姫の王剣と氷眼の魔女
第三回小説祭り参加作品
テーマ:剣
※参加作品一覧は後書きにあります
私は剣だ。
旧き時代の美しく気高き姫王の宝剣。
私は、彼女が前王の圧政を挫いて王位に就いた時も、彼女が国と国民を守るため幾多の戦場に立った時も、常にその腰に携えられていた――――彼女の象徴のようなものだった。
そして今は、戦場で傷付き斃れ、この深い深い森の奥で逝った我が主――姫王の仮の墓標だ。最後の従者は姫王を、厳かな静寂に包まれたこの深い森の奥に弔うと、私をその盛り土の上に刺して言った。
――必ず迎えに来ると。
――それまで王の亡骸を守っていてくれ、と。
神に捧ぐ信者以上に姫王に忠実だったその従者は、そう言って森を後にした。
そしてとうとう帰ってこないまま、私はその従者を五百年以上待ち続けた。
あの従者も手負いだった。
志半ばで力尽きたか、敵に捕らえられたか――――いずれにせよ私と違って七十年の寿命しか持たない彼らではもう二度とあの姿を見ることはあるまい、と百年過ぎた辺りからずっと思っていた。
そして私が人間という生物のことを忘れつつあった(とは言え無論姫王のことだけは忠誠心諸共忘れることはなかったが)その頃――――彼女は私の目の前に現れた。
「貴方は此処で何をしているの……?」
ある日の朝、終ぞ聞くことのなくなっていた人の声に目を覚ますと、十代半ばほどの年端もいかない少女が澄んだ薄蒼い瞳で私を見下ろしていた。
少女の言葉を反芻し、斟酌し、私は答えた。
我が主を――美しく凛々しき姫王をお守りしていると。
「そう……大変だったのね」
ローブのようなものを羽織った、その少女は静かに呟くような調子でそう言った。
不思議な少女だ、と私は思った。
少なくとも一介の村娘には思えない。何よりその佇まいには一介の村娘とは到底思えない空気を纏っていた。何処となく昔の――私と出会った頃の姫王に似た雰囲気を持っている。力強く、それでいて優しく周囲を包み込むような、人を惹きつける天性の才覚を。
何より私と交感している。
それができる、というだけで私は直感した。私の目の前に跪き、悼むように我が主の盛り土に触れる彼女にも、姫王と同じ王の素質があると。
そしてその直感は、次の瞬間、思いもかけない形で私を揺さぶった。
「貴方、私と一緒に来ない……?」
私が人の肉体を持っていたなら、間違いなく目を見開いて驚いていただろう。
何処か胸騒ぎにも似た戦慄に心乱されつつも、何故かと私は少女に理由を問いかけた。
すると、少女は私の柄に手で触れた。さらにその手をなぞるようにつつっと下ろして、静かに刃の部分を細い指で撫でた。その指は、長いこと人肌に触れていない私の冷たい剣身には随分と熱いものに思えた。
そして少し溜めた少女は静かな口調のままに――
「……寂しそうだから」
ぽつりとそう呟いた。
そしてゆっくりと立ち上がると周りの木々を――さらに奥まで続く深い森に何処か感慨深げな視線を送る。
「ここは一人でいるには静か過ぎる……」
少女は再び私に視線を戻し、穏やかな目でジッと見つめてくる。
寂しそう、か……。
そうか。今の私は、そう見えるのか。
妙な娘だ。傍から見ればただの剣にしか見えぬだろう私に話しかけてみたり、あまつさえ寂しそうなどと言い出したり、人の言葉を解する剣などそうそうないだろうに動じる様子も見せない。
それでいて、特別人間離れした何かを感じさせることもない。なるほど確かに、再び王の素質を持つこの少女と旅をするのも悪くないのかもしれない。
姫王との冒険譚の数々に思い巡らせながらそんなことを考えた私は、少女の申し出を――
――断った。
「どうして……?」
私の応えを聞いて首を傾げた少女に、私には姫王を守る務めがある、と釈明する。
「この森は、外では神聖な森とされているから……こんなに奥には誰も寄り付かない。今を逃せば、もうこんな機会はないかもしれない……のに?」
私の主人は今も変わらず我が下で眠りし姫王のみだ。この身が朽ち果てようとも迎えが来るまで姫王をお守りする。たとえ幾星霜過ぎ去ったとしても。
「それでいいの……?」
私は剣だ。
剣は如何に優れようと使う者がいなくなれば、捨て置かれたその場でただ朽ち果てるのみ。我が主の死後を守る標となれた私は、寧ろ幸運な部類だろう。
