第48話
「え?」
「……でござるwww」
「キモオタ……?」
そこに突然キモオタが現れた。
「二人の話は聞かせてもらったwww 全てを終わらしに行くのでござろう?www ならば、拙者から一つアドバイスがあるでござるwww」
「え、何だよ……? 俺、今、すげー気合入れて飛ぶ所だったんだけど」
話を聞かれていたということは俺が天使だとキモオタは知ったということ。それでもこうして変わらず話しかけてくれることは嬉しいが。今はそれどころでは。
「黙られい、タクヤ殿!www 一言申しておくが、もしこのまま妹君の元に行こうものならお主は――」
キモオタは目を細める。
「妹君に負けるぞ?www」
「……なっ! それはどういう……!」
「いいから拙者の話を聞くのだwww」
そう言って奴は強引に話を続けた。
「タクヤ殿よwww お主はこれまで色々と力を見せてきたが、そこには致命的な弱点がござるww」
「弱点?」
「気が付いていないとは言わせぬぞ?www はっきり言うが、お主の技は自分以外の誰かを守るときに発動していることが多いwww」
「それがどうかしたのかよ?」
「ならば聞くがwww 仲間のいない場所ではどうなのだ?www お主は、自分の力を100パーセント引き出せているか?www」
「それは……」
鋭い指摘。俺は口ごもる。
「……」
実は俺の力にはむらがあるのだ。誰も守る人間がいない状況と、それと異なる状況では明らかな差がそこには生まれて。例えば、地下のオリトとの野球勝負。俺が本来の力を出せたのは、その場に仲間が全員揃ってからだった。
「やはり、そうなのでござるな?www」
「お前、相変わらず鋭いな……」
「拙者、バトル系のアニメは擦り切れるほど見ているでござるwww その知識を生かせば、タクヤ殿の弱点を見抜くことなど造作もないwww」
「……」
俺は超人的なキモオタの洞察力に舌を巻く。この特技をどこか別の分野で生かしていれば、きっとこいつの人生も違ったものになったに違いない。
「確かに俺の力は一人じゃ、大した威力は出せない」
「ドゥフフwww タクヤ殿らしいでござるなwww たぶんそれはタクヤ殿の誰かを守りたいという優しい性格が関係しているでござるwww」
「……」
キモオタの言葉に一瞬照れる俺。それを隠すように俺は。
「けどよ、どうするんだよ?」
「む?www」
「いやさ。確かに俺は誰かがそばにいた方が大きな力を出せる、と思う。でも、お前らには言ってなかったが、最後の敵は――ルリは空にいる。雲の上に自分の城を浮かばせてるんだ。だから、皆で行くのは無理だし……」
俺はいつの間に、こんな荒唐無稽な話を真剣に話せるようになったのか。普通なら人前ではしない。信じてもらえないから。だが、今はできる。仲間達を信じているから。俺はそのとき、場違いにもそんなことを考えていて。
「ならば、1人なら?www」
「へ?」
「タクヤ殿も、1人ぐらいなら仲間を連れて飛べるだろう?www」
「あ、いや……まあ1人なら一緒に連れていけなくはないと思うけど」
「よし!www そう思って拙者、仲間を集めてござったWWW 皆、出あえい!www」
キモオタは両手を口に当て、メガホンのようにして声を。そして数秒後、目の前には見知った顔触れがずらり。
「タクヤ! 無事だったんだね! よかったよー!」
「ビッチ!?」
「キャハ」
「メンヘラ!?」
「VIPからきますた」
「アリサさん!?」
「……う……あ」
「コミュ障!?」
ここにいるのは全部で六人。ビッチ、メンヘラ、アリサさん、コミュ障、それに作家とキモオタ。
「あとの人間はまだ手が借りられなくてなwww しかし、これだけいれば十分www さあ、タクヤ殿よwww この中から1人、連れていく人間を選ぶのだwww」
「……っ」
あまりの急展開。俺は混乱しながらも、それぞれとの思い出が頭に浮かび。
「さあ、早く!www」
「え、あ」
誰を選んでもいいだけの理由はある。
「う、えっと」
だが結局。
「あの、俺は……」
最後に俺が
「お、俺は………」
俺が選んだのは。
「俺は……っ!」
選んだのは?




