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異世界詐欺師のなんちゃって経営術  作者: 宮地拓海
第四幕

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445話 祭りの翌朝2

 教会の談話室に、無数のおにぎりとドーナツが並べられる。

 ラップのようなものがないので、綺麗な布巾を濡らしておにぎりにそっと被せ、虫よけのフードカバーをかけておいた。


 そうそう。

 傘みたいな構造で、目の細かいメッシュ生地で食卓の上の料理を覆っておく、ハエ避けのあのカバーだ。


 構造は傘のようなものだから、この街の職人なら作ることが出来る。

 骨は竹製だ。


 ……金物ギルドの手が空かなくてなぁ。

 いや、頼めばやってくれるだろうけど、そしたら寝なくなるじゃん?

 お前じゃなくてもいいって言っても、絶対最前線に躍り出てくるじゃん?

 とあるキツネのお姉さんが。


 なので、苦肉の策として竹細工師に作らせた。ゼルマル経由で。

 竹の反発力が、いい感じでバネの役割を担ってくれて、「カチッ!」とハマってくれたんだよなぁ。


 結構いい出来だぞ。

 一つだけ不安があるとすれば……これを見たノーマが過剰反応しないかどうか……


 あいつは、ライターとか手押しポンプとか、どんだけ新しいものに携わろうとも、さらに新しいものが出てくると携わりたがるんだよなぁ。

 満足しろよ、現状に!


「あら、これも便利な道具ですね」


 婆さん司祭がフードカバーを興味深げに見つめている。

 欲しいのか?

 エステラに言えばいくらでも融通してくれるぞ。

 結構安いし。


「虫はどっからでも入り込んでくるからな」

「そうですね。これほど分かりやすく、大切なものを保護できればいいのですけれど」


 それは、今の俺たちの状況の話か?

 美味そうな匂いにつられて集まってくる拝金主義者どもを防ぐのは大変だ~ってことか?

 そういう『虫』を防ぐ何かを作れって催促……では、ないよな?

 そこがメンドイから教会に丸投げしたってのに。


 しっかり頼むぜ、司祭様よぉ。


「おはようございます、ヤシロさん」

「おはようございます、オオバヤシロさん」


 二十四区のシスター、バーバラとソフィーが談話室へ入ってくる。


「礼拝堂で祈ってたって?」

「えぇ。昨日の素晴らしい光景を、精霊神様にお伝えしたくて」


 心做しか、バーバラがいつもよりも興奮しているように見える。

 この婆さんは、もっと落ち着いた雰囲気だったと思うんだが。


「ちょっと嬉しそうだな、バーバラ」

「あらあら、分かってしまいますか?」


「困ったわ」と照れながら、バーバラが談話室をぐるりと見回す。


「この教会には、長くお世話になりましたもの。柱の傷の一つとっても、とても懐かしくて」


 そいつはどうなんだろうな?

 きっとここの腕白ガキんちょどもが毎日新しい傷を付けてるから、お前が知ってる傷がどれだったかなんて分かんなくなってんじゃないのか?


「ほら、見てください、この柱の大きな傷。これは私がまだまだ未熟な少女だったころ、私をからかった男の子に向かって投げた斧が刺さって出来た傷なんですよ」

「狩ろうとしてんじゃねぇよ!?」


 何してんの!?

 からかわれたからって、斧持ち出しちゃったの!?


 なんかイメージと違うわぁー。

 このシスター、もっとおっとりした人かと思ってたわー。


「子供のころは、私もお転婆だったんですよ」


 お転婆なんて可愛い言葉で済ませていいのか、その殺人未遂事件。


「男の子にからかわれるのが悔しくて、とても嫌だったんですよ。……うふふ。まだまだ精神が育っていなかったのですね、あのころの私は」


 だとしても、斧は投げんな。

「子供のしたことだから」の範囲を大きく逸脱してるから。


「でもあの男の子も悪いのですよ? 毎日毎日、私ばっかりをからかうのですから」


 遠い日を思い出し、それでもそんな怒りはとうに乗り越えたようで、穏やかな笑みで過去を語る。


「どうして、あの男の子はあぁもイジワルだったのでしょうね。今ウチにいる子たちはみんな、とてもお利口でいい子たちばかりですのに」


 困ったわ……とでも言わんばかりに肩を竦めるバーバラ。

 いやいや、そんなもん、決まってんじゃねぇか。


「そのガキは、バーバラのことが好きだったんだよ」

「え……? ですが、イジワルをされていたのですよ?」

「小さいころのガキは、好きな女の子にちょっかいかけちまうもんなんだよ。照れくさくて素直に気持ちを伝えられない。でも自分のことを見てほしい、意識してほしい、かまってほしいってな」

「ですが、私は、そんな……ちびで地味で、これといって特筆するようなことは何もない不出来な子でしたのに」

「じゃあ、よっぽど可愛かったんだろうな」

「まさか。私などより、もっともっと、とても可愛い女の子がいたのですよ? サーシャといって、今では五人のお子さんと十七人の孫に恵まれたとても器量のいい子で」

「じゃ、そんな器量良しの女子より、お前の方が可愛く見えてたんだろう、そのガキには」


 ガキのころの恋愛なんて、単純なきっかけで好きになったりするもんだ。

 消しゴムを拾ってもらっただけでドキッとしたり、休日に偶然町で会ったとか、修学旅行でちょっと話したら楽しかったとか、体育祭で同じ体育委員だったとか、その程度のことで相手のことを特別だと錯覚しちまう。

 そんで、その錯覚がいつの間にか運命に変わっていたヤツらが、そのまま付き合い出したり、結婚したりするのだろう。


 全員一箇所に集まって爆ぜればいいのに。


「カンパニュラに惚れてた川漁ギルドのガキなんか、イジワルしかしてなかったくせに、カンパニュラが引っ越すって聞いてギャン泣きしてたんだぞ。地面に寝転がって手足バタバタさせてな」


 あれは滑稽だった。

 百年早いわ、クソガキ。ケケケッ!