しかし、そうだな。
我が身を案じてくれた貴女の優しさと慈しみの念に敬意と感謝を。もし次に、万に一つでもこの森を――私の元を訪れた旅人がいたとしたなら、その時はその者にこの身を委ねると誓いを立てよう。それほどの僥倖であれば、我が主、寛大な姫王もきっとお許しくださるはずだ。
私は少女にそう告げる。
「そう……。少し残念だけど、貴方にその機会が訪れることを祈ってる……」
少女は静かにそう言うと、もう一度だけ私の方を振り返って、森を去っていった。
そして日が落ち、また昇り、翌日――
「おはよう」
唖然。
その少女は何食わぬ顔で私の目の前に立っていた。返す言葉もない。
元より音として放たれる言葉などは持ち合わせてはいないのだが。
「どうかした……?」
何故またここにいるのか、と私は昨日と同じように跪いて我が王の盛り土に触れる少女に問い掛けた。
すると少女はぴたりと動きを止めた。
そして無言を保ったまま思案顔でじっと私を見つめると、急にカクンと首を傾げる。その感情の起伏に乏しい表情には、しかしながら明白かつ純粋な疑問の色が見てとれた。
「何のこと……?」
その少女はまたも静かに呟くような声で、私にそう訊ねてくる。
貴女は昨日もここに来ていただろう、と私は間違うことなく昨日と同じ少女にそう返す。顔も、声も、容姿も同じで、かつ私と話すことが可能な者が何人もいるはずはない。
しかし少女は私の追及に動じる素振りも見せることもなく
「私は、ここに来るのは初めて……」
そう嘯てとぼけたように空を仰いだ。
そんな少女の様子を見た瞬間、私は――――悟った。
この少女は、自ら自分の後に来た二人目の訪問者になることで、私をここから連れ出そうとしているのだと。
こうして私はその少女の、“氷眼の魔女”の従者になった。
彼女との出会いは概ねこの程度の経緯で、改めて思い返せば何ということもない、少し登場人物の背景が異質なだけで極々ありふれた戯劇のような出会いだった――
――はずなのだが、この“魔女”が一癖も二癖もある曲者である辺りからこの戯劇を作り上げた劇作家はやはり何処か常軌を逸している。
それはそもそも“魔女”と呼称される存在に対して見合ってもそぐわない“剣”を主軸に据えたことからも明白だが、よもや我が先達の主――姫王からこれほどまでにかけ離れていたとは努々夢にも思わなかった。
しかし如何に言いくるめようと努めても、これもまた奇妙とはいえ我が身に――我が剣身に降り掛かった現実の一幕であることに相違なかった。
やはり意思を持つと言うだけで、物事を深く考えるだけの頭を持たぬ私では直感も何もなかったということだった。
何が王の素質か、何が力強く優しき気高い空気か。私はどうかしていたのだ。
「どうか、した……?」
どうもなってはいない。
何処ぞの小さな小屋の中。黙々と羽根ペンを羊皮紙の上で走らせていた氷眼は、こちらに一瞥すらくれることなく、木製テーブルの上に横たえられた――もとい置かれた私に訊ねてくる。
「何もないなら静かに…………………………………………しろ」
言葉選びに迷っていたらしい氷眼は、重い含みを持った命令形で言った。
しかし言われるまでもなく、最早この身は道化と同じく踊らされるままに踊らされるのみ。
出す手足もなければ歯が――刃が立たない。とは言えおそらくは、足があるならすぐに尻尾を巻いて逃げ出すこととなるだろうが、であるなら尻尾も必要なのだろうか。
何れにせよ無いものねだりは詮方すら無い。煮るなり焼くなり好きにするがよい。
「煮ても焼いても、私は剣は食べない……。食えない剣……?」
一人首を傾げつつも再び何やらの筆記作業に戻った氷眼に、改めて何のつもりなのか、と私は問う。
すると、彼女はふぅと短く息を吐いて、氷のような凍てつく目を私に向け、
「その質問はもう五度目……審議拒否」
と決まり文句のように言い捨てて、作業を継続する。
かつて姫王と共に退治した悪しき氷の邪竜の氷玉の眼よりも冷たい視線に戦慄し、一時言葉すら失っていた私は、しかしここで退いてはいけないと思い直し、再び意を決して氷眼に穏やかに語りかける。
ひ――
「審議拒否」
――即座に尋常の剣が如く黙想する。
