グラビア撮影だぞ!!
もう、暖かくなってきましたね。暖かい、お話を考えたいです。
僕は、アパートの部屋で寝っ転がっていた。
何をしているのかというと、写真鑑賞というモノを行っていた。
と、いうほどたいそうな事ではない。
要するに、グラビアアイドルの写真集を眺めていたのである。
たまには息抜きというモノが必要なのでは、と僕は思って今はゆっくりとしているのであった。
・・・・・、だらけている事の言い訳なのかもしれないのだが・・・・。
「うーん・・・・。」
でも、寝っ転がっていたので、流石に本当の眠たくなってきた・・・・。
僕は、グラビアアイドルの夢を見れたらいいのに、と思いながら混沌とした世界に誘われていくのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーしばらくしてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふむふむ・・・・。なるほど・・・・・。」
睡眠から冷め切らない僕の耳に、なにやら物色している様子の声が聞こえてきた。
「ほ、ほーお・・・・・。うわ、あ・・・・・・。」
なにやら、感想めいた呟きが僕の寝坊助の頭に入ってきた・・・・。
そして、しばらくの助走の後に・・・・・・・。
「ナターシャ!!!!!!!!!!!!」
今回もナターシャの大声で目が覚めてしまった。
しかし、今度の僕は、ナターシャに免疫ができてきたのか、さほど驚きを感じていなかった。
「ナ、ナターシャか・・・・・・。どうしたんだよ・・・・。」
僕はまだ目が覚めきっていないので、顔を腕で擦りながらの会話であった。
「数彦!!」
ナターシャは、例によって僕に何かをさせる気であるようだ。
しかも、ナターシャが手に持っているモノを見て、僕は狼狽した。
「ナ、ナターシャ・・・・。」
ナターシャは、僕がさっき眺めていたグラビアアイドルの写真集を持っていたのであった。
「うう・・・・・。」
僕はナターシャに何という言葉をかけたらよいのか、思い浮かばない。
しかし、そんな僕に対してナターシャは、思いがけない言葉を発したのである。
「数彦!!カメラマンになりたいのだな!!」
ナターシャはグラビアアイドルの写真集を見開いて、僕に力強く言ったのであった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」
え?どう解釈すれば、その様な発想になるのであろうか・・・。
僕は、ナターシャが続いてなにを言い出すのかということに対して、不安を隠し得なかった。
「ようし!!」
ナターシャが、意を決したかのように右の拳を握りしめていた。
「そうゆう事ならば、アタシが一肌脱ごう!!」
ナターシャは、何をするつもりなのだろうか。
ぼくがそう思った、その数秒後・・・・。
突然に、ナターシャが服を脱ぎだした。
いきなりマントと、スカートを脱いで下着姿になった。
ちなみに、上下とも黒であった・・・・・。
「いや!!一肌脱ぐって、そんな意味じゃないから!!」
僕はナターシャに言い聞かせて服を着せた。
(こ、こいつ、とんでもない女だ・・・・!)
僕はあまりに突拍子なナターシャの行動の前に、呼吸の乱れを止めることができなかった。
「じゃあ、どうすればよいのだ!?」
ナターシャは悪びれる様子もなく、僕に問うてきた。
「いや、まあ・・・・。」
かといって、何をナターシャに頼む気持ちも無いので、僕は答えに窮してしまった。
「うむ!!」
ナターシャは、なにか考えが浮かんだらしく腕を組みながらうなずいた。
なんだか、嫌な予感しかしないのであった。
「グラビア撮影だぞ!!」
「は、はい??」
「アタシを撮影しろ!!アタシを練習台にしろ!!」
ナターシャが写真集を片手に、グラビアアイドルのポーズを真似しだした。
「・・・・・・・・・・・・。」
僕は思った。
ここはナターシャのペースに合わせた方が、得策のようだ。
下手に刺激すると、「アタシのヌードを撮影しろ!!」などと言い出しかねない・・・・!!
「わ、わかった・・・。わかったよ・・・・。」
僕は以前にカメラ好きのおじいちゃんからもらった、一眼レフのカメラを持っていたのである。
「おお!!数彦!!りっぱなカメラだな!!」
ナターシャは俄然、張り切っていた。
しかし・・・・・。
パシャパシャッツ!!
僕は、一眼レフカメラでナターシャを撮影した。
「ふむう・・・・・。」
なんだか、ナターシャは不満げな表情を浮かべていた。
一体なにが、ご不満なのであろうか。
「グラビアとはやっぱり違うな・・・・。この格好ではな・・・・・。」
ナターシャは、目を瞑り意を決した様子であった。
「アタシは水着を持っていないし、仕方ないか・・・。」
ナターシャは、再び服を脱ぎだしたのであった。
ナターシャの幼さの残る顔にしては、背伸びしたセクシーな下着がまたも現れてきた。
「わわっ!!ダメだ!!ナターシャ!!」
僕は、再度ナターシャの脱衣を阻止した。
「水着がダメなら、下着ではだめなのか?」
ナターシャは、マジマジと僕に顔を近づけて意見してきた。
そのナターシャの瞳には、邪念のかけらも感じ取れなかった。
(僕の方が邪念だらけなのかも知れない・・・・・。)
「いや、ナターシャはとても魅力的だから、普段の格好で十分破壊的な威力を持っているよ。」
僕は思いつく限りの言葉で、ナターシャをなだめた。
「ふむう・・・・。そうなのか・・・・?」
ナターシャはキョトンとした顔で、僕に確認してきた。
「そうとも!!」
僕は必至に、ナターシャを納得させようとしていた。
「うん!!わかったぞ!!数彦!!」
ナターシャは機嫌を直したらしく、ニッコリと微笑んだ。
そして、ついにナターシャの撮影が始まったのである。
ナターシャはグラビアアイドルの、ポーズを参考にいろんな姿を見せてくれた。
黒いトンガリ帽子、黒マント、黒いスリット付きのスカート・・・・・・。
こんな個性的な格好なのに、ナターシャがとても可愛いと思えてきた。
僕は何のかんの言って、ナターシャの撮影を楽しんでいた。
しかし・・・・・・・!
だんだんとナターシャのとるポーズが過激になってきたのであった。
そして・・・・、僕は、ある異変に気がついたのである。
ポタポタ・・・・・・・・・紅い液体が滴りだした・・・・・・
僕は恥ずかしくも、鼻血をだしていたのであった。
「うう・・・・・。」
僕は、とっさに鼻を手で押さえた。
ナターシャの下着姿の余韻にプラスして、グラビアポーズがボディブローの様に蓄積して、このような結果をもたらされたのではないかという結論を、僕の頭は出したのである。
「大丈夫か!!数彦!!」
ナターシャは、驚いて僕の安否を気遣ってくれた。
「あんまし大丈夫じゃない・・・・・。」
だんだんと、僕の意識は遠のいていったのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーしばらくしてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は、目を覚ました。
僕の頭は枕の上にあった。
おそらくナターシャが世話をしてくれたのであろう。
僕はすぐに、自分の傍らに置いてある紙切れに気がついた。
<アタシじゃ、モデルとしては実力不足だったのかもな・・・・。
役に立てなくてごめんな。 ナターシャ>
なんと今回は、ナターシャがメモ書きを残していたのであった。
「いや、ナターシャ、君はとても魅力的な女性だったよ・・・・。」
僕は本日の出来事の余韻を噛みしめながら、呟いた。
P.S.
後日撮影した写真を現像したら、まっ黒であった。
カメラのレンズカバーを、外し忘れていたのであった。