449話 配達員
「あら、カンパニュラがそうしたいって言ったの?」
デリアの家に行くと、ルピナスが出迎え、対応してくれた。
デリアとタイタは河原で仕事しているらしい。
「たいた? って、誰やろ?」
「カンパニュラの父親でルピナスの旦那だよ」
「あぁ、あのいつまでも思春期の心を無くさへん、若さ迸っとるメンズかいな」
「うふふ、あなたも悪ふざけは程々にしておかないと怒るわよ?」
レジーナの冗談に、ルピナスが真っ黒な笑みを浮かべて殺気を飛ばしてくる。
レジーナが盛大に慌てふためいて「ウチ、マッチョは管轄外やさかいに!」と弁明している。
お前、以前タイタに「やっふぅ~ん」とか言って首根っこ掴まれてたろうに。
学習しろよ。
ルピナスは……ベルティーナほど甘くないからな?
アレのどこに惚れてんだか知らんが、すっげぇヤキモチ焼くらしいから、ルピナスは。
「それにしても、もう暗ぁなってるのに、遅くまで頑張ってはるんやなぁ、クマ耳はん」
「まぁ、確かに頑張ってはいるんだけどねぇ……、こんくらい遅くなる時は遊んでるんだよ。ウチの人もオメロの坊やと一緒になって水遊びしてるから、注意する人がいなくてねぇ……」
呆れたようにため息を漏らすルピナス。
オメロが『坊や』って……
まぁ、ルピナスからすれば物凄く年下……いえ、るぴなすさんはいつまでもわかくてうつくしいです、はい、すみません。
「本人たちは『特訓だ』とか言ってるんだけどね」
「なんの特訓だよ? 水泳か?」
オメロもタイタも泳げないからな。
「必殺技を編み出すらしいわよ」
「水遊びだな」
「でしょう?」
あははっと豪快に笑って、ルピナスが俺の二の腕をペシペシ叩く。
黙ってりゃ美人貴族令嬢なのに、しゃべると肝っ玉母さんになるんだよなぁ、ルピナスは。
俺たちとしゃべりながら、カンパニュラからの手紙にさっと目を通したルピナス。
「ねぇ、ウチの娘、天才じゃないかしら?」
「天才だよ。鍛え過ぎだ。ちょっと将来が怖ぇよ」
「あらっ、ヤーくんにそう言ってもらえるなんて、光栄だわ」
褒めてねぇよ。
「確かに、やり過ぎだったところもあるかもしれないわね」
らしくもなく、気弱な表情を見せるルピナス。
「あの子には、何不自由なく、未来に無限の可能性を持っていてほしかった。だから、必要だと思えることはなんでも教えたし、時には厳しく躾もしたわ……私も、怯えていたのかもしれないわね、ウィシャートの影に」
ウィシャートがいる限り、いつカンパニュラに毒牙が迫るかもしれない。
それは、ウィシャートの家に生まれたルピナスにとっては拭いきれない恐怖であったのかもしれない。
「そのせいで、あの子は同年代の子供たちとはあまり仲良くなれなかった。私の責任ね」
「そんなこと、あらへん」
ルピナスの自責の念を、レジーナが止める。柔らかな否定の言葉で。
「ウチも、ガッチガチに英才教育受けて同年代の友達と話がまったく合わへんかったクチやけど、それで親を恨んだことなんか一度もあらへんわ」
そういえば、こいつも幼少期から薬学と医学を叩き込まれ、バオクリエアで何かの最年少記録とか作ったんだっけ。
「けど、友達がいなかったのはお前の性格に問題があったからだろうが」
「うん、せやねんけど、今はそれ横に置いとかへん?」
お前の幼馴染、かっさかさの顔してたぞ、お前のこと話す時は例外なく。
「確かに、精神面では同年代の子ぉらとの乖離は大きかったけど、その反面大人たちの中に入っていろいろ学べたことでウチはいろんな経験も出来た。それは、得難いものやったし、ウチはメッチャ感謝しとるで。『お父ちゃん、ウチに薬学叩き込んでくれておおきにな』って」
だから、ルピナスが気に病むようなことはない。
レジーナの表情は、そんなことを雄弁と語っていた。
「頭えぇもん、あの子。絶対感謝してはるわ。だって、メッチャ楽しそうやもん、陽だまり亭の人らぁと一緒におる時」
楽しそうに笑うカンパニュラの顔が思い浮かぶ。
確かにな。
カンパニュラはきっと、ルピナスに感謝している。
未来の可能性を広げてくれたことを。
「それに、その教育のお陰で、かけがえのない親友も出来たみたいやさかいな」
テレサと仲良くなれたのは、カンパニュラがテレサ以上の知識と教養を持っていたからだろう。
だから、テレサがアレほど懐いているのだ。
自分と少ししか違わない幼い少女が、自分以上の、思わず憧れてしまうほどの知識と教養と品格を持っている。それが、眩しく見えているのだろう。
「せやから、自分を責めるようなこと言ぅたらアカンで。それは、あの子の今を否定することになり得へんさかいに」
「……そうね。あなたの言う通りね」
レジーナの言葉を聞いて、ルピナスが微笑む。
にぃっと、口角を持ち上げて。
「これからも、カンパニュラと仲良くしてあげてね」
ヤバいぞレジーナ。
ロックオンされてる!
お前、カンパニュラの成長に役立つって認識されちゃったぞ、今!
