群青色の空
Taskey様にて、中編化予定。
「いつか、この群青を統べる、空挺師になってやる」
と
毎日意気込んで告げる君
「君が何になろうと、僕は君のそばにいるよ」
と
プロポーズ紛いのこっ恥ずかしいことを言ってのけた僕
今となってはそれも良い笑い話さ
墓標に刻まれた存在になってしまった君と
墓標に記憶の片鱗を見出そうとした僕にとっては
夢を語る君と夢を語らない僕
変わりゆく情勢と変わらない友情
群青色の空に灼熱の戦禍
年月が幾星霜過ぎても
僕たちの関係は不変なのだと信じていた
名のある宗教のように
名もない信仰のように
その世界を崩したのは
ただ一発の弾丸と悪意
鮮血が中空を舞う
僕の力無い指先から零れ落ちたものは
君の夢と人間の体温
一瞬の出来事に呼吸が詰まる
目の前で起こっていること
これは一体何なんだ?
目線を上げて見たものは
空挺に乗る悪党と
何も変わらない群青色の空
彷徨する
彷徨する
彷徨する
誰もが君を忘れてしまった
君のいない世界には
星屑一つ分の価値だってない
目的と目標を語らぬ屍
夢も希望も無いに等しい生ける死者
慟哭は群青色の空に吸い込まれた
咆哮する
彷徨する
咆哮する
誰も空賊を裁かないならば
誰も君の死を悼まないならば
僕が彼らに裁定を下そう
群青を統べることはできないけれど
君の夢を代りに叶えることはできないけれど
君の仇をとることは簡単だ
咆哮する
咆哮する
咆哮する
君を弑した空賊が憎い
君を奪ったあの空が憎い
君が居なくなっても何一つ変わらない群青が憎いのだと
君を救えなかった自分が許せない
君が夢を叶えられなかったことが遣る瀬無い
僕の世界が終焉ってしまったことが赦せないのだと
空挺という飛行ユニットに乗って空を舞いたかった少女と、
その少女が空賊という無法者に殺されたので少女の仇をとるために
空挺を駆って大空を舞う覚悟をした少年の話。
それと何も変わらない群青色の空。