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灰緑の幻影

Taskeyに移植。長編化予定。



Taskeyの方で「異端者」シリーズ化。

「・・・よくもまあ、「異端者(エレティコス)」風情が密林でのゲリラ戦向けの装備を集めたもんだ」



そう呟くのは、俺の目の前に立つ大佐(カーネル)



「・・・そう思わないか?大尉(キャプテン)


俺は敬礼を解かないまま、



「本官もそれに同意します、大佐(カーネル)


そう、士官学校仕込みの模範解答を返しておく。



ここは旧人類が新たに開拓した後、「異端者(エレティコス)」という人間とは似ても似つかぬ種類の二足歩行動物に乗っ取られた惑星ジェネシス。



現在、俺たちはその惑星の奪還作戦を遂行している。



惑星ジェネシスは地球(オリジン・アース)赤道直下(エクエーター)のような気候・風土であり、旧人類にとって最も重要であった資源・石油だとか、金などの貴金属、レアメタルと当時呼ばれていた貴重な加工金属が豊富にとれる惑星だ。



まだ惑星自体も進化の途中であったようで、四足歩行の大型草食動物たちが悠々と闊歩しており、自然も豊かなままである。



惑星自体が地球(オリジン・アース)に比較すると小さかったため、そこに移住する旧人類も少なかった。それ故に少数の「異端者(エレティコス)」でも難なく制圧することが出来たのだろうと考えられている。




作戦はこうだ。俺が所属する軍隊:惑星間新人類連合軍の第17分隊特殊作戦遂行部隊が惑星の各地にある「異端者(エレティコス)」が作った制御装置を破壊、惑星中心部にある「異端者(エレティコス)」の居住地を制圧、「異端者(エレティコス)」を拘束、無力化し、惑星維持機構(PKO)の連中に引き渡す。



大佐(カーネル)が立てた作戦であるので、我々に拒否権はない。



任務遂行、ただそれだけだ。




この作戦を知らされたのが2週間前、部隊の人間と顔合わせをしたのが5日前。




そして、数時間前になって、「異端者(エレティコス)」がこのリオネル大密林に大量のゲリラ戦用武器・兵器を用意して待ち伏せて(アンブッシュして)いたことが、探索チームの調査で分かった。何でも、サーモグラフの反応が多数感知されたらしい。




俺の役目は、部隊の他の人間が制御装置を破壊する間、大佐(カーネル)を護衛しつつ兵器を大佐と共に無力化すること、だった。





* * * * * *




「・・・にわか雨(スコール)が降り出してきたな。・・・これで「異端者(エレティコス)」達の視界が遮られればよいのだが」



大佐(カーネル)が呟く。



強化ケイ素防弾防塵ガラスの向こうは、10mも見渡せないほどの雨が横殴りで振り続けていた。



特殊部隊上がりの曹長(マスター・サージェント)達はこの雨の中上手く制御装置を破壊できているのだろうか。






程なくして、大佐(カーネル)の近くにある通信機が鳴った。


「こちら、リオネル1」


俺が通信機を作動させると、大佐(カーネル)と俺の居る作戦室の大画面にリオネル大密林のどこかの映像が映し出された。 


横殴りの雨の中、数時間前に分かれた曹長(マスター・サージェント)の一人が一礼する。



「こちらリオネル3。制御装置を破壊しました」



「うむ、ご苦労。周辺の「異端者(エレティコス)」に気を付けて、司令部まで帰還せよ」


大佐(カーネル)が満足そうに頷いた。



通信が遮断された。



* * * * * *



その後、他の曹長(マスター・サージェント)達からも報告がなされ、全ての制御装置が破壊されたということが、成層圏外から確認していた探索チームからの連絡によって知らされた。




「・・・大尉(キャプテン)曹長(マスター・サージェント)達がこの基地に帰還次第、「異端者(エレティコス)」居住区域に突入するぞ。・・・装備を整えておくように」



「Sir,Yes,Sir」


対「異端者(エレティコス)」制圧用装備を手際よく身に着ける。



しばらくして、曹長(マスター・サージェント)達も誰一人欠けることなく帰還した。



「それでは、惑星ジェネシスの中心部、「異端者(エレティコス)」居住区域へと進軍する」



大佐(カーネル)の言葉に全員で敬礼を返す。




「・・・この惑星制御装置の駆動及び今回の戦闘の「異端者(エレティコス)」側の指揮官は彼らの内では「電脳神(Deus Ex Machina)」と呼ばれているらしいな」



大佐(カーネル)の話を無言で聞く俺たち。




「その指揮官を打ち負かしたとなれば、我々は「神殺し(Longinus)」となるんだろうかね?」



大佐(カーネル)の笑えない軽口にも一応無言で返しておいた。




先頭きって未だに雨の止まない中、大佐が特殊部隊用四輪駆動車に乗り込む。



「さあ、皆最後の仕上げだ。ついてき――――――――――――――――――――











四輪駆動車の突然の暴走。






大佐(カーネル)を乗せた四輪駆動車は右へ左へと荒くれた馬のように走り、最後には物凄い勢いで木々にぶつかり停車した。




・・・幸いなことに、雨が強い所為か旧燃料(ガソリン)に引火することは無かったようだ。






「任務完了、皆、ありがとう」



俺の言葉に周囲に立っていた曹長(マスター・サージェント)は敬礼を返した。






「今回の作戦も、上手くいきましたね「電脳神(Deus Ex Machina)」」



「皆の御陰だ」



曹長(マスター・サージェント)――――――――――否、俺の仲間たちが俺の肩を叩く。



「毎度毎度大胆なこと考えますよね~」


「自分が作った機械もどきを仲間に壊させて、新人類側に渡る映像は全て嘘で、更に腹心として潜ってんですからね~。仕上げは四輪駆動車の命令系統にハッキングして暴走させてますから!」




「ま、悪知恵が働いたってことだよ。あとは、俺の開発した演算装置が新人類(ヤツら)のものより優れていたってことかな」



俺は灰緑色の軍支給服を脱いだ。・・・こんな色だから俺たち「異端者(エレティコス)」の髪の色が誤魔化せるんだよ、と脳内で笑う。



「ドヤ顔で言っちゃう?」


仲間――――――――――「異端者(エレティコス)」達の茶化す声。



「うそうそ。皆の御陰だよ。次の働きも期待している」



「Yes,Sir!!」



「深緑の侵略」


の続編的な何か。



惑星維持機構=Planet Keep Organizationの略。

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