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最終章 終曲 とある姉妹の追複曲

アルモニカ使用楽曲ランメルモールのルチア

狂乱のアリアより一部抜粋

音を無効化することでヤタガラスの若干の優位に傾いていた天秤はおもりを失ったことで一気に逆側に傾く。


「喉の調子はよろしいですの?」

「誰に聞いているの。もしかして私に?」


「愚問でしたわね。」

「えぇ、杞憂極まりない心配だわ。」


「では――――――









「「歌いましょうか。」」




「「あぁ、天上よ」」


ベルが歌い始める。



「「あのひとの優しい声が私を呼ぶ」」


スセリもそれに少し遅れて重ねるように続く。



「「私のもとへ その声が」」


姉を妹が追う様に歌い上げるその在り方は、



「「私を呼んでいる」」

まさに姉妹の追複曲である。



「「還ってきたの」」

それは二人の思い出の曲。


「「あなたの敵の所から」」

それは二匹の思い出の曲。


「「還ってきたのよ」」

それは二匹の運命の牢記。



二匹が歌い上げる『力』によってもはやヤタガラスは動くこともできなかった。










「「エドガルド、亡霊が、亡霊が二人を別れさせる。」」

その力が足らず何度引き裂かれたことだっただろうか。



「「ここに逃げましょう」」

しかしそう歌う2匹はもう逃げ惑う弱者ではない。














「「汝には天上の調べが聴こえなくて」」

もはや天上の調べと形容するに相応しき音色を響き渡らせる絶対強者。




「「式は私たちの為にある」」

姉妹の絆を確かめる式の哀れな供物は動くことさえままならない凶鳥。




「「幸せを感じる 私は幸せよ」」

その言葉に曇りは無い。




「「言葉には表せない」」

音は音を超越し世界を支配する。




「「大いなる幸せを二人で分け合いましょう」」

この戦いが終わればまた二匹は離れてしまうけれども、




「「私たちの生は」」

それでも同じ空の下で、



「「天上の恵みたるでしょう」」

きっと姉妹の絆は繋がっている。

この追複曲のように。







楽しい時も、幸せな歌もいつかは終わりを迎える。

だがそれの何が悪い。終わってしまうから始めないのでは何も残らない。

限りある時を精一杯歌い上げるからこそ命は輝くのだ。


重なる天上の音色が終わりを告げるとともに、凶鳥もその生に終止(フィナーレ)を告げた。












「さよなら………ですわね。」


「……えぇ。」




「そんな悲しそうな声をしないでください。」


「べっ、別に…。」




「同じ空の下にいるんですもの。あなたが寂しい時はわたくしが歌を届けます。」


「……。」




「だからその時はまた一緒に歌いましょう。昔のように、もっともっと昔のように。ねっ美香。」


「っ気付いて………。」





「だってわたくしはあなたのお姉ちゃんですもの。

どんなに輪廻を越えたとしても、どんなに世界を越えたとしても、

消して途切れない絆というものをわたくしは信じますわ。」


「当たり前じゃない。なんたって私たちは最強の姉妹なんだからね。」

とある星の追複曲、完

ありがとうございました。

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