入牢ヨシ!
現代社会を匂わせる剣と魔法の世界のハイファンタジー!
指差し呼称!
周囲確認ヨシ!
空気測定ヨシ!
換気ヨシ!
入牢ヨシ!
今日も一日!グリュックアウフ!
イフカダ地区の貧民街内にある地下ダンジョン
管理人から借りた鍵で封印を解き、扉を開くことができた。
手入れもなく錆びついた鉄製の扉の状態から放置された話が本当だと物を言わせた。
実際に開けた時も取っ手が取れそうじゃないかの状態だった。
キーンと響いた扉の金属の音の後で見えたのは目の前に現れた地下への階段の先にある真っ暗だった。
そこで、ダンジョン案内人兼通訳のスケトは突然指で各方向を差しながら、呪文を唱えたように次の言葉を口にした。
「左ヨシ!右ヨシ!前方ヨシ!後方ヨシ!上ヨシ!下ヨシ!」と言ってから、お客さんである冒険者の4人に向けて、やる気満々の顔でこう言った。
「特に異常ありません!」と言うスケトの言葉と表情に反して、話とテンションについて行けない4人。
「さっき...何の呪文ですか?」と先に突っ込んだのは神官の男だった。
「指差し呼称という安全確認方法です。ダンジョンに入る前とかダンジョン内の分かれ道や十字路・丁字路の角を曲がる前にモンスターや明らかに設置されたトラップがないか確認するのです。指を差して、さらに声を出すことで、本当に確認したという自分に再意識させるので、見逃しとかミスとかは少なくする効果があると言われます。」と笑顔で答えたスケト。
「どこからその方法があるの?聞いたことがないぞ!」と驚きのあまりに大声で突っ込んだ戦士の男。
「まあ...前の職場はちょっと特殊でして、ここまでやらないと...叱られますので、もう職業病です。」と苦笑しながら、返事をしたスケト。
「あんたの前の職場ってどんなところだよ...まあ、ようやくダンジョンに入るときが来たか?」と入ろうとした戦士の男はスケトに止められた。
「まだ入ることができません。」と何かを入り口からダンジョン内に投げつけた。
「入る前に酸素が人間入るのに十分あるか測定します...この計測器を使って。昔の炭鉱夫はカナリアという鳥を使って、危険を知らせてくれた方法があったのですが、最近の動物愛好家からの反対によって、この装置が発明された。これはインナムレグ帝国とドゥナリアスの職人が開発したものです。今は王国でも売っています。」と小型装置を見せながら、説明したスケト。
「この装置を投げてから、10秒ぐらいが経って音が鳴ったら、中には空気が足りない状態か有害ガスが充満しているということです。」としばらく待っても何も鳴っていないので、魔法使いの男は質問した。
「これは...大丈夫ということでしょうか?あと...あの装置も壊れたりして使えないとかになりませんか」という心配を口にした魔法使いの男。
「衝撃回収の機能が付いているので、通常の衝撃では壊れません。特に地下や洞窟の密封型ダンジョンは密閉空間によく発生する酸素欠乏症によって窒息死に近い状況で...それで亡くなった方もいます。その状況を防ぐために空気測定が必要になります。この装置を取り扱うことは資格も必要です。そして、その資格を持っている方にも測定する義務があります。もちろん、僕は持っています...まずは大丈夫かと思いますが、念のために換気をしましょう。お客様は風の魔法が使えますか?」と逆にスケトは魔法使いの男に問いかけた。
「ああ...はい。使えますが...」という回答にスケトは安堵した表情で次に話した。
「念のためにたまっている有害ガスで換気をしたが方がいいかと思います。ここでお客様に風の魔法で外の空気を中に放り込んでいただきたいです。それで安易な換気を行います。攻撃というより風を吹かせる程度でいいので...」と説明したスケトだが、魔法使いの男はそれを了承して、入り口の前に立って、呪文を唱えようとした。
「風の精霊よ...我の下に集い、力を貸してたまえ!」と呪文を唱えてから、構えた杖の先に風が集まり、その空気弾になった風が放たれ、ダンジョンの中に放り込んだ。逆風に触れないように4人を入り口の横に行かせようとしたスケト。
しばらくすると、逆風が入り口から吹いてきたことを確認してから、スケトは4人に向けて、ようやくこの言葉が言えた。
「では、入牢しましょう!」
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは二作目の作品になります。
初めて書いた作品、Memento of ランカ ~羅刹羅闍との日本ぶらり旅~という作品は現在連載中です。もしよろしければ、そちらにもご一読いただければ幸いです。↓
https://ncode.syosetu.com/n7903hf/
この作品はあくまで険と魔法の世界を舞台にしたハイファンタジーの設定ですが、どこかで現代社会を感じさせるような要素をいくつか入れていくと考えます。何かのお気づきや何かしらを共感することができれば嬉しいです。
ついにダンジョンの入り口にたどり着いたと思ったら、ここで指差し呼称と酸素濃度測定と換気かよ...笑(作者も思わず笑ってしまった)
それは何だと興味がある方は検索してみてくださいね~
建設現場や工場ではよく見かけることです。日本ではこういうところがしっかりして、すごいなと思いました。というより、作者が実際に現場でやりました(実体験)。
ただ...これはファンタジー世界にこの要素を入れ込むなんて何を考えたのですかね...書いた人は...(お前だよ!!!草)
でも、酸欠や他の事故は現実の世界でもファンタジー世界もあると思いますので、少し皆に意識していただけると幸いです。
これ以上こじらせません。次回は本当に本当にダンジョンに入りますので、次回にはお楽しみに!(本当ですよ...)
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
更新予定はまだ確定ではありませんが、連載を続けたいと思いますので、お楽しみいただければ何より幸いです!