双子の白熊猫のきもち
パンダ好き。
光と闇が オモテ/ウラだったら
そりゃ はなしはシンプルだろうな
だけど 現実はもっとめんどくさい
闇とはぐれちまった光は
あたりかまわずの
くったくのない笑顔で誰かを傷つけるんだろうし
光とはぐれちまった闇は
くらがりの底で
目ん玉のついてない蟲と這いまわるんだ
おいおい だけどよぉ
ほんとにはぐれちまったのか?
光よ おまえの腕脚が
昏い闇に塗られているのを
おまえは まだ気づいていないのか?
闇よ おれの手脚が
優しい光につつまれているのを
おれは もう気づいているんだぜ
白いつらして
黒い 目 耳 鼻をしてやがるんだろ?
見るもの 聞くもの 嗅ぐものを
ぜんぶそんなもので うけとめてるくせしやがって
おまえはまだ
そんな白いつらが なんで できるんだ?
黒いつらして
白い 目 耳 鼻をしちまったもんだから
見るもの 聞くもの 嗅ぐものを
ぜんぶこんなもので うけとめなきゃなんねえから
おれはもう
こんな黒いつらを 自分だって認めたくもねえ
おれたちは光だけでも 闇だけでもない
その2色をぬりあわせた
ニコイチで双子の熊猫だ
光の白熊猫のおまえと
闇の黒熊猫のおれが
オモテ/ウラだったら
そりゃ はなしはシンプルだろうな
たがいちがいの色をした
手脚と 目 耳 鼻をとっかえっこして
光だけの白熊のおまえと
闇だけの黒熊のおれが
じゃあなって 背中をむけあえば
べつべつのすみかに もどっていったことだろう
だけど 現実はもっとめんどくさい
あたりかまわずの
くったくのない笑顔ができなくなったおまえは
誰かを傷つけないように 悲しい笑みをおぼえたし
くらがりの底で
目ん玉のついてない蟲にもおれは
いっしょに ちょっとした救いくらいさがしてやれた
よぉ 愛すべき かたわれ!
双子の白熊猫である
おまえのきもちを ちゃんと わかってやることなんて
おれにも できやしないけど
双子の黒熊猫である
おれのきもちを ちゃんと わかってくれとも
おまえにも いえやしないぜ
だけど それでいいんだろう
おれたちは光だけでも 闇だけでもない
その2色をぬりあわせた
ニコイチで双子の熊猫だ
白地に 黒ブチの猟犬や
黒い流線形に 白抜きのシャチなんかも
おれたちと おんなじ いきものだ
だからって
あいつらのきもちまでは
おれたちが わかってやれやしないだろうけど
おれたちのきもちまでを
あいつらに わかってもらおうとしちゃいけないぜ
おれたちも あいつらも
光だけでも 闇だけでもない
その2色をぬりあわせた
ニコイチの おんなじ いきものだ
だからって そのきもちなんて
ちゃんと わかりあえっこないって
そんなの とっくにあきらめてらぁ
それでも せめてさ
おまえと おれとは
ちゃんと はなしくらいしてみようぜ
おまえの白いつらにならんだ 黒い 目 耳 鼻と
おれの黒いつらにならんだ 白い 目 耳 鼻を
まっすぐ つきあわせて
古タイヤのクッションで 笹の葉でもかじりながら
とりあえず 好きな映画くらいから おしえてくれよ
ちゃんと わかってやれやしないかもしれないし
ちゃんと わかってくれもしないかもしれないけど
しっぽは、どっちの色だっけ?