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俺と俺達による開放戦  作者: ますかぁ
3/5

邪龍蟲(センティピュード)

(そこを真っ直ぐ………暗いから足元に気を付けるのじゃぞ。)



「はいはい、分かってるって。」



(握らせた結晶を落とすなよ、それが無いと我の声が届かないのじゃから。)



「大丈夫だって、しっかり握ってんだろ。」


ティルアの言う結晶とはティルアの体を覆っていた碧色の結晶の欠片で、これを俺が持っていればティルアの体から距離が離れていてもこうして会話が出来るらしい。



ちなみに、ママと呼ぶけもなく……呼び方はティルアで落ち着いた。



「………おっ、明かりが見える。あこが出口なのか?。」



(そうじゃな。外に出てどれくらいの距離まで我の声が届くか分かんが……まあ、暫くは声の届く所から出るなよ?。リヒトをサポートせねばならんからな。)



「リヒトって誰だよ?、外に仲間がいるのか?。」



(ん?………あぁ、お前の名じゃよ。分かるものかと思ったが………まあ、無いと不便じゃろ?。これからは『リヒト・ティアノート』の名乗ると良いぞ!。)



どうやら俺の名前がたった今『リヒト』に決まったらしい。


そして家名の方はルティア・ティアノートが所以だろう。自分が生き延びる為に、自分が自由を得るために俺を作ったらしいがやたらと親子感を強調してくるな、こいつわ。



だが確かに名前が無いのは不自由だし、自分から名乗りたい名前がある訳でも思いつく訳でもない。

なのでこのは素直に名前を貰うことにする。



(なぁリヒトよ。)



「なんだよ、なんか見つけたのか?。」



(んふ〜!。呼んだだけじゃぁ〜〜。)



「くだらなっ、ガキかよ…………。ほら、外に出るぞ。」



ルティアの相手は最低限にし、いよいよ洞窟の外に出る。



「………意外と………問題なさそうだな。」



(まあの〜、ここは我から漏れ出た魔力で気候が隔絶されておるからの。生まれたままの姿で立つリヒトでも寒くは感じまい。)



「……あ、確かに俺全裸だったな。」



外は背の高い木々が並び、そこからこぼれ落ちる日差しすら余すまいと背の低い草が生い茂っていた。


少し肌寒く感じるような気もするが、俺が裸だと言う事を考えるとそこそこ暖かい森なのだろう。



……とゆうか、こいつ今凄いこと言わなかったか?。

漏れ出た魔力で気候が変化するとは、やはり相当危険な奴なんだな。



「取り敢えず身に纏うものが欲しいな、この森を抜ける頃には傷だらけだぞ。」



とりあえず近くの植物から幅が広く、長い葉を何枚もちぎってから足に巻く。


ないにも等しいが……裸足よりはマシだと願いたい。



(確かに、我が直接見た訳では無いが………この森は人間共からすれば相当危険な場所に当たるじゃろうな。受ける傷は少しでも少ない方が困るまい。)



「見た事ないのになんで分かるんだよ………、直感か?。」



確かにジャングル然としたこの森はあらゆる危険が有るだろう。


病原菌に有毒の植物・虫………獣や視界の悪さ……………



だが、そんな事は誰でもわかることで今更相当危険な場所なんて言う必要も無いだろうに。



(……ん〜、そうじゃなぁ。ほれ、言ったじゃろ?……最初の100年は恨むまま人間を殺すバケモノを作ったと。)



「……あぁ、言ってたな。でもそれかなり昔の話だろ?。関係あるのかよ。」



(実はのぉ、あの時は特に深い事を考えとらんでな。泉に落ちた生き物をただ『強化』してたんじゃよ………これも言ったじゃろ?。)



「あぁ。でもいくら強化したって言っても生き物だろ?。数百年も生きてるわけないだろ。」



(うむ………勿論そヤツらも寿命はある……じゃがの…ほら。生き物は『子を産む』じゃろ?。…………ほれ、おった。)



