289話 物事は水面下で動く
「えっと、お兄ちゃん。話が難しくてちょっとついていけてないんですが……二十二区が悪者ですか?」
悪者ってのは、随分と短絡的な分類ではあるが――
「その可能性が高い。というか、そうであればしっくりくるって感じだな」
「むむむ……分からないです」
今回の件で、とても怒っているロレッタは、頑張って俺たちの話についてこようとしているが、まだよく分かっていないようだ。
「まず、地理をもう一度よく整理してみろ」
「えっと、三十区は二十三区と二十九区と接してるです」
「そう。で、その先にあるのは?」
「十一区と二十二区です」
「三十区には街門があるから、外からやって来た商人は三十区、二十九区、二十二区のルートか、三十区、二十三区、十一区のルート、どちらかを通って中央区へ向かう。これは分かるな?」
「はいです」
二十三区にも二十九区にも、あからさまではないにせよ関所のような施設が設けられていて、そこで通行税の徴収が行われている。
行商人にしてみれば、街門を入る時に入門税を取られ、『BU』を通る時に通行税を取られるわけで、かなり気分が悪いだろうな。
「二回も税金を払いたくないと思ったら、ロレッタならどうする?」
「三十区で品物を全部売っちゃうです!」
おぉっと、優等生!?
そうか、こいつの頭の中には不正をするって選択肢がないのか。
「ロレッタはいい子だね」
「うむ。さすがは私のお義姉様だ」
エステラとルシアが微笑ましそうに笑みを浮かべ、アッスントが苦笑を漏らす。
「へ? な、何か違うですか? あたし、間違ったですか?」
「いいや。お前は正しい。お前だけが正しいよ」
こっちサイドの人間は性根が腐りきっているのだろう。
俺は詐欺師なので望むところではあるが、清廉潔白を謳う領主や行商ギルドがそうなのはちょっとどうなんだろうなぁ、おい?
「だが、この場合の解答は『力のあるヤツに賄賂を渡して脱税する』だ」
「そんなのダメじゃないですか!?」
「だが、その方が儲かる」
そして、そういう儲け話に飛びつくヤツはこの世界に五万といる。
「通行税で1000Rb取られるとしよう。『なんとか通行税を回避するために協力してください』と権力者に500Rb渡して脱税をすれば、500Rb浮く。商人も権力者も双方が500Rb儲けるWin-Winな結果になる」
「『BU』が損してるですよね!?」
「あぁ。だが、他所の区のことだし、どーでもいいんだろ」
実際、無関係な区の領主が破綻しようが、俺らには関係のない話だ。
そっちで適当にうまくやれよってなもんだ。
「で、その脱税の最も簡単な方法は、『誰にも見つからない秘密の通路』を作ることだ」
「ロレッタさん。ニューロードを作る際、ヤシロさんは誰と誰に許可を得ましたか?」
アッスントの問いに、ロレッタは少し考えて回答を口にする。
「エステラさんとマーゥルさんです」
「そうです。入り口と出口、それぞれを管理する権力者に話を通せば通路は開通するんです」
つまり、三十区は十一区か二十二区の貴族と結託すれば脱税し放題って訳だ。
「そこで協力者の存在です」
興が乗ってきたのか、アッスントが俺に代わって解説役を始める。
「たとえば、ロレッタさん。あなたは陽だまり亭に不利益を及ぼす計画に協力をしますか?」
「絶対しないです! むしろ潰してやるですよ、そんな計画!」
「そうですね。では、ライバル店が不利益を被る場合は?」
「それでも、あたしは協力なんかしないです」
「もし、そのライバル店を潰した跡地をロレッタさんに譲るという話でしたらいかがでしょうか? ご自分のお店が持てますよ?」
あ、アッスント。それはダメだ。
「そんなの、全然嬉しくないです! 陽だまり亭分店は、誰かの悲しみの上には成り立たないです! 誰かの幸せと温かい笑顔が集まる場所、それが陽だまり亭です!」
「……そ、そう、ですね」
な?
ロレッタはそういうヤツなんだから、たとえに使おうとしてもダメなんだよ。
「……ロレッタ、よく言った。マグダも同じ考え」
「うふふ。みんな一緒ですね」
「ね?」とジネットが俺に視線を寄越す。
いや、俺は誰かの屍の上でも自分の幸せを謳歌できるけども?
