第三話:今日一番の「はぁ!?」いただきました!
すみませんんんん!!
予約投稿にしていたつもりが予約投稿になっておらず一ヶ月も時間が空いてしまいました……!!
「ん~狩り尽くしちゃったのかな。もうオークいないみたい」
「だなぁ……。数少なくなったかぁ?」
「いや、こんだけ倒してたら減りもするだろ!?」
「「ナイスツッコミ!!」」
あれから大して時間がたたない間に、私たちはオークを狩り尽くしてしまったようだ! 目の前にはオークの死体が山積みになっている。さぁて、運ぶのはお願いしようかな! 私は日常品を買い集めなきゃいけないからね。
「……俺、死ぬんじゃねえの?」
目の前を見て呆れた顔をしているカイ・アルトレンド。道端に倒れていたのをエギルが拾って帰ってきたいわゆる孤児だ。私がこの街にいたときはもっと小さかったのに、しばらく会わない間に大きくなったなぁ。ちょっと伸びた髪を麻紐で結んでいる様は、服を整えればそれなりに見られる。標準よりも高い私の背を越してしまってるから、女の子達の争奪戦が街で行われてるとかなんとか。
「死なない死なない! そんくらいで死んでたらわけないでしょ~」
けらけらと笑い飛ばしてみる。……ごめん、そんなイカれてんじゃねえのって顔で見ないで。私のライフはもうゼロよ!
「ったく……。久々に帰ってきたと思ったらこれかよ」
ぶつくさ文句は言うけれど、仕事の腕前はピカイチ。白の手袋をはめた左腕を死体の山へ掲げ、魔法陣を展開する。死体の山の周りに大きさの違う三つの陣が現れた。カイの周りにも冷気のようなエネルギーが目に見えて集まっていく。
「悠久に祈り、永遠に眠れ。氷の柩を墓場とせよ」
魔法陣から取り出した氷の蔓が死体の山へ襲いかかる。カイは氷魔術に特化した魔術師だ。あっという間に一つの氷の塊へと変化させてしまった。
「さっすが!」
「いや、さっすがじゃないから。俺だって頑張ったから」
カイが作り出した氷塊は特別製だ。ギルドにこれを持って帰ったあと一瞬にしてこの氷を消すことが出来るのだから。魔術理論なんて面倒であんまり勉強してないけど、確か氷魔術と水魔術は根底から違うらしい。水魔術の派生系が氷魔術だけど、魔法陣から氷そのものとして出てくるので、溶けることがないようだ。溶ける、というより消えるといった方が正しいかもしれない。
それに氷魔術は極めること出来れば、マグマの中に氷を入れたとしても消えることが無いという。一部の水魔術師は、氷を扱うことが出来るけど、それは水を圧縮させて作り出したものだ。方法が違うだけで化学の領域になる。
隣に立つエギルはひょいと片手で氷塊を持ち上げ、先に歩きだした。人間じゃないこの男。
「国立魔術大学を卒業したんだぞこいつ」
「おい、言うなよ!」
「アカデミアってことは首都にいたの? 言ってくれれば飛んでいったのに!」
まさか仲間はずれか? そうなのか? カイの隣で歩く私は少しショッキングな気持ちになった。国立魔術大学は国内最高峰の施設だ。魔術さえ使えればほかはどうでも良い、なんて変人が勢揃いしている。しかし、末席であれ卒業できたなら、それはもうとんでもない名誉だ。
カイは私から視線を外してこっそり呟いた。少し頬が赤くなってるのは、おねーさん見なかったことにしてあげるよ。
「あー、ほら。折角だから卒業してから言いたいじゃんか。頑張ったし……」
なるほどなるほど。どうやら仲間はずれなんて杞憂だったらしい。ただ恥ずかしがっていただけみたいだ。これならば、私もカイを十分に愛でられる! 一つしか歳は変わらないけど。
「可愛いやつめ!」
「ちょ、なにすんだよ!?」
髪をぐしゃぐしゃと掻き回す私から逃れるように、カイはエギルのもとへと走っていってしまった。全くカイは本当にシャイである。
「あ、そういえば」
突然、エギルが声をあげた。正直何を言われるのだろうと思ったけど、別段大したことじゃなかった。
「ヴェリス。お前実家から放逐されたんだっけか」
「うん、そだよ~。でも監視は付いてるみたい」
いや全く酷いやつらだよねぇ。いつまで監視を付けるんだか。今は居ないみたいだから良しとしようか。
「待て」
ん? カイ、今なにか言った?
「まてまてまてまてまてまて!?」
「どうした。壊れたのか」
「叩けば治るよきっと!」
さあ、杖を構えて! 狙うは逆転ホームラン! カイのお腹めがけて、放て!
「放たんで良い!」
残念。怒られた。
カイの顔は真っ青だった。私、なにか悪いこと言っただろうか。
「ヴェリス!」
「はぁい?」
いつにもなく真面目な顔してどうしたんだろう。
「お前、実家から放逐って何だ!? どういう意味だ! どっかお嬢様かと思ってたけど何者なんだよ!」
あれ、言ってなかった? エギルと顔を見合わせるけど、確かに言った覚えは無いかもしれない。どうやらエギルも伝えていないようだ。
「あれだよ私の家」
ここからでも見える立派な屋敷を指差して、私は笑顔で伝えた。
「領主の二番目の娘! 公爵家の恥さらししてます!」
「はぁぁぁぁあああああ!?!?!?」
今日一番の「はぁ!?」いただきました!