「引っ越しの時に、泣いて……あっ」


 なんか思い当たることがあったっぽいな?

 おやおやぁ~?

 頬がうっすら赤いですよ、シスターバーバラ?


「気付くの遅過ぎだろ」

「い、いえ、これは、決してそのような…………わ、私はアルヴィスタンですので、だから、あの…………懺悔をしてまいります」


 そそくさと、談話室を出て懺悔室へ向かうバーバラ。

 逃げやがったな。


 バーバラの背中を見送っていると、ソフィーがずいっと俺の視界に割り込んできた。


「シスターをいじめないでください」

「いじめてないだろうが」


 むしろ、事実を教えてやったんじゃないか。

 今頃、懺悔室で「むきゅむきゅ」身悶えてるころだぞ。

 案外楽しんでるかもしれないぞ~、忘れかけてたときめきってヤツを思い出して。


「けれど、もしその話が事実なのだとしたら……」


 そっと、ソフィーの指が柱の大きな傷を撫でる。


「……当たっていればよかったのに」

「お前にとって男はみんな敵なのか?」


 モコカの兄貴に惚れてるんだろ?

 共感してやれよ、その甘酸っぱさに。

 まぁ、モコカの兄貴の名前はすっかりと忘れてしまった上に、思い出そうという気持ちすら湧いてこないけども。


「ミケルさんです!」


 何も言ってないのに!?

 え、言ってないよね?


 いい加減やめてくれる、精霊神?

 俺の顔に『強制翻訳魔法』かけるの。


「ソフィーはミケルにいじめられたり、からかわれたりしたことはないのか?」

「そんなことをされても、余裕で返り討ちですよ」


 まぁ、素敵な笑顔。

 本当に惚れてんのか、こいつ?


「でも、そうですね……あの少ない体力を酷使して、ミケルさんが私をからかってきたとしたら…………その体に嫌と言うほど『身の程』というものを分からせてあげたいです☆」


 うん、だからな、笑顔と声と口調は可愛いんだけどさ、内容がな?


 この教会、もうちょっと規律とか厳しくしなきゃヤバいんじゃないか?

 やばいシスターが量産されている気がする。


 今一度、精霊教会のあり方についてベルティーナか婆さん司祭にきつく言っておく必要があるだろう。


「お前ら、昨日はどこで寝たんだ?」

「ベルティーナさんのお部屋です」

「四人全員か!?」


 ベルティーナ、婆さん司祭、バーバラ、ソフィー。

 このメンバーだと雑魚寝ってわけにもいかないだろうに。

 狭いんじゃなかったっけ、ベルティーナの部屋?


「もともと、シスターの部屋は四人で使用するお部屋だったのですよ。司祭様やシスターバーバラも、かつてはそこで寝ていたそうです」


 バーバラはガキのころ四十二区の教会で育って、シスターになったあと、四十二区で研修して、二十四区へ移動したらしい。

 婆さん司祭はシスターになってから四十二区に来たんだったっけ?

 精霊神の逸話の研究のためとか言って。


「最初は、司祭様お一人でシスター部屋を使用していただき、私たちは寮母さんのお部屋をお借りするつもりだったのですが、司祭様が是非にとおっしゃってくださって」


 それで、みんなで、か。


「楽しそうだな」

「幸せな一時でした」


 うっとりとした顔で視線を遠い過去へと向ける。

 まぁ、昨夜なんだけど。


 その後、ソフィーにドーナツを勧め、リベカのパイナップル酵母の出来は上々だと伝えておいた。


「さすが、私の妹です!」


 と,狂喜乱舞していたけれど、やっぱこの教会、規律ゆるゆる過ぎんじゃねぇのかなぁ。



 シスターバーバラが、懺悔という名の照れ隠しから戻ったところで、光の祭りについての話をする。


「どうだった、実際見てみた感想は?」

「素晴らしいの一言に尽きます。本当に、精霊神様のことを思い、敬い、愛している者でなければ、あのような素晴らしい感謝の方法は思い浮かばないでしょう。オオバさん。あなたは、本当に素晴らしいアルヴィスタンですね」

「いいや、見当違いも甚だしいが」

「いやいや、ボクの知る限り、君ほど毎日精霊神様のことを考えている人間は他にいないんじゃないかな? ジネットちゃんやシスターよりも精霊神様のことを考えているかもしれないとすら思えるよ」


 俺が精霊神のことを考えてるのは、主に悪口だよ。


「雨が降っても、精霊神様のせいだもんね、君にとっては」


 くすくすと、エステラが俺をからかうように笑う。

 いや、明確にからかってやがるな、これは。


「あらあら。では、それは先ほどあなたが言っていた愛情の裏返しというヤツなのですね?」


 俺はそんなワード使ってないけどな。

 好きな女の子をいじめてしまうクソガキは、確かに愛情の裏返しかもしれんが、俺のはただ純然たる正当なクレームだよ。

 ロクでもないんだから、精霊神。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」


 ヤギ耳少女が、おにぎり練習の合間に俺の服を引っ張る。

 こら、料理してる時にいろんなもんに触るな。

 手を洗えばいいとか、そういうことじゃないから。

 触らないのが基本だ。

 リスクってのは、何をどうやったってゼロにはならないんだから、限りなくゼロに近付けることが重要なんだよ。


「うん、分かったー! それでお兄ちゃん」


 と、俺の服を引っ張るヤギ耳少女。

 全然分かってねぇじゃねぇか。

 それとも何か? 分かった上で無視してんのか?