……まぁ、陽だまり亭はそういう腐った土壌では育たないかもな。
「失敗しましたね。ヤシロさん、軌道修正をお願いします」
……ったく。
「四十二区ならそういう発想になるんだろうが、外に行けばそうじゃないヤツがたくさんいる。この情報紙を書いたようなヤツがな」
おのれの利益のために、平気で他人を蹴落とせるヤツはうんざりするほどたくさんいる。
「他人を陥れるのは、自分に刃が向く危険を常に伴っている。そんな危ないこと、なんの見返りもなくやるヤツがいるか? 何かしら旨みがあり、それにまんまと乗っかったバカがいるんだよ」
「それが、二十二区ですか?」
「いや、二十九区の方だな」
「はぅ……なんか、いっぱい出てきて混乱したです」
頭を押さえるロレッタに、ゆっくりと教えてやる。
「三十区と繋がることで直接的に利益が上がるのは二十二区か十一区だ。どっちが下手人かを判断する時は、間接的に利益を得るヤツを調べればいい」
「それが、二十九区なんですか?」
「二十九区の貴族が組合を使って四十二区に嫌がらせをしているとするなら、それはウィシャートの思惑に合致していることになる」
偶然に悪意が同時多発するなんてことは滅多にない。大抵はその裏に意図的な何かが蠢いているもんだ。
なんらかの目的のために、複数の者が行動を起こしている。そう考えるのが自然だ。
「では、二十九区の貴族が得られる間接的な利益とは何か……?」
「えっと……脱税されると『BU』にはお金が入らないですよね…………あれ? 損してないです? だったら、下手人は十一区の方じゃないですかね? 二十九区が損をして潰れたら、二十三区から十一区へのルートに商人が集まって儲けられるですよね?」
なるほど。
そういう発想になるのか。
損をすれば潰れるってところまでは合ってるんだけどな。
「通行税が減って不利益を被るのは二十九区ではなく、二十九区領主だ」
「へ? 何が違うですか? 二十九区の領主が二十九区を運営するですよね?」
「あぁ。それが出来なくなると区は破綻、領主はその権限を剥奪されるだろうな」
ロレッタの勘違いは二つ。
二十九区領主と、二十九区の貴族が同じ立ち位置にいるという勘違い。
双方が二十九区をよくしようと協力関係にあると思っているのだろうが、そんなお人好しが集まってるのは四十二区くらいだ。
他所では足の引っ張り合いが横行してるだろうよ。
そしてもう一つは、二十九区の貴族が脱税に協力しているという勘違い。
脱税に関与しているのは、秘密のルートの入り口と出口の二つの区だけだ。
二十九区の貴族は『その脱税に起因する利益』を享受するために協力しているに過ぎない。
「区が破綻して領主がクビになったら、二十九区の領主というポジションが空くよな? そうしたら、他の誰かが領主にならなければいけない。その際、『近隣の区ととても仲のよい貴族』が区内にいたら――そいつが推薦されると思わないか?」
「え……」
ロレッタの顔が青くなる。
そんな事実は信じたくないと、そんな人がいるなんて認めたくないという表情だ。
そうだよな。お前の気持ちは分かるよ。
でもな、いるんだよ。そういうクズは、うんざりするほどな。
「……二十九区の、その貴族は、わざと二十九区の領主を……マーゥルさんを追い出そうとしてるですか……?」
二十九区領主、エーリン家が破綻すれば、その後釜に収まりたいと思う貴族は大勢いるだろう。
そのためになら、なんでもするってヤツがな。
「だから、秘密のルートがあるのは三十区と二十二区の間である可能性が高いんだ」
通行税が減れば、二十九区への打撃は大きい。
『BU』が共同体という形を取り補填し合っていなければ、もっと早くに潰されていたかもしれない。
その共同体も、四十二区との衝突で若干形を変えた。
仕掛けるチャンスだと思われたのかもしれない。
「二十九区が潰れることで得をする協力者がいて、そいつが今現在張り切って四十二区に嫌がらせを行っているってことは、つまりそういうことなんじゃないかって……こっちの腹の黒い三十五区の領主と行商ギルドのブタは言ってるんだよ」
「待て! 貴様にだけは言われたくないぞ、カタクチイワシ!」
「まったくその通りですよ、心外です」
腹の黒い人の反論をスルーする。
「まぁ、まだ確定ではなく、その確率が高いってだけだ。せいぜい90%ってとこか?」
「もうほとんど確定じゃないですか!?」
だって、そうじゃないと二十九区の貴族がこんなに張り切って稼ぎ頭のトルベック工務店に攻撃してくる理由が見当たらないんだもんよ。
ウィシャートの憂さ晴らしだぞ?
専属を断ったからって理由でここまで大事にしたんだぞ?
相当な見返りがあるとしか思えない。
「……なんか、怖いです。貴族の考えることは」
自身の体を抱き、ぶるっと身を震わせるロレッタ。
そのロレッタに、ロレッタと同じくらい青い顔をしたエステラが話しかける。
「うん、貴族は怖いんだよ。だからね、ロレッタ――」
ロレッタの肩に手を乗せ、ゆっくりと言い聞かせる。
「二十九区の領主はゲラーシー・エーリン。マーゥルさんじゃないから、他所では絶対間違えないでね」
あ、やっぱそこ引っかかってた?
他所でそんな失言されると後々面倒なことになるもんな。
マーゥルが領主の座を狙ってるなんて噂が四十二区のせいで広まったら……あとが怖いよなぁ。
エステラの気迫に、ロレッタは無言で「こくこくっ!」っと頷いていた。
アッスントが持ってきた情報で、胡散臭い区があぶり出された。
ウィシャートの後ろについている三等級貴族は二十二区か。
……なんの情報もねぇな。
「どんな区なんだ、二十二区って?」
「素晴らしい区ですよ」
と、アッスントが素敵な笑顔で言う。
ってことは、金持ちぶった連中が多いいけ好かない区なのだろう。
俺もチラッと歩いただけだが、妙に小綺麗に整っていて、ハイソぶった連中が行き交っていたって印象だな。
あぁ、分かる分かる。アッスントの表情の理由。
そこに住んでるヤツらは、お高くとまってこっちを見下してくるんだろ?
分かったから、その気味の悪い素敵な笑顔やめてくれる?
二十四区でもここまでどす黒い顔はしてなかったのにな。相当だな、二十二区。
あれかね?