この年端もゆかぬ少女の視線に貫かれた途端、無数の雷にこの身を焼かれ、融けることのない絶対の氷に封じ込められるような感覚に襲われた。
ついぞ感じることはなかったが、我が先の主――姫王の死に際に覚えた感覚によく似ている。
つまり怖れだ。
しかし私も姫王と共に在り一国を統べた宝剣。このようなあからさまな威しに屈しては名剣の名折れ、それは最早ただの剣である。
私は思い切って再び問う。
私をどうする気かと――。
「貴方を使ってお金を得る」
氷眼は何の悪びれることもなくそう言ってのけると、書き終えたらしい羊皮紙を畳んで懐に納め、私を抜き身で抱えて小屋を出た。
それなりに大きな街、その外れにある小屋を出た氷眼は街の中心に向かって歩き出した。
暫くは姫王の時代でいうところの貧民街のような寂寥たる景色が続き、何処か殺伐とした空気が周囲に漂っている。
しかし氷眼は、危なっかしく私を抱えて無謀な無防備さで歩を進める。
身の丈に合わない武具はむしろ邪魔ではないのか、と婉曲した警告をしても、氷眼は全く取り合わなかった。
心配は杞憂に終わったようで、氷眼はやがて何事もなく賑やかな区画に足を踏み入れた。
広い街道の両端に建ち並ぶ商店、そこここに開かれた露店群。
所謂市場だろう。城下の市場には、姫王と共に何度も忍びで行った覚えがある。
迷いなくその中を進み始めた氷眼は、すぐに一軒の商店に入った。
「らっしゃい」
≪激昂竜の爪先≫――――武器屋。
戦慄した。
否、よもやそのようなことはないと思うが――――と戦々恐々としている内に、氷眼は奥にいた大柄で筋骨隆々の店の主人に歩み寄り、
「これ……」
私を、差し出した。
それを見た主人は、無骨ながらも口元をにやりと歪め、
「今度の獲物は随分と――いや相当の業物だな」
暗紅色の目を妖しくぎらつかせ、私を一目見てそう言った。
一瞬でそれを見抜くとはなかなかどうしてやるではないか、ご主人。
――ではない。
氷眼、まさか私を売る気ではあるま――
「いくらぐらい……?」
――誰か私に足をくれないか。
異形の身と成り果てようと、私は今すぐに氷眼の元を離れ、姫王の元に戻らねばならないのだ。
しかし人知れぬ私の願いに応える声はなく、鬼か悪魔かという取り引きの駆け引きの遣り取りは続いていく。
「柄の装飾からして鍛えられてから五百、いや六百年ってトコだろうがコイツは驚いた……。刃も欠けてなければ、錆びもない。未だに現役の剣だ」
「……加護付き?」
「だろうよ。それも五、六百年続く加護なんて相当高位の聖霊だ。欲しがる奴はいくらでもいるだろうさ」
「貴族に……?」
「連中は見栄張りたがる生き物だからな。買い手は軒並み揃ってるだろうよ。下値で数千万ってトコだろう。少なくとも表向きウチみたいな規模の店じゃあ、一生に一度も置かない剣だな。ところで鞘はどうした?」
「鞘……?」
氷眼が私に視線を向けて、暗に何事かを訴えてくる。
何を言いたいのかは言わずとも明白だがしかし、鞘のことを私に訊かれたところで別段鞘と何らかの繋がりがあるわけでもないのだから場所などわかるはずもない。
しかし氷眼が持ってこなかったのなら、姫王の眠るあの場所には見当たらなかったのだ。遥か昔に紛失したと考えるのが妥当だろう。
「見当たらなかった……」
「鞘なしか……。連中ならどうせ飾ることばかりで使うことは微塵も考えてないから、それで買い控えることはないだろうが、そのままではな」
「このままでも売れるなら、それで十分……。鞘を用意すれば利が減る……。吊れるようにベルトだけ欲しい」
氷眼は主人から私を受け取ると、さらに革のベルトを買って肩に着け、私をローブの背に隠すように吊り下げた。
どうやら今すぐ売られるというわけでもないようだが、しかしこの剣身が震えるような悪寒は何なのだろうか。
――嫌な予感がする。
この胸騒ぎは、視感覚が遮られたことで不安を煽られたからだけではないだろう。胸騒ぎというものは、存外自分を裏切らない。それが重大なことであればあるほど尚更に。
騙された。
いやしかし、そう呟くだけに留まらず寧ろ叫び出したいほどの者が私の他にもいるのだが。
その心中、実害を被ったが故に、当事者の私以上に痛ましいものだろう。この氷眼の魔女は、そんなことは露ほどにも意に介していない様子だが。
