序章:領地入りを果たしてまず始めにすること
このお話はとある漫画を読んでビビッと閃いたものです。「転生」「執事」「領地送還」の三点のアイデアをお借りしましたが、話は全く違いますので安心してお読みください。
「あー、やっぱりこうなるのね……」
どうもマルシェ・リザーブ公爵令嬢です。現在馬車に乗って王都から離れている真っ只中。公爵家の領地に向かっています。十四歳です。流れていく景色は変わらず綺麗ですね。森ですが。
どうして艶やかな黒髪赤目でスタイル抜群な私が、我が公爵家の領地に向かっているのか。それは! 私の前世に関係があるのです。
マルシェ・リザーブこと私は四歳の頃に転生を果たしました。足を踏み外して階段から転げ落ち、三日間寝込んだそうな。どうして階段から転げ落ちただけでそんなに寝込むのかはまあ、置いときましょう。私も分からないから、うん。なぜか発熱が起きたことも、置いておきましょう。
ところで、マルシェ・リザーブには一つ上の姉がいます。それが、ユーリェ・リザーブ。「聖剣の乙女は宵に咲く」の主人公です。
そう! この世界は前世ではゲームで親しまれてたのです! 私もやってたよ! ちなみにタイトルで想像したかもしれないけど、これ十八禁ゲーです。つまるところエロゲです。私これを買ったのは二十一だったかなあ。
簡単なストーリーを説明すると、アルレラ王国で最も心の美しい女性が聖剣の乙女となり、お付きの男たちと世界を救う……って流れです。
前世の記憶と共に「聖剣の乙女は宵に咲く」の知識を思い出した私は、自分が聖剣の乙女に選ばれるため姉を蹴落とそうとするマルシェに生まれ変わりました。全く……。わざわざ蹴落とそうとするなんて。マルシェも見映えはいいのです。だからひがみもせず、着実に自分のペースで歩んでいけば良かったものを。恐らく彼女は痛感していたんでしょう。生まれたときから、決して姉には何も叶わないということを。それがどれだけの苦痛だったのかは私には分かりません。ただ、泣きたくなるくらい寂しかったのだろうなと予想することしかできないのです。
ストーリー通りに進むと、マルシェは一ヶ月間の領地監禁の間に殺害される。それを理解し、私はその最後を変えるため必死で活動してきました。ユーリェよりも先に、精力的な活動を始めました。いじめは勿論、いたずらさえもしたことはありません。時間があれば孤児院へ向かい、寝る間も惜しんで勉学に励みました。夜会では派手すぎず地味すぎず、適度にお話をしていました。王子やら何やらに関わったことすらありません。
しかぁし!! 結果は変わらないのです。知ってます。このまま領地監禁コースなのを!! で、それは嫌です。なので私逃げ出そうと思いまして。
「さて、そろそろいいかな」
我が公爵家の領地は、王都との間に森があり、必ずその森を通ります。一種の検問と言って良いかもしれません。私もさっき通りました。一応門兵のような人が立っていたのも見ています。
そして死にたくない私は今、馬車から飛び降りようとしています。え、なぜって??
「屋敷に行きたくなんてないからね!」
右見て、左見て、じゃーんぷ! すってんころりんころころりん。声を小さくし、タイミングを見計らって落ちたとはいえバレずに落ちましたよ私。正直驚きです。まぁ、どうせ私みたいな小娘のことを大事に思いはしないでしょう。命よりも大事なユーリェの心に曇りをかけるのですから。……自分で言ってて少し悲しいんだけど。
で、なんでしたっけ? 飛び降りた理由? 服にたくさん土ぼこりがついてしまったのでちょっと叩かせてくださいね。
森の中へ一歩一歩進んでいく私ですが、飛び降りた理由は二つあります。
一つ、最悪の事態を想定して私は数年前からこの先の小さな小屋を所有しているのです。その方法は聞かないでください。とりあえず前世で言う権利書のようなものを持ってるんですえへん。
二つ、屋敷には私を暗殺しようとするユーリェ至上主義執事野郎がいるんです。絶対に近付きたくないですよね。
「あと三十分くらい、かなあ……?」
正直歩きすぎて足が痛いし、私は誰に説明してるのか分からないしドレス邪魔で歩きにくいけど、ここで止まるわけにいかないから頑張らないと。
私の目指す掘っ立て小屋も、恐らく埃がたくさんたまっているから掃除をしなければいけないだろうし、やらなきゃいけないことはたくさんあるんです。
食べ物はあったっけ? 畑も耕さないと。料理器具の場所は覚えてるかな。髪の毛も切って、下町でリボンを買いましょう。濃いグリーンはあるかな。友達も出来るといいなぁ。
「あー、れかな? あれだあれだ」
やった。着いたよ。うーん、なんともまぁ疲れましたね。古くさい扉をゆっくり押し開けると、やはり埃がたまっていました。六脚の椅子とその中心にでかでかと陣取る分厚い樫のテーブル。その横を通り、奥の扉を押し開ける。そこには、たくさんの画材があった。おじいさんにもらったものだ。大切な宝物。
リビングルームに戻ると、今度は向かって左の扉を開ける。ベッドルームだ。……とても埃っぽいが。もうそろそろ、夜が遊びに来る。それまでになんとかしないといけないけど……。
私、半笑いがひきつっている気がします。
前書きで話は全く違うとか書きましたけど自分ためし読みしかしてないのでわかりませんよ。その辺つっこまれても答えられません。




