外伝 天の音 その1
人種、それは決して本質的に超えることのできない壁である。
この世界ではヒト、エルフ、獣人、人魚、鳥人、爬虫類人など様々な種が『人』とされている。
複数の人種が混合して生活する社会を持つ国家があれば単一種の人種で構築される国家もある。
単一の種族を持ちそれ以外の人種を含めずに成立する国家もあれば、
古くからその土地にいる複数の種族ではあるが、共通の文化・歴史を持つものを一つの種として認識する国家もあるのだ。
別に複数の人種を保有する国家が開かれた国家というわけでもなく、
開かれた国家が正しい国家であるということでもない。
よそはよそ、うちはうち、だ。
扶桑帝国は複数の人種を保有しているが、古くからその国に住む者以外を異民族として排斥している。
その結果、情報領域を基本骨子、
強固な共通認識、共通意識を中間基盤にした応用術式の大系を構築することに成功した。
つまり膨大な情報の中から扶桑帝国の歴史基盤に関係するものだけを引き抜き、精錬し、組み合わせることにより、
比較的低コスト、高威力の高コストパフォーマンスの術式を比較的簡易に使用することができる。
逆に、単一民族で構築された国家が扶桑帝国の近隣に存在する。
古代に存在した魚人の特徴を色濃く残す人魚系人種だ。
凄く…インスマス面です。
彼らは古くから続く古代からの文化を残す人魚たちの王族を自称している。
しかし、他の人魚系人種たちからは都合の悪い時にだけすり寄ってくる性質と、
強くエラが張ったままの醜い容姿から自分たちと一緒にするなと言われている。
遥か古代人魚たちがまだ半漁人のような姿であった時、
とりわけ中でも進化が遅くお世辞にも『人』と認められることのなかったこの人種は、
周囲の魚人たちから、劣等民、または奴隷、酷くは家畜として認識され、
もともと遺伝的にあらゆる面で周囲の魚人に劣っていながらも、
更に長い差別により歪んでいった。
今でも彼ら彼女らを『人』と見做さない国家も多い。
そんな彼らの特技は『虚偽』。
相手を騙し、自身を騙す。
自らが優れていると思い込み、それを子に伝え、
嘘を本当だと思い込ませ、
周囲の難癖を聞きそうなところには難癖をつけ、
付けられなさそうなところには付けられるようになるまで気をうかがう。
そして一度相手を舐めると相手に自分たちの嘘を信じることを強制する。
かつて、扶桑帝国の中の多数人種の一つである人魚系人種の先祖が、
主にその国の先祖たちを奴隷から解放してあげたにも拘らず、
何故か扶桑帝国にやたら難癖をつけるのが好きであるらしい。
お蔭で扶桑帝国のみならず周辺国家の人魚系人種からは、
僅か人間とは染色体数が僅かにだけ違う(遺伝子的には全くの別種だが。)
性欲旺盛で自身の欲望に忠実なモンスターであるゴブリンの様に忌み嫌われている。
また、特殊技能として、その国の地域の多くの生物に備わっている、
特性『虚構の自分』という、
自身の見た目を変え、よく見せる能力を持つものも多い。
能力は底辺のままであるが、その見せかけの容姿を競い合うのだ。
その改変した容姿で他国の異性を調略しようと各国に派遣されていたが、
呼吸困難の為か頻繁に起こるペックチョンとくしゃみをするとスキルが解けてしまうため、
直ぐに逃げられる上に、そもそもその性格と喋り方で直ぐに判別されてしまっていた。
そんな国家の名前は、扶桑帝国からの呼び名は鰓張衆国。
人魚を初めとする一部の扶桑帝国民からは忌み嫌われ、鰓張臭酷とまで言われているが、
鰓張衆国自体では自分たちの国をエラインダー衆国と呼び、
自国民の事をエラバレターと呼んでいる。
因みにブリタニアからはその国はチャレンジャーと呼ばれている。
(挑戦のchallengerとは綴りが違いZyarenserである。)
生きていることが挑戦であるという説と、
未だ陸地にも適応しきれず、水中にも適応を無くしたため、
チアノーゼ(zyanose)からきているという説もあるが、
まぁどうでもいい。




