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エリー

題名考えるのめんどい

「――エロス & 清純 混ざり合わぬ二つが混ざり合った、人々の求めた存在が今此処に現れる!」


誰が求めたのでしょうか。


「全身は魔鉱石と龍の各種の鱗を使った、熱にも冷気にも強い仕様だ。さらに可動域を考え、腋と二の腕を露出する。ファンタスティック!驚くことにインナーもちゃんと腋部分を切り取ったぞ!」


どうして腋を求めるのでしょうか。


「上半身を覆う鎧は、首元まで覆い、首につけてある首飾りに近づけると装着される。短いスカートは錬金術と魔術式の応用により、めくれあがれば風の魔法で定位置に戻り、下から除きこんだとしても闇の魔法により中が見えない」


すごい、なんて真面目に馬鹿なことをやっているのか。


「ガントレットは愛用の龍牙剣と同じく魔法付与可能。脚鎧の可動域は通常の足と変わりが無いようにし、地面に力が通しやすく。魔力を通せばその場に吸着可能。鎧は魔力を通せば防御力が強化される、そして壊れれば魔力さえあれば自動修復される!」


鎧としての効力の他にも応用性が聞く、鎧としてはすごいんだ、すごいのに何故趣味に走るのですか。


「そして極めつけは姫だからと作成したティアラ。これは鎧全体に付与した魔力に変換する力を持つ。そしてそれを他の形へと変える魔術式を構成した宝石を三つまで取り付けることができるのだ。二つほど作っておいた、いつもの『メイドモード』と純白の『ドレスモード』この二つだ、欲しいものがあれば絵や実物を持ってくるといい、宝石に魔術式を刻んでティアラに取り付けるよ」


――と、一息で説明をする鍛冶屋店主であり、鍛冶師のダンさんが息子、ハゼルさん。

眼鏡をかけた優しげな顔立ちとは裏腹に、盛り上がった筋肉は服の上からでも分かる。

『錬金術師 & 魔術式研究者 & 鍛冶師』という異様な肩書きを持った青年で、ハッキリ言うと天才と呼ばれるべき人だろう。


――趣味を入れようとしなければ注文殺到すると思うのだが。


「えぇっと、物凄くお金かかりませんでした?」


「金貨70万枚はいくね」


龍の心臓一個よりも少しお高いお値段だ。

この金額は慎ましやかにすごせば、ひ孫どころか五、六代後まで働かなくて済むであろう金額だ。


「とりあえず、請求書を送っていただければ」


「いや、それには及ばない、金額は実を言うと他のところからでている」


「へ?どこからですか?」


「まぁそれについては言えないが、君を祝いたいといってきた人がいた、そもそもだ、『トランスアーマー』の魔術式についての特許を取得したし、この鎧を作るに当たって色々な発見があった、僕の未来は明るい!」


ハイテンションな彼を余所目に、鎧を見る。

話を聞く限りではすばらしい鎧だ、金の装飾は幻想的な雰囲気を漂わせている。脚鎧にはガーターベルト!と大きく書かれた紙が貼り付けられている。

いや、持ってはいますけども。

しかし変わった鎧と考えれば露出も少ないしそこまで恥ずかしいとは思わない。


「それじゃ、店の奥で装着してきてよ」


「はい!」


楽しみだ、そう思い、店の奥に鎧を持って行き、パパッと着替える。

着替え終わり、戻っていく。

物凄いフィット感だ、まるでいつも着ていたかのように思える。

腕をぐるぐる回したり、反復横とびをしたり。


「ハハハ、音速で反復横とびはやめてくれ、店が壊れる」


「あ、すいません」


少し高揚していたようだ。


「それで、『メイドモード』もしくは『ドレスモード』とティアラに魔力を流しながら言ってくれ」


「『メイドモード』!」


辺り一帯が銀色の光で包み込まれる。

鎧の魔力がふわふわと飛んでいる――ちょっと待て。

体を見ると、裸だった。

それが次の瞬間メイド服に変わる。


「み、見ました?」


「大丈夫、光に包まれて全方位から見えないようにしている、『見えたら魔法少女っぽくない』!」


「姫騎士ですよね!?」


「まぁトランスメイルは魔力変換だからね、光により見えないようにするのが精一杯だ、変更時に現れるラグについては後々の課題だ。気になるなら見えないところで使えばいい、あぁ戻るには『アーマーモード』だ」


「は、はぁ……」


鎧としては最高のものだ。

――少々恥ずかしいが、それを差し引いてもよいものだということがよくわかる。

将来的には一瞬で変わるようになるのだろうか――そう考えながら、店の奥へと向かい。


「アーマーモード!」


宣言すれば鎧へと変わる。

それを確認して戻ってくる、もう直ぐ時間だ、三十分前には着いていたいので、お礼を言って向かうことにしよう。


「ありがとうございました!」


「まぁ何があるかはわからないから、一月に一回はメンテナンスしに来てね」


「はい!」


そういって店を飛び出し、足に力をこめる。

そのまま地面へと叩きつけて空を翔ける、ウェルヘイナ学院へ!