 いい度胸じゃねぇか、この小娘。


「わたしのこと、いじめたい?」

「どうした、ドMにでも目覚めたか? 十年早ぇぞ」

「どえむ?」

「ヤシロ……!」


 エステラから、静かな叱責が飛ぶ。

 へいへい、悪かったよ。

 ガキは意味なんて分かってないから、大目に見てくれって。


「ねぇ、ティナール。『どえむ』とは、何かしら?」

「え、っと……あの…………もぅ、ヤシロさん。懺悔してください」


 婆さん司祭に質問され、ジネットが俺を叱る。

 婆さん司祭、そーゆーのを知らずにあの年齢まで生きてきたのか。

 シスターとして教会に閉じこもって生きてると、外の世界に触れる機会が少なくなるのかねぇ。


 精霊神の逸話を求めてあちこち旅してたって言ってた割に、世情には疎いんだな。

 まぁ、研究の旅をしている教会のシスターに、ドMがどうとかって話を振る無作法者はいないか。


 ……というか、ジネットはどこで覚えたんだ、ドMなんて言葉?


「ジネット、お前ってけっこう……」

「全部ヤシロさんのせいですっ!」


 なんか、俺のせいにされた。


「君がいろいろ口にする言葉を、結構な頻度で尋ねられるボクの身にもなってもらいたいもんだね」


 あぁ、情報源はエステラか。

 じゃあ、エステラが主犯じゃねぇか。


「君だよ! 中途半端な知識は却って危険だから、どういった意味の言葉かをちゃんと知ってもらって、その上で人前では口にしない方がいいねって確認してるの!」

「さすがエステラ、博識(意味深)でいらっしゃる」

「その半笑いを、苦痛で歪めてあげようか?」


 真っ赤な顔でナイフをチラつかせるエステラ。

 萌え系通り魔でも目指してるのか、お前は?

