家族
こんばんは!
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さっきから、姉ちゃんからの強い視線を感じる。
白米を口にかきこみながら、ちらっと見ると、ニヤニヤした顔で見つめている。
白咲にキスをしているところを見られてしまったからだ。
「あら、一人暮らしなの?」
「はい。両親が早くに他界しちゃったんです」
「そうだったの...」
「じゃあ、毎日うちに食べにきなよ!」
姉ちゃんが、白咲に提案する。
「それは、ご迷惑かと...」
白咲は、遠慮する。
それに、バイトもあるだろう。
「いいのよ!女の子が一人増えるだけで、たいして変わらないわ!」
母さんもぐいぐいと白咲に言う。
「じゃあ...手が治るまで、お邪魔してもいいですか?」
「もちろん!太鳳ちゃんは、今日から私達を家族だと思っていいからね!」
母さんが白咲の肩をそっとなでる。
「ありがとうございます」
白咲の頬に涙がつたった。そんなに嬉しかったのだろうか。
「もう、泣かないでよ!」
姉ちゃんが白咲をそっと抱きしめた。
すると、白咲は何かとりついていたものが離れたかのように、すとんと眠ってしまった。
白咲をお姫様抱っこして、俺の部屋へ連れて行き、べっとに横たわらせた。
安心したような笑顔で眠る白咲がいとおしくてしかたがない。
あんなに、泣くほど、つらい想いを我慢していたんだろうか...
またそっと、白咲に口づけをした。
朝日が顔にあたって目が覚める。
起き上がって、リビングにいくと、楽しそうな声が聞こえてくる。
ドアを開けると、すでに母さんと姉ちゃん、白咲がそろって朝食を食べている。
「ん、おはよ、翔」
「はやく食べなさい。さめちゃうわよ」
「ああ」
自分の席にすわる。
「おはよ。甲斐くん」
「おはよ」
白咲が微笑みながら、言う。
俺は、昨日、眠っている白咲に口づけをした。告白する勇気すらないくせに......
「「いってきます」」
二人で一緒にくつをはく。
「ちょっと待って!」
母さんが急いでキッチンからでてくる。
「ほら、お弁当!」
母さんは、二つ、弁当を手渡す。
「ありがと」
俺は、あっさりと受け取るが、白咲はなかなか受け取らない。
「太鳳ちゃん、今夜もおいしいごはん作って待ってるからね」
母さんが白咲に手渡し、そっと手をにぎる。
「ありがとうございます!!」
白咲は満面の笑みで感謝した。白咲はまた泣きそうだ。
学校前に泣かれたら困る。
「ほら!行くぞ!」
白咲の手を引っ張り、玄関を出る。
そして、二人で学校に登校した。
しかし......それまでの道のりが大変だった...
俺が白咲と一緒に居るのをみて、泣き出す女子達...
体育教諭の松井には、背中をバシッと叩かれ..
やっとの思いで下駄箱に行くと、白咲は友達に話しかけられ、そのまま教室に入っていった。
「さっそく朝帰りか!?」
すばるが、俺の肩に急に手をまわして、耳元で言ってきた。
「ちげぇよ。うちに泊まっていっただけ。」
「否定になってねぇし」
「ほんとに何もないから!ってか、まだ言えてねぇよ......」
「嘘だろ...どんだけもったいぶんだよ」
「いうタイミング、逃したんだよ......」
すばると、こそこそと話していると、
「ひどいよ!僕たちに言わないなんて!」
光、廉、春斗はぐちぐちと俺に言う。
「わりぃ」
軽く謝ってから、下駄箱を開ける。
いつもどおり、何枚か入っている、ラブレターをカバンに突っ込んで、わいわいしながら、教室にむかった。
この時、俺はまだ気づいていなかった。
君が抱えている本当の秘密たちを。
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では、また明日、夜20時に!