「何を一人でぶつぶつ……?」
不覚、思わず我を忘れていたようだ。
こんな状況だが、こんな状況だからこそできることのない私が状況を整理しておこう。できることのないと言ったものの、正しく言うなら私は、振るう腕を持たず逆に振るわれる側なのだが、それはさておき。
つい先程――およそ十分ほど前のことだが、氷眼はとある舘で貴族の男と会っていた。
その時は後悔等々色々と思うところあって意識を潜めていたのだが、気がつくと氷眼は私を手にしたまま舘の外にいた。
私が戦々恐々と訳を訊ねてみるも、氷眼は何も応えることなく私を再びローブの背に吊って隠すと、そそくさと舘を後にした。
「そっちにはいたか?」
「いや、見たという話は聞いたが」
「小娘が……探せ! 必ず連れ戻せとの命令が下ってるっ」
「「了解」」
そして今に至る。
物陰に潜み、貴族の私兵らしき男たちの会話に耳を欹てていた氷眼は男たちが走り去るのを確認すると、ゆっくりと路地裏から通りに出る。
彼女の背中に密着しているからよくわかるのだが、氷眼はまったく焦った様子を見せていない。心臓も、依然としてトクントクンと静かな鼓動を刻んでいる。
年齢不相応な冷静さだった。
氷眼は少しローブの裾を叩くと、再び何処かしらに向かって歩き始める。
何をしたのか、と再び同じ質問をぶつけてみると、氷眼は一瞬だけ立ち止まり、無言のまま再び歩き始める。
そして再びはたと立ち止まった。
「――詐欺――」
それだけ一言呟くと、何事もなかったかのように氷眼は歩き始める。
そう、何事もなかったかのように――
――待て。
「どうしたの……?」
立ち止まることなく氷眼はフードの下で微かな声を響かせる。
詐欺と言うのはつまり人を騙して金品を得たという意味か、と私は問う。
「御名答……?」
訊ねられても困る。
「貴方がいる……。これは貴方と引き換えに手に入れた代金……。意味は……わかる?」
と、小さな袋を掲げる氷眼。
なれば、何故私は今ここにいる。
「帰り際に摩り替えてきた……」
何と、とは訊かない方が良さそうだった。
しかし悪事に手を染めるなど断じて見過ごすわけにはいかない。仮にも私の主である貴女には、それなりの自覚を持ってもらわなければ――
「煩い……。宰相みたい……」
姫王と同じことを氷眼にも言われただと!?
「小言言いの宿命……?」
私の存在意義が小言だとでも言うのか。
剣であるが故に寧ろ争いの中でこそのものであるとは思うのだが、しかし、それも言い争いでは剣の出る幕はない。
そして話を逸らさないで欲しいものだが。
「でも貴方には何もできない……。逆らう術を持たない貴方には」
確かにその通りではあるが、看過できないことに変わりはない。
「今すぐ換価して欲しい……?」
威しには屈しない。曲がることは許されない。
「直刃だけに……。うん、面白い……」
ふざけているつもりはないのだが。
私がそうぼやくと、氷眼は急に声を尖らせて、
「静かにしてて」
そう言うとさっと身を翻した。どうやら何処かに隠れたらしい。
そして背中に吊られた私を取り上げると、路地の角から切っ先を少し差し出す。
「何が見える……?」
角の向こうには、氷眼を探しているらしい男がこちらに向かって歩いてきていた。威嚇する虎のような視線を周囲に向け、何処か怯えたように身体を逸らす民衆の間を通ってくる。
男が見える。
一人だけのようだが、手練れだと見受ける。おそらくはこの場所では見つかるだろう。
氷眼が身を隠したのは、裏路地とは言いがたい袋小路だった。身を隠せるような物もなく、かといって存在感が薄いわけでもなく開けた路地。間違っても追われる身で逃げ込める場所ではない。
この距離では今すぐ路地を出ても目立ってしまう、と進言すると、氷眼は「わかってる……」と短く言って思案顔になる。
氷眼は戦えるのか、と訊ねる。
すると氷眼は珍しくもじっとこっちを見つめて、
「貴方よりは……」
つまり一人では何もできないという意味か。
「強ち間違いではない……?」
一人では何もできない二者が集まったところで何かができると思わない方がいい。寧ろ何もできないことの方が往々にして起こりうるのだから。
「とにかく私は戦えない……。つまり貴方も」