「まぁ、同年代の子ぉらで盛り上がっとるのを見ると、ちょっと羨ましくなる時もあったけどな」
くだらないことで盛り上がれる。
それは、同年代の友人がいた者の特権なのかもしれない。
ホント、くだらないことで毎日バカみたいに騒いでたからなぁ、ガキのころは。
レジーナやカンパニュラには、そういう思い出はないかもしれないな。
「けど、大人の中に入って過ごしてたら、それはそれで楽しいことも多いんやで」
カンパニュラがそう思っているならいいけどな。
あ、いや、ほら、ルピナスの立場で考えるなら、な?
「あなたも、そうだったのかしら?」
「まぁ、せやね」
同年代のガキが、何も考えずに走り回っていたころ、レジーナは大人に囲まれてどんな幼少期を過ごし、何を思って生きていたのか。
「幼馴染のメンズらぁが、階段下のスペースに秘密基地作って『パンチラ覗き放題やぁ』言ぅて大はしゃぎしとったんを横目で『子供やなぁ』って見とったわ」
その幼馴染のメンズ、たぶんあいつらなんだろうなぁ。
女子の下着が見た過ぎて洗濯屋に弟子入りしかけてた幼馴染メンズども。
パンツ、大好きか!?
そして、その中に第二王子も含まれてるんだろうなぁ……
「思春期を迎えた男の子は、多かれ少なかれ、そういうものよね」
ルピナスが呆れ顔で賛同する。
タイタが思春期真っ盛りだったころのことでも思い出しているのか。
川漁ギルドのガキどものことでも思い出しているのか。
「思春期っちゅうんは、一回迎えたらなかなか手放せへんもんなんやろうなぁ」
とか言いながら、レジーナがこっちを見る。
見んな。
で、ルピナスの視線もこちらへと向く。
見んなって。
「あなたは違ったのね」
「まぁ、そんなパンツが見えた見えへんで大騒ぎするようなことは、あらへんかったわ」
ま、女子のパンツで大はしゃぎするのは男だけだしな。
「そのころのウチは、【自主規制】を【自主規制】したら【自主規制】なんやろなぁ、って思ぅてムラムラしとったわ☆」
「ヤーくん。カンパニュラは今晩、この人と一緒に泊まるのかしら?」
危機感抱いているところ悪いんだがな、ルピナス。
……同じベッドで寝たいって、お前の娘からの要望が出てるんだわ。
「はしたないわよ、まったく……【自主規制】を【自主規制】して【自主規制】だなんて………………………………ふむ」
「ふむ」じゃないが?
お前、今晩カンパニュラがいないのをいいことに、旦那とハッスルする気になってないよな?
という疑惑の視線を向けていると、ルピナスがニッコリと微笑みかけてきた。
思考が強制的に遮断される類の笑顔だ、あれ。
「ヤーくん。カンパニュラのこと、くれぐれも、よろしくね」
と、レジーナを指さしながら、くっきりはっきりきっぱりと「くれぐれも」を強調して言うルピナス。
へいへい。
悪影響が出ないように努力だけはしておくよ。
「それじゃあ、おやすみなさい。カンパニュラにも『いい夢を』と伝えておいてちょうだい」
ルピナスへの伝言を終え、俺たちは街道を戻りトウモロコシ畑を目指した。
「しかし、この辺も明るぅなったなぁ」
街道を西から東へ向けて歩く途中、レジーナがそんなことを言い出した。
「初めて自分とこの辺歩いた時は、真っ暗やったのになぁ」
「雨も降ってたし、なおさらな」
レジーナと初めてこの道を歩いたのは、降り続いた大雨のせいで、教会の井戸が汚染された時だ。
レジーナには、ガキどもの感染症を治す薬を作ってもらった。
「最近は東側もすっかり明るぅなってなぁ。夜道も安心やわ」
「お前、朝夜関係なく出歩かねぇじゃねぇか」
「ところがもっこり!」
「『どっこい』なんだけどなぁ、俺が知ってるのは」
バオクリエアが残念なのか、レジーナがピンポイントで残念なのか……後者か。
「ウチ、最近散歩に目覚めてな。夜の間にちょこっと近所をふらついとんねん」
「そうなのか」
「せやで。最初は真っ暗やった道も、ウチが歩くようになってから徐々に光のレンガが導入されて、明るくなってなぁ」
「お前対策なんじゃねぇの、それ?」
不審者が夜中に徘徊してるから、暗闇を減らそうって街の人が。
迷惑かけんなよ、まったく。
「この前、『見えそうで見えへん』がセーフなんやったら『見えてなさそうで丸見え』もセーフなんちゃうか思ぅて、スカートをパンツに挟んで、後ろから見たらモロ出しの状態で散歩を――」
「聞いたことあるなぁ、その残念なトーク。まさか二回も聞かされるとはなぁ」
お前の家に統括裁判所の訴状持っていった時に聞かされたわ。
マジでやってないだろうな、そんなこと?