ルティアの報告と共にガサガサと茂みが揺れる音がする。



視線をそこに向けた時、青々とした茂みの中からそいつが顔を覗かせてきた。



少し青がかった黒………少しだが光沢のあるその外殻と『大きさ』からそれが生き物であるとゆう判断が遅れる。



(ムカデを元に作った邪蟲龍(センティピュード)じゃ。洞窟には結構おったでな……。じゃがあれはまだ幼体じゃな、せいぜい4メートル程しかない小物じゃろう。)



「いや………いやいやいやいやいやいやいやいや………………。何やってんの?。ルティア…………なんでこんなの作ってんの?!。」



ムカデを元に作ったなんて言われるまでもない。



ぞろぞろと頭部に続いて出てくる胴は長く、横から無数の足が生えている。

ルティアの言う通り、そのサイズは俺が2人分よりいくらか大きい………。


サイズ感で言うならムカデとゆうよりもデカいワニのようだ。



「………おい、てゆうか近づいて来てるんだが?!?!。」



(うむ!、食生は純粋な肉食……我が施した人を襲う習性も健在じゃろうな。リヒトが狙われない理由は断じて無い!!。)



「ふざけんな!!、俺の危険に確信持ってんじゃねぇよ!!!何とかしろよ!!!脱出して数歩目で死ぬとかマジで笑えないんだがっ?!?!。」



全身に嫌な汗が吹き出してくる。


邪龍蟲(センティピュード)のサイズ感はワニと言ったが、その速度もそこそこあり、ゆったりとした様子ながら人の早足並の速度で迫ってくる。



「ど………どうすんだよこれ…………、食われるのか……。」



(あっはは!!……やっと愛いらしい態度を見せてくれたのぉ。目の前に居れば抱き締めてやりたい所じゃが………まあ、そう焦るでない。利き手を………あぁ、リヒトなら右手じゃな………その手のひらをあやつに向けるのじゃ。)



正直ルティアの言う通りに動くのは好ましくないが………自分の命がかかっているなら仕方ない。



言われた通りに右手を伸ばし、手のひらをムカデの怪物に向ける。



(リヒトの体は我が最も知っておる人間を参考に作った……そやつは剣術と魔術を合わせた戦いをしていたのじゃが…………。今はリヒトに流れる我の血を使おう。よいかリヒト、おぬしは『魔人』じゃ。存在そのものが魔術のような生き物じゃ………じゃから難しいことは必要ない。手のひらから血がふきでるように…おぬしを構成する魔術の一部を奴に当てれば良い。)



「オーケー………さっぱりわからんがどうせ聞き直しても分かんねーだろうなぁ!!!。」



魔術とか全く知らない。


でもこうゆう自分の事を『天才』とか言ってる奴に「もっと詳しく」なんて聞いても意味は無いだろう。


どうせ理屈では無く『イメージ』で語ってくる、だから聞き直す前にもうやるしかない。



やるしか…………無い……………、



「っても普通は出ねえよなぁ!!!。」



瞬時に構えを解き、足元に落ちていた鋭い部分のある石を掴む。



……そしてその石を強く右の手のひらに押し当て………



「クソがァァァァ!!!。」



勢い良く引く。


刃物の様な滑らかな痛みではない。

おろし金で肉を削られるような………皮膚をブチブチと無理やり断ち切るような…………



そんな汚く張り付くような痛みと共に、体内から熱い液体が………血が溢れ出てくる。



(な、何やっとるんじゃ!!。リヒトよ!!、おぬしの体は我のものじゃぞ!!!。我に許可なく傷を付けるな!!!。)



「うるせぇな!!、説教する暇があるなら最も分かりやすく説明出来るようにしとけやカス!!。」



再び手のひらを邪龍蟲(センティピュード)に向ける。



今なら分かる……意識を集中させた手のひらから痛みを伴って滲み出る熱を…………、



これを腕の筋肉で外に絞り出す感覚で…………、



ド派手な血しぶきが手のひらから吹き出すイメージを!!!。




その瞬間………、本当に血が吹き出した。



……………ように見えた………



それは飛沫とゆうより霧状だった、赤と黒の光を迸らせる赤い霧が瞬時に邪龍蟲(センティピュード)の周りに広く立ちこめ………



刹那の暗転、その直後に強烈な閃光と音を発しながら『爆発』した。

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