外伝 天の音 その2
魚人風人魚系国家エラインダー。
この国の底辺動物はエオマイアなど哺乳類ではなく、
ある昆虫系モンスターであった。
チャレンジャーメクラチビゴミムシ RANK F-
ランクにして能力がF------程度とされるエラバレターではなく、
他の人種であれば鉄パイプで戦える程度のモンスターだ。
名前が長いのでCMCと呼ばれる。
他の昆虫系モンスターからも昆虫族の恥晒しとして、
見下されたり、無視されたりしている(虫だけに。)。
この地域にはまともなモンスターがいないというわけではないが、
この地域には大陸中から他の地域では弱すぎて生きていけなかったモンスター達が逃げてきたりして、
弱者が過ごしやすいある意味楽園のような状況が出来ていた。
この国に住む人種が無能、脆弱なエラバレターでなければきっとモンスター達を討ち倒し、
繁栄していたことだろう。
しかしエラバレター達も武器を開発していけば戦力を増すことができる。
特に火薬を使ったものはいい。近接戦闘や戦闘術式に比べ、
個人の才能に左右されることが無いからだ。
………それでも暴発することは多々あったが。
だが、それでも、それでも戦況は一気に優位になった。
他の国から銃火器の技術提供を受け、
しかし元々自分たちの国で開発した技術だとしてライセンス料の支払いを断り、
外国の技術者に引き上げられ、自分たちで開発する羽目になったインチキ銃でも、
それでも何とか戦況を優位に持って行けたのは、火薬の有効性と、
外国が置いていってくれた(置いていかせたともいう。)技術の完成度、
そして扶桑帝国の軍人に教授を受けたエラバレター達の将軍であった
オ・スシンの比較的マシな働きにより、
CMC達はエラバレター達の食料に成り下がった。
エラバレター達はCMCの持つ『虚構の自分』を手に入れたものも発生し始め、
そのスキルを手に入れたものは其れなりには美しい人魚系の姿となり、
そのスキルを持っておらず醜いままの者達を差別し、苛め抜き、
そのスキルを持つものだけが繁栄し、そのスキルを子孫たちに残していった。
一方、CMCやスキルが肌に合わなかったエラバレター達は、
扶桑帝国に逃げ込んで、CMCは上位亜種
ザ・ニッチ・チャレンジャーメクラチビゴミムシ(通称ZCMC) RANK F
に進化し増えていった。
扶桑帝国に逃げ込んだエラバレター達はエラバレテナイーという別称で本国の者達から呼ばれ、
エラバレテナイー達はエラバレター達こそがエラバレテナイーと呼んだ。
まぁ、扶桑帝国で増えすぎた上に横暴が過ぎたので人魚系を中心とした扶桑帝国民に、
皆エラインダーにZCMCごと送り返された。
エラインダーでは性能が若干マシになったZCMCと数に勝るCMCの抗争が引き起こされ、
エラバレターとエラバレテナイーの真・エラバレター決定戦による内紛と、
対処容易なCMCを強化されたZCMCにして送り返されたことで扶桑帝国に対する怒りを増していっていた。
そんなエラインダーに転生者たるCMCが誕生する。
転生者CMCの名はウリニダ。元は自称IQ180の人間だった。
ウリニダはCMCの一部を統率し(全部の統率には失敗した)、
エラバレターの代表と意思を疎通し、密約を交わした。
そして遂にCMCとエラバレターの人間&モンスター連合軍が扶桑帝国に侵攻を開始した。
CMCはエラバレターの中の『虚構の自分』を共通項として、
扶桑帝国から盗み出した共通文化、思考によるミドルウェアのシステムを応用して融合し、
チャレンジャーメクラチビゴミムシユナイテッドヒューマン(CMCH)に強化された。
人の知能と虫の力を併せ持つCMCHはまず最初に兵士に融合を命じながら、
自分はより醜くなりたくないと言っていたエラバレターの代表を殺害した。
そしてウリニダが全権力を握り対扶桑帝国戦を開始したのだ。
扶桑帝国からせしめた技術を使えるだけ使い、
退化した翅を飛行が辛うじてできない程度までに引き上げ、
更に補助器具を使って飛行を可能にした。
結局は大半が輸送機で移動する為あまり意味は無かったが。
全勢力が海上を輸送機で飛んでいく。
途中設計不良と組み立て不良により戦わずして次々と輸送機が墜落し、
仲間たちが散っていくがそれでもCMCHたちは止まらない。
これも全て扶桑帝国が悪い。
そう、思い込んでいるからだ。
一方、CMCHが扶桑帝国に気を取られているうちにエラインダーは、
ZCMCとエラバレテナイーに掌握されていた。
仲間の脚を引っ張ることだけは異常にうまい国家である。
チャレンジャーメクラチビゴミムシ
基本的に昆虫族の中では性能が著しく低いが、
浅い地下に隠れ住んでいるために、
絶滅のめに逢うことはない。
姿は眼がなく、翅ももない。
細かい毛がなくハゲい。
頭部に1本剛毛がある。風になびく。あと敏感。
少し近づいただけで警戒心を出し、
執拗に襲い掛かってくるものの、自分より強い敵からは隠れている。
種族的に醜い容姿をしているものの、
種族特性として『虚構の自分』
と呼ばれる特性を持っており、
見た目だけは一時的に元よりは良くできるが、直ぐに解ける。
「そんな醜い容姿で生き続けるだけで凄いチャレンジャーですよね。」
とは某魔王の談。
火に非常に弱く直ぐにパニックになる。
扶桑帝国に上位亜種、ザ・ニッチ・チャレンジャーメクラチビゴミムシというのがいる。こちらは、より厄介。




