求めていた答え
説明になってない説明会です・・・
「なんでもと言ったな?疑問なら腐るほどあるから後悔するなよ?」
そう言ってから焚火の近くに腰を下ろし、リュックサックから二人分の串とベーコンを出して火で炙りながら、現状で疑問に思う事を片っ端から質問した。
1つ、ここはどこなのか
2つ、あの大樹は何なのか
3つ、湖が輝いているのは何故か
4つ、生きている人間を見るのが初めてなら死んだ人間は見た事があるのか
5つ、観測者とは何なのか
「答えられない質問がなくて安心したよ。では1つめから順番に回答しようか。」
笑みを浮かべながらそう言うと、観測者はつらつらと回答を述べていく。話す事が好きなのか、楽し気に語られる言葉は途切れる事は無い。やはり話す相手が一人もいないのが寂しかったのではないだろうか?
だが如何せん、説明が長すぎる。全部聞き終わるまでに相当な時間がかかった。今までの学説を吹き飛ばすほど重要で重大な話ばかりだったが、長すぎてこっちが少し後悔した。
聞いた話を元に分かりやすく噛み砕いて簡潔に言いうとこうなる。
1.この場所はすべての世界の根源となる狭間の世界である。普通は辿り着けない高次元に存在している。全てのマナはこの世界で生成される。
2.あの大樹(名前は無い)が全ての世界を支え、葉の一枚一枚が違う世界そのものである。
各世界のマナの量を調整、プールし、マナの減った世界にマナを送っている。大樹はマナの循環用ポンプの役割を担っている。
3.湖が輝いているのはマナの密度が濃すぎるから。大樹のプール部分に当たるらしい。濃すぎるマナは薬にも毒にもなる。・・・俺その湖に浸かってたんだけど?
4.死んでる人間なら稀に落ちてくる事はある。次元の狭間を落ちてくるとほぼ原型を留めていないが、頭が残っていたらその度に【リード】を使用して観測している。最初は俺の事も死体だと思って【リード】を使った。そもそも高次元に低次元の生物が何事もなく移動出来たとしても、自我をを保てず崩壊する・・・?
5.観測者とは観測する者である。各々の世界を見て測定結果をアカシックレコードに保存する概念的な物。高次元に存在しているので人間には認識出来ないらしい。神ではないと言っていたがやはり神に属するものだと思われる。
「ちなみに君の知りたがっていたマナだけど、マナは世界の構築に不可欠な神秘的な力の概念だね。世界間のバランスを保つ役割がある。極端に言えば、世界を構築する為に必要な目に見えない元素のようなもので、世界のどこにでも存在している。様々な用途に使える万能アイテムかな?
オドは生命から発生すると考えられているらしいけど、実際には生命がマナを体内に取り込み、自分の使いやすい形に変えて保持している力がオドと言われる概念の正体だよ。オドの保有量は個々人で差があるけど、オドは使うほど保持できる最大量が増えていくんだ。」
そう言いながらいい感じに炙られたベーコンを嬉しそうに食べている。食事は必要ないらしいが、味覚はあるのだろうか?概念が物を食べれるとはある意味新発見だろう。この空間全てが新発見ではあるが。
そして大樹の説明の最中であっさりと俺の生涯の目標が解決されてしまった。しかも蛇足的に・・・俺の記憶を読んで親切心から教えてくれたんだろうが、行き場の無い嬉しいような悲しいような、なんとも言えないこの感情はどこにぶつければいいのだろうか?
正直難しすぎて全ては理解出来ていない。自分の中に判断材料が少なすぎて、観測者が正しい事を言っているのかさえ判断できないのだ。どっちを向いても謎しかない。だが、俺の求めていた不思議が、答えが、ここにある。沸き立つ心が抑えきれない。
「話は変わるが、俺がここに来るきっかけになったオアシスと天使のラッパの関係性について何か知ってたりしないか?」
現状知りたい事を聞き終えたので次点で聞きたかった事を聞いてみた。あの出来事がなければ俺はここには来ていないのは間違いないだろう。全てを観測する者があの現象について知らないとは思えない。
「君の言う天使のラッパという現象は世界の接触による軋みだね。本来交わる筈の無い世界が接近しすぎて歪む時に起きる世界の悲鳴さ。マナの総量が少ない世界が、マナの総量の多い世界に引き寄せられてしまう為に起きる現象だよ。毎回聞こえる音が違うのは歪んだ隙間からマナの少ない方へとマナが移動するんだけど、移動したマナの量で音質が変化する。筒に息を吹き込むと量によって音が変化するだろう?あれと同じだね。マナが移動する事によってバランスが戻り、天使のラッパも収まる。」
あっさりと答えが返ってくる。観測者はすごいな。なんでも知っているのではないだろうか?名残惜しそうにベーコンの刺さってた串を見つめる姿は食い意地の張った残念イケメンにしか見えないが。
「君の見たオアシスだけど、私の予想ではマナの総量の少ない君の世界が、マナの総量の多い世界の位相に偶々重なってしまったのだろう。他の世界でも稀に起きているしね。それでも普通は世界を隔てる壁があってオアシスまで近づけない筈なんだけど、君のその特殊な瞳が壁の薄い個所を見通してしまったのではないか?と思っている。」
つまり俺だったからオアシスまで辿り着けたと言う事だろう。他の人であればオアシスは見えなかった。なんにせよ稀にしか起きない現象らしいので実証する機会すら無さそうである。
