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赤茶けた大地

ジェイルランドの土壌は、肥沃度が低く、農作物が育たない「死の大地」とされていた。



当時の学者は揃って農作物の栽培は不可能であると主張し、食糧は輸入に頼らざるを得ないとされた。





ただ一人の男を除いて。







ジェイルランドという名前は、もともと此処が流刑地であったことに由来する。



太陽は大地を灼き、雨は滅多に降らず、植物はほとんど育たない。



罪人を流すには格好の土地であるとされた。






時は流れ、流された罪人たちが独立宣言をし、ジェイルランドが一国として国際社会に迎えられたものの、内情は惨憺たるものだった。




食糧自給率は一割をきり、


風土病や医療が未発達なために発症する感染症が蔓延し、


外資系企業とジェイルランド高官との癒着など問題は山積しており、政治学者などはジェイルランドは10年以内に崩壊するのではないのかと考えていた。





そんな中、ある男がジェイルランドの土壌調査に乗り出した。



彼の名はジェイムズ・ロウ・ヨウエン。地質学者である。




彼は、食糧自給率の低さ、作物が育たないジェイルランドの土壌を改善することからこの国を変えようと考えていた。





ジェイルランドの土壌は非常に赤に近い色をしている。



これは、土壌に含まれる酸化鉄の量が多いために起こる現象で、作物を育てるのには適していない。




彼は土壌の改良を開始するため、ドラゴン・プラント、通称「万能植物」の導入を決めた。




ドラゴン・プラントは、理論上どのような土壌でも育つとされる多年生の植物である。



また、ドラゴン・プラントは葉が非常に細いため、蒸散量が非常に少なく、雨があまり降らない土地でも育つのである。強い日光下でも問題なく光合成を行うという点も高く評価され、「真の疾風勁草」とまで言われていた。



ジェイムズは同時に、ドラゴン・プラントの根が持つ特徴に着目した。



ドラゴン・プラントの根にはマメ科の植物が持つ根粒菌に似た性質を持つ細菌が存在していた。



その細菌を使用して土壌を変えようとしたのである。






* * * * * *




当初、彼の行動は誰も評価しなかった。


誰もジェイルランドの土壌を改善できるとは思っていなかった。



しかし、ジェイムズは周りの意見を全く無視してドラゴン・プラントを育てるのに勤しんだ。




最初にドラゴン・プラントを植えた年はそこまでの変化はみられなかったが、5年、10年と過ぎていくにつれ、土壌は少しずつ改善されていった。




土壌を改善する傍ら、ジェイムズはジェイルランドの国民でも育てられる作物をピックアップしていた。




土壌が目に見えて改善される頃には、国内外で彼の「偉業」が取り上げられるようになっていた。



* * * * * *



赤茶色の大地に最初の作物がなる頃、ジェイムズは70歳になっていた。



その頃にはジェイルランドの土壌は改善が進み、食糧自給率の向上が予測されていた。




平均寿命が50.2歳であるジェイルランドではあったが、ジェイムズはそれを20歳も上回り、土壌と農業の改善に貢献した。




彼の業績が国際的に認められ、国内でも彼を農業担当大臣に推す声が増えてくるようになった。



しかし、農業担当大臣任命の報を伝えられたとき、ジェイムズは息を引き取っていた。






ジェイルランドでは彼の死を悼むとともに、国を挙げて彼の「偉業」を継続した。




彼の死後100年経つ今では、ジェイルランドは大陸随一の農業国となっている。



・・・・・・今日は本当にネタが出ず、「プロジェクトX」風の文章を目指して挫折した。



茶色系統はあまり考えていないので、ここ数日は苦闘する可能性がある。

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