天奏高山帯奏話 第1音
それは黙示録の角笛
母と妹からこの世界における名を得て、ベル・アルモニカはその存在を確立した。
その名は偶然にも前世の名前と重なっていた。でも多分妹の方は確信犯だ。
しかし割と自分の事には鈍感なベルはそこまではたぶん気が付いていない。
また、ムリダスとの戦闘を経て、ベルは新たなる姿、
セブンスコードホーンフライに進化した。
ベルは極東自慢の温泉につかってさっぱりしたあと天奏高山帯に帰り再び人類種の厄災となる。
他の魔王級と比べれば、眷属等の数や縄張りの範囲等から人を殺すことは少ないようだが、
ある意味、『音』そのものが眷属であり縄張りであるため
その音色を聞いたものは支配下に置くこともできる事を考えれば、
現状血のつながった個体がいないことはそこまで人類種の救いにはならなく、
ただ人類が楽観的なのか都合の悪いところに気付かないようにしているかのいずれかである。
今日も天奏高山帯に住む人々は操られていないにもかかわらず、
何の恩恵ももたらさない厄災であるはずの存在であることを理解しておきながらも、
自ら奴隷のように信徒のようにベル・アルモニカを畏れていた。
悪魔か天使かといえば人類からすれば間違いなく悪魔側に近いはずの性質であるにもかかわらず、
天使とも呼んだのは人類たちの自己欺瞞ともいえるのではないだろうか。
かつて一人の青年がこの地で支配された偽りの平和に異を唱え、反逆の狼煙をあげようとしたが、
報復を恐れた周囲の者達の猛烈な反対により家族諸共惨殺された。
そのこと自体と、その後しばらくして空が震え集落の一部が一夜にして破壊し尽くされ恐怖した者達が、
『天上の音色』に対する不接触を不文律としたことにより、
天奏高山帯からそれ以降『勇者』がうまれる可能性は著しく下がった。
実際にはベルは待っていたのだ
己を倒しに来る『勇者』を。人が限界を超えて自らを越えんとするのを。
理由はただの暇つぶしだ。そういうのも少し面白いかもしれないと考えただけで、
そんなに強い破滅願望があるわけではない。あくまで余興なのだ。
そんな暇つぶしが生まれるかもしれない中自らそれを潰した人間たちに制裁を下したのだが、
却ってそれが裏目に出て天奏高山帯での勇者の発生率が著しく下がってしまった。
『ド』それは弩。大気の振動が悉くを破壊し地獄を顕現させる。




