親娘と姉妹 2
食事が終わった私たちは休憩がてらに遊ぶことにしたの。
題目は―――。
「お母様声真似ゲーム。いえーい。」
「…………スズネ…。」
「えっ?……あわわ……。」
余りにも失礼な単語に思わず固まってしまった私と、
私とスズネを見て慌てるヒビキネ。
……いいのよ?ヒビキネ。そんなに怖がらなくても。
「別にいいと思うのだけど。別にわたし達は女王集権型の蜂族じゃないんだし。
お母様もわたし達も蜂じゃない。蜻蛉でしょう?」
何という暴言でしょう。
物語終盤までのお母様が聞いたらいろいろ崩壊してしまいそうな発言………。
あれ………私は今何を…?
……少々電波を受信していたようですね。
「……というわけでアマ姉様は不戦敗…っと。ヒビキ、じゃあ私からやらせてもらうね。」
「ちょっちょっと、どうして私が不戦敗なのよ。…、やります。私もやります。だから不戦敗なんてのは無しです。」
「……ふふ。」
「ヒビキネも頑張ります。」
……まぁ結果はというと、
以外にスズネが善戦したことには驚いたのだけれど、
やっぱり私がNO.1ね。
……勝ちました。なんとか勝ちました。最も早くお母様に対面した長女の意地を見せられました。
お母様見ていますか?私、アマネは勝利いたしました。
――――――――――あっ、お母様は視力は無かったのでした。…今更ですね。
そうやって私が勝利の余韻に浸っていた時です。
お母様の声真似などという不敬を働いていたことがいけなかったのでしょうか?
其れとも先程単語レベルで名前を出したのがまずかったのでしょうか?
森から蜂族が現れたのです。
―――――――――――――――――――――――――しかも、女王クラス。
ヒトの概念でいえば災害級。下手をすれば魔王級……。
そんな女王蜂は予想にも付かないことを言ってきました。
「お姉様っ――――――――――貴女のリリアはここですわーーっ。」
「!?」
「…………。」
「…………?」
ちょうど私たち3姉妹の反応はこのような所でした。
ああ、そうですか、蜂族には同性愛者が多いと聞いてはおりましたが、
まさか実物を見ることになるとは思いもしませんでした。
しかもその中にはオスに頼らずに卵を産む者もいるとか………。
…………あれ?私たちも父親の話って聞いたことが無かったのですが……。
…いえ、深く考えないことにしておきましょう。えぇ。
そう思考を回復させていると女王蜂が私たちに気が付きました。
「お姉様は……?」
しかし驚異のきの文字にも感じてないようで『お姉様』とやらを探しているようです。
このうちに逃げようかと考えていた時に、急に女王蜂が此方を向き聞いてきました。
「ここにいた美しい女王蜂を知っていたら答えなさい。」
その威圧感に私たち3姉妹は全く動けなくなりました。
それに……女王蜂クラスがもう一匹この周辺にいるなんて……。
既にヒビキネが泣きそうになっているので、女王蜂を刺激しないようそれとなくヒビキネを翅で撫で安心させます。
「解かっていないようね。これはお願いではなく命令なの。
――――――――それとも無理矢理口が開くようにしてあげてもいいのだけど?」
そう言って針を向ける女王蜂にスズネがなるべく冷静さを崩さないよう努めながら答えました。
「し、知りません。」
えぇそう答えました。……………先程までしていたお母様の声真似のままで。
スズネ、全然冷静じゃないじゃない、充分焦ってるわね、あなた。
…でもよく頑張ったわ。私なんて何もできなかったのですから。
「………紛い物だったということね。いいですわ―――――――――――――――この世から消えなさい。」
何が逆鱗に触れたのか目の前の女王蜂が引き起こす羽音の周波数と風圧が跳ね上がりました。
あれでしょうか?お母様の真似にしてはスズネのアクセントが少しずれていたことでしょうか?
でも、焦ってあれだけできれば上等………ってなんで女王蜂がお母様の声真似の採点官か何かになってるのっ?
考えて…、考えなさい。私っ。どうにかしてこの場を切り抜けて、……せめて妹たちだけでも逃がさなくては、
それが私の、このこ達の『お姉様』の役目なのだから。
だから私は小声で告げる。
「スズネ、ヒビキネ。」
「何、アマ姉様。」
「はっはいぃ。」
「私が行動したら2匹共後ろへ逃げなさい。」
「それってアマ姉様がおと――――」「そんなの…そんな――――――」
「いいから逃げなさい。返事は聞かないわ。―――――――――ビブラートアトモスフィアッ!!!!」