 どこにも需要ねぇぞ、そんなニッチな属性。


「とにかく、女の子があまり口にしてはいけない言葉ですので、気を付けてくださいね」


 と、ヤギ耳少女に注意をするジネット。

 そんなジネットの言葉を聞いて、ヤギ耳少女はこてんっと首を傾げる。


「でも、レジーナさんが前に言ってたよ?」

「えっと……レジーナさんは…………」


 ちらりとこちらに視線を向けるジネット。


「あれは特殊な人種だから例外だ。アレのマネをすると、あんな大人になるから決して見習わないように」

「今の真っ当な発言はどの口が言ったのかな? よく見せてご覧よ、ヤシロ」

「男の唇に興味を抱くな、思春期領主」

「ふふん、照れ隠しが下手になったね」


 勝ち誇ってニッと笑うエステラ。

 その背後からナタリアがにゅっと顔を出す。


「お話し中失礼いたします、思春期様」

「誰が思春期様さ!?」

「いえ、先ほど否定なされなかったので」

「否定しなくても分かるだろう!?」

「えぇ。分かった上で、です」

「なお性質タチが悪い!」


 ナタリアがエステラと戯れている間に、シェイラが俺のところへやって来る。


「給仕一同で片付けを始めさせていただきます」

「なんで俺に言うんだよ?」

「主と給仕長があの有り様ですので」

「大変だな、ナンバー2も」

「いえ、私など、まだまだです。ナンバー2など、恐れ多い」


 とか口で言ってる割には、小鼻が膨らんでいるぞ。

 自分こそがナンバー2だという自負があるようだな。

 ナタリアに言わせると、同率2位らしいけど。


「あ、そうだ。昨日はありがとうな。レジーナを送ってくれて」

「いえ。とても楽しい一時でしたよ」

「その様子じゃ、問題なく帰れたようだな」

「いえ、問題はありましたよ。主に、レジーナさんの発言に」

「あぁ、うん。それは俺の管轄外だから、領主にクレーム上げといて」


 レジーナに対するクレームは、是非とも領主まで。

 俺はノータッチを貫きますので。


「ねぇねぇ」


 ヤギ耳少女が再び俺の服を引っ張る。

 ……学習しろや。


「お兄ちゃんがいろんな人をいじめるは、好きだからなの?」

「ほほぅ、ということは、ヤシロ様が最も好意を抱いておられるのはウーマロさん、ベッコさん、同率でアッスントさんとウッセさんということですね?」

「エステラ~、お宅の給仕長がレジーナに感染してるっぽいから、区内の除菌もっと徹底した方がいいぞ」

「残念だけどね、ヤシロ。レジーナに効く薬は薬剤師ギルドにもないんだよ」


 そりゃ絶望的だな。

 バイオハザード待ったなしだ。


「またそうやって、わたしを無視する~!」


 ぽこぽこと、俺の腹を叩くヤギ耳少女。

 そして、俺を見上げてにやりと口元を緩める。


「わたしにイジワルするのって、わたしが好きだからでしょ~?」


 これくらいのガキは、本当にこういうのが好きだよなぁ。

 だがしかし、俺はそんな小生意気なガキを黙らせる方法を知っている。


「そうだな。お前はきっと美人になるから――もっと大人になって、俺が見惚れるくらいの美女になったら、そん時に返事を聞かせてやるよ」


 そして、頭、ぽんぽん。


「はぅっ……」


 ほい、これで小生意気なガキは黙る。

 色気付いたガキは自分が恋愛上級者だと思い込んで、自分が優位に立っているつもりになっているので、こうやって完膚なきまでに照れさせてやると……


「うきゅっ!」


 ――と、このように逃げ出していくのだ。

 おーおー、ジネットの背中に隠れちゃって。

 ぷぷぷ、お子様め。


「君は本当に恐ろしい男だね、ヤシロ。あんな子供にまで」

「人聞きが悪いぞ、エステラ。ガキだから出来ることだっつーの」


 どーせ、大人になるころには手頃な男を見つけてそっちに夢中になってんだ。

 ガキの頃のしゅきしゅきごっこなんて、一年もすりゃすっかり忘却の彼方さ。


「ヤシロ様の本気、しかと拝見いたしました」

「本気なんか出すか、あんな未発達に」

「我が主を侮辱しないでください!」

「君だよ、侮辱しているのは! 自覚してナタリア!」


 きゃっきゃと騒ぐおもしろ主従を見て、他所の区のシスター・司祭が苦笑いしていた。


 他区に広めるなよ、四十二区の恥を。

 ……ったく。



 ……いや、ダジャレじゃないぞ?



「ヤシロさん、ティナール」


 ベルティーナと一緒におにぎりを食っていた婆さん司祭が俺たちを呼ぶ。


「あの酵母はどうでしたか?」


 昨日、この教会でリベカからもらったパイナップル酵母。

 その場にいた婆さん司祭の許可を得て、ジネットは今朝脱法パンを作った。


「とても美味しく出来ましたよ。あの……一応お持ちした方がいいとヤシロさんがおっしゃっていたので……こっそり持ってきたのですが?」

「あら、とても気が利くのね。さすがだわ」


 と、俺を見る婆さん司祭。

 あんだけ催促されてりゃ分かるっつーの。


 ジネットとしては、持ち出すのに勇気が必要だったようだが、見せびらかして歩くのでない限り、問題はないだろう。


「それと、発酵済みのパン種もあるんですが……」

「まぁ。それじゃあ、すぐに焼けるの?」

「はい。ですが、教会で焼くのは……」

「そうね。子供たちには負担になるでしょうからね」


 ガキは秘密を黙っておくことが出来ない。

 どんなに頑張っても、「言ってはいけない」というのがストレスになって苦しくなってしまうものなのだ。


 それで、うっかり口が滑ってしまう。

「司祭とシスターが教会でパンを焼いていた」なんて話が出回りでもしたら一大事だ。


 悪事は、誰にも見つからない場所でこっそり行うに限る。


「また、陽だまり亭を貸していただけますか?」

「はい。是非お越しください」

「では改めて、司祭として特別に許可いたします。その工程をシスターバーバラとシスターソフィーにも見せてあげてください」

「はい」


 こうやって知識を共有することで、教会至上主義派の連中への切り札の存在を教えておく。


 領主が急に脱法パンを広め始めたら、その区のシスターが慌てふためいてしまうだろうからな。

 特に、こちらサイドのシスターには事前に知っておいてもらった方がいいだろう。


 とはいえ、無制限に広めていいもんじゃないけどな。


「ついでに、カレーというものもいただきましょう」

「あの、大丈夫ですか、司祭様? それなりの量がありますよ」

「平気よ。私、こう見えて食いしん坊なのですよ」


 あぁ、やっぱ教会の呪いだな。

 お前、今おにぎり食ってたじゃねぇか。

 さっきカレーパンも食ってたろ。


 で、脱法パン食ってカレー食うの?

 ベルティーナが二人いるみたいで恐ろしいわ。


「あの、ナタリアさん。教会のお片付けなのですが……」

「ご心配には及びません。こちらで、万事抜かりなく行っておきます」

「お手伝いできずにすみません」

「いえ。その代わり、給仕たちにも美味しいカレーをご馳走してあげてください」

「はい。では、たくさん作っておきますね」


 きっと、エステラのところの給仕たちなら、あっという間に教会を綺麗に掃除してしまうだろう。

 ジネットの出番、なくなっちまったな。


「では、手の空いた方から陽だまり亭へお越しください。カレーは一時間くらいかかりますが、他のものでもよければすぐにご用意できますから」

「ありがとうございます。聞きましたね、みなさん? 頑張れば陽だまり亭でご褒美ランチです、気張りなさい!」

「「「はい!」」」


 ナタリアの声に給仕たちが応え、そして一段階動きのキレが増す。


「エステラのところの給仕はよく働くな」

「光栄です」

「エステラは一切働かないのに」

「働いてるよ!」


 向こうでソフィーやバーバラと話をしていたエステラ。


「今朝の会談で話した内容で、シスターたちの耳に入れておいた方がいいことを説明してたんだよ、ボクは」


 不満顔でこちらへ寄ってくるエステラ。

 なんかいっつも俺がいない方と話をしてるからさ、ちょっと嫌われてんのかと思ったぞ。


「効率を考えた結果だよ!? 寂しがらないでよ、そんなことで」


 ぷくっと頬を膨らませて猫パンチをお見舞いしてくるエステラ。

 ジネットがその様を見てくすくす笑う。


「ティナール。この子を頼めるかしら?」

「はい」


 婆さん司祭が、ヤギ耳少女をジネットに託す。

 知られちゃいけないことをするので、どっかに隔離してこいってことらしい。


「それじゃあ、わたしが陽だまり亭に戻る前に少しだけお掃除を手伝ってくれますか?」

「うん。お兄ちゃんは一緒じゃないの?」

「ヤシロさんは、司祭様とお話がありますから、二人で行きましょう」

「お兄ちゃん、お掃除下手だもんね」


 おう、待てこらヤギ耳少女!

