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卵の夢
億万の可能性を秘めた卵たちの声が聞こえる。
「世界はこの中よりは広いのだろうか」
「全ての分化を終えた時、僕は完全になっているだろうか」
「この防護壁から出て、大人になった時に、僕は変わらずにこの河を憶えているのだろうか」
「殺されやしないか」
「喰われやしないか」
「今この瞬間にもこの思考が侵されはしないか」
「卵の中はこんなに窮屈だ」
「昔はまだ細胞が少なかったな」
「鶏が先か卵が先かなんて、僕らにとっちゃどうでもいい話だよ」
「生存確率とか平均寿命とか主要死因とかを知りたいですね」
「次の卵を創れるのだろうか」
「自然は僕たちに優しいのかな」
「願わくば」
「この一生を全うし」
「次の生命の輪へと」
「繋いでいきたい」
卵たちが生まれるのはもうすぐだ。
半熟卵が好きだ。




