おじいちゃんに会いに行くぞ!!
僕は明日、田舎のおじいちゃんの家に遊びに行くことになっていた。
僕のおじいちゃんは、カメラが大好きで小さい頃はよく遊んでもらったものである。
ちなみに僕の小さな頃は、両親と一緒に田舎でおじいちゃんとは同居していたのであった。
しかし父親の転勤で、街の方に両親と姉と僕たちは出て行ったのである。
・・・・・そう・・・、考えてみたら僕には姉がいた・・・・・。
年の離れた姉がいたのだ・・・・・・・。
僕はゴソゴソと、明日からの荷物の用意をしていたのだった。
やはり、僕が旅支度するときは大荷物になりがちだ。
「ふむふむ・・・・。
数彦、どこに行くのだ・・・・。」
僕の横で呟きながら、ナターシャは荷物をのぞき込んできた。
「明日から、おじいちゃんの家に行くんだよ。
ナターシャは連れていかないからな。」
この女に隠し事をしても無駄なのは分かっていたから、僕はハッキリと言った。
「アタシも行きたいな。」
「絶対にダメ。」
僕は冷たくナターシャをあしらった。
翌日に僕は鉄道に乗って、景色を眺めたいた。
だんだんと都会から田舎の景色に変わってきた。
僕は田舎が好きだった。
おじいちゃんは、僕たち姉弟の面倒をよく見てくれて、よく遊んでくれた。
だから僕は今でも、おじいちゃんが大好きだった。
年の離れたお姉ちゃんは、小さかった僕をとても可愛がってくれた。
ちょっと、お姉ちゃんはお転婆過ぎた感じがしていたけれども・・・。
こうやって、僕は思い出に浸りながらも鉄道の窓から見える景色を眺めていたのであったが・・・。
だんだんと、なんだか自分の周囲に違和感を覚えてきたのであった。
(何なのだろう・・・、この安心できない感覚は・・・。)
僕は自分の持ってきたものに、その不自然さの根源を見つけたのである。
自分の荷物の入った旅行鞄に、視線を持って行った。
僕は旅行鞄のチャックを、ほんの少しだけ開けた。
なんだか、全開にさせるのが怖かったのである。
その考えはどうやら正しかったようであった。
旅行鞄のチャックの口からは、黒いとがったものがピョコンと飛び出ていた。
(・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!!)
僕は席を立って洗面所に行った。
僕は洗面所の側で、恐る恐る旅行鞄のチャックを全開にさせた。
「ナターシャ!!!」
予想通りにナターシャは、両手を広げて勢いよく現れてきた。
「なにが、ナターシャだよ!!」
僕は、7割ぐらい呆れてナターシャに文句を言った。
それにしても、旅行鞄の中の荷物の隙間に入り込むなんて、どんだけナターシャの体は柔らかいのだろうか。
そして、僕はあることに気がついた。
「ナターシャ、これは無賃乗車だぞ!!
やって良いことと悪いことがあるぞ!
いい加減にしろ!ナターシャ!」
僕は彼女の悪ふざけに我慢ができなくなって、ナターシャに説教しだした。
僕の突然の剣幕に、流石のナターシャもうなだれていた。
「にゃあ・・・・・・・。」
それからナターシャは、元気なく歩きだし隣りの車両に入っていった。
「ナ、ナターシャ!?」
僕はナターシャが心配になり、すぐに隣りの車両に入ったが、彼女の姿は見えなくなっていた。
「ナターシャ・・・・。」
僕はナターシャに、キツく言い過ぎたと思っていた。
僕は、目的の駅にたどり着いた後、おじいちゃんの家にたどり着いた。
ガラガラと、僕は家の玄関の扉を開けた。
「お帰り、数彦。」
意外にも素早く、おじいちゃんは玄関に僕を迎えに来てくれた。
おじいちゃんは、歳をとっているなりに元気そうで、僕はとても安心した。
「ん・・・・?」
なにか奥の方から、臭いがしてきたのだった。
「おじいちゃん、ただいま!
料理をしているの?」
その臭いは、おそらくおじいちゃんが作っている料理だろう。
ただなんだか、釈然としない感じがしたのである。
(これは、おじいちゃんが作っている料理の臭いじゃない。)
僕は何故か核心を持って、思ったのであった。
なぜなら・・・・・。
僕は、おじいちゃんと一緒に奥の台所に入っていった。
「おう!
数彦、お帰り!!」
・・・・・・・・・・・・・。
やはり台所で料理を作って、僕を出迎たのはナターシャであった。