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勇者と魔王 魔王襲来

帝国歴 2214年

扶桑帝国 空軍第二研究所 指令室



――緊急体制、緊急体制、直ちに全隊員は第甲種緊急警戒体制に移行してください。

繰り返します。これは訓練ではありません、全隊員は速やかに非常体制に移行してください。

本来は後方から戦闘する者のサポートをする技術畑の者が多くいる筈の基地にアラートが響き渡る


時は120秒前に巻き戻る。



「既に対象は予備安全圏内を突破、絶対安全領域突破まで十分以内です。」

「馬鹿なっ、観測されたのはつい2、3分前の話じゃないのか?…対象は音速を超えていると?…冗談だろう。」

「えぇ、その冗談が事実です。」

「他国の高速戦闘機か?全く人同士で争っている場合ではないだろうに…。」

「だったらどんなによかったことですか。現実に向き合いたくない気持ちもわかりますが閣下は司令官です。現実をお受け止め下さい。」

「……すまない、取り乱していた。…すまないな。」

「いえ、私は閣下の補佐官ですから。」

「…ありがとう。……対象についてわかっていることは?」


「恐らくはその特徴から『天奏高山帯』の『天上の音色』かと思われます。」

「魔王っっ!?くそっ、『まつろわざるもの』の封印システムはまだ解析できていないというのに…

いや、まずは現状打破が第一だな。緊急体制(スクランブル)に今すぐ移行するっ!!」

「了解しました。」

「『大いなる守護の(エイジス)』システムが突破されるのも時間の問題か…時間稼ぎにすらない可能性もある。

皆頼んだぞ、人の歴史を最後に護れるのは我々人自身だけだ。」










通路にて  

航空隊隊長 西風(ならい) 隼人(はやと)   技術部長 伊佐美(いさみ) 透流(とおる)

「おい隼人」

「なんだよ透流、今の放送聴こえただろ俺急がなきゃ。隊長だし。」

「そんなことはわかっている。今回は冗談抜きで危険だ。―――――死ぬなよ。」

「ったりまえだろ。それよりお前もしっかりな。」

「誰に言っている。」

「『アレ』が完成していればなぁ。」

「『アレ』はまだ使用できるものではない。」

「まぁ俺の愛機も部下も整備員も、何より俺が最強だから大丈夫だって。」

「過信はするな。…由美(ゆみ)を未亡人にしたら承知しないからな。」

「あれ?その話したっけ?」

「由美に告白した日にお前が好きだからゴメンと言われた。まさかその後進展は無かったのか?」

「そう言えば3日前にプロポーズした。」

「……結婚式では俺に挨拶させろ。」

「わかった、わかった。」

「絶対だぞ。」

「安心しろ、俺は約束は破ったことはねぇよ。」



小さなころから隼人は約束を守る男であった。

中等学校学生の時に透流が転校することになった際、必ず見送りに来ると約束していたが

その数日前に隼人は大怪我をしてしまい入院していた。

透流は当然隼人が来れないと思っていたが彼は来たのだ。怪我を押して病院を抜け出して。

そして二人は軍で再び出会う。エースパイロットと高級将校として。






透流は頭を指さしながら、

「どうやって戦えばあの化け物を討伐できるか、俺たちはここを使って戦う。

いかに戦えば最大限の効率を引き出せるかそれを計算し続ける。互いの戦場で頑張ろう。」

そう言って笑う。

「あぁサポートは任せたぜっ」

隼人は透流と拳をぶつけるとそのまま愛機の格納されている場所に走っていった。

「隼人…。」

『大いなる守護の(エイジス)』システム

完全無人の攻勢防御システム

第一陣をセンサーに触れたものに自動攻撃するシステムで、

第二陣として扶桑帝国が得意とするバリアーで覆いそのバリアーに触れたものに強烈なダメージを与える

二段構えの絶対防護システム。

十年前に完成したが、実運用はここ最近になってから。

独立したエネルギー供給源を持っており、扶桑帝国全体を覆っている。

欠点は穴があけられた際にはバリアーはシャボン玉のように割れてしまう。

元の技術は人魚の国から提供された。

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