高級住宅街に住んでいるセレブマダムの言動がいちいち鼻につくみたいなもんか。
助走つけて殴りたくなりそうだから、しばらくそこらの住人とは接触しないようにしよっと。
「二十二区の領主はどんなヤツなんだ?」
「品行方正で、領民に愛される穏やかな方ですよ」
「そうだな。私もそのような印象を持っている」
アッスントの言葉をルシアが肯定する。
エステラを見れば、あまり面識がないのか、自信がなさそうに「ボクもそんな感じかなぁ」と答えるに留めていた。
「そのような方が、悪事に手を染められるのでしょうか?」
ジネットが不思議そうに首を傾げる。
お前の見ている世界には、いい人そうに見える悪人なんか存在しないからな。
俺のことを『いい人』だと言って憚らないその感性では、どんな極悪人も聖人君子だと誤変換されていることだろう。
「極悪人ほどいい人のフリがうまいもんなんだよ」
「君が言うと説得力があるよね」
「だろ? だから、今後俺にいい人キャラを押しつけるな」
「ボクは見たままを口にしているだけで、押しつけているつもりはないよ」
くっ、いい笑顔で憎たらしいことを。
揉むぞ!?
……ってのは、無理だから突っつくぞ!?
「まぁ、とても評判のよい領主様ですよ。……表向きは」
アッスントの言葉の裏には、『そのレベルの貴族は、いい人では務まらない』という言葉が隠れている。
その通りだろうし、その評判のいい領主様とやらも例に漏れない人物なのだろう。
正直、エステラは四十二区以外では領主をやってられないだろう。
すぐ潰されて、引きずり下ろされる。
逆に見下されていてよかったのかもな。
この区に他の貴族がいたら、とうの昔に領主の座を奪われていただろう。
「二十二区領主の内情も調べてみたかったのですが、やはりそう甘くはありませんでした」
お前、この短期間に攻めたなぁ。
あんまり派手に動いて消されるなよ?
後任で変なのが来たらまた行商ギルドと敵対しなきゃいけなくなる。そんな面倒は御免だぞ。
「ですがまぁ、港の建設に関して、二十二区は直接口を出してこないでしょう」
「ボクもそう思うよ。手紙でも『四十二区の発展を願う』ってスタンスだったし。四十二区が何をやろうが自分たちに影響はないって思ってるんじゃないかな」
港の建設に関しては、王族に報告をした後で各区の貴族宛に手紙を送ってある。
そのほとんどが『あっそ。好きにすれば?』というスタンスだったそうだ。
食いついてきたのは、力関係がひっくり返されそうで焦った外周区と、「四十二区のやることには一枚噛んでおこう」って考えの『BU』と三十五区までの顔見知り領主たちくらいのものだった。
「だが、利益を共有する関係にある三十区が潰されそうになればしゃしゃり出てくることは十分考えられるがな」
あまり派手に三十区を突っつくと藪から怖い三等級貴族が飛び出してくるらしい。
あくまでこっそりと。それと分からないように。圧倒的な力で。
「こちらの勝利条件はなんだと思う?」
エステラに問う。
この中で一番の穏健派。
どんなに恨みを募らせようと、相手を苦しめるような罰を科そうとはしない甘ちゃん領主。
上位の貴族を刺激しないように今回の件を収束させようと思えば、エステラの案に乗るのが一番穏便だろう。
「そうだね。現在かけられている圧力を撤廃して、二度と四十二区の邪魔をしないように釘を刺せれば御の字かな」
現在のマイナスをゼロに戻し、今後ちょっかいをかけないように関係を構築する。
相手への攻撃はせず、相手へ不利益を与えることはない。
「拳を収めてくれれば、今回のことは水に流すよ」という甘々の判断だ。
「まぁ、それが一番無難であろうな」
「繋がれた狂犬は、こちらが手を突っ込まなければ噛みついてきませんしね」
ルシアもアッスントも、エステラの意見には一定の理解を示す。
「腹の虫が治まらない」と突っかかっていけば、取り返しのつかない段階にまで進んでしまいかねない。
繋がれた狂犬か。うまいたとえを言ったもんだ。
そもそも、エステラは『BU』の時も不当な圧力を撤廃させることを目標に掲げていた。
ぶっ叩いて二度と刃向かえないようにしようなんて、これっぽっちも考えていなかった。
それが、エステラというヤツだ。
領主としてはそれが正しい。
……だが、俺は領主じゃないんでな。
「なんにしても、情報が欲しいな」
みんなで仲良く、協力し合って苦難を乗り越えよー!