……こいつなら、あり得なくもないから厄介なんだよなぁ。
「最近、夜道が明るくなってきたから、なんや、出歩いたらアカンような気がしてきてしもて……」
「どこまで光を避けてんだ、この闇属性薬剤師」
光を嫌って影に潜む……トコジラミか、お前は。
「あっちゅう間に変わっていくなぁ」
「きっかけがあれば、一気にな」
何もなければ、人は現状を維持しようとする。
だが、変化の先に明るい未来が待っていると知れば、そしてその方法を知ったとすれば、そりゃあ改革に動き出すさ。
「この街には、自分みたいな外的要因が必要やったんやろうな」
「お前もな」
レジーナがいなきゃ、この街はいまだに貴族優先の薬師ギルドのバカ高い薬に頼りっきりだっただろう。
そして、金のないヤツは薬も買えずに諦めざるを得ない状況に追い込まれていたことだろう。
お涙頂戴の時代劇じゃあるまいし、おとっつぁんに薬も買ってやれない町娘なんて、現実世界で見たいもんじゃない。
レジーナがいりゃ、少なくとも貧困を理由に病を悪化させたり、怪我を放置したりするヤツはいなくなる。
手遅れになる前に、救われる命がいくつも出てくるだろう。
「そのうち、この辺にお前の銅像でも建つんじゃないか? 治癒の英雄像とかいって」
「英雄は自分やろ。……ウチまで巻き込まんといてくれるか」
「体の悪いところを撫でると、そこの病魔が消えてなくなるっていう御利益付きでさ」
「そんなことしたら、胸ばっかりすり減るやん」
「領主が毎夜毎夜撫でに来るからな」
「ご近所の食堂に住んどるおっぱい魔神もな」
「バカヤロウ。俺は撫でるより揉む派だ!」
「そんな自慢にもならんことを、よぅ自信満々に語れるなぁ、自分」
しかし、……そうだな。
「『ご自由にお揉みください』って書かれた胸像をこの辺一帯に無数設置すれば、幸福度が上がるかもしれん」
「全部の胸像撫でて回りそうな人に、めっちゃ心当たりあるわ」
「とある領主な」
「自分やっちゅーねん」
「ちなみに、雨風で劣化しないゴムでさ、揉み心地をキープしたまま胸像の素材に出来そうなヤツないか?」
「何を開発させようとしとんねん」
シリコン的なヤツだよ!
もうそろそろ発明されてもいい頃合いだろうが!
おっぱいマウスパッドとか!
おっぱい枕とか!
おっぱい壁紙とか!
「この革新的な大発明の成否は、レジーナ、お前の双丘にかかっている!」
「百歩譲ったとしても、せめて双肩にかかっててほしかったわ」
そっか、双丘は丸みがあるからかからないか。
失っ念☆
「ま、目立ったことをしたら狙われてもしゃーないわなぁ、お互いに」
俺もレジーナも、この街でそれなりに派手な動きをしてしまった。
それはどちらも、この街には存在しなかった発想や技術や知識で、この街に古くから根を下ろす者たちにとっては魅力的に見えるものだった。
「けど、だからって、我が身可愛さに手ぇ抜くなんてこと、出来へんもんなぁ」
特にレジーナの場合は、な。
世界がひっくり返るような革新的な薬の発明だったとしても、こいつは一人を救うためにそれを実行してみせるだろう。
レジーナが目立たないように手を抜いて、苦しんでいる患者を無視するなんて、絶対にあり得ない。
俺は、平気で見捨てるけども。
「自分ほどのお人好し、ウチは他に見たことあらへんさかいなぁ」
「どこに目ぇ付けてんだよ。うじゃうじゃいるだろうが」
ジネットにベルティーナにエステラにイメルダ、ノーマ、デリア、パウラやネフェリーもお人好しだ。
頼めばなんでも協力してくれて、頼まなくても心配して顔を見せに来る。
俺以上のお人好しなんて、適当に石を投げれば当たるくらいに大勢いる。
そもそも、基準となる俺がお人好しじゃないからな。
俺以上なんて条件を付けてりゃ、ほぼ全員がそれに該当することになる。
「自分は知らんかもしれんけどな、そこらを歩いてはる人らぁはな、こんなところに立派な街道を通したり、他区の領主を集めて経済をぶん回すような事業を始めたり、街門と港を作って街を活性化させたりはせぇへんのやで?」
「それは慈善事業じゃなくて、その先に莫大な利益が見込めるから取り組んだことで、いわばビジネスだよ」
お人好しだからやったんじゃねぇよ。
つーか、俺はちょっと案を出しただけで、動いたのはエステラとかウーマロとか、その辺のワーカーホリックどもだし。
「ほんなら」
俺の完璧な反論を受け、論破されたはずのレジーナはなぜだか口元を緩ませ、勝ち誇ったように微笑む。
「それで自分は、いくら儲けはったんやろ?」
……利益ってのはな、一時的にどっさり転がり込んでくるよりも、半永久的に少しずつ入ってくる方が健全で旨味があるんだよ。
不労所得バンザイ。
これで老後も安心だってなもんだ。
「どんなにリスクがあろうと、今さら見捨てられへんもんなぁ……えぇ街やもん、ここ」
レジーナは、身の危険を感じてバオクリエアを離れた。
こいつはそれを「逃げた」と言っている。
逃げりゃいい。
自分の命以上に大切なものなんて、この世にありゃしないんだから。
保身に走って逃げ出したって、誰にもそれを笑う資格も責める資格もない。
なのに、こいつはもうそれをする気はないようだ。
「なぁ、自分」
レジーナが立ち止まり、俺もそれに合わせて足を止める。
「もし、絶対に逆らえへんくらいに強大な力に脅されて、自分の命と大切なもんと、どっちかしか助からへん、天秤にかけなアカンって状態になったらな? ……自分やったら、どうする?」
それは、もしかしたらまさに今のレジーナの状態なのかもしれない。
薬師ギルドという、貴族が代表を務める大ギルドで、しかもバックには大物貴族や王族が控えているような強大な敵に目を付けられて、技術や命や自由なんてものをひっくるめた、まさに『すべて』を奪われかねない危機的状況に陥った時――
こいつは自分の身の危険を冒してここにとどまるべきか、大切に思える友人たちを見捨ててまた逃げ出すべきか……
そんなことを考えているのかもしれない。
「もし俺なら――」
そして、「仲間のためになら命くらい捨ててやる」なんてかっこいいことを簡単には言えないくらい弱い自分を卑下しているのかも、しれない。
だから、俺が教えてやるよ。
「その示された二つの選択肢――以外を選ぶ」
お前が、存在しないと思い込んでいる第三の選択肢を。
よく聞いとけよ。
あまりに簡単過ぎて、すっかり見落としてしまっている、「もうそれしかないだろ」って選択肢を。
「『絶対に逆らえない強大な力』ってヤツに逆らって叩き潰せる方法を探し、実行し、俺にちょっかいをかけたことを心の底から後悔させてやるよ」
統括裁判所?