-----------------------



学院に早く来た理由は、訓練場を早く見たいからということともう一つある。

アルフレッドと会い、詳しい話を聞くためだ。

……しかし、出会うことは無く、高い場所から見渡してみたりもしたが、見つかることは無かった。

とはいっても、三人に聞けば良いのだからそこまで必要とは思ってはいない。

いなかったらいなかったで特に気落ちすることも無く、そのまま訓練場へと向かった。


「ハッ!」


訓練場へと近づくと、凛とした声が聞こえた。

声と共に風を切る音が聞こえる。

気になって早歩きで中へと入る、更衣室がある玄関口を抜けると、開けた場所に到着する。

芝生で覆われた訓練場をぐるりと見回すと、青い髪をした少女がいた。


「おや?もしかしてもう時間でしょうか?」


予約していた時間の前に訓練場を使う人のようだ。

剣を鞘へと収めて、視線を向けられたので一礼をすると、あちらも返してくれた。


「いえ、早めに来ただけなので、気にしないでください、Sランク冒険者『姫騎士』リーリャと申します」


「エリーと申します、護衛をやっております。Sランク冒険者、ということはハロルド様と同じでしょうか」


「ハロルドさんを知っているんですか?」


「えぇ、奇妙な魔物に襲われているところを助けていただきました……昨日のことです」


「奇妙な魔物とは?」


「死んだら黒い液体に変わりました」


――昨日、奇妙な魔物、なんだか引っかかって問いただしてみる。

そして返答は予想していた答えの通りだった。


「私も昨日その生物と遭遇しました、オークだったんですけど……」


「私はアークウルフでした、あのような生物の目撃例はあるのでしょうか?ハロルド様は『知らない』といっていましたが……」


「無いですね、同じ形をした魔物なのに格段に強いなんて、ギルドで注意を呼びかけますが、それは無かったので、恐らく私が知らなかったということもないでしょうし、ハロルドさんは支部長なので、情報は真っ先に入ると思われます」