なんて、そんな会に参加した覚えもない。
俺の腹の虫が治まる方法を、俺は個人的に取らせてもらうつもりだ。
繋がれた狂犬ってのが、誰のことなのか――まぁ、そのうち分かるだろうよ。
エステラの発言から、不穏な空気は感じ取れない。
それでほっとしたのがジネット。
少々不服そうなのがマグダとロレッタ。
しかし、この二人も「ウィシャートを血祭りに上げろ!」とまでは思っていない。
せいぜい、「ウーマロに謝れ! 誠心誠意、心から!」くらいのものだろう。
それくらいなら、こいつらに見せてやってもいいかな。
『領主的な幕引きの演出』として。
物語ってのは一件落着で終わるものだが、――悪党の結末は、その後が悲惨なものだからな。
桃太郎に退治され宝を奪われた鬼は、その後どうなっただろうか。
仲間の鬼に「このボスは頼りない」と反旗を翻されたかもしれないし、桃太郎の活躍を聞いたその地方の侍が蜂起して絶滅させたかもしれない。
なんにせよ、悪事を働いた者には相応の結末というものがお似合いなのだ。
……ま、俺は人のこと言えないけどな、
「とりあえず、ウィシャートの情報を集めてみるか」
「それは、かなり骨が折れると思うぞ」
ルシアがうんざりした顔で言う。
「ヤツの家系は特殊だからな」
「特殊?」
「うむ。エステラも聞いたことがあるであろう? ウィシャート家の異常な風習を」
「えっと……異常な風習、ですか?」
「うむ。直系であろうと傍系であろうと、生まれた男児には例外なく試練を受けさせ、合格した者以外を身近には置かぬのだ、あの一族は」
「あ、それなら聞いたことがありますよ。たしか、当主に認められないと他所の貴族のもとへ仕官に出されるとか」
出来の悪い身内は実家から遠ざけているのか。
屋敷の改装時にトラブルが起こった際も、ウーマロたちは館への接近を禁じられていたし、よほど外に知られたくない秘密があると見えるな。
「その風習の影響で、ウィシャート家は優秀な執事を輩出する一族としても名を上げたがな」
もともと領主一族として育てられた貴族だ。
教育も行き届いているのだろうし、それが執事になるなら優秀なのも頷けるか。
「事実、あの屋敷に近付けるのは当主に認められたごく一部の人間だけのようですよ。私などは、門前払いされるでしょうね」
徹底した情報統制。
デイグレア・ウィシャート個人が、というよりウィシャート一族が用心深いのか。
「男児は試練を受けさせられるってことは、女児は試練を受けないのか?」
「女児は問答無用で外へ出されるのだ。力のある貴族の妻としてな」
そうして、様々な貴族と太いパイプを作るのか。
なんとも、貴族らしい貴族だな。
「三十五区にも行儀見習いをしに来る令嬢がいたのだぞ」
かつて、三十五区に住む貴族のもとへウィシャート家の令嬢が行儀見習いの名目で預けられたらしい。
貴族らしい振る舞いやマナーを身に付けさせ、貴族の妻として嫁がせるために。
「行儀見習いなどというのは建前で、本音は預けたその家に娘をもらってほしかったのだろう」
家で預かれば触れ合う機会も増える。
その過程で見初められればラッキーってところか。
「もっとも、その貴族がとある理由でお家取り潰しになったせいで、ウィシャート家の思惑は潰されたがな」
……ん?
三十五区の貴族でお家取り潰しになった家って…………
「もしかして、それって、オルキオの家か?」
「家も何も、その令嬢の教師役をしていたのは、そのオルキオだ」
ぅおぉお!?
思ってもみないところにウィシャート家の関係者がいた!?
「今の情報が一番びっくりした」
俺の反応を見て、ルシアが嬉しそうにほくそ笑んでいる。
嬉っしそうに……
「この情報を言いたくて馬車で駆けつけたのか?」
「ふふん。貴様の間抜け面にそこまでの価値があるものか。ついでの余興だ、その馬鹿面はな」
その割には楽しそうじゃねぇかよ。
「オルキオさんって、あのオルキオさん……ですよね?」
ジネットも、急に知り合いの名前が出てきて驚いているようだ。
直接自分に関係なくとも、知り合いの話題が上がるとドキッとしてしまうことがある。
落ち着かせようとしているのか、ジネットは自身の大きな大きな、それはもう雄大な胸を両手で押さえている。めっちゃこぼれてるけどな。
その様は、さながらアルプス山脈をハンドタオルで覆い尽くそうとするかの如し。無謀な行為なのだ。
「オルキオさん、そのようなこともされていたんですね」
「オルキオの家は、そこまで大きいわけではなかったが、三十五区でも有名な家だったからな」
三十五区を思い出したのか、ルシアがブイヤベースの中のムール貝をスプーンで突く。
ムール貝がスープの中でくるりと反転する。
「オルキオの家では、三十五区に住む獣人族――当時、亜人や亜種族と呼ばれていた者たちを統括していたのだ」
職のない亜人たちを集め、その身元引受人になる代わりに上前をはねる。
人材派遣会社のようなことをしていたらしい。
……というか、人身売買に近いのかもな。
派遣された亜人たちはキツい肉体労働や、危険な門番などの仕事に就いていた。
想像だが、おそらくゴロつきにやらせるような荒事にも従事していたのだろう。
貴族には必要な人材だからな。
労働環境は、おそらくさほどよくなかったのだろう。
汚れ仕事を引き受けてくれるところは必要だ。
誰しも、汚れ役は担いたくない。
とはいえ、あまり距離を取り過ぎるといざという時に頼りにくい。
一番いいのは、直接関係はないという立場を取りつつ、秘密裏に、それも強力に、且つ迅速に影響力を発揮できるパイプを持つことだ。
それには、家を出た令嬢を嫁がせるなんてのが最も効果的だろう。
ギルベルタの父親が門番をやっていたって言ってたが、そういうのも、オルキオの実家が取り仕切っていたのかもしれないな。
