第27話 断罪の『時』
レッドドラゴンが闊歩する霧に覆われた土地にベルはやってきた。思わず
紅茶が飲みたいネーなんて怪しげな片言でいいたくなる何とも言えぬ紳士的な風土である。
まだヒトは原始人から抜け出た直後のような原始社会で、とてもじゃないが紅茶を楽しんだりはできないだろうが。
さて、ベルがこの霧の土地に来たのは紅茶を楽しみに来たわけでもスコーンを食べに来たわけでもない。
そもそも、そんな物作る奴がいない。いくら紳士の国でも石器時代から紳士だったわけじゃない。……多分。
彼らの紳士力なら嘘とも言い切れないが。まぁ冗談はともかく、
彼女は止まった妹の時間を取り戻しに、平たく言えばミダスを殺しに来たのだ。
ミダスが見つからない苛立ちを抑えきれずに音の刃を纏った腕でレッドドラゴンを切り裂く。
首から血を吹きだしながら絶命し地響きを立てて倒れた。
かつては苦戦したベルであったが今は違う。なんかもう負ける気がしないモードだ。
とにかくミダスを見つけ出し殺す。見つからなかったら次の場所へ、そう思っていた時であった。
「なんじゃなんじゃ、うるさいのぉ」
探し物は見つかった。
「お会いできてうれしいですわ。」
「フォッフォーっ!?」
「忘れたとは言わせませんわ。」
「お主のようなかわいこちゃんわしゃしらーんぞっわしゃしらーんぞっっ♪」
「………誤魔化すのが下手なのにもほどがありますわ…。」
「……そう…じゃったの…か」
「……ネタじゃ無かったことに驚きですわ。
―――取り敢えず要件はわかっていますわね。」
「いやぁ、こんなかわいこちゃんが会いに来てくれるなんてワシにも初めての春が…」
「まだそのネタ引っ張りますのっ!?……あぁそうやって時間を稼ぎながら逃げる算段をしてるのですね?」
「バレた……じゃとっ!?」
「貴方のような老虫と長々話に付き合う程わたくし優しくはありませんから、そろそろ
―――――死になさい。」
ベルはヴァイオリンの弓の様な右の前脚をミダスに向けるとその老い先短いようで大概にしぶとい一生に幕を下ろすことを宣言した。