貴族?
王族?
なんぼのもんじゃい!
「いいか、レジーナ。権力なんてのは服と同じだ」
誰かが用意して、それを着込んで、そしたら周りのヤツが「それはすごい、素晴らしい」と勝手に価値を付けた、ローカルルールそのものだ。
この国の王様を渋谷のセンター街にでも連れてってみろ。
そこらのギャルに「おっさん、なにその格好? チョーウケんだけどww」って小馬鹿にされて終わりだ。
「無礼者!」なんて怒鳴り返せば、そのギャルの怖ぁ~い彼ぴっぴにボコボコにされておしまいだ。
「どんなに着飾ろうとも、人間、生まれた時と死ぬ時は素っ裸だ。あの世に王冠なんざ持っていけねぇよ」
つまり、俺が言いたいのは。
「権力なんて服を脱ぎ捨てて、全員が素っ裸になったら――これはもう、おっぱいの大きさで優劣をつけるしかなくなるよな☆」
「話の着地点、そこと違ったんちゃうかなぁ、今の話」
レジーナが呆れ顔で息を吐く。
だが、その表情はどこか清々しそうで――
「まぁ、せやね。ほんならウチも自分と同じ選択肢、選ばせてもらうわ」
思い詰めたような、張り詰めた雰囲気は薄れ、レジーナはあっけらかんとした表情で光るレンガが明るく照らす夜の街道を再び歩き出した。
ヤップロックの家に着くと、バルバラが出迎えてくれた。
「おぉ、英雄と――や、く、じゃ、う、し、の先生!」
「惜しいなぁ、ウチ、若干ウシになってもぅとったわ」
『薬剤師』が言いにくいのかメッチャカタコトになっていたバルバラ。
カタコトになった上で間違えてたけどな。
『やくじゃウシ』ってなんだよ?
まぁ、今のに関しては「ざ」が「じゃ」になっててよかったと思えたけども。
黒塗りベンツを乗り回して、頬に傷跡のある極道なウシとか、おっかないからな。
「言いにくんだよ、やくじゃーし!」
「テレサの方が上手に言えてるな」
「せやね」
「待て! ……それは、テレサが可愛いって話か? アーシがテレサに負けてるって話か?」
「お前に圧勝しているテレサが可愛いって話だよ」
「そっか、よかったぁ。アーシは姉として、まだまだテレサに負けるわけにはいかないんだ」
「なぁ、話半分くらいしか伝わってへんのんとちゃうか?」
バルバラなら、そんなもんだ。
きっと「圧勝」って言葉を知らないのだろう。
「おい、バカにするなよ、英雄! アーシだって、圧勝くらい知ってるぞ!」
「あっ、しょう」
「うっわ、おもしろ。座布団一枚没収やね」
面白いのに没収してんじゃねぇよ。
で、似たような文化を生み出してんじゃねぇよ、バオクリエア!
あったの? 座布団十枚集める落語系お笑い番組!?
「それで、今日はなんだ? 父ちゃんのトウモロコシ食いに来たのか? アーシが湯掻いてやろうか!?」
「いらん」
こいつ、さては、最近トウモコロシの湯掻き方教わったな?
それで褒められて、今湯掻きたい病発症してやがるな?
ガキと同じだな、思考回路が。
「なんでだよ~。折角、アーシが母ちゃんからメンチョ外伝もらったのにさぁ~」
「何もらってんだよ」
メンチョは鼻とか首とかに出来るニキビよりも腫れて痛いデキモノだろうが。正式には『面疔』つってな、ブドウ球菌とかが皮膚の弱いところから体内に侵入して炎症が起こるんだよ。
それの外伝だから、本編とは異なる成長でも遂げたのかもな。
厄介なもんもらうな。
「免許皆伝だ」
「そう、それだ!」
想像の範疇を超えないヤツめ。
思った通りじゃねぇか。
「そんでさぁ……えへへ……母ちゃんがさぁ、アーシのことな? 『いいお嫁さんになれるわね』って言ってくれてさぁ~」
嬉しさが顔中から滲み出している。
華厳の滝が「ちょっ、溢れ過ぎてない!?」って焦るくらいに溢れ出てきてるな、嬉しさ。
「なぁ、英雄はどう思う? アーシ、いいお嫁さんになれるかな?」
「裸エプロンが似合えばな」
「じゃあ、今度着てみるから見てくれよ!」
「よろこんでー」
「やめときや。想像以上の大人数から説教食らうことになるで?」
珍しくレジーナが止める方についた。
……確かに、バルバラみたいな単純バカにそんなことさせたら、懺悔どころじゃ済まないな。
「そういう悪い冗談を突っぱねられるよう、いろいろ勉強をしておけ」
「悪い冗談、だったのか?」
「お前は素直過ぎる、いや、単純過ぎる、いやバカだ」
「ヒデェな、英雄!?」
「だから、変なヤツの口車に乗って変なことさせられないように気を付けろよ」
「英雄は変なヤツじゃないじゃねぇか」
「変やないけど、スケベではあるさかい、気ぃ付けや」
お前にだけは言われたくねぇし、お前にだけは危険視されたくねぇよ。
「やっぱ、先生はなんでも詳しいんだなぁ~。なぁ、英雄、知ってっか? 先生はな、テレサの目を治してくれたすごい人なんだぞ! 英雄と同じくらいだぞ!」
「なんやろ、敬われてんのか貶されてんのか、微妙な気分になる意見やなぁ」
「つーか、こいつの中では、俺がレジーナを知らない可能性があるんだな」
俺がレジーナにテレサの診察を頼んだんだっつーの。
「それで、今日はどうしたんだ? 父ちゃんのトウモロコシ食いに来たのか?」
「え、なに? この人、アホなん?」
レジーナ………………正解!