戦えない者に戦えない剣と称された私の行き場は何処だろうか――――などと一人打ちひしがれていると、氷眼は急にばっとローブを脱ぎ捨てた。
何をする気なのか、と問うと、
「変身」
そう言った氷眼は肩に提げていた皮袋から別の服を取り出し、ローブの代わりにそれを着始める。この辺りでもよく見かけそうな、少し洒落ている庶民服だった。
「少し待ってて……。喋っちゃダメ」
何れにせよ私の声が聞こえるのは氷眼だけだが、と返すと「それもそうね……」と少し目を逸らして言った氷眼は私を路地の壁際に横向きに置き、脱いだローブを上に被せる。
なるほど、ローブの色と地面のタイルの色がよく似ている。
日が翳っているのもあって、さぞ見難くなっていることだろう。
再び視感覚が遮られ、氷眼のものらしき静かに遠ざかっていく足音を聞きながらそんなことを考えてみる。
しばらくして上のローブが取り払われ、男を遣り過ごしてきた氷眼の顔が現れた。
「おまたせ……」
おかえり、と何となく返してしまう。
それにしてもその格好も意外と似合っているではないか。
「当然」
あまり可愛いとは言い難い反応が返ってくる。姫王といい氷眼といい、私の主となるのは基本的に可愛げのない者ばかりのようだ。
ローブに着替え直した氷眼は、再び服を皮袋に納めて大通りから一本外れた道を歩き始める。そして話は戻り、氷眼が私の説教を聞き流す形で先程の武器屋まで辿り着いた。
私がその説教の際に姫王のことを引き合いに出していたのが気に入らなかったのか、氷眼はそこでようやく口を開いた。
「私は姫王じゃない……。私はあくまでも“氷眼の魔女”。人の上に立っていた、人の前に立っていた、人の側に立っていた彼女とは――――根本的に違う」
しかし悪は悪として、絶対的な隔たりが――区切りがあるはずだ。人として間違ったことはしてはいけない。今すぐにでも私を、その貴族の元に返すべきだ。
「善悪に違いはない……。立場が違えば価値観も概念も引っくり返る……窮鼠が猫を殺したって、誰が鼠を責められる……?」
鼠が猫に殺されそうになっていたなら、それは致し方ないことだろう。
「じゃあその場面を誰も見ていなかったら……? 鼠が猫を殺した、その事実だけで判断されたら……? 誰もがきっと、鼠を責める……」
詭弁だ。
「でも往々にして起こり得る。この世界は、そういうところ。誰もが一人で、誰もが一人じゃない。味方がいれば敵がいる……。見方が違えば敵意も生まれる……。それにこれは良いわけもない言い訳だけど、私のこれは必要悪。或いは虚悪。或いは偽善かもしれないけれど……。無理を立ててでも、道理を救う。私はそのためにここにいる」
何処か憂いを含んだ響きでそう呟くと、氷眼は店内を窺って誰もいないことを確認すると中に足を踏み入れた。
氷眼の言葉を聞く限り、つまりは金を奪ったのにも何か理由があるということなのだろうか――――と考えていると奥から大男、店の主人が姿を現す。
「今回の……」
「おう、後は任せとけ」
氷眼の差し出した小さな袋を受け取った店の主人は中身を検め、それを隠すように槍を立て掛けた縦長の箱に放り込むと素知らぬ顔で布を取り出し、傍の盾を手に取って鼻歌交じりに磨き始める。
氷眼は店の主人に小袋を渡しただけで、店を後にしてしまった。
どういうことか、と私は改めて訊ねる。
すると氷眼は街外れに向かって歩きながら、
「この街の貴族はお金をたくさん持ってる。それは高い税金で街が得た民のお金が貴族に流れてるから。私はそれを回収して、彼を通じて民に返してる」
つまり、義賊というわけか。
しかしそれは、街に必要だからそれだけの税を定めているのだろう。
「この街の設備保全は近くに民家を持つ市民の義務……。税金は大規模な施設にしか使われない……。それだけじゃない……けど、端的にこの街は腐ってる」
それならば街を出ればいいのではないのか?
「この近くに街はない……。この辺りは危険な生物も多いから、外に出るには護衛を雇わないといけない。でも……こんな街に来る傭兵はほとんどが貴族に取り入ろうとするだけ……」
危険な生物……?
確かに私のいた森でも幾度か見かけたが、氷眼はこの街を出て、私の元へ来たではないか。
「その間に一度死んでる……」
死んでる……? 死にかけている、ではないのか?
