第52話 (変態)紳士的な武士
変なやつが蘇生してから数ヶ月後、あっという間にその地域に住んでいた爬虫類人の集落の一つが陥落した。
ギガースプロウラを発見した村の蛮勇な戦士が攻撃を仕掛けあっさり殺され、
爬虫類人の匂いを辿って辿り居ついた集落中の者が殺されてしまったのだ。
そう、このインチキ侍な古代昆虫は臭いフェチなのだ。
「ふほほーい、弱い、弱いでござるよー。拙者に勝つには1億年ほど研鑽が足りんでござるよー。」
そんな変態になすすべもなくやられてしまうあたり、人とモンスターの垣根は大きい。
村中の爬虫類人は全て挽肉になっていた。
まぁそんな感じでギガースプロウラもといムリャシュゲは結構強かった。
何せ、あのミダスの2代前の『暴食』の魔王であった男なのだ。
大罪の性質上、殺されて奪われた以上はもう現世に蘇っても所持しえないが、
それでも魔王に至っただけでもその実力は十分に過ぎるものであろう。
「は~ん、この蜥蜴人共の肉は思ったよりは臭みがないでござる。結構でござる。」
食事は匂いが大事というのが、このムリャシュゲの持論だった。
基本的に匂いで世界をかぎ分けられる嗅覚版アブソリュートソルフェージュみたいなレベルではなく、
あくまでフェチの域を超えるものではないが。
まぁそんな匂いフェチなオスが虫的に結構いい香りを放つ天然香水少女的なベルを嗅ぎ付けるまでにそう時間は関わらなかった。
サララ平原やその近くの雨季の森から遠くにまで住処を変えてみようとしたベルは結構飛んで海を渡るくらい飛んだ後、
超高山帯マースピースにやってきた。
「風が気持ちよくて結構いいところですわね。ここは。」
そうやってお嬢様然として佇んでいたベルの所に突然声がかかった。
「ひゃほほ~い、そこのいい香りのする御嬢さん、しばし拙者とお話でもいかがでござるか?」