「センパ~イ! 社長がお客さん誰だったんだって……英雄様っ!」
母屋から、ヤップロックのとこの手伝い兼小作人のゴロッツが出てくる。
出てくるなり、目をキラキラさせて俺の前に駆けてくる。
「落とし穴掘ってないけど、落ちろ」
「そらまた、器用なこと出来はんねんなぁ」
ちっ!
やっぱり落ちないか。
落とし穴掘ってないもんなぁ。
「こんな時間に英雄様にお会いできるなんて光栄だなぁ! 今日、頑張ってよかった~!」
なんで「徳を積んだらいいことある」みたいなもんを信じてんだよ、こいつは。
……あぁ、そうか。
ヤップロックが「真面目に努力し続けていれば、いつか必ず報われる」みたいな発想の持ち主だからか。
汚染されてんじゃねぇよ、英雄教に。
脱会しろ、そんな怪しげな宗教団体。
まぁ、こいつを洗脳して入信させたの、俺だけど。
「テレサが今日陽だまり亭に泊まるから、その許可をもらいにな。あと、テレサからの手紙だ」
「アーシが読む! ゴロッツはお父さんとお母さんに確認してきてちょうだい。英雄、早く見せてくれよぉ~! あっ、それからゴロッツ。大丈夫だと思うけど、お父さんたちには英雄が一緒だから心配いらないって言ってあげてね。えへへ~、父ちゃんたちテレサのことすっげぇ可愛がってくれててさぁ、一晩いないと寂しがるんだぁ~。なんか、家族みたいで嬉しいよなぁ~」
「もう立派な家族ですよ。先輩も、テレサちゃんも」
「も、もぅっ。バカなこと言ってないで、早く伝言してきなさい! ……まったく、困った人。なぁ、英雄もそう思うだろぉ?」
「……なんやろ。ウチ、脳がバグったんか思ぅた」
「重篤な二重人格なんだよ、こいつは」
「へ? アーシが、なんだって? 『シチュー半額』?」
そんなキャンペーンはやってねぇよ。
「完全に無意識なんやね……興味深い症例ではあるけど……調べたら愛だの恋だの、濃い話をいっぱい聞かされそうやなぁ~……うん、調べんのやめとこ」
それが賢明だ。
バルバラは、どこまでもまっすぐで、「甘えたい」「賢く見られたい」「頼られたい」「好かれたい」ってそれぞれの感情に全力で取り組んでるだけなんだ。
なので、どれが虚像でそれが実像とかないんだろうなぁ、きっと。
目の前で、テレサの手紙を読んで「うっはぁ~、さみしいって書いてある~」とか言ってアホ面全開できゃっきゃとはしゃいでるバルバラ。
サルみたいだな、お前。あ、サルなんだっけ?
あとな、それ「さみしい」じゃなくて「さみしがるな」って書いてあるんだとよ。
「なぁ、二重人格はん」
「『にんじん昇格』?」
「言ぅてへんし、今現在ニンジンより下位なんかいな、自分……」
レジーナがあしらい倦ねている。
絡みにくいだろう、こーゆータイプ。
あと、知らない言葉を知ってる言葉に脳内変換するクセって、デリア譲りなのか?
あんま広めんなよ、解読する方が大変になるから。
「おウチでのテレサちゃんって、どんな具合なん?」
「めっちゃ可愛い!」
「さよか」
そっと笑みを深めるレジーナ。
バルバラがこんだけ手放しで笑ってられるなら、家で不便や心配事がないってことだ。
一度でも携わった患者のことが、いつまでも気になるらしいレジーナは、たまにこうしてさり気なく元患者の近況を確認している。
カンパニュラのことも、ちょいちょい気にかけてるしな。
「過保護過ぎて、お前が倒れるなよ、過労で」
「そら自分やんか。手の届く範囲しか守られへんとか言ぅて、この先、一体どこまで手ぇ広げはるんやろ?」
俺が手を伸ばすのは、巨乳を点A、爆乳を点Bとした時の直径ABの円を覆える程度で十分だ。
「爆乳点Bを起点とし、無い乳点Cと幼乳点Dを追加した、直線AB✕直線BC✕直線BDを覆い尽くそうとしとるように見えるけどな」
誰がそんな立方体を覆い尽くそうとしてるか。
立体にするな、立体に。
体積は辺の長さが2倍になると8倍になるんだぞ。
苦労が無尽蔵に増えていく。
「ウチ、巨乳やないから、それくらい範囲広ぅしてもらわな、守ってもらわれへんやん?」
そんなこと言って、ちらりとこちらへ視線を向ける。
……あほ。
「Dカップは、十分巨乳だっつーの」
俺が、生まれて初めて買った大人の参考書も、Dカップナースモノだったしな。
「……さよか」
ポツリと呟き、にぃっと口を引き結ぶ。
「ほなら、安心やね」
そんなことで喜ぶこいつも、もう結構末期だと思う。
アホのバルバラが、いらねーつってんのにトウモロコシを湯掻き始めようとしたので、さっさと帰ってきた。
ヤップロックに捕まると、また長くなりそうだったからな。
こっちはピーク時の陽だまり亭を抜けてきてんだっつーの。
「明日あたり、湯掻いたトウモロコシが届きそうやなぁ」
「いや、朝っぱらから生のトウモロコシを抱えて本人が乗り込んでくるぞ。『妹の様子を見に来た』とか言って」