氷眼の言い回しに疑問を投げかけると、
「似たようなもの」
との答えが返ってきた。
ますます理解不能なのだが、氷眼はそれ以上の追求を受けるつもりはなさそうだった。
氷眼は、その後も相手を変えながら何日も同じことを繰り返した。
以前から似たようなことはしていたらしいのだが、私ほどいい餌が手に入ったことがなかったため、効率は悪かったらしい。
何故貴族側は同じ手口で何度も騙されるのか、と聞いたところ、氷眼は薄く笑みを浮かべて
「貴族は体面を保つために不名誉なことを人に話すことなんて死んでもできない……。こんな子供に騙されて、大金を掠められたなんて口が裂けても漏らさないから……結果、何度も上手くいく」
そういうものか、と私も思わず一笑する。
看過できないのは尚も変わらない事実だが、ことあるごとにこの街の貴族の腐敗様を言い聞かされてはやはり私にも思うところは出てくるものだ。
氷眼に感化されている気がしてならない。
「他の街ではこう上手くはいかないけど」
まるで経験済みかのようにそう言い切る辺りも、何処か不思議な氷眼だった。
半月ほど共に過ごしているが、未だに彼女はわからないことばかりだ。
時に老獪で、時に幼気で、自分自身のことをまったくと言っていいほど殆ど語らず、どんな状況でもまるで眠っているかのようにまるで動じる素振りを見せず、そして全ての事柄に通じているかのように何でも知っていた。そして一人で坦々と、何処か危なっかしくも着実にあらゆることをこなしていた。
そして、何処か姫王に近い部分を持っていた。
だからだろう。
歪んではいても、間違っていても、志を持っていた彼女に私が惹かれるのは最初から時間の問題だったのだ。
しかし、その時はやはりやってきた。
元々から限度のある彼女の計画は破綻した。そして姫王の時と同じように彼女と私は引き離された――――まるで予定調和のような運命に。
氷眼が街の権力者の一人を殺害しようとした未遂犯だとする報せが街に出回り、その名目で貴族の私兵が街中を巡回と称して闊歩するようになった。
無論、四六時中共にいた私からすればおかしい話だ。彼女がそのようなことをした素振りはまったくない。つまりは貴族側が反撃に出たということだろう。
彼女を合法的に捕らえるため、彼女の罪を違法に捏造したのだ。
閉鎖的なこの街では氷眼の世話になった者は少なくなかったらしく民衆に追い立てられるようなことは殆どなかったが、街中で見かける貴族の私兵は日に日に増し、やがて貧民街の方でも見かけるようになった。
そしてその頃だ。
氷眼の生活していた(とは言え基本的には寝泊りのみだったが)小屋が見つかったのは。
幸運にも外出している時だったため氷眼本人が見つかることはなかったが、身を隠せる場所がなくなったというのは氷眼にとっても相当な痛手だったようだ。
そして私は、何故か武器屋の主人に預けられた。
私は共に行くと言ったのだが、氷眼は来なくていいと素気無く私を置いていった。
そして薄暗い倉庫の奥――――古布をかけられ、上から念入りに埃を被せられた私はただ氷眼のことが心配だった。
店の主人も何処か心配そうな表情で「街を出ているとは思うがな……」と言っていたが、数日――おそらく三日が過ぎた頃、店の主人(氷眼は最後に、彼のことをカガンと呼んでいた)が布を取り払い、神妙な顔を見せた。
「聞こえてるかどうかもわからんのだがな。魔女娘が捕まったらしい」
…………そうか。
「アイツが何かしたのかまた仕立て上げられたのかは知らんがな、いつのまにか暗殺未遂から魔女にクラスアップしてやがる。たぶん明日には火刑台行きだ。魔女なら有害と見做すだけで即日中にでも処刑できるからな」
氷眼という窮鼠には、審判の機会すら与えられないらしい。
この男――カガンに私の言葉を伝えることができれば、彼女を助けることはできないのかを訊ねられるというのに……。それがもし叶わずとも、せめて彼女の元へ――。
「何とかしてやりたいが、今回ばかりは俺にもどうにもならねえんだ……。向こうさんも小馬鹿にされて躍起になってんだろうな。のこのこアイツのとこに行ったら、商売どころか俺の命も危ねえんだ。わかってくれ……」
カガンはまるで私の言葉が通じているかのような独り言を漏らして、悔しげにその暗紅色の瞳から一筋の涙を流した。
そして翌日――。
私はカガンと共に街の中央の広場に来ていた。
正確には呼び出された、というのが正しいだろうが。氷眼の処刑に当たり、見せしめにでもするつもりなのだろう。民衆に召集がかけられたのだ。
何を思ったのか、カガンは私を連れてここにやってきた。深めの鞘を被せられてはいるが、私の視感覚は刃に限ったものではないため、氷眼の姿がよく見えた。
氷眼は袖を縫い止められるようにできている白色の拘束服を纏った姿だった。フードで翳っているため表情は見えにくいが、その頬には薄く痣ができている。
「ちッ……」
カガンが周囲に聞こえない程度の大きさで舌打ちをする。
氷眼は私とカガンの姿を見つけたのか、微かに首を傾けて、口元に一見そうとはわからないほど薄い笑みを浮かべた。