冷静に判断して答えると、エリーさんは少し険しい顔をする。

しかし、昨日に突如として二件の目撃か。

自然的なものか、人為的なものか。

生息場所が違う二匹なために、人為的なものに天秤が偏っていく。

……少なくとも、この国が危ないということは事実だ。


「あの」


「あ、はい?」


「……冒険者が学院の訓練場に来たということは、訓練相手がいますよね?」


「えぇ、クエストとして貴族三人の訓練を受けております」


「その、来るまで訓練していただけないでしょうか?」


「まぁ時間もあるので大丈夫ですが……」


「お願いします!」


「わかりました、ではやりましょうか」


特に断る理由も無いために了承する。

訓練場の中心へと向かい、向かい合う形となる。

エリーさんは剣を引き抜き、こちらへと対峙する。


「引き抜かないので?」


「引き抜かせてみろ――と、いうことです」


「では、遠慮なく!」


こちらへと一気に間合いを詰め、剣を振るう。

数度振るわれたそれを、最小限に回避し、後ろへと回り込む。


「ハッ!」


振り向きざまに上から叩きつけるように振り上げ――振り下ろす。

力を乗せた一撃、横に回避すると、予想していたのか、振り下ろす途中で剣の方向を変えた、こちらへと横なぎに振るってくる。二歩歩き、背後へと向かう。

そのまま足を掃い、よろけた方向へと頭を掴み、押す。

ぐるんと一回転して地面へと倒れこむ。

目をパチクリとして、何が起こったのかわかっていない様子だった。

しかしハッとして直ぐに立ち上がると、こちらへと一礼をして剣を構える。


「もう一度……もう一度お願いします」


「はい」


その後も何度も同じような展開が起こり続けた。

しかしめげない、私もやめるとは言わない。

力量を"視る"、経験値がたまり続けている。


レベル:21

次のレベルまで

498010 / 501040


投げられるたびに起き上がり、経験値を上げてくる。

時間は無いが、経験値の上昇が速い為に、間もなくレベルが上がるであろう。

そのときは早く来た。


レベル:22


息を荒くし、剣を地面に突き刺し、杖代わりにして倒れこむ。


「立ってください」


「は、はい……」


立ち上がり、剣を構える。

一閃、疲労は蓄積しているが、先ほどよりも早い攻撃。

それをガントレットで弾き飛ばし、エリーさんを見る。


「あ、あの……さっきより速く」


「なりましたね、貴女は基礎訓練をやり続けていますね」


「は、はい、教えてくれる人はいなかったので、基礎訓練ばかりやっていました」


「実践訓練にシフトしたほうがいいですよ」


「え……」


基礎訓練は経験値の変動は少ない――が、それは途中までだ。

練習は自動的に効率化がされるので、経験値は得やすい、だが彼女はそれのみをしている、最初の頃の私のように素振りやトレーニングばかりしていた。

私が経験値が増えにくくなっていると気づいたのは、冒険者になると決め、飛び出す半年前のことだ。

実戦経験をしなければ強くなれない、そう思考を変えたが、彼女は力量を数値化することなどできない。

そのために練習の限界が近づき、経験値の取得がかなり低くなっているのに気づくことはできなかった。


実践 と 練習 この二つがあるからこそ強くなれる。

一辺倒では滞ってしまう。


「し、しかし……護衛の任務が」


「別に私達と一緒に訓練してもいいと思うわよ?」


この声は……


「アイリスですか、早いですね」


「ベールクリフが急かすのよ」


「ちょ、おまっ!?」


「何よ、真実をいってるだけなのに顔真っ赤にして」


訓練の時間にはまだ時間がある、本気度を理解して少し嬉しくなる。


「一瞬だれだかわからなかったわ、メイド服っていう印象が強烈だもん」


「そ、その綺麗だぞ、リーリャさん」


「本当にね、驚いたよ」


三人が口々を感想を述べる、この鎧についてのようだ。


「ありがとうございます、鎧は知り合いが作ってくれたものです。鍛冶屋ダンをどうぞよろしく」


「覚えておくわ、鎧を着ることになったら私に相応しいかわいい鎧を作らせるわ!」


ちゃっかりと宣伝しておく。

――店主の息子の趣味云々は言わない。


「あ、あの……」


「あぁ、ごめんなさい、訓練一緒にしない?ということよ」


「そ、それは嬉しいのですが」


「強くなるって決めたのよ、あなたもそうでしょう?」


「は、はい!」


「護衛についてはリーリャの隣において近くで訓練すれば果たされると思うわよ?」


「ま、まぁそうですが」


少し不安そうな顔をしている。

主の了承を得られるかどうかが必要だと思う、私の隣にいるということは、行動が制限されるということだから。


「じゃあ問題ないんじゃない?主が嫌といっても私が話をつけるわ!」


「え、あ、はい」


なんと頼もしい。

押せ押せでエリーから許可を得ると、胸を張って大きく頷いた。


「それで、主の名前は?」


「ステラ・ド・クレンラッツ様です……」


「帝国の皇帝の血縁じゃない!?護衛一人ってわけじゃないんだから大丈夫じゃないの?」


「……いえ、一人です」


「……あぁー、まぁいいわ、話をつけるわ、何処にいるの?」


「図書館のほうで待ってくれているはずです……」


あそこは警備兵が、と言っている途中でアイリスはエリーさんの肩を掴んだ。

いくわよ!とアイリスは大きな声で宣言すると、エリーを引っ張って訓練場から去っていく。

図書館は確か此処から少し行った場所だった筈、開始時間は少し遅れると考えたほうがいいだろう。


「すいません、少し遅れそうで」


「いえ、大丈夫です、皇帝の血縁がこの国に来たのですか?」


「あぁ、聞いた話ではあるだ、遠い親戚のようなものらしい」


――隣国の皇帝の血縁が、国に来て直ぐに襲われた。

物凄く陰謀めいたものを感じる。ギルドのほうに報告しておこうか。

――昨日今日と色々とありすぎだと思う。

……とにかく今は訓練のことに思考を向けよう。

十分後ぐらいに、アイリスと同い年ぐらいの女の子が一緒に現れた。


「はじめまして、ステラ・ド・クレンラッツと申します、ステラとお呼びください」


「Sランク冒険者、『姫騎士』リーリャです」


「エリーに聞いたとおりにハロルド様と同じ冒険者のようですね、Sランクとうのは何人くらいいるのでしょう?」


「世界で13人、一国に2人いればすごい、らしいです」


「つまりお若いのにその頂点に君臨する方々の一人、それだけでもエリーをお願いする価値があると思います、……エリーを強くしてあげてください」


頭を下げてくる、王族の血縁が、だ。

ちらりとエリーを見る、物凄くオロオロと右往左往としている。

……護衛としてどうなんだ。


「あ、あのステラ様!頭などお下げにならずとも、私が土下座して頭をふまれますから!」


「踏みません踏みません」


何故そっちの方向に思考を向けるんだ。


「踏むなら私のを!」


「いや踏みませんて、兎に角、訓練に参加するということで宜しいですね?」


「はい!お願いします!」


「いえ、そんなに頭を下げないでください」


嬉しそうに何度も頭を下げてくるエリーさんを止める。

こうして四人となった訓練は開始された。

主人公が書きづらい

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