第18話
「うおおお!!!」
だからタクヤは。
「おおおおおお!!!」
仲間のために渾身の力を込めて。目線の先、ストライクゾーンのど真ん中へ。
「おおおりゃあああ!!!」
ボールをぶん投げた。
しかし。
「ほらよっと」
かきーん。憎たらしいほど小気味いい音。
「……っ!」
タクヤの顔は宙を泳ぐボールを追って後方まで。
「くそ、次だ! うおおおおおりゃあああ!!!」
「ははは、そんな素人くさい球。いくら速くてもただのカモだね――っと、それ」
かーん。これで三十球目。何度投げても、タクヤのボールはバットの呪縛から逃れることはできず。
そして。
「はぁっ、はぁ……っ!」
その全てを全力で投げているが故に、疲労は着実にタクヤの体を蝕んだ。
「おいおい。せめて100球、投げ終わるまでは頑張ってくれよー?」
「うるせー! うおりゃあああ!」
「そうそう、その調子」
かきーん。
「ぐっ……おおお!」
「ほい」
かーん。
「くそ! これなら……っ!」
「甘い、甘い」
かきーん。
「うぐ、はぁっ……はぁっ……」
激しく上下する肩。タクヤは膝に両手をあてがって、何とか体を支えていて。
「はぁ……はぁ……」
それでも視線を男から切らず、屈服を拒絶して。しかし、そんな精神論では打ち崩せない障害。その突破口すら、まるで見つけることができない壁。
「はぁっ……う、うごおおお!」
「お、中々いい球じゃん」
かーん。
「……ぐっ」
タクヤは苦しんでいた。
だが、それは彼に限ったことではなく。彼の仲間も、また。
「……うぐwww」
「どうした? 奥の手を出し渋っていると死ぬぞ?」
アオバがキモオタを追い詰めていて。
「ふぐうっ……うぅ!」
「ああ、やっと普通の人間らしい反応をしてくれましたね」
邪気眼の腹部には、深々とバスケットボールが。
「そうら!!!」
「……っ」
ばあんっ。道場ではコミュ障の体が、畳に叩きつけられる音が響き。
けれど。




