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勇者と魔王 真の勇者

一方、臨時作戦本部では

「指令代理、何処へ?」

「例の場所だ『指令代理代理』、後は任せたぞ。」

「はっ、了解しました。後はお任せ下さい。閣下もご武運を。」


透流は一人地下に向かい、限られた関係者しか持てないカードキーを通し開いたドアに入る。

厳重に保管されていたそれは、

対『魔王』級個人用武装試作壱号『蒼の衝撃』。

多大な資金をかけこの国にも存在する魔王級を倒すために開発された試運転さえされていない試作型実験機の装備一式。

それはこの時代では使われなくなった戦い方。

兵器ではなくの人間が武器を持って戦う完全に時代遅れの戦い方だった。


「征くぞ、隼人。この国の平和は俺達に任せろ。」

伊佐美 透流。彼こそがこの時代の勇者だった。


『蒼の衝撃』扶桑帝国が極秘開発した空戦用固有武装の実験機。

その最大の能力は直接体の数か所に食い込んだケーブルを通して脳波と直結し、

機械、人体相互の能力を互いに補完強化することで手足のように制御することができる高い操作性である。

ただし、これは試作品であり誰もが使えるようにはセッティングされておらず

当初はAIを積んだ人型の機械素体を使用することを前提としていたため人が通常耐えられないような速度、

火力が使用できるようになっている。


モンスターの因子を人体に組み込み融合することを選んだ同盟国ブリタニアとは違い、

扶桑帝国は機械と人との融合を模索したのだ。


主武装は次世代の技術を集結させられた現時点最強の兵器。


技術大国扶桑が最強の個人兵装その最大の欠陥は人が戦う道具としての武器ではない、

兵器の人工知能の補佐として人が使われるという点にある。意思が弱いものは完全に飲み込まれてしまう。

伝達速度を限りなく零にしようとしたという名目で狂気の科学者が作り出した彼以外には作り変えられないブラックボックスに組み込まれた悪意。

その作用は星の意思に呑みこまれた『星の使徒』化や『天上の音色による音の支配』とほぼ同じものである。

意思が弱い者の完全な自意識の消滅、この点が使用を戸惑わせる最大の問題点になっていた。


しかし、彼には関係ない。その力、いやその意思で未来を護るもの、そう、彼は伊佐美 透流は『勇者』なのだ。


『まつろわざるもの』の住処で発見されたという、超高反響素材で構成された、両腕のガンブレード。

超高速電子加速物理弾単装砲『アマノハバヤ』、超高効率即時分子分離剣『アマノハバキリ』。

そして、音速飛行とそれに伴う人体への不要な影響をカットし、

脳波により直接管制システムと接続する通信システム及び強制的に装着した人体の脳内クロックを加速させる『アマノハゴロモ』の3武装で構成されている。

その基本骨子はある科学者があるとき急に何かに憑かれたように設計し始めたものだと言われている。

彼に取り憑いていたものは何かの意思、言い換えれば魔を滅さんとする何者かの意思が創った現代の神器なのである。


人には過ぎる制御不能の人造神器であるが、彼ならばそれを身にまとう資格がある。

なぜならば彼こそがこの時代の『勇者』なのだからだ。


身体に蛇のように襲い掛かり突き刺さるケーブルの痛みを無視し彼は征く。

「伊佐美 透流出撃する。」

一瞬彼の足が宙に浮かんだかと思うと次の瞬間には音速に達していた。

「コイツは使いにくいな。」

彼は飛行しながらAIの細かい操作設定変更を行う。


AIの操作に入るとサポート用の疑似人格プログラムが起動した。

「READY FOR CONVERT 操作説明を行いますか?」

童話の山猫のレストランのように慇懃な言葉でありながらその無垢な悪意が装着者である透流の意識を奪わんとかかる。

「いや、いい。資料にはすべて目を通した。命令はただ一つ。―――黙って俺に従え。」

しかし彼は機械程度の意思など強引にその遺志でねじ伏せる。

「YES MY MASTER」

世界の怨敵と戦うのは機械程度の意思ではなく人の意思なのだ。

透流は更に速度を上げ魔王ベル・アルモニカへと向かう。

勇者→勇→いさみ→伊佐美

真→TRUE→とぅるー→透流

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