第62話 2ON2
そんなムリダスの成虫体を目にしスセリは、
「っマズいわね。ちょっとあんたさっきのは撤回するわ。今だけ協力してあげるわ。」
なんとまぁ上から目線ではあるが、
プライドの塊のような蜂族の女王が助けを、それも他種に求めるなんて前代未聞だ。
一方ベルはこの申し出にちょっとハッピーになっていた。
以前の時はスセリと一緒に狩りに行ったことは無かったからだ。
ようやく共同作業ができる。となんかとってもハッピーだった。
「ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ。是こそが究極完全体コズミックホラーモスじゃ。
拙者の勝ちも決まりじゃなひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ~。
―――――――――ではいくぞい。」
そういってその翅を伸ばし羽ばたこうとするが、ぶにょぶにょと膨らんだ身体を持ち上げるには至らない。
仕方がないので脚から触手を伸ばし蛸のように体を支えて浮き上がった。
「なにあれ、だっさー。」
「えぇ、センスの欠片もありませんわ。」
そういって哂う2匹に対し、
「年寄りを馬鹿にする出ないぞ。是でも昔はモテモテじゃったんじゃぞ。」
今は老け顔の餓鬼みたいな実年齢状況ではあるがそんな突込みをする者はいなかった。
再び混沌とした力が周囲一帯を弾き飛ばしたからだ。
それも先程までとは段違いの威力で、だ。
しかし、スセリの精神は『反逆』。吹き飛ばされてもコートの中では平気な気丈な乙女なのだ。
大ダメージを喰らった身体に鞭をうって再びムリダスにその針を刺す。
先程より深く針がムリダスの体を刺し抜いた。
成虫になった直後で体の強度が完成してないのだ。
その直後すぐ再生した肉で傷は塞がったが。
「いけるっいけるわっ。」
「何故かはわかりませんが、チャンス到来、ですわね。」
「いい?作戦はこう。あいつの一か所に的を絞ってひたすら攻撃をブチ込み続ける。息絶えるまでね。」
「わかりましたわ。」
そういって2匹は襲い掛かる触手を躱しながら攻撃を一点に叩きこみ続ける。
時折定期的に混沌の暴虐が2匹を襲いかかるがどうやら、連発はできないようだ。
できるのならやっているはずなのだ。
しかし2匹が吹き飛ばされている間に傷口はもう塞がりきっている。
ムリダスが成虫になってからは防御だけでなく防音性能も落ちているのか、ベルの音の刃もダメージソースになっている。
むしろ音の性質たる多重性が高速で回復しているムリダスの体に有効で、
ベルがあと数匹いれば勝てるかもしれないというような状態である。
しかし、ほんの少しずつではあるがムリダスの体が完成してきているために攻撃が通りにくくなってきていることを2匹は気付き始めていた。
「だんだん効きづらくなってきていますわね。」
「時間との勝負ってことね。あんたもうちょっと私に合わせなさい。無駄な攻撃が多すぎるわ。」
「努力はしてるのですが…。」
「なによ、このスセリ様に口答えするつもり?」
「…更に努力はしますわ。」
ベルはスセリに言われても反発することなくその通り合わせようとしていた。
しかし、いくら2匹のコンビネーションが高くても、
「「拙者たちは文字通り一心同体。お主らのコンビの遥か上を行くわい。」」
そう、決して超えることはできないのはしょうがないことなのだ。




