秘密
こんばんは!
最後までよんでいただけると、うれしいです!
白咲が、学校に来なくなって二週間がたった。
白咲が来なくなったのは、俺のせいなんだろうか。
連絡をしようと思ってはいるのだが、なかなか指が動いてくれない。
「翔!」
すばるが笑顔で走ってきた。
「どうした、そんな楽しそうな顔して」
「お前にプレゼントやるよ」
「プレゼント?」
すばるは、分厚い封筒を差し出す。
「なにこれ」
「白咲の。これ、家まで届けてこい。」
「え、、なんで」
「好きだ。ってちゃんと言うんだよ。来なくなったの、お前のせいだろ」
「うぅぅ...」
結局、来てしまった...
でも、本当にここであってるのか?
住所がしめしているのは、小さなアパートだ。
「ピンポーン」
インターホンを鳴らすと、
「はい」
と、白咲の声が聞こえてきた。
「俺。甲斐」
「...」
白咲が、返答をしてくれない。
「配付物、届けに来たんだ。」
玄関が静かに開いた。
白咲が姿を見せた。
その姿に俺は目を見開いた。
左手を骨折しているのだ。
「白咲...それ...」
白咲は、問いかけには答えず、部屋に招き入れた。
「どうぞ」
部屋に招き入れた。
白咲の家は、とても質素で、きれいに片づけられている。
むしろ、生活感がないように思えた。
「一人暮らしなの?」
「うん。両親とも小さい頃に亡くなっちゃったんだ。」
「そうだったんだ...」
テーブルに、家族写真が置かれていた。
白咲は、母親と父親の間に挟まれていて、とても幸せそうだ。
見ていると、ガシャンと、物が落ちる音がして、見上げると、白咲が、コップを落としていた。
片手しか使えないから、不便なのだ。
そんなことも分からないのか...俺...
俺は、すぐさま駆け寄って、ガラスの破片を拾う。
「ごめん」
「いいよ、そっちは怪我してない?」
「大丈夫」
白咲の代わりに、お茶を入れ、イスに座ってすこしへこんでいる白咲に持って行った。
「ありがと、ほんとにごめんね」
「謝らなくていいよ。ってか、めしとかどうしてんだ?つくれねぇだろ。その腕じゃ」
「うん、たいていインスタントとか、お弁当」
「俺んちくるか?めしはちゃんと食わねぇとダメだぞ」
「え、迷惑じゃない?」
「大丈夫。連絡してくるわ」
「ありがと」
案の定、電話の向こうからは、歓喜の声が聞こえた。
「大歓迎よ!翔が女の子連れてくるなんて!今日の晩御飯、何にしようかしら!」
そういって、切れた。
「ほら、大歓迎だってさ」
母さんのテンションに苦笑いしながら、白咲の元へもどる。
「楽しそうなお母さんだね」
と、白咲は、笑う。
「白咲、なんで学校に来ないんだ?」
俺は、白咲に尋ねてみた。
白咲はすこしうつむいて、手を固く握りしめる。
「こないだ、会った男の人、覚えてる?」
白咲と初めて一緒に帰った日に、絡んできた無駄にチャラい男をおもいだす。
「あ、ああ」
「私、あの男と同じところでバイトしてるんだ」
白咲は、あの時、もう行かないといっていたはずだ。
それに、うちの高校はバイト禁止だ。
俺の考えていることが、伝わったのか、白咲はよけいに顔を暗くする。
「また行くようになったの。じゃないと...生きていけないから」
そのあと、白咲はいろいろ話してくれた。
バイトは、ヤクザなどと繋がるところで、不良が多くいる。白咲は、養護施設からでないといけなくなったときにそこのリーダーに拾われて、働き始めた。骨折したのは、遊園地にいった日の夜、不良たちと喧嘩になったから。喧嘩した罰として、しばらく仕事の量を増やされ、学校に行けなかったらしい。
「まぁ、相手の方が重症っぽいけど、喧嘩を売ってきたのは向こうだから、まぁ、自業自得だね」
強烈な言葉を、普通の顔で言う白咲。
ちょっと怖くなってきた...
「明日からは学校に行けるから、大丈夫」
その言葉を聞き、俺は胸をそっとなでおろす。
「いらっしゃい!はじめまして。翔のお母さんよ!」
母さんがハイテンションで迎えた。
「はじめまして。急にお邪魔してすみません。白咲 太鳳です」
「いいのよ!もうちょっとでできるから、翔の部屋で待っててね!」
「ありがとうございます」
「え?俺の部屋?」
バタバタしながら、母さんは台所へ戻っていった。
くつを脱ぎ、白咲を部屋に案内する。
「部屋、綺麗だね!」
「そうかな?」
「うん!」
二人でベットに横並びに座る。
その時、携帯の通知音が鳴り、開くと、
『ファイト! すばる』
と、メールが来ていた。
「超能力でももってんのか...」
思わず、そうつぶやいた。
「どうしたの?」
白咲が携帯をのぞきこもうとする。
それを遮ろうと焦って、思わず白咲にキスをした。
「ごはん、できたって!」
姉ちゃんがタイミング悪く、部屋のドアを開けた。
俺たちの姿を見て、すばやくドアを閉める。
「ごめん!お邪魔しました~!」
白咲が、俺から離れる。
「ごはん、いこっか?」
「あ、うん」
そのまま、白咲は行ってしまった。
「なにやってんだ...俺」
俺はため息をついた。
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首を長くしてお待ちしております。
ではまた明日、20時に!
澪。