獣人族や虫人族のパワーが桁違いなのはもはや語るまでもない。
しかし、『亜人』と蔑んでいる者たちに守られる、頼む、頼るってのが出来なかったのだろう、その当時の貴族たちは。
だから、中間管理職が必要だった。
実際は獣人族たちが守っているのだが、オルキオの実家がその間に立つことによって貴族が守っているという言い分が成り立つ。
獣人族を使って街を守る貴族。
貴族たちはその貴族をフィルターにして、獣人族の存在を見ないフリが出来る。
……気分の悪い話だ。
「オルキオさんは、そのようなお仕事をされていたんですね」
驚きからか、それとも話の内容からか、ジネットが少し不安げな表情を見せた。
なので、俺なりの解釈を口に出しておく。
「ラッキーだったかもな」
「ラッキー、ですか?」
「だって、オルキオだぞ?」
まぁ、取り仕切っていたのはオルキオの実家のヤツなのだろうが――
「オルキオなら、獣人族や虫人族を悲しませるようなことはしなかったよ。なにせ、アゲハチョウ人族のシラハを愛し続けた男だからな」
ウェンディの母親やニッカやカールたちが抱いていた人間への不信感を見るに、その派遣業はあまりいい待遇ではなかったのではないかと推測できるが……
ジネットがそんなことを気に病む必要はない。
お前は、お前の見た世界に生きていればいい。
もし仮に、オルキオがその家の当主になっていたなら、絶対待遇の改善に取り組んでいただろうしな。
亜人差別反対派の女領主とタッグを組んで。
「そうですね。オルキオさんなら……きっと、そうだったのでしょうね」
「まぁ、若いうちに家を追い出されたみたいだから、その仕事に従事していたかどうかも分かんないけどな」
「そうですね……でも」
ふわっと、ジネットの口がほころぶ。
「きっとそうなんだろうなって、そう思わせてくれる人ですよね、オルキオさんは」
信頼できる。
それがもう答えでいいのではないかと思う。
その人間の生きた時間が、今のその人格を形成するのなら、オルキオは間違いなく正しい時間を生きてきた善人だと言える。
だからこそ、実家と衝突してしまったのだろうが。
「今度、オルキオに話を聞いてみるか。その時の教え子について」
ウィシャート家の令嬢。
可能なら、接触を図ってみる価値はある。
女児は問答無用で外に出されるという風習の家なら、詳しい情報は得られないかもしれないが。
というか、ウィシャートの血を色濃く受け継いだ女なら、接触することすら危険かもしれない。
その辺をオルキオから聞いて判断してもいい。
「今頃は、旅行中でしょうか?」
以前、ドニスにもらった『月の揺り籠』の宿泊券をプレゼントしたのだ。
ムム婆さんたちも、今ちょうど二十四区旅行に行っているらしいし、オルキオも行ってるかもな。
ゼルマルとか、うるさいジジイを避けるために敢えて日付をズラしてる可能性はあるが。
……いや、オルキオはそういうことをしないタイプか。
シラハが「絶対嫌!」とでも言わない限りはな。
シラハが一番で揺るがないが、四十二区のジジイどものことはその次くらいに気に入っているようだし。
「ふぅ……」
話が一段落し、エステラが長い息を吐いた。
「いろいろな情報が一気にやってきて、頭が凝ったよ」
「揉んでやろうか?」
「結構だよ」
「なんでだよ。ちゃんと頭も揉んでやるぞ?」
「頭『も』って言ってる人には頼めないよ!」
なんだよぉ、人の親切をさぁ。
「……今もたらされた情報をまとめると」
じっと黙って話を聞いていたマグダが、静かな声で言う。
「……ウィシャートは頃合いを見てぶっ飛ばす、ということでOK?」
「ちゃんと聞いてたかい、マグダ!? 何か行動を起こす前には、ボクに一言相談してね!?」
OK。
マグダがウィシャートにイラついていることはよぉ~く分かった。
隣で「うんうん!」と力強く頷いているロレッタもな。
「こほん」と、咳払いをして、アッスントが人差し指を立てて聞きやすい声で話し始める。
「三十区領主は二十二区領主と繋がっている可能性が極めて高く、二十九区にいる貴族が協力している。二十九区の貴族の狙いは領主の座である――かもしれない。三十区領主はガードが堅く情報が入ってきにくいが、意外なところでこちらと懇意な人物と接点があったので後日何か情報が得られないか接触してみましょう――ということですね」
「なるほどです。で、まずは二十九区の貴族をやっつけるですか?」
「よし、ロレッタも一回落ち着こうか」
鼻息の荒いロレッタを諫めるエステラ。
これ、エステラが「テメェら、もう容赦しねぇぞ!」ってぶち切れたら、四十二区総蜂起なんてこともあり得そうだな。
「気持ちは分かるからさ、もうしばらく穏便に行動してくれるかい? 大丈夫。最終的にはボクがちゃんと落とし前を付けさせるから」
「……エステラの落とし前は、激甘」
「店長さんの次に甘いのがエステラさんです」
「でも、そこがエステラさんのいいところだと思いますよ。優しいエステラさんが、わたしは大好きですよ」
「あぁ、ジネットちゃん! マジ天使! すごく癒やされる!」
エステラがウーマロ病を発症している。
ターゲットが違うからウーマロ病の亜種だな、アレは。
「エステラ様。一部確認をしていただきたいところがあるのですが」
ナタリアが、書類を持ってエステラのもとへ歩み寄る。
手にした書類をエステラに向け、該当部分を指さして説明をする。
「『今後、組合が調子に乗ったことをした場合、問答無用でぶっ潰す』という項目なのですが、決起するのは四十二区と三十五区の連合軍ということで問題ないですか?」
「問題しかないよ、その一文! 削除しといて!」
「分かりました。文末に『なんちゃって』と付けておきます」
「ちゃんと削除して!?」
