親娘と姉妹 1
皆さんお久しぶり。アマネです。
えっ誰?失礼な。天奏高山帯奏話でちょこっと出てきたではありませんか。
…ほら、いたでしょう?
そうそう、あれから私たちもノートホーンフライという成虫になって空も飛べるようになったの。
お母様の娘だけあってそこらの飛行生物なんて相手にならないのだから。
お母様とは違って目が見える私たちはそのままでは音だけで世界を知るお母様ほどにはなれないだろうけど、
慣れ親しんだ眼を今更潰すのは正直恐いのがホントの所。
でもお母様は、
「わたくしは産まれもって眼が見えなかっただけで、見えるあなた達は見えるあなた達なりの生き方がありますわ。」
って言って下さったの。でもお母様は空の青さや木々や花の色も知っているようだし、
本当に元から見えてなかったのかしら?
…それとも色さえも『聞こえる』…?あながち否定もし切れないのがお母様のお母様たるところね。
私たち3姉妹について軽く説明しましょう。
ちなみに一番速いのは次女のスズネ。普段はボーっとしてるけど速度だけは姉妹一なのよ。
末っ子のヒビキネは単純な音エネルギーの発生は凄いのだから。臆病で文字通りの鳴き虫だけど。
えっ、私ですか?………私は…、そうね私は………とにかく一番凄いのよ。だってお姉さんなんですから。
――――――――3つ仔ですけど。
今回はお母様から離れて姉妹3匹で結構遠くまで出かけてるのだけど、
海を越えた遠い地にまでやってきました。
非常に、非常に暑いのです。私たちがいた高山帯と比べて。
どうしてこんなに無駄に暑い場所があるのでしょうか?
しかも湿度まで高くて、私非常に不愉快ですの。
スズネなんかはへばって寝転がっています………。
「…ほら、スズネ、しっかりしなさい。あまり無気力且つ無防備な姿を見せないの。
此処はお母様の領地ではないのだから。何が出てくるかわからないでしょう?」
「………でも、アマ姉様も暑いでしょう?」
えっ?そんなことは……、そうね、少し暑いですね。
「……、まぁ取り敢えず何かが襲ってきたときには返り討ちに出来るくらいの気は張っておくこと。
それでいいですわ。…………そういえばヒビキネは?」
「そこにいるけれど?」
そういってスズネの視線の先を私がたどった先には、
私たちの住む高山帯にはまず生えていないようなとても瑞々しい果実│(のモンスター)を運んで飛んでくる末っ子。
「ヒビキネっ!!」
突如語気を強めた私にビクッとするヒビキネ。流石末っ子ね。
私好みの妹らしさを本能的に標準装備しているわ。
「っっはいっ、お姉様。」
「愛してるわっっ!!」
思わず翅で抱きしめてしまったのもしょうがないこと。
不可抗力というものね。詳しい言葉の意味は分からないけれど多分意味はあってるわ。
思わすヒビキネが果実、というかモンスターの顔?を落としてしまった。(後でお母様に聞いたらココナッツ☆モンスターという、
高山帯以外にところどころに散開しているモンスターで、
顔の作りというか、表情が非常に苛立たせる姿をしているということ。
特に倒した後のシゴコウチョクでできた表情は倒したのにすっきりしないほど苛立たしいと。……確かに。
………お母様、実は眼が見えてるのではないですか?)
落とされたココナッツ☆モンスターはぱっくりと割れてその中身をぶちまけました。
あぁ、……いい匂い。
「食事にしましょうか。」
「賛成です。」
「…捕ってきたのはヒビキネなのだけど。」
私は口数は少ないくせに大体一言多いスズネを軽くはたいて食事を始める。