こんな時でも、まるで何ものも気にしていないような様子だった。
少し離れたところにはわざわざ席が設けられ、そこに如何にもな身形の男たちが十人ほど座っていた。おそらく貴族たちなのだろう。
周囲の民衆の中には、氷眼に直接世話になった者もいるのか、既に惨劇を目の当たりにしたのかのように顔色の悪い者もいた。しかしそうでなくとも、氷眼のように若い者が火刑に処されるなど、そうそうあるものではない。
少なくとも私の識る時代では、少数例だった。
そうこう考えている内に氷眼が広場の中央に作られた火刑台の柱に縛り上げられる。
そして、火刑台の下に積み上げられた薪の山に火の灯る松明が投げ込まれた。
そして数本の薪木だけが不自然なほど早く火に包まれる。油を染み込ませてあるのだ。全てにではなく幾つか――全体に比べれば圧倒的に少数の割合だ。
姫王はこの方法を禁止していた。
恐怖と後悔を煽り、火刑を長引かせ苦痛を受ける時間を長々と続けさせる方法だからだ。
しかし、その時だった。
磔にされ足元に火を打たれているというのに、氷眼は――
くすくすくす……
――突然笑い出した。
轟々と容赦の利かない火の呼吸する音も、パチパチと嘲笑うかのような火花の爆ぜる音も、ガラッと死を予告するような薪の崩れる音も全てが霞み、屈託のない氷眼の笑い声だけが不自然に響き、広がってゆく。
火刑というこの場においてはその美しい笑い声は人々の心に不気味に残り、まるで楔を打ち込むかのように尾を引く恐怖を植え付けていった。
「何をしておる! 黙らせろッ!」
堪えきれなくなった貴族の一人が、氷眼の周囲を取り囲む兵士たちに怒鳴り付けた――――途端。
グルンッ。
磔にされたままの氷眼の頭が突然傾き、その貴族に冷ややかな氷のような視線が向けられる。
「ひィッ!」
ただ何気なく向けられたような目。しかしその貴族にとっては、殺意に満ちたものに映ったのだろう。咄嗟にその視線を避けるように動いたせいで、椅子から転げ落ちて腰を強打した。
そして氷眼は、既に取り返しのつかない恥を晒している貴族の自尊心にトドメを刺すように、
「脆弱……吐き気がする」
そう言うと、もう一瞥すらくれることもなく目を背ける。
「ま、魔女の分際で――」
こめかみを引き攣らせた貴族が、地べたで腰を抜かしたまま吐き捨てるようにそう言った途端、堰を切ったように他の貴族たちもわめきたて、それを見ていた群衆たちにも動揺が走る。
焚き付けられた火が、磔にされた氷眼の足元に達する。しかし、氷眼は熱さに身を捩ることも悲鳴を漏らすことも表情を苦痛に歪めることもなかった。
そして坦々と語り出す。
「……お前たちは、愚か者だ。私は魔女――氷眼の魔女。こんな火炙り程度で、死ぬものか。私を真に殺したいなら、地獄の業火でも持ってきて」
木組みの十字架に張り付けられて火に囲まれたまま、氷眼は足元の兵士たちを冷たい目で見下ろし、続いて貴族たちを凍えるような目で見下す。
そしてその時、氷眼の拘束服に火が燃え移った。それを見た貴族たちの目に、人のものとは思えないぎらぎらとした妖しい光が戻る。
「貴様はもう死ぬ。甦りなどはありえんッ」
「その時は再びその火刑台で会おうぞ。棺もつけてくれてやる」
貴族たちが次々と吠える。
しかし氷眼は、既に半身を炎に覆われているにも拘わらず平然とした様子で、貴族たちの方を一瞥した。
そして、
「……また会おう」
その言葉を最後に、氷眼の全身が不自然なほど荒々しい炎の渦に包まれた。
結局、火刑台の焼け跡から氷眼が再び姿を現すことはなかった。
その残骸はやがて片付けられ、ずっと立ち尽くすように残っていた最後の民衆たちも後ろ髪を引かれるように何度も振り返りながら各々の家へと帰っていく。私とカガンはそんな民衆の姿を見流しながら、広場の中心にずっと視線を向けていた。
そして日が暮れる直前、遅れてやってきた男たちが広場の中央の炭と灰の混ざったような汚れを水で洗い流して帰っていったのを、カガンは何処か恨めしげな目で見送る。
そして誰もいなくなった。
残ったのは、尚も広場を見つめ続けるカガン、そしてその腰に帯びられた私のみ。
「はぁ……」
カガンの溜息で、何処かしらにずきんと痛みが走った。
私はいったい、何処に痛みを覚えているというのだろう。喩え剣と打ち合ったとしても痛覚など感じるわけもないこの冷え切って冷たい身体で――。
私はまた――――主を失ったのだ。
姫王。
氷眼。
私は、一人では何もできない。
彼女たちを守ることができるのは、彼女たち自身。私には彼女を守ることができない。彼女たちに使われてこそ私の存在意義は満たされ、そして彼女たちを守ることができる。
しかし、氷眼は私を使おうとは――戦いにおける剣として使おうとはしなかった。
主に使えるかどうかは別だが、私が仕えていることは確かな事実だ。人ではないが、私一人の思い違いではないとこれだけは信じている。
果てるなら、今度ばかりは私も共に逝きたかった。
無論、私のこの剣身はあの程度の火で融けるようなものではないがしかし、これが氷眼の最期だと言うのならやはり彼女の傍に――。
「……何処にも何も、心だろうさ」
――ッ!?
