ソアル出張②
現代社会を匂わせて、冒険の常識を覆す安全?と健康?な剣と魔法の世界のハイファンタジー!
冒険という名のくだらないビジネスと社会の闇に一人のダンジョン案内人兼通訳があらがいながら...心のバッドステータスを抱えながら...立ち向かう。
ダンジョン案内人兼通訳研修生が思い出した...昨夜のこと
今日も一日!グリュックアウフ!
ニューロッジ地区に訪れてからの翌朝
テリー冒険案内所クダンスター支店の前
出勤前の時間にも関わらず、案内所の前に誰かを待ち合わせしているのは昨晩スケトと一緒にニューロッジに行ったヴィオ・紫・カミサカだった。
待ち合わせ時間の結構前に来ちゃった...
スケトさんはまだ来ていない...よね。
と周りを見て確かめたヴィオはどうも落ち着かない様子だった。
昨日は...いろいろ話しが聞けた。
ドゥナリアスの料理も久々に食べられて、なんだか懐かしくなったな。
お母さんが作ったネーマの味とは違うけど...これもこれで美味しかった。
スケトさんのことも少し...分かったらいいなと思うけど、その後の展開はさすがに予想外だった。
ドゥナリアス料理店【タカラヤ】を後にしたスケトとヴィオの二人はその店の店長の後を付いていくことになった。
さっき言われたこととこの状況を完全に理解しきれないヴィオは歩いている途中でスケトに質問をした。
「あの...私に用意してくれたものとは何のことですか?」
それを聞かれたスケトは歩くことを止めずにヴィオが聞こえるように話した。
「ヴィオの本当の能力が活かせる...すなわち適切のジョブになるために僕は店長と相談してみました。
ついでに故郷の味も食べてみたいので...
そこで、ドゥナリアスにしか手に入らない装備や武器の調達を依頼しました。今から向かっているのはその試作品が試せる場所です。」と説明したスケトだが、ヴィオはまた困惑の表情になった。
「そんな...そこまで...」
「これは君自身の依頼だよ。それを遂行するのはこのダンジョン案内人兼通訳、スケト・タチバナの任務であって個人的な行動でもあるから、そんなに気にしないで。店長に相談したと言ったって、実はただ故郷の料理が食べたくて寄ったときにちょうど店長がいただけだ。」
「それは本当だよ...お嬢ちゃん。こいつはもはやうちの常連さ。目の前に帰る家があるみたいに通っていやがって...だからこそ、お嬢ちゃんの話を聞いたときにはこっちも興味を持ったんだ。」と言ったのは先頭に歩いている店長さんだった。
「正直僕もヴィオの特殊スキルとかについてはそんなに詳しくないけど、だから専門家を聞いてみることにしたんだ。」と言ったスケトだが、先頭に歩いている店長の足が止まった。
「専門家じゃねーよ。俺はもうあいつらと縁を切ったんだ。」
「少なくとも僕より詳しいじゃないですか?だからこの頼みを承諾してくれた...」
スケトの言葉はどこかで相手のことを読み切ったかように感じたが、相手はやれやれの顔をしてこう答えて、また歩き出した。
「あと少しだ。ついてこい...」
その少し後に3人はある建物にたどり着いた。
見た目は王国にある普通の家...
しかし、その普通の外見とは違う何かを感じたのかヴィオはその家から距離を取ってから、咄嗟に今までしまった武器を取り出して威厳を示すような構えをした。
そのヴィオの反応を見た店長は感動して口笛をした。
「ヒュー...お嬢ちゃん...少し酒で酔ってもすぐに反応してその体勢が取れるね。
ちょっとしたテストのつもりだったけど、もう必要ないな。おい!武器を置いておけ...テストが終わった。」と店長が誰かに話したかのような話し方で喋った後、その家の扉が開けられた。
そこには女性二人が現れた。
見た目からでは片方が王国の人間であるが、片方はヴィオの同郷だと考えられる。
「この子は例の子だね...確かに可愛い。」と片方の女性が嬉しそうな声をして、笑顔でヴィオに見つめた。
武器を構えたままで状況を理解しようとしたヴィオは思わず「あの...これは」と声を上げてしまった。
それを見た店長は興味津々な顔をして、別の女性の方はヴィオに近づけてこう言った。
「ああ...試作品の前に君に合わせるサイズにしないとね。」と言った彼女に対して、さらに混乱が増してゆくヴィオ。
そこで、スケトはここだと分かったみたいにヴィオに説明した。
「それで...店長さんに頼んで、知り合いの呉服屋さんに採寸とフィッティングを頼みました。もちろん、彼女たちもただの一般の人じゃないよ。」と言って傍から女性二人はヴィオに取りかかったかのような姿勢を見せて、笑顔をしながら言った。
「では、今から君のサイズを測りまーす。」
ひいいいいいいっという心の中の悲鳴を思い出すと、ソッと背中から悪寒を感じたヴィオである。
大変だったな...昨日...