「君がこの世界まで来れたのもマナの奔流、つまり大樹の中を通って流れ着いたからだろう。次元の狭間を通って来たのではまず助からないだろうし。
天使のラッパで位相がズレて、偶々大樹の中を通ってここまで来た。君は本当に運がいいね。」
正直天文学的数字だよ。と笑っているが、俺にとっては笑い事ではない。少しでも違う行動をとっていたら今頃は物言わぬ肉の塊になっていたという事だ。思わず背筋が凍り付く。生きててよかった。
「基本的に天使のラッパという現象は枝の近くでしか起きないんだ。隣接する世界同士が枝で繋がているから、世界が接近するとどうしても壁の薄い枝付近で歪が起きる。」
「でも俺のいた砂漠に枝は無かったぞ?というか砂しかなかった。」
「君の星の歴史では、およそ150年前にその砂漠となった場所で大規模な戦争が起きているね。その時に枝が失われたのだろう。それから徐々にマナが減り続け、遂に天使のラッパが鳴り響くようになった。君の落ちた湖の底にマナの奔流があったのだから、オアシスの近くに枝があるのは間違いないだろうね。」
どうだろう、納得できたかな?と言って立ち上がると長時間の説明で固まった体を解し始めた。解す筋肉があるのだろうか?どこまでも謎概念である。
ある程度の概要は理解できた。まあ、俺が高密度のマナに触れて何も起きていないとか、何故か自我を保てているとか、観測者が見えるとか、アカシックレコードとは何なのかとか謎を上げたらきりがないな。
「うん、君が今も生きていられるのは高濃度のマナの奔流の中で自己進化し続けたからだろう。マナを取り込みオドを生成、オドを消費して肉体を調整し続けたのだと思う。そして高次元に耐え得る存在へと至った。半神の領域まで自己進化するとは驚きだね。
アカシックレコードについてはすまないが答えられない。禁則事項に抵触する恐れがあるからね。」
「考察に対する自動回答ありがとうございます。そして今の話から不安しか感じないんだけど、人間辞めちゃったの?」
「不安に感じる事は特にない。むしろ君にはメリットの方が多いんじゃないかな。普通の人より丈夫で長生き、オドの保有量が増えた、くらいに思っておけばいい。肉の器に囚われている間は、人間という定義から外れていないだろう。」
「ふむ、なるほど。メリットの方が多いという事はデメリットも多少はあるという事だろう?そのデメリットってのは何だ?」
「生物には遺伝子という設計図が備わっている。君は自己進化をする過程でその設計図が大幅に書き換えられている。設計図があまりにも人と違いすぎると受精出来なくなる。つまり、子孫を残すのが難しい。相手が君の様に半神なら話は別だけどね。デメリットはこれくらいじゃないかな?」
観測者の説明が全て正しいと仮定するならば、特に問題はないだろう。研究以外に興味など無いのだから。むしろ生涯の目標とアポカリプスサウンドの謎まで判明した。収穫としては申し分ない。
元の世界に戻った時に証明する手段がないと学説的に肯定されないが、聞いた話からマナ溜りとされるスポットに大樹の枝があるのは間違いない。まずはマナ溜りに行ってマナの流れを調べて枝を探す必要がありそうだ。
枝を発見出来ればマナについては論文を書けるかもしれない。問題はマナ溜り付近は動物が活性化してて危険地帯に指定されている。通行許可を取るのが面倒な事か。
オドの証明はどう実験したらいいだろう。オドを消費した後にマナを遮断する部屋に入ってオドが回復するかどうかという実験で証明出来るような気がする。
問題はマナを遮断する部屋なんて作れるのだろうか?マナを弾く物質なんて発見されてないんだが・・・
ラッパの方はだめだな。どうやっても証明する手段が無い。目に見えない他の世界がこちらの世界に接触して音がなってるんです!と言っても観測すら出来ないのだからお手上げである。
マナの流れを測定するくらいしか出来ないだろう。
なんにせよ、元の世界に戻れなければ意味はない。
「分かった。では最後の質問だが、元の世界に戻る方法はあるのか?」
「・・・うーん。元々この世界から違う世界へ行った生物はいない。というか、この世界に生物はいないからね。いくら半神といえど生身で次元を超える事は出来ないだろう。・・・異界渡りの手を借りれるなら特に難しい事でもないんだけど。」
と、観測者は出会ってから初めて見る困惑した表情で思案するように瞳を閉じた。
何でも知っている全知全能の神のようなイメージだったが、意外とそうでもなかったようだ。それほど難しい問いかけだったのだろうか?というか異界渡りってなんだろう?
「だから私は神ではないよ。ただの観測する概念だ。一度でも起きた事象ならば私に答えられないものはないだろうけど、こんなイレギュラーは初めてさ。もし次があるなら、参考にさせてもらうよ。
異界渡りとはその名の通り異世界を散歩感覚で歩き回る非常識さ。私も実際に見た事はないけどね。
1つだけ思いついた事がある。それを試してみよう。それで無理なら私にはお手上げだ。」
そう苦笑しながら、観測者はこちらを促すように大樹の方へと歩き始めた。
語彙力が無さ過ぎて文章の流れに違和感を感じる。
それにしてもガバ設定すぎて酷い




