表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/22

木登りなら任せろ!!

今日は、祖谷にアメゴ釣りに行ってきました。

かずら橋は、ちょっと自分は苦手です。


 今日、僕は近所の公園でたたずんでいた。

 ちょうどによい温度の風が僕の顔に当たり、僕をとても心地よい気分にさせた。

 僕はベンチに腰をかけて、両腕を背もたれに乗せてリラックスしていた。

 目を閉じてしばらくの間、自称瞑想をしていたのであった。

 「ふう・・・・・・。何もしなくてもこんなに充実した気になるんだなあ・・・・。」

 そうゆう感じで、自分勝手に満足した人を演じている僕が、今ここにいるのである。

 こうして、哲学的な一日を終えられたら、たまには良いのに・・・・そう思ったその時・・・・。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!」

 僕の平穏な一日は、まぼろしとなる事が決定的な瞬間であった。


 「・・・・・・・・・この娘は・・・・・。」

 僕は、目の前にいた、小さな女の子に目を奪われた・・・・。

 その女の子は、赤いフワフワと宙に浮いている風船を、右手に持っていた。

 とても、綺麗で可愛らしい顔つきをしていたのである。

 (断っておくが、僕は決してロリコンではない・・・・。)

 ただ純粋に、その小さな女の子に意識を持って行かれたのである。


 「て、天使なのか・・・・?」

 僕は思わずそんな言葉を、発してしまいました。

 それほどに、その小さな女の子に魅力を感じたのである。

 それに・・・・・・・。


 大魔導士が存在するとしたら、天使も存在するのではなかろうか・・・・。

 僕は、そんな期待が、ふとひらめいたのであった。

 「こんなとき、ナターシャがいたらなあ・・・・・。」

 僕は、ナターシャの存在を頼りにしていたのだった。

 そのとき・・・・・。


 「あっ!!!!!」

 僕は、思わず驚きの声をあげてしまっていた。

 赤い丸いモノが、フワフワと上に舞っていたのである。

 そして、その赤は木に引っ掛かってしまっていた。

 その小さな女の子は、自分の風船を木に引っかけてしまったのである。

 女の子は寂しそうな表情で、引っ掛かっている風船を見上げていた。

 その娘は、悲しそうな顔をするも、決して泣き出すような兆候を見せてはいなかった。

 彼女は、きっと気丈な女の子なのであろう。

 それ故に、なおさら僕に、とある感情が芽生えたのであった。

 「風船を取ってあげたい・・・・・。」

 もしも自分に木登りの才能があれば、とってあげられるのだが。

 僕はそんな器用な、男では無かった・・・・。

 僕は、だんだんと、どうすればよいのか分からなくなってしまった。

 しかし、気がつくと・・・・。


 いつもの黒猫が、僕の足下でゴロゴロしていたのであった。

 黒猫は、気持ちよさそうに目を細めていた。

 「ああ・・・・。こいつが風船をとってくれたらなあ・・・・。」

 猫の手も借りたいとは、まさに今の状況であろう。

 こんな時に、ナターシャがいればいいのに・・・・。

 僕は初めて、ナターシャに現れて欲しいと思った。

 いつもナターシャには驚かされているけど、彼女に助けて欲しいと心底に願った。

 「でも、こんな時だけ頼むなんて、ムシの良い話だよな・・・・。」

 僕は今までのナターシャに対する、自分の態度を悔いた。

 僕は、自分勝手な男だ・・・・。


 「ナターシャ!!!!!!!!」

 ナターシャが、現れた。

 本当に、現れて欲しい時に彼女は現れた。

 

 「ふむう・・・・。」

 ナターシャは、両腕を組んで少し間をおいた。

 ナターシャは、僕の顔を真っ先にみてから・・・・。

 僕の視線の先の、小さな女の子をみて・・・・。

 女の子の視線の先の、木に引っ掛かった赤い風船に目をやった。

 

 「うむ!!」

 ナターシャは、コクリとうなずいた。

 「風船を取って欲しいのだな!!」

 ナターシャが、初めて僕の期待通りの解釈をしてくれた・・・・。

 「ナターシャ・・・・・。」

 僕は、ナターシャの洞察力に感謝して、彼女の名を呼んだ。


 「よっしゃ!!善は急げだぞ!!」

 ナターシャまるで猫のように、木に登りだした。

 そして、あっという間に、風船の元にたどり着いた。

 ナターシャは、風船を手に取った。

 いとも簡単にナターシャは、風船と持って再び地上に降りてきたのであった。


 「お姉ちゃん、有り難う。」

 その小さな女の子は、とても利発そうなしゃべり方であった。

 「朝飯前だそ!!」

 ナターシャは、とても得意になっていた。

 しかし・・・・。

 ナターシャが、女の子に風船を渡そうしたその瞬間・・・。


 ーーーーーーーーーーーパンッ!!!!!!!!!!!!ーーーーーーーーーーーーーーー


 その赤い風船は、割れてしまったのである・・・。

 「・・・・・・・・・・。」

 沈黙するナターシャ・・・。

 僕と、その女の子を含めた3人に、気まずい雰囲気が作られた。

 「ニャ・・・・・。ニャア・・・・・。」

 ナターシャは、下にうつむき、シューンとうなだれていた。

 そして・・・・、そしてナターシャは・・・。

 ナターシャは涙を流し出した。


 「ナ、ナターシャ・・・。ナターシャは頑張ったんだから、悪くないよ・・・。」

 僕は精一杯に、ナターシャを慰めようとした。

 「アタシに・・・、優しくするんじゃねえ・・・。」

 ナターシャは、涙を一杯に瞳に浮かべて、グスグス泣きながら、僕に言った。

 その時・・・・・。


 ナターシャは、自分の下からのアプローチに気がついた。

 ナターシャのスカートの裾を、女の子が引っ張っていたのである。

 「お姉ちゃん、割れちゃったけど、風船取ってくれて有り難う。本当に有り難う・・・。」

 小さな女の子は、邪心のない言葉をナターシャに受け渡した。

 その女の子は、ナターシャを不憫に思ってなだめているようであった。

 ナターシャは・・・・。

 

 「ニャ・・・。」

 そのときナターシャは、しゃがんで小さな女の子を抱きしめた。

 女の子は、とても優しい表情をしていた。

 ひょっとして、この女の子は、本物の天使なのではないのだろうか・・・。

 僕は・・・・・。


 「二人とも!!お兄ちゃんが、おもちゃ屋さんで、風船買ってあげるから一緒に行こう!!」

 「にゃ・・・・?」

 「お兄ちゃん、有り難う!!」

 その女の子は、遠慮せずにニコッと笑った。

 彼女の素早い返事が、ますます僕に好感を抱かせた。

 僕は、二人を連れて歩きだし、何気に上機嫌だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