最終章 序曲 因縁の終わり
勇者、伊佐美透流を倒し、過去の自身を越えたベルはとある場所に向かっていた。
名も無き磐境
太陽神の使いが神々に従わざる邪悪を封じ込めたと言われる信仰が為されたことも今は昔。
今では立ち寄る者もなくうっそうと茂った森にひっそりと、しかし荘厳にたたずんである封印の要石。
森を跋扈するモンスター達もその場所には決して近寄ろうとはしない。
現在、扶桑帝国における強大なモンスターにして、
悪を喰らう悪として神の使いとしての側面を持ち合わせているヤタガラス。その棲家である。
もっと言ってしまえば鎮座されてあるご神体にはヤタガラスの匂いに脅えてモンスターたちが近づかない以上のご利益は無く、
只の止まり場でしかない。
封印はヤタガラスに刻まれた刻印自体にあるからだ。
人が来なくなってから草木は生い茂り、モンスターが生息する場所となってからはますます人の脚は途絶えた。
しかしそんなことはヤタガラスには関係ない。
最近封印の傷が強く疼いたがそれからは何か変わったことはない。
いつものようにこの国のモンスターどもを喰らっていたヤタガラスは急に西方を見つめると動かなくなった。
自身の中の『何か』が強大なものの到来を告げる。
久しぶりに喰うに値する、いや食べたいと心底思えるものが来るという確信に鳥はその歓びを隠せなかった。
かくしてそれは来た。狂風と天上の音色を引っ提げてやってきた。
そのモンスターとは、
RANK SSS 天上の音色、ヘブンスコードホーンフライ
暴食の魔王、ベル・アルモニカである。
自身の幻影を越えて自身の後悔を越えた魔王は遂にこの世界の七音の縛りからも解放され、
真の意味で『天上の音色』となった。
飛来せし魔は告げる。
「お久しぶりですわ。お会いするのはこれで三度目になりますわね。……ですがご安心を。
―――――――4度目はありませんわ。」




