぁ、またサビにとんだー!?」
っていう、サビだけが延々流れ続けるループ地獄に……(^^;
いい歌なんですけども、にしても、ですよ!
三時間も四時間もサビだけは、ツライ!
もうかれこれン十年聞いてなかった曲なのに、ちょっとしたきっかけで脳内で蘇って、
そっからずっと再生ですよ。
イヤーワームという現象らしいです。
同じ曲がずっと脳内で流れ続けるの。
そして、私が陥った「この先が思い出せない! そのせいで先に進めず、曲も頭から離れない!」というのは
ツァイガルニク効果というものが働いているようです。
ツァイガルニク効果は、完成していないことへ強い執着を見せてしまう現象です。
完成したものは忘れるのに、未完のもののことは気になって仕方がないという現象です。
「続きはWEBで!」が気になるのも、このツァイガルニク効果の影響です。
で、続きをWEBで見ると「なんだそりゃ!?」みたいな結末が多くて、情報が完結されるとさっさと記憶から消えるという、そういうことらしいです
なので、同じ部分がぐるぐる回ている時は、ちゃんと一曲聞くと、消えることがあるそうです。
ただし、一曲聞いたことで「やっぱいい曲だなぁ~」とか思うと、翌日からフルバージョンがイヤーワームしちゃうこともありますので、ご注意を☆
で、このイヤーワーム
始まるきかっけが、結構しょーもないことだったりするんですよ。
先日、職場で上司がですね、他社様の担当と電話してまして――
上司「ありがとうございます。えぇ、はい、いや本当にありがとうございます。いえいえ、その節は、ありがとうございます!」
って、何回も「ありがとうございます」って言ってて
内心ね?
「微笑みの〇弾」か!? って突っ込んでたんですよ
心の中で、ですけどね
そしたら、その上司――
上司「はい。では、また……えぇ、ありがとうござい…………ます!」
って!
完全に「微笑みの爆〇」じゃん!? って言い方して!
なんか、「ありがとうございます」の間に向こうが一言二言しゃべったようで、それを聞くための間だったっぽいんですけど、
「……ます!」って言った瞬間、職場のあっちこっちで「どっ!」って笑いが起こってて
おしゃべりなオバちゃ……お姉さんが
お姉さん「ごめん、私、頭の中でずっと幽〇白書の歌流れてたのよ」
宮地「(あぁ、みんな思ってたんだなぁ……)」
みたいなことがありまして、
その日はもう、帰るまでずっと「あ・り・が・と・〇・ご・ざ・い――ます!」でしたよ!
一応伏せますけども!
伊達にあの世は見てなかったですよ、まったく!
と、こんなあとがきを読んで、脳内に何か曲が流れ始めちゃう人も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんね
(*´ω`*)
異世界詐欺師を読んでて、作中に出てきた料理を食べたくなるのは
イヤーワームとは関係ありませんのであしからず☆
ナラティブ・フードトリガーというものに、近い感覚かもしれませんね。
ナラティブ(語り)の中で出てきた食べ物の描写が、過去の実体験と結びついて
「あ、食べたい!」となるそうです。
焼肉⇒タレ⇒白米にワンバウンド⇒肉を食う⇒すかさずタレの付いた白米を掻きこむ!
これで焼肉が食べたくなるのは、ナラティブ・フードトリガーのせいで間違いないでしょう!
知らんけど!
\( ̄▽ ̄)/
というわけで、いろいろな心理学的体験が出来る異世界詐欺師
引き続きよろしくお願いいたします☆
宮地拓海