 聞き捨てならねぇな。

 俺の掃除テクを見てから言ってもらおうか、そういうのは!


「俺のヤシロ棒が火を吹くぜ」

「いいよ、ムキにならなくて。で、その窓枠の隙間の汚れがすごく取りやすい便利グッズ、いつも携帯しているのかい?」

「掃除するつもりで来てんだよ、こっちは」

「ヤシロ様考案の『窓枠隙間棒』は素晴らしいと、給仕たちの間でも評判ですよ」

「ヤシロ棒だっつってんだろ。勝手に名前を変えんなよ」

「いえ、『ヤシロ棒』と言う度に、高頻度でレジーナさんが釣れてしまうもので」

「じゃー、しゃーないな。『隙間棒』で」

「それはそれで釣れてしまうので、はっきりと『窓枠隙間棒』と使用用途を明確にした次第です」

「とことん害を撒き散らしてんな、あの真っ黒真っピンク」

「外見と内面の色だけでここまで的確に表現される人物は、レジーナ以外にいないだろうね」


 エステラが肩をすくめてため息を吐く。

 そろそろ放置すんのやめろよ。厳罰が必要なんだって、あいつには。


「司祭様の重ぉ~い懺悔を食らわせてやろうぜ」

「その際には、是非君も同席するといいよ」

「あ、間に合ってるんで」

「足りてないって言ってるんだよ、ボクは」


 こんだけ懺悔食らってるのに、まだ足りてないとか言うのか!?

 懺悔の過剰摂取は体によくないんだぞ、きっと、たぶん、知らんけど!



 とかなんとかやっている間に、ジネットがヤギ耳少女を礼拝堂へ連れて行ってくれた。

 なので、談話室でこっそりと脱法パンを取り出す。


「これが……パンではない、のですね?」


 バーバラが婆さん司祭に視線を向ける。

 婆さん司祭がゆっくりと頷き「あとで製造工程を見せていただきましょう」と言う。


 そうだな。

 作るところを見れば、これが教会の定めるところのパンに該当しないって分かるだろう。


「とても美味しいですね」


 こっそりと、その場にいる者たちで脱法パンを食する。

 ソフィーがその味に目を丸くする。

 驚いた表情は妹そっくりだな。


「リベカの新酵母、美味いだろ?」

「はい、とても可愛いです!」


 酵母の話をしてるんだよ。

 妹についての感想なんぞ聞いとらんわ。


「この……パンではないモノ」


 この脱法パンをなんと呼んだものかと逡巡したあと、バーバラが困り顔でそんな名称を口にする。


 パンではないモノって……仰々しい。

 とはいえ、脱法パンってのも、軽々しく口には出来ないか。

 教会的には、大々的に脱法を認めるわけにもいかないだろうし。


「このレシピを、各区の領主様方がお持ちなのですね?」

「あぁ。中央側について外周区や『BU』から搾取しようなんて動きが感じられたら、一気に放出するためにな」


 教会は中立。

 どちらにつくことも出来ない。


 ……ってのは建前で、派閥によって明確にどっち寄りってのは出てきてしまう。

 ただ、完全に味方ではないというだけで。


 この婆さん司祭だって、自分の理想からかけ離れると思えば、俺たちを切り捨てる可能性は十分にある。

 今は、目指すものが近しいので協力的であるだけで。


「そうですか。……それで、司祭様の身の安全が少しでも強固になればいいのですが」


 権力主義に反発するのは危険が伴う。

 婆さん司祭がいくら偉かろうと、同程度に偉いヤツが反発していれば当然潰されるリスクも出てくる。

 最悪、力にモノを言わせる不届き者が現れる可能性も。


「それとなく広めといてくれ。『外周区には司祭様のファンが多いから、お姿が見えなくなると暴動が起こるかもしれない』ってな」

「物騒なのはイケませんよ」


 やんわりと、バーバラに嗜められる。


「でも私、少しおしゃべりだから、困ったわ」


 それでも、俺たちの考えには共感してくれるらしい。

 バーバラも案外したたかなシスターなんだな。

 それだけ、ベルティーナや婆さん司祭を慕っているということか。

 婆さん司祭曰く、バーバラは婆さん司祭よりも先に司祭になっているべき人物――だったか。

 つまり、婆さん司祭よりも年上なんだろう。


 それでも、シスターというものに固執し昇格を拒み続けているあたり、バーバラも相当頑固な性格なんだろう。


 おまけに、二十四区の堅牢な教会で傷付いた獣人族のガキどもを大勢匿い、育てている。

 教会にとっては怖い人物の一人だったりするのかもしれないな。

 バーバラを怒らせるといろいろ面倒事が噴出しそうだ。

 教会としては、敵対はしたくないだろう。

 触らなければ大人しくしているというならば、そっとしておきたい人物だろうな。


 よく見たら、クセの強いシスターばっかりだここ。

 四十二区に関わる人間って、どうしてこうなんだろうなぁ。


 もしかして、ベルティーナのせいなんじゃね?



