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妹が世界を征服したようです。 ~限定プリンは大事です!~  作者: 猫屋敷
第二章 激突! ハローワーク編!
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第15話

そうして俺達は。


「ここが入口か……」


 施設の裏手、地下へと続く通路を発見していて。


「おそらくそうでござるなwww」

「みたいだな」

「……あ、う」

「ああ、右眼が……うずく」


 ここにいるのは俺を合わせて五人。右からキモオタ、ロリコン、コミュ障、邪気眼という選りすぐりの人選。彼らは皆、施設から仲間全員を解放するという俺の我儘に賛同して集まってくれた馬鹿な奴らだ。


「タクヤー、気をつけてねー」


 隣でビッチがひらひらと手を振る。

 ハローワーク側には彼女から合同職業訓練という説明をしてもらっていた。だから2、3時間程度なら施設へ戻らなくても怪しまれることはないだろう。


「ビッチ、色々ありがとうな。ここを出たら二人でどっか甘いもんでも食べにいこう」

「え!? 本当に!? うれっ……うち! うれ! うれしーよー!」

「ああ、約束だ」


 俺はそう言って笑う。

 すると彼女は、「やっくそくー! やっくそくー!」と辺りを飛び跳ねて。


「では、行くでござるwww」

「おう!」


 地面に嵌められた鉄板を開けると、そこには長い梯子が。俺達はそれを伝って一斉に下へと降りた。


「何だ……ここは?」


 だだ広い空間に畳が敷き詰められて、天井にはいくつも照明器具が設置されている。


「まるで何かの武道場だな」


 ロリコンは部屋の様子を落ち着いて表した。後方の奴らは無言できょどるか、あるいはぶつぶつと意味不明の言葉を発しながら右手を抑えていて。


 そのときキモオタが指を差しながら言う。


「タクヤ殿www あそこを見るでござるwww」

「ん? 何だよ?」


 奴の指の先を追うと、ローブに包まれた謎の人影が。


「あれは……」

「どうやら一筋縄ではいかないようだ」

「うむwww」


 そしてその人物はゆっくりと部屋の中心へ進み。


「侵入者か、久しぶりだな」


 俺達の行く手に立ち塞がった。


「おそらく門番でござるよwww タクヤ氏www」

「門番?」

「奴を倒さなければ、地下の封印には辿り着けないということだ」

「……なるほどな」


 二人の説明を聞いて俺は目の前を見据える。謎の人物は俺達五人と相対しているというのにもかかわらず、全く臆することなく。いや、むしろその堂々とした立ち姿からは余裕すらうかがえて。


 ――手強そうだな……。


 ごくり、俺は生唾を呑み込んだ。


 そのとき。


「どうした? いつまで呆けている?」


 俺は獣が吠えたのかと。


「……っ」


 思わず身構える。それは突然こちらにぶつけられた強烈な殺気のせい。眼前の人物はぴくりとも動かず。動かないままに俺達を数歩分うしろへと後退りさせて。


「こいつは……」


 ――手強い、なんてもんじゃねえぞ。


 俺は戦慄した。


 そして。


「来ないのならこちらから行くぞ」


 人物はゆっくりと歩みを始め。


「やるしか……ねえのか!」


 事前に腰に着けていたポシェット、その中の在庫本に俺は手をかけて。


 だが。


「うおおおおおお!WWW」


 そこで怒声と共にキモオタが人物に掴みかかった。


「な……っ!」


 一気に混乱する空気。


 けれど奴は。


「拙者がこいつを抑えている内に皆は先に行くでござる!WWW」

「は!? 何だよ、それ!」

「拙者達に残された時間は無限ではないWWW ここで全員が足止めをくらうのは避けるべきでござるWWW」

「そんなっ! だからって……っ!」

「行くぞ」


 ロリコンが俺の肩を引く。


「いや! キモオタを見捨てることなんてできない!」

「馬鹿か! お前は!」


 胸倉を掴まれた。


「……!?」

「俺達が間に合わなかったら外で待ってるあの子も危ないんだぞ!」

「……っ!」


 その言葉で俺は思い至る。この作戦の失敗の責は自分達だけでなく、ビッチにも降りかかるということを。


「……ぐっ!」


 今は予期していなかった事態が進行しているのだ。門番に見つかったということは、俺達が地下へと侵入した事実がいずれ明るみに出るということで。そうなれば彼女に疑いの手が伸びるのは明白だ。つまり、思った以上に時間は残されていない。


 だから俺は。


「キモオタ!」


 キモオタの名を呼んで。


「心配ご無用WWW さっさと行くでござるWWW」

「……すまない」


 そして俺達はキモオタと人物の脇を駆け抜ける。また部屋を出る直前、こちらを向くキモオタの顔が見えて。


「必ず助けに戻ってくる、それまで……!」

「……」


 奴はいつものように笑っていた。何も案じず、強く。孤高の時代錯誤オールドボーイとして。


 だから俺は。俺はそこで言葉を切り。力の限り足を。通路の先に向けて。決して振り返らずに、ただ前へと。


「うおおお!!!」


 踏み出した。

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