穏便に済ませたいのは、どうやらエステラだけらしい。
ルシアも愉しそうに肩を揺らしている。
まぁ、現実問題として、こうも貴族が多く絡んできている案件で「知るかコラァ! 上等じゃボケェ!」と大暴れするなんてことは現実的ではないが、心情的にはみんなそれくらいのことを思っているのだ。
「……ボクだって、別にウィシャートの味方をしたいわけじゃないよ……でもね、ボクには領民を、みんなを守る義務があるからさぁ……だから、仕方なく…………嫌々だからね、穏便な案は!」
あまりに賛同が得られないからか、エステラが涙目になっている。
あ~ぁ。ジネットが立ち上がって慰めに行ったよ。
いいなぁ。俺もあの膨らみの間に顔を「むぎゅっ!」ってしてみたいし、されてみたい。
「……エステラも苦心しているのは分かった」
「エステラさんの涙に免じて、今回はおとなしくしているです」
「オイラも、降りかかる火の粉は払うッスけど、こちらから特に何かするつもりはないッスよ」
マグダとロレッタの怒りの理由はトルベック工務店への嫌がらせが大部分を占めている。
その代表であるウーマロがそう言っているので、とりあえず今は拳を収めるだろう。
まぁ、何かする時には大暴れすりゃいいさ。
ただ、その『何かする時』までは、向こうに勘付かれないようにおとなしくしておけってこった。
そんな感じで話がまとまりかけた時、そいつはやって来た。
それはもう、とっても素敵な――
攻撃的な笑みで。
「ご機嫌よう、皆様。ワタクシ、情報紙への援助を打ち切ると通告してまいりましたわ!」
……いたよ。ここにも一人、怒れる領民が。
陽だまり亭に入ってくるなり、イメルダは傲岸不遜な顔で胸を張り契約書をテーブルに叩きつけた。
それは、寄付打ち切りの手続きのようだった。
「『事実と異なる情報しか載せないような情報紙など必要ない』と、言ってまいりましたわ」
どうやら、イメルダは情報紙を発行している本部へ乗り込んでいったらしい。
「どこにあるんだ、本部?」
「二十三区ですわ」
「じゃあ、二十三区の貴族も協力してる可能性が――」
「あの記事を書いたのは二十九区の記者らしいですわよ」
なるほど。
本部の連中は裏取りを怠っただけの、ただの無能集団ってわけか。
コンプライアンスのちゃんとしていない企業の末路は悲惨なものだってのに。
どんなものでも、どんなことでも、やるべきことはちゃんとやるってのが、長く続けるコツなんだけどなぁ。
「邪魔をするのじゃ! 我が騎士はおるかの!?」
バッターン! と、でかい音を立ててドアを開け放ち、長い両耳を「ピーン!」と立たせたウサギっ娘、リベカがお付きのバーサを伴って入ってくる。
「おぉ、我が騎士よ! 見たのじゃ、この酷い記事を!?」
「私、怒りで全身の震えが止まりませんでしたとも」
テーブルに例の情報紙を叩きつけて肩を怒らせるリベカに、ぷるぷると小刻みに震えるバーサ。
……バーサのは加齢が原因の震えじゃないの? 違うの?
「本部に乗り込んで事情を聞いたところ、『記者が見たままを書いた』などと抜かしおっての。事実と異なるのじゃと詰め寄れば、『記者が未熟だったのだろう』などと苦しい言い逃れをしおったのじゃ!」
情報紙本部の対応は概ね予想通りといったところか。
それが、記者を庇ってのことなのか、責任逃れのためなのか、はたまた本部ごとグルですっとぼけているのかは分からんが、どんなアプローチをしようとそれ以外の言葉は引き出せないだろう。
不祥事を起こした大手企業の言い訳なんか、「監督不足」か「個人のミス」くらいしかないもんな。
「あまりに腹が立ったので、その場で寄付の打ち切りを宣言してやったのじゃ!」
リベカもかよ!?
たしか、リベカの麹工場はかなりの大口寄付してたんじゃなかったっけ?
そこを切られたのは相当痛手だろうな。
今頃、大慌てで役員会議でも開いているかもしれない。
とかなんとか言っていると、荒々しい蹄の音がガラガラという車輪の音と共に近付いてきた。
……うん、嫌な予感がする。
「邪魔をするぞ。おぉ、ヤシぴっぴ。おったか」
「ドニス……まさか」
リベカのように荒れ狂ってはいないが、確実にぶち切れていると分かる目つきでドニスがフロアへ入ってくる。
そして、懐からぐっしゃぐしゃに丸められた情報紙を取り出す。
読み終わった瞬間に丸めたんだろうなぁ、あれ。
「『ワシが協力している港の建設を邪魔するのが貴様らの狙いか』と一喝してきてやったわ」
やっぱ本部行ってたかぁ。
っていうか、ドニスも情報紙に寄付してたんだな。
『BU』の領主として一応やっとくかって感じか、……もしくはマーゥルのとこで給仕をしているモコカがイラスト提供してるから、マーゥル繋がりで寄付するようになったのか……
「ドニスも寄付してたんだな」
「まぁ、一応『BU』の領主としてな」
あぁ、よかった。
まともな方の理由でだった。
「あと、大切な人の関係者が世話になっていると聞いて、寄付金を増額したところだった」
あー残念。
ダメな方の理由もだった。
「だが、今回のことで寄付は打ち切りだ。知らぬ存ぜぬを押し通そうとする編集長に『その目で真実を見てこい』と言っておいた。責任を持てぬ流言を広めることは精霊神様の意思に背く行為であるとな」
ずぴぃー! と、鼻から息を吹き出してドニスが一本毛を揺らす。
相当ご立腹な様子だ。
こりゃあ、しばらくは怒りが収まらないだろうなぁ……と、思っていると。
「あら、さすがですわ、DD」
マーゥルがたおやかな足取りで現れ、手弱女然とした笑みを浮かべる。
「義を重んずるあなたらしいお言葉だわ」
「マ、マーゥ……ミズ・エーリン!」
マーゥルに褒められて、一本毛が嬉しそうにぴょっこぴょっこ揺れる。
機嫌直っちゃったよ!?
奇妙な感情表現をするな! 抜くぞ、その一本毛!
