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第30話

最初は気付かなかったが、壁の両端にも男たちが座っていた。

身なりのいい格好をして、皆が皆、でっぷりとした体格の持ち主だ。高慢そうな顔で花梨をペットか何かのような下卑た目で見下ろしてくる。

花梨はというと、王座に座っているリベルトの兄を見ていた。

あのいつも怒ってばっかりの、でも真っ直ぐで好感の持てるリベルトとどこか似ているところはないかなと探していたのかもしれない。

そんな花梨に鋭い声が飛んでくる。ここまで花梨を案内してきた騎士達だ。


「きさまっ。マキス王であらせられるぞ。頭を下げろ」

「よい。この者の顔は一見の価値がある。私が見たいから構わん」


控えの騎士から鋭く言われたが、すぐにマキス王が取りなした。いや、あまり感心出来ない理由でだ。


「まだ子供のようではないか。確かに黒い色素を持つのは珍しいが、それほどあのリベルトが夢中になるような物が他にもあるのか」


探るような眼差しが王座から飛んでくる。

ちかちかと肌に刺すようなその視線が不愉快で気持ち悪い。

花梨としては、いい加減に啖呵の一つでも言ってやりたいくらいだ。けれど、それをしたら困るのはきっとリベルトやヴィンセントだと思うとできなかった。とりあえず、今は。


「ふむ。私の宮に入れてみるか? こんな子供でも楽しめるかも知れんな。何よりリベルトから取り上げることになるのもよい。最近、あの猫にも飽きてきたからな」


何か、すごく嫌なことを言われている気がする。


「王。ただの子供では楽しめますまい。まずはこの私めにおまかせを。王を楽しませる技能を身につけて差し上げましょう」

「いえいえ、それでしたら私めが。とびきりの妓女に仕上げて見せましょうぞ」


とたんに両端に座っていた老人やその他の男たちが声を上げるけれど、その内容がわかって花梨はぞっとした。

瞬間、ぶちりと堪忍袋の緒が切れた。


「ちょっと待ちなさいよっ」


花梨が声を張り上げたとき、後ろのドアが勢いよく開いた。


「失礼いたしますっ」


勢いよく飛び込んできたのは、リベルトだ。

すぐ後ろからシピとエーメも現れる。


「きさまなど呼んでおらんぞ」


そう言いながらも、面白そうに顔を歪めるマキス王に、性格が悪そうだと花梨は思う。

花梨をマキス王の視線から守るようにすぐ前に立ちはだかったリベルトに、それでもホッとしていた。このまま変な展開に流されてしまうのではないかと不安に思っていたのだ。

もちろん負けるつもりはなかったけれど、王様なんて相手にケンカして勝てるのかと思っていたのも事実。

シピが花梨を背後に立つのにも気付いて、肩から力が抜けた。






短めの更新です。次はもう少し早めに更新したいです…し、します!


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