「何をそんなに驚くことがある。俺にもお前さんの声が聞こえているというだけの話だろう?」
唐突に、カガンは私を鞘から抜き放って言った。
その瞳は暗紅色から一転、燃えるような緋色に変わっている。
私の声が聞こえる……? 私と交感できるというのか? 同じ時代の、こんな近しい場所に、私の主として相応しい王の素質を持つ者が――。
「いいや、氷眼は大した力はない、ただの普通の小娘だ。王の素質と言うのなら、俺よりは多分にあると思うがね。逆に考えて鑑みるといい。俺がお前さんと交感できるから、できるからこそ氷眼も同じことができる。それだけのことだ」
カガン、それではお前は何者だと言うのか……?
「カガンってのは偽名みたいなものでな。より正確に言うなら火の眼で、火眼だ。昔――大体お前さんの前の主が生きてた頃に火眼の魔人って呼ばれてたからだが、どうもしっくり来ないだろう? だから火眼ってわけだ。何れにせよ本名じゃあねえがな」
火眼の魔人――――聞いたことはあるが、存在すら不明瞭な風の噂程度に認識を留めていた。まさか実在し、今も生きていたとは――――つまり人外か。
「――さて、そろそろ氷眼を換び戻すぞ」
何だと……?
信じがたい言葉に、私は思わず火眼に訊き返す。
「アイツも死んだままでは辛いだろう。お前さんも心残りがあるようだしな」
火眼が指をぽきりと鳴らす。
いやしかし、氷眼はただの娘ではなかったのか……?
「アイツは俺の使い魔みたいなもんだ。本質的にはかなり外れちゃあいるが、説明を省いで端的に言えば、黄泉返りくらいやってできんことはない。それに氷眼から聞いてお前さんも知ってるだろう。お前さんの眠っていた森に到着するまで、氷眼は一度死んでいる。ちょいと高位の魔獣に出くわしてな。まぁ運が悪かったんだろうよ。だが事実、お前さんの知る限りアイツは死んでから一度は生き返ってることになる」
まぁ無論その時は俺がいたからだが、と火眼は補足するように付け加えると、抜き身の私を徐に自分の足元に置き、そしてくるりと広場の中央に向き直った。
その空間に火眼が掌を下に向けた手を翳すと、地面から噴き上がるように突然煌々と輝く炎が燃え上がった。
火眼はその炎を嬉々とした表情で見つめると、
「さぁ、起きろ。氷眼」
そう言って、その手をさっと引っ込めた――――次の瞬間、その炎が凍りついた。
そして一拍置いて炎を象った氷の彫像のようなその氷柱が弾け、無数の氷の礫が烈火のごとく周囲に散った。
そしてその中から、随分とぼんやりとした表情の少女が姿を現した。
「ただいま……?」
おかえり――。
彼女たちの冒険はこれからです!(←一度言ってみたかった)
『姫王の剣と氷眼の魔女』終わりました(注:短編)。えぇ、終わりましたよ。それはもう色々と。
私はどうしても人外を出さないと話が作れない頭の弱い子のようです。
中世っぽいイメージな世界でのファンタジーに変わりはないですが、日本語基準で遊んでみたり、最後の最後しかはっきりとしたファンタジー要素は出てなかったり、当初のプロット及びフローチャートから著しく外れてみたりと(←またも)色々と事故紹介してみます。
長かったです。
いえ、実質的な執筆時間は一日程度でしたけれど。
しかし事前に少しばかり話を聞いていると、今回の企画には文字数一万超どころか二万超三万超がごろごろ転がってそうな気配です。どうか短編かどうかと言うところに疑問をぶつけないで下さい。せめて投げ掛けるだけにとどめましょう。 ←
閑話休題、相当振り仮名が多くて随分と見辛かったと思います。何しろ見る限り、『姫王』『氷眼』『火眼』『貴方』『貴方』――――この五語は全て振り仮名が振られてます。あるいは『もうわかってるから!』と画面にツッコンでしまった人もいることでしょう(←いない)。漢字の勉強してるみたいに振り仮名が多いですね。読み返してみると。
どうしてこんなに付けたのでしょう。上の五語を差し引いてもやっぱり普段は(日常会話で)使わないような単語までも姫王の剣に言われるがまま書いたからでしょうか(←
と、気がつくと随分と後書きが長くなってしまったのでこの辺で。
ありがとうございました。
立花詩歌
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