 とにかく、立場上中立だと明言している教会を、一部とはいえこちら側に引き込めたのは心強い。


 中央からの横槍を防ぐ盾を手に入れたと考えて問題ないだろう。




 場所を変えて陽だまり亭。


「まぁ、本当に美味しいわ」


 婆さん司祭がもりもりカレーを食っている。

 ……教会の呪い。


「みんながベルティーナみたいに……」

「ヒドイですよ、ヤシロさん、もぅ! おかわりをください」

「どの口が言ってんだ? そのもぐもぐしてる口か?」


 どんなに動かしても疲れることを知らない口だな、おい。


 おにぎりにカレーパン、そして脱法パンを食べた上でカレーまで食べている婆さん司祭。

 食が細くなるって現象、この婆さんには当てはまらないらしい。


「今日はたくさんいただいたので、明日は控えましょう」


 そんな貯蔵庫みたいな機能ないんだぞ、人間の胃袋には。

 どんなに食い溜めても、翌日には腹が減るもんなんだから。


 ……もしかして、この婆さん司祭もベルティーナ系のシスターだから、三十五区でのケーキ製造にあっさり許可が下りたんじゃないのか?

 美味しい物が食べたい一心で。……あり得るから困る。


「……本当にパン……の、ようなものが焼けましたね、平鍋で」


 ソフィーが呆然としている。

 ヤギ耳少女をジネットが連れ出してから、脱法パンの試食を行ったのだが、どうにも懐疑的だったソフィー。

「本当は石窯を密造したんじゃないのか」と俺を疑っていたが、目の前で焼いてみせたら納得した。

 というか、口から魂抜けてるぞ、ソフィー。


「おそらく、進化の過程では石窯より先にこっちが誕生していたはずだ」


 パンを知らない者が、いきなり石窯を作ってパンを生み出したとは思えない。

 木の枝に練った小麦粉を巻き付けて直火で焼く――その辺りがきっとパンの始まりだろう。

 で、平鍋で焼いて、それから石窯だと思う。


「教会にパンの作り方を教えたのが誰だか知らんが、それはどこかで完成された手順だったんだろうよ」


 その人物が、平鍋で焼くパンを秘匿したのか、石窯の方が美味く焼けるからわざわざ教えなかっただけなのかは知らんが――


「この焼き方は、その気になれば誰でもたどり着ける方法だ。知識として持っておくだけじゃなく、何かしらの手を打たないと誰かがやり始めるかもしれないぞ」


 すでにあるものに改良を加えようって発想は、案外出てこない。

 完成したものに素人が手を加えても、失敗するってのが一般的だから。


 だが、誰かがそういうことをやり始めると「じゃあ、自分も」って挑戦する者が出てくる可能性は高い。


「新しいパンや、これから外周区と『BU』が広めていく新しい料理に触発されて、新しい調理方法を模索するヤツは増えるだろう」


 その中で、この脱法パンが発見される可能性は高い。


「なので、もしどこかがこの脱法パンを売り始めた時に、対応が後手に回らないよう準備を万全にしておいた方がいい」

「でも、そうすると、外周区の『切り札』がなくなるのではありませんか?」


 婆さん司祭が鋭いところをついてくる。


 こちらが、「いつでも切れるけど切らない切り札」を持っているということが、教会への牽制になるわけで、そこに対応されたら――たとえば、脱法パンもパンに含むこととし、製造を禁止すると教会が発表でもすれば――俺たちは切り札を失うことになる……


 とか、思ってんだろうな。


「そんときゃ、揚げパンに蒸しパンに鉄のオーブンで焼いたパンを一斉放出して徹底抗戦してやるよ。教会以外では料理が出来なくなるくらいに、ルールでがんじがらめにしなきゃ手に負えなくなるまでな」

「あらあら、怖いこと」


 怖いと言いながらくすくす笑う婆さん司祭。


 実際、教会のルールは穴だらけで、俺ならいくらでも抜け穴を広げられる。


「重要なのは、『今』外周区と『BU』の領主がほぼ全員その切り札を手にしているということだ」


 不参加の三十三区を除いた領主たちが、教会に大打撃を与えられる切り札を手にしている。


「今から慌てて対応しても、その次の手をいくらでも考えられるヤツがいて、そいつの提案を瞬時に共有できる術を、外周区と『BU』の領主たちが持っている。それがしっかりと伝われば、牽制としては十分だろう」


