はじめての気持ち
こんばんは!
最後まで読んでいただけると嬉しいです!
6月。
クラスの様子が変わってきた。
テスト期間に入ったからだ。
うちの学校では、一年間で、テストは学期末の三回しか行われない。だから、この三回でいい点を取らなければ、留年が確定だ。
だから、普段勉強してない組は、部活が休みになるこの一週間にあせって勉強しまくるってわけ。
例えば、目の下にクマが出来かけているこの二人。光と廉だ。
「翔~!ここわかんないよ~!」
光が涙目になりながら、俺に助けを求めてる。
廉は、すばると春斗が二人がかりで教えないと、理解ができない。
ちらっと横を見ると、白咲も友達と勉強をしている。
『美咲』、あの日のことが、よみがえってきた。
あの白咲の悲しそうな笑顔を見たら、触れてはいけないものなんだと、思った。
それから、白咲は俺に話しかけてくれなくなった。
俺の頭の中は、白咲のことばっかだ...
「翔!おーい!聞いてる!?」
光の声がして、はっと我に返る。
「え、あ、ん?なに?」
「ここ、はやく教えてよ!」
「あ、ああ。ここは...」
放課後。
俺は、他クラスの女子に体育館裏に呼び出されていた。
「甲斐くん!好きです。付き合って下さい!」
なかなかの美女だ。
俺は、いつもうなずく。そして、いつもと同じように、消えていく。
...白咲の顔が、浮かんでくる...
「ごめん...」
俺は...初めて、告ってきた子を断った。
女子は、泣き出しながら走り去った。
陰から、すばるたちが、出てくる。
「え、断っちゃったの?めずらし。」
「新しい彼女だと思ったのに~、美女だったよ?」
「どうした、好きなやつでもできたのか?」
みんな、身勝手にしゃべる。
「俺だって...よくわかんねぇよ...」
「翔?」
俺は、四人から離れた。
階段に腰を下ろす。
いつもなら、簡単にうなずいてる。その方がめんどくさくならなくて済むからだ。それに...
相手の子を傷つけたくない。そう思うから。
みんな、俺を理想の王子様と思い込んで、結局、理想と違ったら、俺を捨てる。
「甲斐くんは、甲斐くんのままでいい。」
白咲の言葉が、幻聴として聞こえてくる。
頬に冷たい感触がした。
見上げると、すばるがペットボトルをほほに当てていた。
「すばる...」
すばるのペットボトルを受け取る。
すばるは優しく微笑んで、俺の隣に座る。
「なぁ、すばる」
すばるになら、話してもいいかもしれない。
「ん?」
すばるの声は、やさしくてあたたかい。
「俺は、周りからどう見えてるんだ?」
「んー...かっこよくて、頭よくて、運動神経抜群?」
「......」
「俺から見ると、努力家で、ちょっとアホなところがある。あ、あとだらしないな」
と、笑いながら言う。
だらしないか......
苦笑しながら、すばるからもらった水を口に含む。
「白咲さんか?」
思わず、噴き出してせき込んだ。
「わかりやす...」
すばるは、笑いながら、俺の背中を叩く。
「なんで......」
「翔はわかりやすいんだよ。お前、ずっと白咲さんの事、みてんだもん」
「白咲の事...ずっと考えてるんだ。なんでだろう...」
「なんでって、決まってるだろ?」
「なんだよ」
「『好き』ってことだ」
いかがでしたか?
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くびを長くしてお待ちしております!
では、また明日、20時に!
澪。