隅々まで自分のあらゆるところのサイズを測らされた自分を思い出すと、どうしようもない苦笑いをしてしまったヴィオだが、昨夜で体験したことを振り返ってみたら、それだけじゃなかった。
実は店を出る前に、スケトさんには確かにこう聞かれた。
「あと...ちょっとそのかんざしの模様を書き写してもいいですか?」
「問題ないかと思いますが、何に...」
「いや...この模様というか...この刻印に詳しい人に見せたいだけです。もしかしたら何かこのエムブレムの意味をもっと分かるかもしれないかと思って...」と言ったスケトさんの言葉に...私はただ承諾をした。
「...分かりました。」
自分でも意味が分からないこのかんざしと刻まれたエムブレム...
スケトさんならもしかしたら...と思っただけ。
正直分からなくてもいい...と思ってしまった自分もいるけど、この人なら...もしかしたら...
と思ったヴィオだが、彼女は自分の腕...正確に言うとその腕に取り付けた装備を見つめた。
これ....フィッティングされた後にスケトさんに渡された。
それは以前彼女と仲間たちがイフカダ地区の地下ダンジョンでの戦いで倒したジャイアント・センティピードの殻で作られた防具らしい。
彼女の両腕と両足に纏われた紅色の防具は中々目立っている。
「明日...この装備でお客様との対談で来て欲しい...いいですね?」と防具を渡されたときに言われたスケトの言葉に...ヴィオは今になって少し恥ずかしい気持ちになってきた。
「あ、あの...さっきのフィッティングは...」
「あ...それは君にもっと相応しい装備を作るためなんだ。さすがに今回の出張では間に合わないから、これを...と言っても今回の出張には絶対に必要とされるよ...」と言ったスケトさんだった。
この防具はなんだか派手すぎて...ちょっと...
と思った彼女に何者かが声を掛けられた。
「おはようございます...ヴィオ。」
「あ、え、えーと...おはようございます...スケトさん。」とやっと待ち人が現れたヴィオにはちょっとした安堵の表情をして、相手に挨拶を返した。
「ゆっくり休めましたか?」と優しい言葉をかけた相手に対して、ヴィオは言葉をせずにただ頷いただけだった。
「そう言えば...試作品はまだまだですが、昨日のことでこれで君に合う装備が作れるじゃないかと店長が言っています。」
「そう...ですか?」
「はい...お願いの通りに昨日渡した防具を付けましたね。これで問題ない...」とその言葉の裏には何かが隠されたかのようにスケトは微笑んだ。
「では、中に入りましょうか?僕の経験上では待ち時間の10分後ぐらいにお客様が来ます。
その前に僕たちは待機しないと、失礼だと捉えられるから...初めての顔合わせなので、あまり悪い印象を与えたくないですね。」
「あ、はい...分かりました。」と返事をしたヴィオはスケトの後を付き、テリー冒険案内所クダンスター支店に入っていった。
最後までお読みいただきありがとうございました。金剛永寿と申します。
こちらは二作目の作品になります。
初めて書いた作品、Memento of ランカ ~羅刹羅闍との日本ぶらり旅~という作品は現在連載中です。もしよろしければ、そちらにもご一読いただければ幸いです。↓
https://ncode.syosetu.com/n7903hf/
この作品はあくまで険と魔法の世界を舞台にしたハイファンタジーの設定ですが、どこかで現代社会を感じさせるような要素をいくつか入れていくと考えます。何かのお気づきや何かしらを共感することができれば嬉しいです。
やっと更新しました!
と言ったものの、ほぼ4ヶ月で更新って...
楽しみにしている皆さんにはお待たせしてすみません。
更新ができるように軌道を作っていますと言ったものの、その軌道があまりうまく載せられず、なかなか難しいです。
せめてこの話をネトコン12締切まで載せなければと思い、今日更新しました。
前話ではスケトがメインになったので、今回はちょっとした別の視点にしようと思い、ヴィオの記憶から語らせました。
店長と二人の女性...只者じゃない感
そして、採寸とフィッティングw
何を作らせるんだろう...服?(それはそうか...?)
エムブレムの手がかりが知りそうなスケト...
渡された派手な防具には何に使われるのでしょう...
そして、ついに今回の依頼人...お客様とのご対面...
次は何が待っているでしょう...
どうかお楽しみしていただかれば幸いです。
今後の展開はどうなるか、そして主人公たちの過去には何があったのかさらに掘り下げますので、これもぜひお楽しみにしていただければと思います。
もし続きが気になって、ご興味があれば、ぜひ「ブックマーク」の追加、「☆☆☆☆☆」のご評価いただけるととても幸いです。レビューや感想も積極的に受け付けますので、なんでもどうぞ!
更新予定はまだ確定ではありませんが、連載を続けたいと思いますので、お楽しみいただければ何より幸いです!




