第61話 加速する世界
「そのっ………『力』はっ……」
しまった、やってしまいましたわ。と、ベルは心底後悔した。
「…………………………私の姉と同じ力を持つものもいたのね。
姉以外にそこまでの『音』の使い手初めて見たわ。案外いるのかしらね?音使い。」
よかったですわ。なんかよくわからないけどよかったですわ。と、
『ベル』殺しの罪を着せられなかったことにベルは安堵した。
しかし、安堵してばかりなどいられない。ただでさえ不利な状況なのに状況はさらに悪化した。
急激に加速し続けているムリダスの肉体が、遂にある段階にまで到達したのだ。
「ふほほふぉふぉふぉ~い。キタキター。今こそ、加速、加速、急加速じゃいっ。」
そういって改蠱蟲は糸を吐き繭に入ったのだ。
蛹になる。蜂として過ごし、その意味が解らぬ2匹ではない。
蛹になるということは羽化を迎えるということだ。
「このスセリ様を前にして蛹になるなんていい度胸ね。湯がいてその繭剥ぎ取ってやろうかしら。」
そういって再びスセリは地面に針を突き刺すと地下から水が噴き出す。
いや、水というには液体の形をしていない。超高温の蒸気だ。細かい蒸気で繭の中まで浸透させ虫焼きにするつもりだ。
先程と違い蛹では打ち消すこともできない。
これで終わりかと思ったとき、わずか数分もかからぬ時間でムリダスは羽化してしまったのだ。
コズミックホラーモス 世界を恐怖に陥れる悍ましき界蠱である。




