後日に
前回の続き。
また、国防省の会議室。
「私がこちらに来るほうがいいですね。背広なので」
「私どもが行って、新聞記者などに見られると、いろいろ突っ込まれますね」
「ところで、解析できないのが何とも残念」
「解析するソフトがあり、通常は分子式と構造、いわゆる『亀の甲』ですね、
それが画面に出るのですが」
「これから解析される可能性に期待しましょう。研究は続けられているので」
「アレですが、わが国に持ち込む方法は多々」
「女性が化粧品の容器に入れて入国とか」
「スーツケースを開けて、中の物を1つずつ入念に検査するでもしないと」
「餌付け担当は考えましたね」
「お面をかぶっていたのは、式典の日の早朝まででしょう」
「式典の少し前に、お面を着けないで墓地の前に行き、
餌がコーティングされて、アレのしずくが付いた小枝を、ある程度の数ばらまいた」
「大統領の顔を覚えたスズメ、1羽でなく、何羽かいたのかもしれませんが」
「小枝をくわえて大統領に近づいた」
「軍楽隊が葬送の音楽を演奏」
「大太鼓の一撃でびっくりしたスズメが小枝を落とした」
「的中、というか、頭の上」
「頭の右側から顔の右側にアレが流れて、
カミソリでヒゲを剃ったときについた、ごく小さな傷から体内へ」
「成功する確率は」
「高くはないですね」
「こちらからみると、わるい偶然が重なった」
「失敗したら」
「別の手が用意されていたでしょう。どこかのパクリとか」
「傘で突く・・の別バージョン」
「ニセの警官などに扮して」
「警棒の先を尖らせて、アレをスプレーでたっぷり付けておく」
「少し尖らせるだけで十分でしょう」
「逮捕されても、大統領に比べると小物」
「完全黙秘」
「それなりに対応しますが。殺し屋は王様じゃない」
「各国の大使館に、こちらの人間を入れないと」
「敷地の外からでは無理」
「今後の対策は」
「帽子をかぶってもらうとか」
「不審なドローンは妨害電波で動きを止めるとかもやらないと」
今月はここまで。