「あぁ、それやわ。目に浮かぶようやなぁ」
けらけらと、楽しそうに肩を揺らすレジーナ。
強張っていた頬の筋肉は、十分にほぐれただろうか。
恐怖の色は、完全に消え去っている。
「あ~、おもろ」
人差し指でそっと目尻を撫でる仕草はとても無防備で、レジーナらしからぬ『無垢さ』みたいなものを感じさせた。
「なぁ、見て見て」
無邪気に笑って駆け出し、街道に埋め込まれている光のレンガをまたぐように仁王立ちし、スカートの裾を広げてみせる。
「覗き込まれたら一発アウトな、卑猥のワンダーランド、やで☆」
俺の感じた無垢さは、どうやら勘違いだったようだ。
聖なる光を浴びて浄化してしまえばいいのに。
「それ、白いワンピースでやると、体のラインが透けてなおさらグッドだぜ☆」
「自分、発想がサイテーやな」
「お前にだけは言われたくねぇよ」
「ほなら、ウチ以外の人に――さんはい!」
「「おにーちゃん、さいてー!」」
「どっから連れてきた、その妹二人?」
いつの間にそこにいたのか、レジーナの背後から妹が二人ひょっこりと顔を覗かせた。
つーか、嬉しそうな顔で人をサイテー呼ばわりしてんじゃねぇよ。
「お兄ちゃんたち、なにしてるの? デート?」
「んなわけないだろう」
「それじゃあ、野外卑猥の方かぁ~」
「イヤやわ~、どこで覚えて来はるんやろ、そんな言葉」
「確実にお前だろうが。ワードチョイスがまんまお前じゃねぇか」
なんだ野外卑猥って。
「あんま変なこと覚えさせると、ロレッタに叱られるぞ」
「そこまで変なこと教えてへんやん」
どの口が言う?
弟妹の余計な知識の九割がお前発信のくだらない内容だろうが。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん、見て見て~!」
「せーの!」
「「卑猥のワンダーランドー!」」
「ほらみろ」
「とりあえず、今日のことは内密に。これは、さすがに本気で怒られそうやさかい」
怒られろ。
で、少しは反省しろ。
それから妹。
その白いワンピースでそれやると、体のライン透けて見えるからやめとけ。
重篤患者が末期患者にクラスアップしちまうから。
多いんだ、この街。その病の患者。
「それで、どこに行くんだ? 妹二人だけで、こんな時間に外を出歩いちゃダメだろう」
「さっきまでお兄ちゃんと一緒だったよ~」
「レジーナさん見つけて、置いてきたけど~」
置いてくんじゃねぇよ。
つーか、レジーナを見かけて近付いてくんじゃねぇよ。
逃げろ逃げろ。
広い意味で捉えれば、変質者なんだから、レジーナは。
「妹ぉー! みつけたぁー!」
物凄い速度で長男が街道を駆けてくる。
「勝手にいなくなるなっていつも言ってるだろう!?」
「「でも、『お兄ちゃんがいる時は特別です』ってお姉ちゃんが言ってた~」」
「もうっ、長女のせいで!」
むきー! と、地面をダムダム踏みつける長男。
お前も、苦労をかけられる側になったんだなぁ。
成長を感じて、ちょっと涙腺緩みそうだよ。
「あ、お兄ちゃん、こんばんわ。レジーナさんと一緒ってことは…………青少年に聞かせられる案件? 聞かせられない案件?」
「声潜めるくらいの分別はあるんやねぇ、ヒューイット家の長男はん」
「ただ、それを口に出していいかどうかまでは考えられないらしいな」
「いたたたっ、お兄ちゃん、痛い!」
いまだ配慮という言葉を覚えていないらしい長男の頭を、鷲掴みにして圧迫する。
いつまでもクソガキ要素の抜けない弟妹め。
「それで、こんな時間に何してんだよ? 陽だまり亭に行くのか?」
「うん。その途中」
「ロレッタに用事か?」
「お姉ちゃんには報告だけかな。用事があるのはお兄ちゃんに、だよ」
俺?
「実は、ハム摩呂が風邪引いちゃって」
「マジか!?」
元気が迸って、病原菌とすら仲良くなっちまいそうなあのハム摩呂が!?
「それで薬を取りに来たのか」
「っていうか、診察してもらおうと思って連れてきた」
と、背中に背負っていたデカいカバンの中から毛布に包まれたハム摩呂を取り出す長男。
「いや、雑っ!?」
病人の扱いじゃねぇよ、それ!
「せめておんぶしてきてやれよ。なんでカバンに詰め込んだ?」
「毛布に包んでカバンに入れとくと温かいから」
発想も雑っ!?
「ちょっとこっちに貸せ」
「お、よかったな、ハム摩呂。お兄ちゃんが抱っこしてくれるって」
「むぁ~……?」
うわぁ、ダルそうな声。
ホントにしんどそうだな。
「大丈夫か、ハム摩呂?」
「ぅぁ…………はむ、まろ?」
そんな、しんどい時まで律儀にやらんでも。
「で、なんで妹まで連れてきたんだ?」
「お姉ちゃんに会いたいって言うから」
おぉう、完全なオマケ。
「あと、お姉ちゃんがハム摩呂を見て大袈裟に慌て出したら仕事が疎かになるから、陽だまり亭のお手伝いに入れるように」
しっかりしてんなぁ、長男!?
