第39話:『美食審判官の陥落。天界の法律は、黄金のお出汁によって「無効化」されました』
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500人以上の「お客様」に並んでいただき、店長感激です。
本日は、いよいよあの美食審判官ルシフェルが、私の「お出汁」の前に屈する回です。
シン君(バイト君)の正体を知ってガクブルする審判官の姿、お楽しみください!
ざまぁ成分、出汁が効いてますよ!
「……ふむ。これが下界で噂の、秩序を乱す芳香の正体か」
黒い法衣を纏った美食の審判官・ルシフェルが、冷徹な瞳で私の寸胴鍋を見つめる。
彼の背後には、天界の法典を記した巨大な石板が浮かんでいた。
「聖女れいな。貴様の作る『お出汁』は、人々の生存本能を刺激しすぎている。これは天界が定める『快楽過剰摂取罪』に抵触する。……裁きを下す前に、その証拠物件を検分させてもらおう」
「いいわよ。最高の一杯を出すから、法律でも何でも持ち出して判断して」
私は、シン君が打ってくれたコシの強い麺を茹で上げ、師匠と一緒に完成させた「究極の合わせ出汁」を注いだ。
トッピングはシンプルに、天空のネギと、一欠片の「神の慈悲」。
ルシフェルが無表情のまま、一口、そのお出汁を啜ったその時――。
「……おい。僕の雇い主に、その汚い手を触れるなと言ったはずだけど?」
横でネギを切っていたシン君が、包丁を置いた。
その瞬間、店内の空気が凍りつく。彼の背後に浮かび上がったのは、この国の誰もが教科書で見たことがある、初代建国王の黄金の紋章だった。
「な……!? その紋章、まさか……貴様、死んだはずの……!」
ルシフェルの顔が、一瞬で土気色に変わる。
「僕は今、店長の作る『おうどん』の平和を守るのに忙しいんだ。……立ち去れ。さもなければ、君をこのお出汁の藻屑にするよ?」
シン君の放つ、温かくも圧倒的な威圧感。
石板はパリンと音を立てて砕け、ルシフェルはそのまま膝を突いた。
「……ま、待て。私は、ただ、この香りに導かれただけで……」
「シン君、威圧感で麺が伸びちゃうから、そこら辺にしておいて? ……はい、審判官さん。これ、お近づきの印の『天ぷらうどん』。……食べて、大人しく帰りなさい」
差し出された丼から立ち上る、暴力的なまでの旨味の香り。
ルシフェルは震える手で箸を取り、一口啜った瞬間、その目から大粒の涙を流した。
「……ああ、法典などどうでもいい。私は……私は、この一杯を食べるために、天界から降りてきたのだ……!」
美食の審判官、陥落。
天界の法律は今、この一杯のうどんによって、「全人類うどん摂取推奨法」へと書き換えられた。
第39話をお読みいただきありがとうございました!
美食審判官、まさかの「うどん落ち」。シン君の威圧感も絶好調です(笑)。
第40話!
ついに空飛ぶうどん屋、因縁の「王都」の真上へ。
自分を追放した連中の頭上で、最高に美味しい香りを振りまきます!
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