 切り札はこれ一個じゃない。

 一つを潰しても、また後から後から厄介なモノが飛び出してくるとなれば、教会も対応を変えざるを得ない。


 つまり、教会は下手なことが出来ない。


「本当に、敵に回すと恐ろしい方ですね」

「ですが、味方にいるとこれ以上に心強い人物はいませんよ」


 と、すかさずエステラがフォローする。


「そうね」


 婆さん司祭は穏やかに微笑み、バーバラも静かに口元を緩める。

 ソフィーだけが、警戒心満載で俺を睨んでいる。

 睨むな睨むな。

 何もしてないだろうが。

 むしろ、お前のプラスになっていることだから、これ。


「パンの種類が増えれば、国中でリベカの酵母が使用され、『美味い』『可愛い』の大絶賛だろうな」

「あなたはとても素晴らしい方です、オオバヤシロさん! リベカの可愛さをそこまで理解してくださる方に、悪人はおりません!」


 いや、悪党だけどな、俺は。


「ただ……」


 ふと、ソフィーの表情が曇る。


「あまりに大きく変わってしまいそうで……不安な気持ちも、あります」

「そうね」


 ソフィーの背中をぽんぽんと叩き、バーバラが静かに口を開く。


「大きな変革は、大きな不安を生みます。それは時に恐ろしい牙を剥いて平穏な日常を破壊してしまうわね……でも」


 バーバラはソフィーの手を取り、あやすような声で、なだめるような口調で、ソフィーの中に巣食う不安を取り除いていく。


「あなたは一度、その大きな変革を体験したでしょう?」


 領主ですら近寄らせなかった堅牢な鉄門扉を開き、領主や他区の子供たちを招き入れた。

 傷を負った二十四区教会のガキどもが、外の世界に触れたあの時、ソフィーの不安そうだった表情は確かに笑顔に変わっていた。


 そして、鉄門扉が開かれたことで、こいつは妹と再会し、共に生きていく道を歩き始めた。


「きっと今回も、そうなるわ」


 にこりと笑って、ソフィーの顔を覗き込む。


「不安の先に、これまで見たこともないような、たくさんの笑顔が見られると、私は思っていますよ」

「……そう、ですね。シスターがそうおっしゃるのなら、そうなると信じられそうです」


 バーバラにつられるように、口元を緩めるソフィー。

 その瞳がこちらを見る。


「それに、オオバヤシロさんは、何度も奇跡を見せてくれていますから」


 奇跡なんぞ起こしとらんわ。

 なるべくしてなったことばっかだっつーの。


「根本がスケベですので、そこは信用できませんけれども」

「うっせぇわ」


 赤い目が眇められる。

 訝しんでんじゃねぇよ。


「ですが、区民運動会は素晴らしかったです。ブルマで走って跳んで大活躍のリベカは可愛かった! パン食い競争や二人三脚は至福の時でした! あぁ、リベカ可愛い!」


 お前も卑猥な目で見てないか、妹のことを!?

 よく俺をスケベ呼ばわり出来たな、この軽度不審者。いや、中程度不審者か?

 被害が身内だけに留まっているから……ギリセーフ?


「ヤシロは口と目付きが悪いので、もしかしたら脅迫に聞こえてしまうかもしれませんが」


 おいこら、エステラ。

 好き放題言ってくれんじゃねぇか。


「これは彼流の忠告なんです。きっと、教会を渦中に巻き込んでしまうかもしれないので、そのために攻め込まれそうなところを事前に洗い出し、こうして注意を促しているんですよ」


 と、好き勝手放言した後、俺の肩に手をのせて特大の勘違い発言を言い放つ。


「彼は、子供たちが大好きですから」


 もう、いちいち否定すんのもめんどくせぇ。

 何回言えば覚えるんだろうな、こいつは。

 いや、『こいつら』か。

 後ろでくすくす笑ってるんじゃねぇよ、ジネット。


「えぇ、しっかりと心に留めておきましょう。彼の、優しい忠告を」


 婆さん司祭が言って、バーバラがゆったりと頷く。


 そして、この一連をベルティーナが静かに見守っていた。

 ずっと、ず~っと、静かに、カレーを食いながら。


 ……惜しい。

 カレーさえなければ聖女そのものだったのに。

 で、ジネット、静かにおかわりを与え続けるんじゃねぇーよ。甘やかし過ぎだ。


「教会は、特定の誰かを特別扱いすることは出来ません。ですが……個人的に友好を深めた相手を大切に思うことまでを禁じてはおりません」


 婆さん司祭は、ベルティーナを見て、「あなたがそうであるようにね」と笑みを浮かべる。


「もし、あなたたちの身に何か困ったことがあれば、いつでも相談してくださいね。お話を伺うくらいのことなら、いつだって出来ますからね」


 三十五区の行商ギルド支部代表エドモンディオに言わせれば「滅多にお目にかかれない、口を利くなど言語道断」ってくらいの偉いさんが、自分から「いつでも話しに来い」って言ってくれたのは、きっと相当特別なことなのだろう。


「んじゃ、せいぜい悪用させてもらうよ」

「うふふ。懺悔室も、いつでも開けておきますね」


 うっわ、怖っ。

 二十四区とか三十五区の懺悔室って扉が重そうなんだよな。

 四十二区以外の懺悔室には入らないようにしよう。


 ……四十二区のはもう諦めた。

 扉、かっぱかぱなんだもんよ。すぐ開きやがんの。まったく。


「まぁ、何かあれば、頼らせてもらうよ」



 そうそう頼ることなどないだろう。

 ――と、この時の俺は思っていたのだが。



 この婆さん司祭との再会は、案外、すぐに訪れることになるのだった。







あとがき




このお話、よく覚えています。


どうも、リメンバー宮地です。

don'tフォーゲット宮地でもいいです。


これを書いた時、物凄く時間がなくて

しばらく詐欺師を書けてなくて

「よし、久しぶりに詐欺師書くぞ!」って再開した一発目が

この回だったんです


なかなか筆が進まなくて

脳が別のスイッチ入っちゃってて、執筆モードに切り替わらなくて

苦労したのをよく覚えています


それ以上に、

執筆モードに切り替えて、物凄く集中して

一気に書き上げて

確認のために読み返した時に


Σ(゜Д゜;)「バーバラの幼少期の恋心でカクヨム一話分使ってる!?」


って驚愕したことを鮮明に覚えています(笑)


書き直そうかどうか、すっごく真剣に悩みましたね~

需要がないですもの(^^;


でも、好きな人にちょっかいかけちゃうよね~っていうくだりが欲しかったので

残しちゃいました☆


さぁ、お婆さんの淡い恋心に酔いしれてください

(☆>ω・)むちゃ、いう、な☆



今回のバーバラのように

「なんであんなことをされたのかしら?」

と、相手を理解できないことって、日常生活で多々ありますよね


相手の立場に立って考えてみても

「なんで?」と、結局理解できないこと、人、思考

そういうの、結構気になって考えてみるんですが

やっぱり答えが出ないんです


先日も、

近所の片側一車線の車道の両端に路側帯がある

通行量の少ない道を歩いてたんですね

その時、車は通っておらず、道はすっかすかで、

自転車なら5~6台横に並んで走行できるくらいのガラガラ感でした


そしたら、後方から自転車のベルを

「チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンッ!」って鳴らされたんです


 Σ(゜Д゜;)いや、鳴らし過ぎ!