「あまりに荒唐無稽で呆れてしまったわ。ダメね、こんな記事を書く記者も、こんな記事を採用する責任者も」
リベカやドニスほど声量はないが、他の誰よりも恐ろしい怒気を纏っている。
めっちゃ怒ってんじゃねぇかよ、マーゥル。
そして、マーゥルの後を追うようにもっと怒りのオーラを発しているモコカが陽だまり亭へ入ってくる。
「ウチのモコカにも、当面は寄稿を自粛してもらうことにしたの」
「大将に言われるまでもねぇぜですよ! こんな馬鹿げた話があるかってんだ、コンコンチキさんめ! 私のイラストは見る人を幸せにするために描いてんだっつーんですよ! 人を不愉快にさせるところになんかイラストを載せたら、師匠に向ける足がねぇってんだですよ!」
「目上の人に向けるのが顔で、向けて寝られないのが足よ、モコカ」
ことわざをいまいち理解していないらしいモコカ。
だが、言いたいことはなんとなく分かるし、ベッコになら別に足を向けて寝てもいいと思うぞ。
「師匠が草葉の陰で泣きやがらぁですよ!」
「そっか、ベッコ死んだのか」
「亡くなってませんよ!? モコカさん、言葉は正しく使わないとダメですよ」
おろおろと、ジネットがモコカの間違いを訂正してやっている。
別にそのままでもいいと思うけど。
つか、言葉の前に言葉遣いを直せって話だよな。相変わらずけったいなしゃべり方しやがって。
「港が完成すれば、ニューロードで四十二区と接する二十九区の税収が上がるもの。それを邪魔立てするというのであれば、領主の家に連なる者として黙っていられないわ」
そう言われれば、情報紙の本部も返す言葉がなかっただろう。
『BU』内で他区領主への攻撃がなされたとなれば、本部が存在する二十三区が対応に追われることになる。
最悪、二十三区は情報紙本部へ立ち退きを命じるかもしれない。
『BU』は共同体だ。
その中で不和を生む存在は、どこの区にも受け入れてはもらえないだろう。
じゃあ、『BU』以外の区へ本部を移すか?
そうした瞬間、『BU』へ持ち込むのに税金がかけられて値上げを余儀なくされるがな。
あの影響されやすい若者が多い『BU』でこそ一番売れる情報紙だというのに。
マーゥルとドニス、それに『BU』の収入源のうち、かなりの割合を占める麹工場の最高責任者を怒らせたのは痛いな。
情報紙本部は、何かしら対応を迫られることになるだろう。
もし、ここで三等級貴族がしゃしゃり出てきたら……
『BU』と外周区の領主を強引に引きずり込んで同盟を組ませることが出来るんだけどな。
被害が四十二区以外にも拡大するから。「明日は我が身」と思わせられれば「あ、お前んとこだけ協力しないんだな。それでいいんだな?」って追い込める。
問題が大きくなればなるほど、三等級貴族は身動きが取れなくなる。
こちらと同じ状況へ誘い込むことが出来る。
……まぁ、そうなるのが目に見えているからしゃしゃり出ては来ないだろう。
三等級貴族にしてみれば、情報紙での偏向報道などたかが嫌がらせの一つに過ぎない。
「別のやり方に変えろ」と言ってしまうのが一番簡単で被害が少ない。
ウィシャートだって、それに逆らってまで偏向報道を続ける気はないだろう。
これで情報紙の問題は収束するだろう。
本部は打撃を受け、信用に傷を付けた。
まぁ、倒産とまではいかないのだろうが、しばらくは経営が苦しくなるだろう。
捏造の事実が広まれば、読者離れも起こすだろう。
情報紙の影響力は一気にしぼんでいくことになる。
まぁ、それくらいが妥当な落としどころか。
情報紙に携わる者の中には、今回の件とまったく無関係の者も多くいるだろうし、そいつらを無視して倒産させると不幸の連鎖が起こりかねない。
まぁ、紙面にでっかく謝罪文でも書かせればそれでいいだろう。
――と、思ったのに。
「とりあえず、あの記事を書いた記者の詳細を問い合わせてあるから捕まり次第連れてくるわね。どんな意図であのような偏向をしたのか、自身の口で語って聞かせてもらいましょう。もちろん、嘘を吐けばこの街のルールによって裁かれてもらうことになるわね」
うふふと、上品に笑うオバハンが、めっちゃ怖い……
あぁ、この人は逃げ道を一個ずつ確実に潰してから追い込むタイプの人なんだ……仲違いしないように気を付けよ。
なんというか、俺以上に周りが怒ってるから、怒るタイミングを見失いつつあるんだよなぁ……
あとがき
どうも、ちょこっと体を鍛えようかと思っている宮地です。
いえね、すごい話を聞いたんですよ。
終端速度というものなんですけれど、御存じの方はいらっしゃいますかね?
アリって小さいじゃないですか?
そんな小さいアリを摘まみ上げて、人間の目の高さから落としても、
アリ、死なないじゃないですか?
それはなんでだ? って話なんですけれど。
地球上の物体は、高い位置から落下する際、
落下する距離が延びるほど徐々に速度を上げていくんですね。
10mの高さから落ちた時よりも、
50mの高さから落ちた時の方が衝撃が強いじゃないですか。
それは、落下距離によって速度が上がったせいなんですね。
速度が上がると、何かにぶつかった時の衝撃は大きくなります。
時速100キロのトラックにひかれると、もれなく異世界へ転生してしまいますが、
時速7キロくらいのトラックだと、
ひかれて転生したとしても、東京からだとせいぜい埼玉くらいが限界でしょう。
埼玉転生です。
つまり、落下する距離が長くなれば、落下速度はどんどん増していくというわけです。
で、アリですが、
アリのサイズからして、人間の目線の高さか落ちるって、
人間だったら飛行機から落ちるくらいの落差があるわけですよ。
え、割合的にそこまで高くないだろうって?
