第58話 懐古厨
「せっかくだから呼び出してくれたこの男の願いを聞いてやろうじゃないか。全く拙者は優しいのう。」
その後ミダス7割ムリャシュゲ3割提供でお送りされた陰陽師惨殺事件は、
まだ蚕の幼虫が素体であるにすぎないからだであったことを忘れ、
当初から式神による返り討ちに会いそうになったので、巨大化し、己の肉体を作り変え、手足をさらに増やし、
全身から触手を生やし、己の体重で体が変形するほど柔らかく、柔らかいだけでなく丈夫な体に作り替え、
頭も二つに増やし脚という脚の裏側に細かな消化腺を作り、表面の人面痣をより立体的に浮き上がらせ、
食べた人間の手を体中の触手の隙間から生やし、
舌を増やし、更に舌の先から多くの舌を生やし先端に眼を多く作り、もう一度巨大化し、
最後に腹の裏に巨大な口を作った。
その代償として非常に特殊な仕組みで蘇生できるムリャシュゲの持っていた複数のスキルを犠牲にし、
二度と蘇生も汚染領域にも行くことができない、死ねば消滅する身体となったが、
「「ならば拙者が生き続けていればいいだけの話じゃろうて。」」
二匹はそう結論付けた。
都は放棄され、魑魅魍魎の住まう魔都と化した。
己の王国を拡大せんと周囲のモンスター達を従わせるか文字通り己の一部にするか選ばせた。
当然言葉の通じない種族の方が多く、大抵のモンスターは今ムリダスの体から生えている。
時折その身体がちぎれ落ち、元の形に似たしかしムリダスと同じ体を持ったものや、
スライム状やミミズ状のように無理やり形を何とか保っているといっていいような眷属として
魔都を徘徊させていた。
あるとき、怪蠱虫は改蠱蟲という、
見た目だけじゃなく名前までごちゃごちゃした存在に進化してから、
ちょくちょく遠くまで支配地を広げんと遠征に出ていたが、
今回は今までで一番魔都から離れた島に来た。
「もうそろそろいい時期じゃなぁ。拙者の力をあの生意気な小娘に見せてやろうかのう。」
決着をつけることにしたのだ。




