勇者と魔王 ベルVSベル
勇者の体に『シンフォニアワスプ』の翅が食い込み、翅が透流の全身を喰らう。
星が託した勇者であったものの力と魔王であったものの姿が融合し、
かつてベルがよく知っていた姿になる。
「久しぶりですわね、『わたくし』。ところで今からスセリの所に行くのですが協力はしてくださいませんか?」
その問いに対しベルはベル・アルモニカに対し刺突という形で答える。
「たとえ相手がだれであってもあの子の所には行かせない。そういうことでしょうか?
我ながら過保護にもほどがありますわ。」
勿論最初から協力する気なんてどちらにもない。全て冗談だ。
なにせ互いから見れば片や魂が、片や肉体が紛い物の『ベル』なのだ。
そんな存在は生かしては置けない。
生き残るのはただ一匹。
真の『ベル』を決める戦いが始まる。
互いの翅が震え強力な音がぶつかり合う。
確かに先程までの勇者如きよりははるかに強い。
だが、それだけだ。
ベル・アルモニカはシンフォニアワスプの体を知り尽くしている。
その性能も、思考も、その固有周波数も。
勇者特有の圧倒的な幸運でシンフォニアワスプもセブンスコードホーンフライの固有周波数をはじき出すが、
遅すぎた。
かつてのベルの身体は爆散し、再びその中からボロボロになった勇者が現れた。
倒すのは簡単だった。
じゃあなぜわざわざこの敵を引きずり出したのか?
過去との決着をつけるためだ。己こそが『ベル』という思いを取り戻すためだ。
『翅』がほんの少しずつ勇者を侵食しようとしていたのを聞いた時には決めていた。
この為だけに戦いを長引かせ勇者を『ベル』に飲み込ませ顕現させた。
ベルにとってこの勇者はもはや紅茶に使った使用済みティーバッグだ。
「貴方との輪舞は愉しかったですが、
妹が待っているのに男といつまでも遊ぶのは姉としてどうかと思いますので……、
其れでは御機嫌よう。よければまた来世でお会いしましょう―――――『焉奏』狂乱のアリア」
その『焉奏』が終わった時には高き空には魔王以外に命の燈火を持ったものはいなかった。
天上の音色 ベル・アルモニカ
音と風を振るう『暴食』の魔王。魔王としては上位3体には入っていないが、その能力の特殊さが際立つ。
高い洗脳支配能力、不可視の攻撃は高位の冒険者でも知らなければ即死する。
その真価は『暴食』で己の能力の限界を喰らい引き出される音色。
『まつろわざるもの』に対し有益となる行動を幾度も行っている。もはや偶然とは片づけられずその関連性が疑われる。
まつろわざるもの スセリ
『七つの大罪』をもっていないので正規の魔王ではない。ただし、それに匹敵する資格を自ら作り出したほどの能力を持つ。
その力は『反射』と『星への寄生』。疑似的に星の力を行使できる。
また、星の輪廻領域を生存したまま汚染していくこともできるため、
星に『最強の魔王』デュカリス=スペルヴィアと共に最優先討伐対象となっている。
そのため、彼女が縄張りにしている扶桑帝国には『勇者』が発現しやすい。