そして、大袈裟に慌てる様が目に浮かぶようだよ、ロレッタ。
「ハム摩呂。もうちょっとの辛抱だぞ。お兄ちゃんが絶対治してくれるからな」
「無責任なことを言うな。俺は医者じゃねぇんだぞ」
「えへへ~」
「えへへ~」じゃねぇよ。
次女と同じ誤魔化し方しやがって。
美少女だけだ、それで許してもらえるのは。
「でもラッキーだったな。レジーナさんもいるし、すっごい安心」
レジーナを見て、ほっと安堵の息を漏らす長男。
「おぉ~う、いぇ~っす」
「……え? なに、あれ、お兄ちゃん?」
「たぶん、『ほっ』と息を漏らしたか、『今度は「はぁはぁ」と息を漏らさしたろ』とかいうしょーもない発想だ」
「おっぱい魔神はん、正解!」
こんなにも嬉しくない正解は初めてだ。
しかし、長男よ。
お前はまだ女に興味ないのか?
もうそろそろいい年齢だろうに。
「ヒューイット家、誰一人結婚できないんじゃないか?」
「いや、誰かはするよ。……妹とか」
自分と長女を省いたなぁ、長男。
そうか、ロレッタは結婚できそうにないかぁ。
「だがな、長男。残念だが、その期待の妹は……」
と、妹二人に合図を送ると――
「「卑猥のワンダーランドやー!」」
「妹になに教えたの、レジーナさん!?」
「的確に犯人指摘されてもたなぁ!? ちょっとあんまりやないかな、ウチのそのイメージ!?」
イメージもなにも、事実に基づく推論だろうが。
自業自得だ、お前の場合。
「あぁ、もう……これ絶対妹の間で流行するヤツだ……」
長男ががっくりと肩を落とす。
気苦労が絶えないな、お前も。
「まぁ、お兄ちゃんのせいって言っとけばいっか」
「俺じゃねぇよ」
レジーナだ、レジーナ。
そういうとこ、ヒューイット家のダメなとこ出ちゃってるぞ。
「おにぃ、ちゃ~ん」
らしくなく、元気のない声を出すハム摩呂。
本当にしんどそうだな。
「どうした?」
「ナシ、たべたい……」
「誰だ、風邪の時は甘えていいって教えたの?」
「お兄ちゃん発信で、お姉ちゃんが言い出して、ウチの絶対ルールになったんだよ」
「そうか、元凶はロレッタか……」
「いや、自分やったやん、今の話を聞く限り」
まったく、ロレッタは。
ガキを甘やかしてもろくなことにならないってのに。
俺は、ガキを無条件で甘やかすなんてことしないからな?
「俺の言うことを聞けるなら、あとでジネットに剥いてくれるよう頼んでやろう」
「おにいちゃんに剥いてほしぃ……」
……このやろう。
「じゃあ、条件は二つだ。大変だぞ?」
「……いい」
そうまでして俺に皮を剥かせたいのか。
ウサギさんにしてやろうか?
泣かせるぞ?
「んじゃ、一つ目。しんどくても夕飯をちゃんと食え。ちょっとでもいいから」
「ぅん……」
「二つ目は、薬をちゃんと飲むこと。出来るな?」
「……こな、いや、や~……」
「水飴に混ぜてやるから、頑張って飲め」
「あまい?」
「甘くしてやろう」
「じゃあ、のむ~!」
「こら、バンザイすんな! 落ち……暴れんな!」
まったく!
これだからガキは!
「うわぁ……お兄ちゃんがメッチャ甘やかしてる。そりゃお姉ちゃんがこのルール取り入れるわけだよ……」
とかなんとか言ってる長男。
全然甘やかしてないから。
今すぐ叩き落してやろうかと、ちょっと考えてるから。
「ハム摩呂の具合が悪いと、ロレッタの仕事の効率が落ちる。そうしたら周りがフォローしなきゃいけなくなって1.5倍ほど疲れるんだよ。売上にも影響する。ロレッタはすぐ顔に出るからな。だから、さっさと完治させてやろうと、そういうわけだ」
「わぁ、久しぶりに見た、お兄ちゃんのコレ」
おいこら、長男。
コレってなんだよ?
ドレだよ?
あんまふざけたこと抜かしてると、「あいつ、マグダを見る時の目が怪しいぞ」ってウーマロに言って三十七区辺りに左遷させるぞ?
「なぁ、レジーナ……長男がマグダを見る時の目って、なんか怪しくね?」
「やめて、お兄ちゃん! 棟梁、頭いいはずなのにマグダたんとお兄ちゃんが絡むと途端にアホになるから!」
ヒドイ言われようだぞ、ウーマロ。
まぁ、それもまた自業自得か。
くったりとしたハム摩呂を陽だまり亭に連れて帰ると、案の定ロレッタとジネットが大騒ぎをして、フロアは一時パニックに陥った。
妹が二人いて助かった。
ナイス判断だったぞ、長男。
あとがき
梨を剥くのがうまい、宮地です
本当に上手なんですよ、梨の皮剥き!
実はですね、
小学生のころ、リンゴの皮剥きをめっちゃ練習したことがありましてね
Σ(゜Д゜;)まさか、ここで前回のあとがきとリンクするとは!?
今日の本編読んでびっくりしちゃいました
「あ、前回のあとがき、今回書くべきだったな」って☆
(☆>ω・)てへっ
ウチのお父さんの実家が、みかんとリンゴを作ってまして、冬になるとでっかい段ボールにみっちり詰め込んで送ってくれていたんですね
ホント、びっくりするくらいデカい段ボールにみっちり詰まってるんですよ
絶対一家族では食べきれないくらいの量が!
Σ(゜Д゜;) お裾分け前提の量!?