じゃあ、『低めに飛んでる飛行機から落ちるくらい』ということにしておきましょう。
人間なら、その高さから落ちるとアウトですが、
アリは大丈夫なんです。ノーダメージです。
それはなぜか?
それが、終端速度なんですね。
どのような物体でも、
重力と空気抵抗のバランスによって『ある一定』の速度以上に加速しなくなるんです。
そして、アリはその終端速度での衝撃に耐えうる甲殻を持っているので、
どんな高さから落下しても死なないんだそうです。
100mから落としても
100kmから落としても、
10000000kmから落としても、
アリの落下速度は終端速度を上回らないため、地面に衝突する衝撃は一定であり、
その衝撃に耐えられるというわけです!
まぁでも、恋に堕ちちゃうと、寂しさで死んじゃうかもしれないけどね☆
……うん、今のなし!(*ノωノ)ウキュッ
で、ですね。
ざっくりと調べたところ、
人間の終端速度は約時速200kmだそうなんです。
さらに調べたところ、
人が自由落下で時速200kmに達するのは約158m(33階建てのビル相当)らしいです。
なので、
33階建てのビルの屋上から飛び降りて無事に着地できる人なら
どんな高さから落ちても基本的に死なない
といえるのです!
( ̄д ̄)スゲェ
というわけで、体を鍛えようかと。
ほら、私ってばうっかりさんなので、スカイダイビングでパラシュート忘れるとか
そういうの仕出かしそうじゃないですかぁ~。
「あ、やべっ!? パラシュート忘れた!?」
「えっ、マジで!? どーすんの!?」
「大丈夫。俺、体鍛えてるから☆」
「やだ、かっこいい!」
みたいな!
うむ、筋肉ってすごいんですね。
ひゅー………………ん、ズガーン!
通行人「何事!?」
宮地「むにゃむにゃ……ん? あ、いっけね。飛行機で寝てたら、窓から落ちちゃった。私って、寝相悪いから。てへっ☆」
通行人「やだ、お茶目!?」
通行人B「いや、飛行機の窓開かないし!?」
みたいな、
ドジっ子キャラの属性を獲得して、
どうにかモテ期を引き寄せてやろうかと……ふっふっふっ
いえ、この終端速度って面白いなぁと思って
異世界詐欺師のどこかで使ってみようと思ったんですが、
そもそもこの街にはそこまで高い建物がないんですよね。
二十四区にある『月の揺り籠』という高級(笑)宿が四階建てでオールブルームで一番高い建物なんですよねぇ。
……あ、王宮の方が大きいか。
城を見下ろすのはマズいですもんね。
たぶん、ちょこっと高台にあったりもするのでしょうが、王宮が一番高い位置にあるのでしょう。
……四十二区、低い位置にあってよかったぁ。
大衆浴場の煙突とか、確実に王宮より高いですもんね。
どんなイチャモン付けられるか……
イチャモン、ゲットだぜ☆
とか言ってられないですしね。
と、いうわけで、本編では怒れる権力者が集まってまいりました。
久しぶりに書くキャラは、毎回どきどきするんですよねぇ。
一人称とヤシロの呼び方、間違ってないかなぁ~って。
モコカとか、自分のことなんて呼んでたっけ?
――と思って過去のモコカ登場シーンを読み直すじゃないですか。
そしたら、モコカが一人称を使わないんですよね。
はっは~ん。
さてはこの時、モコカの一人称を調べるのが面倒だったから
一人称を使わずに済むように書いてたなぁ…………
作者めっ!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
そう言えば、ヤシロのことを「ヤシシシ」って呼んでたのって
モコカだったっけなぁ……
今は「ヤシぴっぴ」だっけ?
………… (。_。 )
………… ( 。_。)
…………よし、今回はヤシロのこと呼ばせないでおこうっと♪
(*´ω`*)
数ヶ月後の作者「作者めっ!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!」
……はっ!?
なんだか今一瞬、未来が見えました!?Σ(゜Д゜)
私ってば、もしかして超能力者!?
ミスター・ロリックを名乗りましょうか……誰のストライクゾーンが9~14歳やねん!?\(>△<)
すみません、
今ちょっととあるYouTuberさんにハマっていて
ノリツッコミが影響を受けているんです。
「は? なんだその寒いノリは!?」と思われた方は、
そのYouTuberさんにクレームを入れておいてください。
えぇ、まぁ、はい。
最近ユーチューブとか見るようになったんっす。
自分、現代っ子なんで。
好きなチャンネルですか?
幼女と少女がオモチャで楽しそうに遊んでいるレビュー系チャンネ……天文学とか心理学の考察系ユーチューブですかね! 主にね! 生体力学とか、素敵ですね!
さぁ、皆様!
変な勘繰りはやめて、本編に意識を戻してください。
オルキオさんがウィシャートの関係者として名前が挙がりましたよ!
ビックリですね!
意外ですね!
これからオルキオさんの出番増えるかもですね!
あ、現在はシラハとイチャラブ旅行中ですので、登場はもうしばらく後になります。
オルキオファンの皆様は、もうしばしお待ちくださ……オルキオにファンなどおらぬっ!
オルキオとセロンにはおらぬっ! 嫁がいるんだからファンとか要らないでしょ! むー!
……すみません、心がささくれ立ってしまいましたので、
お庭プールで使えるオモチャのレビュー動画を見て癒されてきます☆
次回もよろしくお願いいたします。
宮地拓海