尋常じゃない鳴らし方だったので「関わらないでおこう!」と直感が訴えてきまして

私は一切振り返らず前だけ見て、

路側帯を歩いていたんです。


そしたら、

自転車の方、私を抜きがてら、

身を乗り出し、

体をひねってまで

「じろぉ~!」っと私を睨みながら追い抜いていったんです

ガン見です

ガンを飛ばすというヤツです。


で、その方、

お子さん連れの若いお母様でした。

たぶん二十代前半。

前かごに2~3歳くらいのお子さんを乗せてたんです


 Σ(゜Д゜;)子連れでそんな無法運転を!?

 Σ(゜Д゜;)チリンチリンは「どけ!」の合図じゃないですよ!?

 Σ(゜Д゜;)っていうか、ガン飛ばし過ぎ!


めっっっっちゃ睨まれたんですね

何がそんなに気に障ったのかと思うほどに


ガラッガラだったんですよ、道

ちなみに、私の横は壁です。


壁 私 白線 車道


です。


壁 ↑ 私 白線 車道


ここを通りたかった?


で、追い抜く間中、ずっと私を睨んでいたお母様なんですが、

私を見ていたせいで、自転車が路側帯側に寄ってきて(自転車や自動車は、見ている方向に自然と曲がってしまうのです)

しかも前方見てなかったせいで、駐車禁止の標識のポールに「ドーン!」って激突しまして

お子さん、前カゴなんですよ!

そのカゴがポールに「ドーン!」って!

お子さん「ぎゃぁあああああ!」って火をつけたように泣き出して


私も焦ってしまって「大丈夫ですか!?」って声かけちゃったんです

そしたら、そのお母様


「大丈夫ですぅ!(# ゜Д゜)」


メッチャ怒鳴られました……


えぇ~……(´・ω・`)



あの方は、ちょっと理解が出来なかったですね

「ムカつく!」とかじゃなくて

ただただ「なぜ?」と疑問符が脳内を埋め尽くしました



若い女性は、オッサンの背中を見るだけでイラついたりするんでしょうか?

(´・ω・`)しょぼ~ん



あ、オッサンの背中といえば


職場の最寄駅で、会社の女性を見かけまして

なんとな~く挨拶して、

じゃあ、会社まで歩いていこうかな~と思った矢先、

その女性の前を歩いていたオジサマが急に立ち止まったんですね


ただ、何をするでもなく、

スマホを見るでもなく、時計を見るでもなく、

ぼーっと中空を見つめていたんです。


で、その女性、オジサマにぶつかりかけて「ぅおっと!?」って体をひねって回避したんですが

結構イラついたらしくて

「なんなんですか、アレ!?」って、結構な声量でもんくを言っていたので、

これはいかんなと思い

咄嗟に



宮地「ステータスウィンドウとか見てるんじゃないですか?」

女性「転生者!?」

宮地「たぶん、通知が来たんですよ」

女性「レベルが上がりました、的な? ……じゃあ、見るか」



という感じで、

オジサマが急に立ち止まっても仕方ないか

ということで決着しました

\(*´▽`*)/


フォローって大事なんですね☆

ナイスフォロー、私☆


知らないオジサマでしたけれども


……え、もしかして、

自転車お母様、鑑定のスキル持ちで

私のステータスとか見てた?

やめて、スキルに「おっぱい」って書かれてると思うので、

見ないでください(>△<;)恥ずい!



あ、フォローといえば、

いや、フォローというか……女子高生のイライラを解消した一言というのがありまして


近所のコンビニに行ったら、レジ前にオバサマが立ってパンを食っていまして


 Σ(゜Д゜;)なぜレジ前で!?

 Σ(゜Д゜;)しかもそこ、一番通路が狭くなってるとこ!

 Σ(゜Д゜;)見て、あなたのせいでみんな棚をぐるっと回ってるよ!


で、女子高生が「邪魔なんだよ!」と、

女の子が出しちゃいけない声で言ってまして

でもオバサマは一切反応を見せずにパンをむしゃむしゃ


見た感じ、普通のオバサマなんですが

なぜか、周りの目や声に一切無反応で、レジ前でパンを食べてたんですね


で、私が買い物を終えて、店を出るまでずっとその場でパンを食べてて


 Σ(゜Д゜;)食べるの遅いな!?

 Σ(゜Д゜;)よく噛んで食べる派なんですって? やかましいわ!


で、お店出た直後

ホント、なんとなく、言いたくなっちゃったんでしょうね

私、ぽつりと――



宮地「イートインか!?」(≧▽≦)/



て、呟いたら、すぐ後ろで「ぶはっ!」って吹き出す声が聞こえて

振り返ったらさっきの女子高生で



女子高生「すみません、おもしろ過ぎました」



って、めっちゃ笑顔で褒めてくれました

(*´▽`*)


女子高生のイライラも晴れたようで

よかったよかった♪


世の中フォローが大事だなぁ~と思った一件でした



理解できない人に出会った時

忌避するとかムカつくとか攻撃するのではなく

なんとかフォローして周りに笑顔を振りまきたい


そんな一助に、私はなりたい☆


そんなお話でした

まだまだ未熟ですけどね


もっとツッコミをみがくぞー!

(≧▽≦)/



次回もよろしくお願いいたします!

宮地拓海

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