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俺は嫁さんの母乳が飲みたい

 先日、我が家も子宝に恵まれ、元気な女の子が生まれた。むっちゃんこ可愛い。

 娘は今日も元気に、笑ったり、泣いたりしているのだが、俺には気になる事がある。


 そう、母乳の味である。もう一度言うぞ、母乳の味だ。


 うちの嫁さん––––これがまたえらい美人なのだが、その嫁さんは赤ちゃんを産んだので、当然母乳が出るわけで。


 気になる。


 気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。気になる。


 ちょー気になる。


 だが、俺は嫁さんに「ねぇ、ちょっと母乳飲ませてよ!」なんて軽口は叩けない。

 嫌われて、実家に帰られたらどうする? 嫁さんのお父さんは厳格で厳しい人だ。もしそんな事を言ったのがバレた日には、何をされるか分かったもんじゃない。

 それに嫁さんは、「子供の作り方なんて教科書でしか知りません」と、言ってしまうような人だ。

 ドが付くほど真面目で、そういうアブノーマルな事はしない人なのだ。


 でも俺は気になる。母乳の味が気になる。このチャンスを逃せば、2人目が(予定はない)、産まれるまでそのチャンスは無い事になる。


 いや、もうやるしかない。欲望に正直になり、頭を下げて頼み込んでみよう。それで断られたら、断られただ。

 俺は夢を追った––––その行為に悔いはない。


 台所で包丁をトントン鳴らす嫁さんに、俺は声をかけた。


「ねぇ、お願いがあるんだけどさ……」


「なんでしょう?」


「あ、いや、その……頼み辛いお願いなんだけどさ」


「わたしとあなたは夫婦なのですから、隠し事は無しですよっ?」


 嫁さんはそう言ってニッコリと微笑んだ。

 たっ、頼み辛い! その眩しい笑顔はとても頼み辛い!

 いや、でも俺は決めたんだ。俺はそのマタニティワンピースの下にある、豊満な乳房から母乳を吸い出すのだ!


「あのさ、その…………おっぱい飲んでみたい」


 言ったー! 俺は言ったぞ! よくやった俺! もうなんかいい子、いい子してあげたい!


「いいですよ」


「………………はい?」


「だから、いいですって言ったんです」


「いいの?」


 俺がそう聞き返すと、嫁さんははずかしそうにコクリと頷いた。




 *




「まずい」


「実家に帰らせてもらいますっ!」



 おわり!



 アンド、今年もよろしくお願いします。

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