Σ(゜Д゜;) ウチの家族、一家総出で人見知りなのに!?
でまぁ、好きなだけ食べていいと言われていたので
リンゴを持って私の料理の師匠(小5のころの友人:メンズ)の家に皮剥きの練習しに行ってたんですよ。
……なんでアイツ女子じゃなかったんでしょう
ヤツが女子でさえあれば……私の少年時代はもっとドキドキわくわくムラムラしたものになっていたでしょうに。
男二人でウサギさんリンゴを量産する毎日でしたよ……ふふっ、笑いたければ笑えばいいさ…………
(;>△<) 笑うなー!
で、最初は本当にもうヘッタクソで(^^;
剥いた皮より残った実の方が薄いっていう(笑)
友人「これ、どっち食うねん!?」
宮地「違う、この皮はリバーシブルなの!」
友人「意味分からん!?」
みたいな惨状でして……
それから一ヶ月ほど練習して
「リンゴ、ムズい!」ということになり
その友人が
友人「梨の方が剥きやすいで」
宮地「いや、リンゴも梨もおんなじやん」
友人「まぁ、騙されたと思ぅて、ほれ、梨剥いてみ」
宮地「おんなじような形してるのに梨やったら剥きやすいとか、そんなワケ……ホンマや!?」
革命でしたね。
梨、めっちゃ剥きやすい!
水分量がぜんぜん違うので、実と皮の境目が分かりやすいんです。
そのせいか、皮も薄ぅ~く剥けるんですよ!
宮地「よし、今後は梨で練習する!」
友人「ただし、梨は高い!」
当時、ウチの近所では、
リンゴが五個で200~300円のところ、
梨は三個で500円くらいしてたんですよ
なんか高かったんですよ、梨
というか、リンゴが安かったのかも?
今でも感覚的に
リンゴは一個百円、
梨は一個二百円ってイメージなんですよね
なんとなくですけども
最近は同じくらいの値段になってますかね?
それともウチの近所だけですかね?
とにかく、梨は剥きやすくて
私の中の皮剥き苦手意識が梨のおかげで克服され
それ以降リンゴも桃も綺麗に剥けるようになりました♪
今でも得意ですよ、梨の皮剥き♪
……ただ、いまだに芯を取るのが下手でして……
左右から斜めに切り込み入れて、芯だけコロッと取るんですけど、
目測誤ってごっそりえぐり取っちゃうんですよね……
それを避けようとすると芯が結構残って酸っぱくなるし……
どなたか、リンゴや梨の芯を綺麗に取るコツを教えてください!
(´;ω;`)
あと、天津甘栗の薄皮が綺麗に剥ける方法も!
なんなんですかね、あれ?
昔はもっとつるっと剥けていたような気がするんですが
最近のはなんか、栗に薄皮がへばりついていて、ま~ぁ剥けない剥けない
最近じゃスプーンを片手に食べてますからね
甘栗大好きなんです
(*´ω`*)
まぁ、甘栗が剥けてもあまりカッコよくはないんですけどねぇ
風邪を引いたハム摩呂にも「あまぐりむいて~」とは言われないでしょうし
というわけで、本編ではハム摩呂が風邪を引き、
妹ちゃんがレジーナに感染しました(笑)
害悪まき散らし系女子です☆
あと長男が成長してハムっこに振り回されるポジションになっております
( ̄▽ ̄)
でもまだまだハムっこですけどね♪
そして、レジーナと二人でちょっといい感じです
少々弱気のレジーナ
やっぱり怖いですよね
でも、ヤシロさんがなんとかしてくれます
この二人の空気感
よきです(*´ω`*)ね~
このちょっと弱ったレジーナさんを救うのが、今回のミッション
ですかね♪
「助けて!」って言ってくる人はもちろん
何も言わない相手のこともちゃんと見てるヤシロさんですので
きっといつも以上に張り切っちゃうことでしょう
( *´艸`)
レジーナ、大逆転あるか!?
ヒロインレース巻き返し来るか!?
もしこの二人が結ばれたら……
Σ(゜Д゜;) 子供が不憫!?
恐ろしい英才教育が……
阻止、しなければ!
とはいえですね、
前回の流れで言うと、レジーナさんは間違いなく乙女、ですね
(*´▽`*)乙女の規定、がっばがば♪
あ、乙女と言えば、
実は私、子供のころお菓子作りにハマったことがありまして
お菓子作りしたいのにウチにオーブンがないから別の友人の家に作りに通っていたらそこのお母様に「もう来んな!」って叩き出されたんですよ~
(*´▽`*)
……これ前回話したな!?
Σ(゜Д゜;)
そのお菓子作りの経験も、異世界詐欺師では役立ってます☆
当時は、「お菓子作りキット」的なものがたくさん売られていまして
シャービックとかフルーチェみたいなのから
ホットケーキミックスのもうちょっと凝ったようなヤツで
蒸しパン作るヤツとかクッキー作るヤツとかあったんですよ
お子様でも簡単に作れるヤツ(ただしオーブン必須)
まぁ、今ではキットとかセットじゃなくても
スフレチーズケーキもクッキーも焼けますからね
経験は宝です☆
小5のころの経験、活かしまくりですね
そういえば、
私がおっぱいに目覚めたのも小5の……いや、もうちょっと遅かったような気が……
いや、でも潜在的な才能はそのころから……
そのころから!?
Σ(゜Д゜;)筋金入りだ……
というわけで、
私の人生がギュッと詰まった異世界詐欺師
お楽しみいただけると幸いです♪
人生全部\(≧▽≦)/詰め込んだった♪
次回もよろしくお願いいたします
宮地拓海




